- 更新日 : 2026年1月14日
キッズウィークとは?実施の目的や取り組み・メリットなどを解説
少子化対策や働き方改革の観点から、注目を集めているのがキッズウィークです。
本記事では、キッズウィークの概要や実施の目的、実際に制度を導入した自治体および導入を検討している自治体を紹介します。
企業がキッズウィークを導入するメリットやデメリットについてもまとめました。
キッズウィークの理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
キッズウィークとは?
キッズウィークとは、夏休みなどの一部をほかの日に移して、学校休業日を分散化する取り組みです。そのうえで、学校が休みとなった日に大人も年次有給休暇等を取得して、大人と子どもが共に休日を過ごそうとするものです。
2017年7月の「キッズウィーク総合推進会議」で議論が進められました。結果として、導入に踏み切る自治体も増えてきているのが現状です。
たとえば、三重県鈴鹿市では、夏休み期間中である8月20日から8月31日のうち、各学校において1日授業日を設定しています。
一方で、10月5日を学校休業日として、10月5日から8日の「体育の日」までを4連休とすることで、休暇の分散化に成功しました。
親子が休暇を合わせられないといった問題の解消につながるだけでなく、働き方改革としても注目されているのが特徴です。
フランスやドイツなどでは、地域ごとに子どもの休暇時期を分散させており、キッズウィークと類似した制度が運用されています。
キッズウィークを実施する目的
キッズウィークは、子どもの休暇を地域ごとに調整し、家族の時間創出や働き方の見直しにつなげる取り組みのことです。
ここでは、キッズウィークの実施目的について、詳しく解説します。
子どもに家族と過ごせる時間を設けてもらうため
キッズウィークを実施すると、長期休暇が特定の時期に集中しません。そのため、オフシーズンにも子どもが休みを取りやすくなります。
結果的に、家でゆっくり家族と過ごしたり、地域の祭りやイベントに参加したりする機会が増えます。
子どもは、家庭や地域社会を通じた学びの幅を広げられるでしょう。
働き方改革を推進するため
キッズウィークが注目される大きな要因のひとつが、国が推進する働き方改革です。
政府は有給休暇の取得の促進を掲げていますが、現状では取得率の伸び悩みが指摘されています。子どもの休みを分散させることで、保護者もその時期に合わせて休暇を取りやすくなるでしょう。
結果として、有給を活用する後押しになると期待されています。
家族の予定と職場の休暇を調整しやすくするキッズウィークは、働き方改革の一環として位置づけられています。
働き方改革について理解を深めたい方は、下記の記事もご覧ください。
観光振興につなげるため
キッズウィークによって学校の休暇が分散されると、家族旅行の時期も偏らず、観光需要が年間を通して平準化しやすくなります。
観光業では、これまでゴールデンウイークやお盆休みなど、集客が繁忙期のみ集中していました。
集客が、これまで動きの少なかった時期にも広がることで、地域経済の底上げや観光振興につながるとして、注目されています。
さらに、旅行者が集中しないことで混雑緩和にも効果があるのが特徴です。感染症対策の観点から提唱されてきた、密を避ける旅行にもつながります。
キッズウィークを導入している自治体
キッズウィークを導入している自治体は、以下のとおりです。
- 埼玉県秩父市
- 神奈川県川崎市
- 三重県鈴鹿市
- 佐賀県武雄市
- 熊本県人吉市
キッズウィークに取り組む自治体は増加傾向にあります。
キッズウィークの導入を検討している自治体
キッズウィークの実施を視野に入れる自治体も、増加しています。
主な自治体は、以下の4つです。
- 神奈川県 横須賀市
- 静岡県 静岡市
- 岐阜県 羽鳥市
- 香川県 丸亀市
また、すでに設けられている休業日を活用し、地域行事と合わせて運用する形で導入を検討している例も見られます。
該当の自治体は、以下の4つです。
- 山形県 新庄市
- 埼玉県 熊谷市
- 神奈川県 横浜市
- 沖縄県 那覇市
今後もキッズウィークの導入自治体は増えると考えられるため、詳しくは最新情報をご確認ください。
キッズウィークはいつ実施される?
