• 作成日 : 2026年7月6日

未払賃金立替払の確認申請書とは?書き方・必要書類・申請期限を解説

Point確認申請書はどんな書類?

確認申請書は、事実上の倒産で未払賃金の立替払を受けるために労基署へ提出する書類です。

  • 法律上の倒産では確認申請書は不要
  • 退職日・対象賃金の正確な記入が受給額を左右
  • 請求期限は認定日翌日から起算して2年以内

Q. 立替払の上限額はいくら?

A. 未払賃金総額の8割で、退職日時点の年齢により88万・176万・296万円の上限があります。

未払賃金立替払の確認申請書は、事実上の倒産で未払賃金を受け取るために労働基準監督署(労基署)へ提出する書類です。法律上の倒産では不要で、提出先や必要書類も異なります。退職日から半年、認定申請から2年という期限管理が受給の分かれ目になるため、本記事では確認申請書の書き方・必要書類・申請ルートを実務の流れに沿って解説します。

未払賃金立替払制度の仕組みは?

未払賃金立替払制度は、法律上の倒産と事実上の倒産で手続きルートが異なり、事実上の倒産では確認申請書の提出が必要です。企業倒産で賃金を受け取れずに退職した労働者に対し、独立行政法人労働者健康安全機構(以下、JOHAS)が「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃確法)に基づき、未払賃金の一部を国が事業主に代わって立て替える仕組みです。

JOHAS公式ページによれば、本制度は昭和51年(1976年)の創設以来、令和7年3月までの累計で約137万人に対し総額約5,651億円の立替払を実施しており、令和6年度単年では支給者数3万591人・立替払額約110億円となっています。長年にわたり安定的に運用されている公的セーフティネットであることがわかります。

参考:未払賃金の立替払事業|JOHAS(労働者健康安全機構)

法律上の倒産と事実上の倒産で手続きが分かれる

法律上の倒産とは破産・特別清算・民事再生・会社更生など裁判所の手続きを指し、事実上の倒産とは中小企業が事業を停止し再開の見込みがない状態を指します。両者で申請先と必要書類が変わるため、自社・自身のケースがどちらに該当するかを最初に確認する必要があります。

区分 法律上の倒産 事実上の倒産
該当ケース 破産・特別清算・民事再生・会社更生 事業停止・再開見込みなし・賃金支払能力なし
確認・証明の方法 破産管財人等による証明書 労基署長による認定および確認申請書
主な対象企業 規模を問わない 中小企業事業主

退職日の6か月前以降の未払賃金が対象になる

立替払の対象は、退職日の6か月前の日から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当です。毎月の給与や残業代は定期賃金に含まれます。

JOHASの制度概要によると、賞与・ボーナスや解雇予告手当は対象外であり、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象になりません。対象・非対象の区分を事前に整理しておくことが、確認申請書作成時の混乱を防ぐ第一歩になります。

立替払額は未払賃金総額の8割で、退職日時点の年齢に応じて上限額が定められています。

退職日の年齢 未払賃金の上限額 立替払の上限額(8割)
30歳未満 110万円 88万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
45歳以上 370万円 296万円

参考:Ⅰ未払賃金の立替払制度の概要|JOHAS(労働者健康安全機構)

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未払賃金立替払で確認申請書が必要なケースは?

確認申請書が必要になるのは事実上の倒産のケースに限られます。法律上の倒産では破産管財人等が発行する証明書で未払賃金額を確認するため、確認申請書の提出は求められません。

事実上の倒産では労基署への確認申請が必要になる

事実上の倒産では、認定申請と確認申請の2段階の手続きを踏みます。まず事業主または労働者が労基署に「認定申請書」を提出して事実上の倒産の認定を受け、その後に労働者個別の「確認申請書」を提出して未払賃金額の確認を受ける流れです。

