• 更新日 : 2026年10月8日

年末調整でふるさと納税はどう処理する?控除の受け方と注意点

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Pointふるさと納税は年末調整で処理できる?

寄附金控除は対象外のため、従業員自身がワンストップ特例か確定申告を行います。

  • 会社側では控除を適用できない
  • 寄附額は12月31日まで確定しない
  • 寄附先が5自治体以内なら郵送で済む

提出期限は制度ごとに違います。過ぎた場合も還付申告でさかのぼれます。

ふるさと納税の寄附金控除は、年末調整では処理できません。寄附額が12月31日まで確定せず、11月から12月に進める年末調整の計算に間に合わないためです。

従業員からの問い合わせが集中する時期でもあり、人事労務担当者は説明する場面が増えることもあるでしょう。

この記事では、年末調整とふるさと納税の関係性、そして従業員が迷いやすい「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の選び方や手順について解説します。

年末調整でふるさと納税の控除は受けられる?

ふるさと納税による寄附金控除は、会社が行う年末調整では処理できません。寄附金控除はもともと年末調整の対象に含まれておらず、申告書へ記入しても控除は適用されないためです。控除を受けるには、従業員自身がワンストップ特例制度か確定申告のどちらかを選ぶ流れになります。

年末調整では寄附額の確定が間に合わない

ふるさと納税の寄附額は12月31日まで確定しないため、11月から12月に進める年末調整には間に合いません。

年末調整は、その年に支払う給与が固まった段階で所得税の過不足を精算する手続きです。一方でふるさと納税は、1月1日から12月31日までの寄附合計額をもとに控除額が決まります。

集計を締めるタイミングがずれているため、生命保険料控除のように会社側でまとめて処理する形にはなっていません。

申告書に寄附金額を記入しても控除されない

「給与所得者の基礎控除申告書」などの用紙には、ふるさと納税の記入欄がありません。

申告書の備考欄や保険料控除申告書の余白に寄附額を書き添えるケースがありますが、会社側では処理できず無効になります。用紙は空欄のまま提出し、別途ご自身で手続きを進めてください。従業員から記入方法をたずねられた場合も、対象外である旨を伝えるだけで問題ありません。

会社は源泉徴収票の交付準備を進める

従業員が確定申告を行う際には、会社が発行する源泉徴収票の内容が必要になります。

年末調整の業務と完全に無関係というわけではなく、会社側にも進めておく作業があります。従業員が正確な年収や税額を申告書に転記できるよう、年末調整後に遅滞なく源泉徴収票を発行・配布する準備を整えておきましょう。

ワンストップ特例制度だけを利用する従業員は申告に使いませんが、交付そのものは法令上の義務です。

参照:No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁

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そもそもふるさと納税の仕組みとは?

自治体に寄附を行うことで、寄附額のうち2,000円を超える部分について所得税と住民税の控除を受けられる制度です。

自分の生まれ故郷に限らず、応援したい自治体を自由に選べます。地域への貢献と返礼品の受け取りを両立できるため、給与所得者にも広く利用されています。

実質2,000円の負担で特産品などの返礼品がもらえる

寄附金額から自己負担額の2,000円を引いた全額が、税金から控除(還付または減額)されます。

多くの自治体では、寄附への感謝として地域の特産品などを「返礼品」として提供しています。

たとえば、5万円のふるさと納税を行った場合、手続きを正しく行えば、2,000円を超える部分である「4万8,000円」が所得税や住民税から差し引かれます。つまり、実質2,000円の負担だけで、お肉やお米、工芸品などの返礼品を受け取れる点がこの制度の最大の魅力です。

控除額には「上限」があるため事前の確認が必須

年収や家族構成によって、全額控除される寄附金額の上限(限度額)が決まっています。

上限額を超えて寄附をした場合、超えた分は税金から控除されず自己負担となります。損をせずに利用するには、総務省のサイトやふるさと納税ポータルサイトのシミュレーション機能で、自分の年収に応じた上限額を事前に確かめておきましょう。

なお令和8年度の税制改正により、基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられました。所得税は令和8年分以後、個人住民税は令和9年度分以後に適用されます。

課税所得の変動を通じて上限額が変わるケースもあるため、寄附の前に最新のシミュレーションで確かめておくと安心です。

参照:ふるさと納税のしくみ ふるさと納税の概要|総務省

ふるさと納税の控除額はどう計算する?