キッズウィークが実施される時期は全国一律ではなく、各自治体の事情や地域行事に合わせて決定されます。
厚生労働省のデータをもとにすると、佐賀県武雄市では夏休みを1日短縮しているのがわかります。また、10月5日(金)を学校休業日として、10月5日から8日までの4連休としました。
また、埼玉県秩父市では、7月の「川瀬祭」と12月の「秩父祭」を伝統文化に触れる日として定めています。そのため、平成30年度から市内の幼稚園・小中学校は休みです。
これらの祭事に参加することで、地域の文化や歴史を体験的に学び、住民としての誇りや郷土への思いを育むことを狙いとした取り組みとなっています。
キッズウィークを導入するメリット
ここでは、キッズウィークの導入によって期待される、具体的なメリットについて解説します。
家族での旅行や観光に行きやすくなる
キッズウィークにより学校の休みをオフシーズンにずらすことで、混雑する観光地を避けつつ旅行できます。
オフシーズンであれば、宿泊費や交通費の節約も可能です。これにより、経済的な負担を理由に遠出を控えていた家庭でも、気軽に観光やレジャーを楽しみやすくなります。
また、観光地にとっても年間を通じて集客が見込めるため、地域の観光振興によい影響を与える仕組みとなっています。
親が有給休暇を取得しやすくなる
キッズウィークの導入は、親の有給休暇取得を後押しする狙いもあります。
子どもの長期休暇に合わせて、親が同じ期間に休むのは難しいことも多いでしょう。しかし、国が企業に配慮を求めることで、親も子どもと同じタイミングで休暇を取得しやすくなります。
働き方改革の一環として、有給休暇の取得率向上にもつながると期待されています。
地域コミュニティとの関わりが増える
自治体によっては、キッズウィークを地域の伝統行事やイベントに合わせて設定する例があります。
こうした休暇設定により、子どもが自然に地域の祭りや催しに参加できるようになり、地域社会との関わりが深まります。
また、これまであまり触れる機会のなかった行事にも、親子で参加しやすくなるのがメリットです。
家庭と地域が一体となった活動を通じて、子どもと地域住民のつながりを強化する効果が期待されます。
キッズウィークを導入するデメリット
キッズウィークは家庭や地域にメリットをもたらす一方で、いくつかの課題もあります。
ここでは、導入に伴うデメリットについてまとめました。
非正規雇用者は収入が減るリスクがある
キッズウィークの導入により親の休暇取得が推奨される中、有給休暇の日数が限られる非正規雇用者層には、収入減少という経済的リスクが伴います。
子どもの休みに合わせて長期休暇を取得する場合、有給休暇の日数が少ない、または無い場合、その期間を無給で休まざるを得ません。この無給の期間が、世帯収入の直接的な減少につながります。
休暇取得と収入のバランス調整が難しく、非正規雇用者にとっては、キッズウィークがかえってデメリットとなる場合があります。
非正規雇用について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
観光・サービス業の負担が増える
キッズウィークで休暇が分散されると、観光や飲食などのサービス業では繁忙期が長期化するおそれがあります。
とくに、子どもの休みに合わせて休暇を取りたい親がサービス業に従事している場合、業務負担の増加により勤務調整が難しくなるかもしれません。
休める人と休めない人が、二極化することも考えられます。
このように、従業員間での休暇取得の差が生じる点は、導入に伴うデメリットとして指摘されます。
子どもがいない従業員の負担が増える
キッズウィークにより、子どもがいる従業員は休暇を取りやすくなる一方、子どもがいない従業員は希望通り休めない場合があります。
同じ職場でも、休暇の取りやすさに差が生じることで、不公平感が生まれる点が課題です。
とくに、サービス業など勤務調整が難しい職種では、子どもがいない従業員の休暇取得が制限され、負担が増すことがデメリットとして指摘されています。
キッズウィークを広めるための取り組み
キッズウィークの普及に向けて、自治体が取り組みを進めています。ここでは、制度を広めるための具体的な施策や活動について見ていきましょう。
キッズウィークの知名度を高める
キッズウィークを広く浸透させるためには、都道府県や市町村、学校現場の協力が欠かせません。
厚生労働省では、キッズウィークの導入に伴い、2017年10月1日に労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)を改正しています。