  1. 労基署に「認定申請書」を提出し、事実上の倒産の認定を受ける
  2. 認定後、労働者が「確認申請書」を労基署に提出する
  3. 労基署が未払賃金額・退職日等を確認し、「確認通知書」を交付する
  4. 確認通知書をもとにJOHASへ立替払請求書を提出する

参考:Ⅰ未払賃金の立替払制度の概要|JOHAS(労働者健康安全機構)

法的倒産は管財人等の証明で対応する

法律上の倒産では、裁判所が選任した破産管財人や再生債務者等が発行する証明書を労働者がJOHASへ立替払請求書とあわせて提出すれば手続きが進みます。確認申請書という書類が登場するのは事実上の倒産に限られるため、自社の倒産がどちらに該当するか判断がつかない場合は、最寄りの労基署に問い合わせて手続きルートを確認するとよいでしょう。

未払賃金立替払の確認申請書の書き方は?

確認申請書には、申請者情報・事業主情報・未払賃金の内容を記入します。賃金台帳や給与明細などの資料を手元に用意してから取りかかるとスムーズです。記入欄は「申請者(労働者)の情報」「事業主の情報」「未払賃金の内容」に大きく分かれており、一つひとつ正確に埋めていく作業になります。

記入欄ごとの内容を確認する

確認申請書の主な記入項目は次のとおりです。退職年月日は立替払の対象期間を決める起点になるため、1日のずれでも対象額に影響する場合があります。

  • 申請者の氏名・住所・生年月日・退職年月日
  • 事業主の名称・所在地・電話番号
  • 未払賃金の種類(定期賃金・退職手当の別)
  • 未払賃金の支払期日と金額
  • 既に支払われた賃金の額(一部支給がある場合)

雇用保険の離職票や退職証明書と突き合わせて正確な日付を記入してください。会社の閉鎖で書類が取得できない場合も、労基署の窓口に相談すれば確認できるケースがあります。

未払賃金の額を正確に算出する

未払賃金額は「支払われるべき賃金総額 − 既払い額 = 未払賃金額」という式で算出します。対象期間内に支払期日が到来している定期賃金と退職手当をそれぞれ積み上げて計算する仕組みです。

計算にあたっては、賃金台帳・給与明細書・雇用契約書・タイムカードなど、賃金額の裏付けとなる資料を準備しておく必要があります。会社が倒産すると賃金台帳を入手しにくくなることがあるため、在職中から給与明細を保管しておくと、いざというときの代替資料として役立ちます。

  • 賃金台帳(会社が保管していたもの)
  • 給与明細書・給与振込の通帳記録
  • 雇用契約書・労働条件通知書
  • タイムカードや出勤簿(残業代の計算が必要な場合)

年齢区分による上限額を確認する

立替払の上限額は退職日時点の年齢で3段階に区分されるため、誕生日の前後に退職する場合は年齢計算に注意が必要です。退職日が30歳の誕生日の前日であれば「30歳未満」の区分(上限88万円)、誕生日当日以降なら「30歳以上45歳未満」の区分(上限176万円)となり、数万円から数十万円単位の差が生じます。退職日と生年月日の記載は慎重に行いましょう。

未払賃金立替払の確認申請で失敗しやすいケースは?

確認申請が受理されない原因として多いのは、請求期限の超過と対象外賃金の混入です。期限を1日でも過ぎると立替払を受けられなくなるため、スケジュール管理が欠かせません。

請求期限を過ぎると受給できなくなる

立替払の請求には厳格な期限があります。JOHASの制度概要によると、法律上の倒産では裁判所の破産手続開始決定日等の翌日から起算して2年以内、事実上の倒産では労基署長による倒産認定日の翌日から起算して2年以内に、立替払請求書をJOHASに提出しなければなりません。

退職後の生活再建や再就職活動を優先するうちに手続きが後回しになり、期限が迫ってから慌てるケースは少なくありません。退職直後に労基署へ相談して期限を確認し、早めに書類を揃えることが回避策になります。