控除額は、所得税から差し引かれる分と住民税から差し引かれる分に分かれます。住民税分はさらに基本分と特例分に分かれ、これらを合計した額が控除されます。

上限額の範囲内であれば、合計が寄附額から2,000円を引いた金額と一致します。

所得税から控除される金額

所得税からの控除額は、寄附額から2,000円を引いた金額に所得税の税率を掛けて求めます。

所得税からの控除額 =(ふるさと納税額 - 2,000円)× 所得税の税率

控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。所得税から控除されるのは寄附を行った年の分で、確定申告をすると還付という形で戻ります。計算に用いる所得税の税率には復興特別所得税が加算されます。令和9年1月以降は復興特別所得税が1.1%に下がり防衛特別所得税1%が加わりますが、合計の付加税率2.1%は変わりません。

住民税から控除される金額

住民税からの控除額は、基本分と特例分を合計して求めます。

住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額 - 2,000円)× 10%

住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額 - 2,000円)×(100% - 10% - 所得税の税率)

基本分の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。特例分が住民税所得割額の2割を超える場合、特例分は「住民税所得割額×20%」に置き換わります。

この状態になると寄附額から2,000円を引いた全額は控除されず、実質の自己負担が2,000円を上回りやすくなります。住民税から差し引かれるのは、寄附をした翌年度分です。

参照:ふるさと納税のしくみ 税金の控除について|総務省

ふるさと納税の控除を受ける方法は?

ふるさと納税の適用を受けるには、年間の寄附先数や他の控除の有無に応じて「ワンストップ特例制度」か「確定申告」かのいずれかを選択します。

どちらを選ぶべきかは、「1年間に寄附した自治体の数が5つ以内か」そして「医療費控除などで他に確定申告をする必要があるか」という2点が判断基準となります。

項目 ワンストップ特例制度 確定申告
利用できる人 確定申告が不要な給与所得者 誰でも利用できる
条件 寄附先が5自治体以内であること 特になし
手続き先 各寄附先の自治体 所轄の税務署(e-Tax可)
提出期限 翌年1月10日(必着) 翌年2月16日〜3月15日
控除のされ方 全額が住民税から減額 所得税の還付+住民税の減額

なお会社が行う年末調整は、どちらの方法を選んだ場合も通常どおり実施されます。

ワンストップ特例制度を使う場合

寄附先が5自治体以内で、確定申告をする必要がない給与所得者が使える簡易な方法です。

確定申告を行わず、各自治体へ申請書を郵送するだけで手続きが完了します。控除額の全額が、翌年6月以降に支払う住民税から差し引かれる仕組みです。所得税からの還付は発生しないため、還付金の入金を待つ必要がありません。

確定申告で控除を受ける場合

寄附先が6自治体以上ある場合や、医療費控除などで確定申告を行う場合に選ぶ方法です。

会社で行う年末調整とは別に、従業員自身が税務署へ申告します。この際、会社が発行した源泉徴収票の内容が必要です。所得税からの還付と住民税の減額の両方で控除が行われます。個人事業主やフリーランスはワンストップ特例制度を利用できないため、確定申告のなかで寄附金控除を申告します。

ワンストップ特例が使えなくなるケース

確定申告の義務がある人は、寄附先が5自治体以内でもワンストップ特例制度を利用できません。

給与収入が2,000万円を超える人や、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人は、確定申告が必要です。また、申請書を提出できなかった自治体が1つでもある場合や、医療費控除・住宅ローン控除の初年度申告を行う場合も確定申告が必要です。ワンストップ特例制度の申請後に確定申告を行うと、提出済みの申請がすべて無効になる点にも注意しましょう。

参照:ふるさと納税のしくみ ふるさと納税の流れ|総務省

ふるさと納税のワンストップ特例はどう申請する?