ここでは、地域の実情に応じ、労働者が子どもの学校休業日や地域のイベント等に合わせて、年次有給休暇を取得できるよう配慮することを定めています。
自治体主導で、企業や住民への認知向上を目指して積極的に取り組んでいるのが現状です。
子どもへの体験機会を提供する
キッズウィーク期間中は、子どもたちの学びや成長を支えるため、多様な体験機会の提供が重要です。
主に地方自治体や社会教育、スポーツ、文化団体などが連携し、休業日に子どもが大人と共に参加できるさまざまな学習や体験活動を企画します。
キッズウィークの期間中は、地域全体で子どもを受け入れる環境を整備することが求められるでしょう。
家庭だけでなく、地域社会を巻き込んだ充実した体験の場をつくる取り組みが進められています。
導入した自治体から改善点を分析する
すでにキッズウィークを実施している自治体の事例を参考にすることで、新たに導入する地域は改善点を把握しやすくなります。
先行地域での取り組みや成果をもとに、現状や課題を分析し、成功事例や注意点を整理して共有することが重要です。
これにより、新たにキッズウィークの導入を検討する自治体が、効率的に準備を進められるようになります。
改善ポイントを分析しつつ対策することで、より円滑なキッズウィークの実施につながります。
観光業界が宣伝する
観光業界を通じた宣伝活動が、キッズウィークの普及や地域活性化に貢献します。
キッズウィークを広めるには、旅行業界や宿泊業界との連携が重要です。
これにより、制度の認知度向上だけでなく、キッズウィークを実施している地域の状況や取り組みを企業側と共有、情報収集することも可能になります。
有給休暇の取得を促す
キッズウィークに合わせて、有給休暇を取得しやすくする取り組みも進められています。
具体的にはキッズウィークを実施している自治体や都道府県を、近隣地域に周知したり、子どもを持つ親だけでなく、すべての労働者が年次有給休暇を取得できる環境を整えたりするなどです。
こうした施策により、休暇取得のハードルを下げ、働き方改革の一環として有給休暇の活用を促進する狙いがあります。
年次有給休暇の日数や取得ルールについて、詳しく知りたい方は、下記の記事もご参照ください。
キッズウィークに関するよくある質問
キッズウィークについて疑問を持つ人も多いため、ここでは導入に関するよくある質問と回答を紹介します。
キッズウィークを定着させるためには?
キッズウィークを定着させるには、法的な裏付けや強制力が必要とされる場合があります。
日本では、有給休暇の取得率が低く、周囲が休まないことによる有給休暇取得への罪悪感が課題です。
子どもがいない家庭や独身者、非正規雇用者、旅行業やサービス業従事者など、労働者によって制度の恩恵に差が出る可能性もあります。
これらの課題を解消しながら、法律を整備することが重要です。
キッズウィークの目指すものは?
キッズウィークの目指すものは、主に下記の3つです。
- 家庭および地域の教育力向上
- 積極的な休みを実現
- 地域・観光振興
子どもが豊かな心や人間性を育むには、家族や友人とゆったり過ごし、絆を強めることが大切です。また、趣味や学びに取り組み、地域行事に参加することも重要な経験となります。
キッズウィークによる休暇の分散化は、こうした機会を増やす効果があり、家庭や地域における教育力の向上にもつながると考えられています。
キッズウィークで休みが増えた場合の授業はどうなる?
キッズウィークで休暇日が増える場合でも、授業時間が不足しないように、学校は年間の教育計画を事前に調整します。
自治体によっては、土曜授業を設けたり長期休暇を短縮したりするなどの対応を行うケースもあるでしょう。
こうした工夫により、学習時間を確保しつつ休暇を取り入れることが可能です。
そのため、子どもの学力への影響は最小限に抑えられるよう配慮されています。
キッズウィーク期間中に子どもはどのように過ごす?
キッズウィーク期間中、子どもは家庭での外出や旅行に加えて地域のイベントやスポーツクラブ、図書館での活動など、学校では体験できないさまざまな活動に参加する機会が増えます。
こうした自由な時間を通じて、自主性や創造性を育むことが期待できるでしょう。学びや遊びの幅を広げる、重要な時間です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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