参考:Ⅰ未払賃金の立替払制度の概要|JOHAS(労働者健康安全機構)

対象外の賃金を含めると修正が発生する

立替払の対象外となる主な項目は、賞与・ボーナス、解雇予告手当、慰謝料的な性質の金員、社内貸付金の返済に充当される予定の金額などです。これらを未払賃金に含めて申請すると、労基署から修正を求められ手続きが遅れます。給与明細上の「手当」という名目でも性質上は賞与に該当するケースがあるため、判断に迷う場合は労基署の窓口で事前に確認しておくと手戻りを防げます。

書類不備で手続きが止まるケースを防ぐ

確認申請書には未払賃金の額を裏付ける資料の添付が求められます。賃金台帳のコピーや給与明細がないまま提出すると、審査が保留になり支給時期が大幅に遅れることがあります。会社側が非協力的で書類を渡してもらえない場合でも、労基署が事業主に資料提出を求めることができるほか、銀行の振込明細や通帳の写しを補足資料として活用する方法もあります。

未払賃金立替払の確認申請書に関するよくある質問

未払賃金立替払の確認申請書について、よくある質問をまとめました。

申請から支給までどのくらいかかる?

JOHASへ立替払請求書を提出してから支給までは、書類の不備がなければ一定の審査期間を経て決定されます。事実上の倒産では認定申請・確認申請・立替払請求という3段階を経るため、早い段階で各手続きの提出を進めることが支給までの期間短縮につながります。

立替払金に税金はかかる?

立替払金は租税特別措置法第29条の4の規定により、退職所得として課税されます。国税庁の通達でも、立替払を受ける未払賃金は定期賃金分・退職手当分のいずれも退職所得として取り扱う旨が示されています。請求の際には「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」をあわせて提出することで、退職所得控除の適用を受けられます。

参考:第29条の4《退職勤労者が弁済を受ける未払賃金に係る課税の特例》関係|国税庁

会社側(事業主)に求償はあるのか?

JOHASが労働者に立替払を行った場合、機構はその立替払金に相当する額について労働者の賃金請求権を代位取得し、事業主等に求償する仕組みです。立て替えた賃金はあくまで事業主の債務であり、最終的には事業主側に返済が求められます。中小企業の経営者は、倒産時に従業員の未払賃金が立替払制度で支払われても、その金額が後に求償される点を認識しておく必要があります。

参考:未払賃金の立替払事業|JOHAS(労働者健康安全機構)

書類が揃わないときはどうする?

会社が閉鎖して書類を取得できない場合は、まず管轄の労基署に状況を説明しましょう。労基署は事業主に報告を求める権限を持っており、必要な情報の入手をサポートしてくれます。自分で用意できる代替資料としては、給与振込の通帳記録・給与明細のコピー・雇用契約書・源泉徴収票などが挙げられます。

人事担当者として従業員の確認申請をサポートできる?

事業停止前や清算中など人事・バックオフィス担当者が在籍している状況であれば、制度案内や書類作成の補助が従業員にとって大きな助けになります。以下のタスクを倒産判明後の早い段階から順に進めておくとスムーズです。

  1. 賃金台帳・出勤簿のコピーを従業員ごとに準備する
  2. 退職証明書を全従業員分まとめて発行する
  3. 管轄の労基署に連絡し、認定申請の要件と提出書類を確認する
  4. 従業員向けに制度の概要と手続きの流れを書面で案内する
  5. JOHASの公式サイトから立替払請求書の様式をダウンロードし配布する

未払賃金立替払の確認申請書を正しく作成して受給につなげましょう

未払賃金立替払制度は、事実上の倒産に該当する場合に確認申請書の提出が必要となり、退職日の正確な記入と対象賃金の絞り込みが受給額を左右します。請求期限は認定申請日の翌日から起算して2年以内のため、退職直後に労基署へ相談し、給与明細や賃金台帳を手元に揃えたうえで早めに手続きを進めましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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