専用の申請書を翌年1月10日までに寄附先の自治体へ郵送すれば手続きが完了します。一部の自治体では、マイナンバーカードを使ったオンライン申請にも対応しています。この特例を利用すると確定申告の義務が免除され、控除額の全額が翌年度の住民税から差し引かれます。

寄附時に特例制度の利用を希望する

ふるさと納税ポータルサイトなどで寄附を申し込む際に、ワンストップ特例制度を利用する項目を選択します。

選択すると、後日自治体から申請書が郵送されるか、オンラインでダウンロードできる状態になります。申し込み時に選び忘れた場合でも、あとから申請書をダウンロードして送付すれば問題なく利用できます。

特例申請書に必要事項を記入する

「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に、氏名、住所、マイナンバーなどを記入します。

住所は寄附をした時点のものを記入します。その後に転居して提出済みの申請書の内容が変わった場合は、翌年1月10日までに寄附先の各自治体へ「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を提出してください。申請書には、確定申告をしないことと寄附先が5自治体以内であることを確認するチェック欄があるため、漏れなく記入しましょう。

本人確認書類を添付して郵送する

マイナンバーと本人確認ができる書類のコピーを添えて、寄附をしたすべての自治体へ個別に郵送します。

用意する書類は次のいずれかです。

  • マイナンバーカードの両面コピー
  • 通知カード(記載事項に変更がないもの)と運転免許証などのコピー
  • マイナンバーが記載された住民票と運転免許証などのコピー

台紙に貼り付けたうえで、寄附先ごとに送付します。同じ自治体へ複数回寄附した場合は、寄附のたびに申請書の提出が必要です。

完了通知を確認する

自治体での処理が完了すると、受付完了の連絡がメールや書面で届きます。

数週間経っても通知が届かない場合は、書類の不備や郵送事故が起きているケースがあります。寄附先の自治体へ直接問い合わせると状況を確かめられます。

1月10日の必着期限に間に合わせる

申請書の提出期限は、寄附をした翌年の1月10日必着です。

年末ぎりぎりに寄附をした場合は郵送が間に合わないケースがあるため、オンライン申請に対応している自治体を選ぶか、速達を利用するなどの備えをしておきましょう。期限に間に合わなかった場合でも、確定申告に切り替えれば控除を受けられます。

参照:制度改正について(2015年4月1日)|総務省

確定申告でふるさと納税の控除を受けるには?

会社から受け取る源泉徴収票と、自治体からの寄附金受領証明書を用意して税務署へ申告します。寄附先が6自治体以上ある場合や医療費控除などがある場合は、ワンストップ特例制度の条件から外れるため確定申告が必要です。

手続きを行うと、その年の所得税から還付金が戻り、翌年度の住民税も減額されます。

会社から源泉徴収票を受け取る

12月または1月の給与支給時に会社から発行される「給与所得の源泉徴収票」を準備します。

確定申告書の作成では、源泉徴収票に記載された支払金額や源泉徴収税額を正確に入力します。紛失すると再発行に時間がかかるため、受け取ったら申告まで保管しておきましょう。

寄附金の証明書を準備する

各自治体から送られてくる「寄附金受領証明書」をすべてそろえます。

国税庁の指定を受けた特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」があれば、そちらで代用できます。年間分をまとめたXMLデータや書面で交付されるため、寄附先が多い場合でも書類をまとめて用意できます。

確定申告書を作成して提出する

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に沿って申告書を作成できます。

源泉徴収票の内容を転記し、寄附年月日・寄附先・金額を入力します。作成したデータはe-Taxで送信するか、印刷して管轄の税務署へ郵送または持参します。ふるさと納税だけを申告する場合は還付申告にあたり、寄附をした翌年の1月1日から5年間提出できます。3月15日を過ぎてしまった場合でも、さかのぼって手続きを進められます。

参照:No.2030 還付申告|国税庁

年末調整とふるさと納税で注意する点は?

従業員は会社任せにせず自分で手続きを進めること、人事労務担当者は事前の周知を行うことが、トラブルを避ける近道になります。個人の税務手続きと会社の給与事務が交差する領域のため、双方に誤解が生じやすい傾向があります。それぞれの立場で次の点を確かめておきましょう。

【従業員向け】年末調整の書類に寄附金額を書かない

ふるさと納税の金額を年末調整の申告書に記入する必要はありません。

会社に寄附額を伝えても、会社側で控除の処理は行えません。記入しても税務署へ申告するよう案内されるだけですので、社内書類は空欄のまま提出し、別途ワンストップ特例制度か確定申告の手続きを進めてください。

【従業員向け】源泉徴収票は捨てずに保管する

確定申告を行う場合、会社が発行した源泉徴収票の内容が必要になります。

12月から1月ごろに会社から渡される源泉徴収票は、1年間の収入と納税額を証明する書類です。手元にないと確定申告書を作成できません。再発行に時間がかかる場合があるため、届いたら大切に保管しておきましょう。ワンストップ特例制度だけを利用する場合は申告に使いませんが、保管しておくと安心です。

【従業員向け】住宅ローン控除があるときは上限額に注意する

住宅ローン控除を受けている場合、ふるさと納税の控除によって住宅ローン控除を引ききれなくなるケースがあります。

住宅ローン控除は所得税から差し引かれ、控除しきれない分は住民税からも差し引かれます。ただし住民税から控除できる金額には上限があり、ふるさと納税の控除で住民税の枠が埋まっていると、残りを引ききれない状態になりやすくなります。両方を利用する場合は、住宅ローン控除を織り込んだうえで上限額をシミュレーションしておきましょう。

【人事労務担当者向け】会社では手続きできないと事前に周知する

会社が手続きすると思っていたという誤解や、担当者への個別の問い合わせを防ぐためです。

年末調整の案内を行う際に、あらかじめふるさと納税は対象外である旨を伝えておくと問い合わせが減ります。11月の書類配布時と、12月から1月の源泉徴収票配布時に分けてリマインドすると伝わりやすくなるでしょう。

年末調整とふるさと納税でよくある質問は?

ここでは、人事労務担当者や従業員から寄せられやすい疑問をまとめます。手続きの切り替えや期限に関するものが中心です。判断に迷いやすい場面ごとに、対応の方向性を確かめておきましょう。

ワンストップ特例の申請後に確定申告をした場合

確定申告を行うと、それまでに提出済みのワンストップ特例の申請はすべて無効になります。

確定申告の内容が優先されるためです。ワンストップ特例制度の申請を済ませた後に、医療費控除のために確定申告をしたケースでは、申告書にふるさと納税の情報を記載し忘れると寄附金控除が適用されません。

確定申告を行う場合は、申請書を送付済みであっても、すべてのふるさと納税の寄附金を含めて申告し直してください。

引越しで住所が変わった場合の手続き

寄附をした翌年の1月1日時点の住所に基づいて手続きを行います。

住民税は毎年1月1日時点の居住地に課税されるためです。ワンストップ特例制度を利用している場合は、翌年1月10日までに寄附先の各自治体へ「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を提出します。

確定申告を行う場合は、申告書の住所欄に新しい住所を記載すれば完了し、自治体への変更届は不要です。

控除の結果を確認できる時期と方法

手続きをした翌年の5月から6月ごろに配られる「住民税決定通知書」の摘要欄で確認できます。

通知書の摘要欄または税額控除額の欄に寄附金税額控除額の記載があり、その金額が寄附した合計額から2,000円を引いた額と一致していれば、手続きは成功しています。

確定申告を行った場合は、すでに還付された所得税分と住民税の控除分を合算して確かめます。

12月31日の駆け込み寄附の扱い

決済完了が年内であれば、その年の寄附として扱われます。

ふるさと納税の対象期間は、1月1日から12月31日までの受領分です。クレジットカード決済は12月31日23時59分までに決済が完了していれば間に合います。

銀行振込やコンビニ払いは年内の入金確認が間に合わないケースがあるため、年末ぎりぎりの利用は避けたほうが無難でしょう。

ワンストップ特例の申請期限に間に合わない場合

オンライン申請を利用するか、確定申告に切り替えて対応します。

マイナンバーカードがあれば、スマートフォンから申請できる自治体もあります。郵送が不要なため、期限が迫っていても手続きを進められます。オンライン申請に対応していない場合は、2月16日からの確定申告を行えば控除を受けられます。

参照:よくわかる!ふるさと納税|総務省

年末調整とふるさと納税は分けて手続きを進めよう

ふるさと納税の寄附金控除は年末調整の対象外であり、従業員自身がワンストップ特例制度か確定申告で手続きを進めます。

寄附先が5自治体以内で確定申告の必要がなければ、翌年1月10日必着で申請書を各自治体へ郵送するだけで完了します。

6自治体以上の場合や医療費控除などがある場合は確定申告を選び、源泉徴収票と寄附金受領証明書を用意して申告します。

人事労務担当者は、年末調整の案内時に対象外である旨を周知し、源泉徴収票を早めに交付しておくと問い合わせを抑えられます。制度の線引きを社内で共有し、年末の繁忙期を落ち着いて乗り切りましょう。

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