• 更新日 : 2025年7月7日

個人事業主が借入審査に通るには?融資の種類や審査基準を解説

個人事業主にとって、事業の運転資金や設備投資のための融資は重要な経営基盤の一つです。しかし、銀行融資から日本政策金融公庫、ノンバンク系ビジネスローンに至るまで、その審査基準や必要書類、通過のポイントは多岐にわたります。本記事では、個人事業主が利用できる融資の種類から、審査に影響する要素、確定申告との関係まで解説します。

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個人事業主が利用可能な融資形態とは

個人事業主が資金を調達する方法にはいくつかの融資形態があり、それぞれに特性があります。自分の状況に合った制度を選ぶことが重要です。

銀行融資(信用保証協会付き)

信用保証協会の保証がついた銀行融資は、個人事業主に広く利用されています。保証協会が保証人となることで金融機関のリスクが軽減され、借りやすくなります。長期かつ低金利の融資が可能で、事業の安定・拡大に適しています。ただし保証料が必要で、安定した事業計画と自己資金が前提となります。

プロパー融資

保証協会を介さず銀行が直接貸し出すのがプロパー融資です。保証料が不要で柔軟性がある反面、銀行がリスクを直接負うため審査は非常に厳格です。実績のある事業者や安定した経営基盤を持つ方に適しており、開業初期段階では通過が難しい傾向があります。

日本政策金融公庫からの融資

政府系機関である日本政策金融公庫は、個人事業主に対し低金利・長期返済の融資を行っています。新規開業資金や一般貸付が代表的で、政府出資の安心感もあります。返済期間は最長で20年と長く、開業前後の資金調達にも活用できます。2024年の制度改正により、従来の「新創業融資制度」が廃止され、「新規開業資金」に一本化されることとなり、限度額が7,200万円に拡大されました。審査には時間がかかるため、早めの準備が必要です。

地方自治体の制度融資

自治体が地元の事業者支援を目的に提供する制度融資は、金融機関・信用保証協会と連携し実施されます。比較的低金利で借りられ、自治体の指導があることで審査の通過率も高くなります。ただし実行までに時間を要するほか、保証料が発生し、自治体ごとに条件が異なるため、利用前に確認が必要です。

ビジネスローン(ノンバンク系)

ノンバンクや消費者金融が提供するビジネスローンは、比較的審査が緩やかで融資までが速いのが特徴です。使途が自由で利便性が高く、急な資金需要にも対応できます。ただし金利は高めで、特に消費者金融系は年利10%以上のケースも多いため、利用には注意が必要です。基本的には他の低金利融資で補えないときの補完的手段として使うのが適切です。

カードローン・クレジットカードの融資

個人向けカードローンやクレジットカードのキャッシング枠も、事業資金として活用可能です。無担保でATMから借りられるなど利便性が高く、審査もスピーディーです。しかし金利が年15~18%と高く、長期利用や多額の借入には不向きです。あくまで緊急時の資金繰り手段として利用し、事業資金はできるだけ公的制度や銀行融資で対応するのが望ましいでしょう。

個人事業主の借入審査の基準と申込条件

金融機関は個人事業主に融資を行う際、事業の継続性や返済能力を様々な観点から審査します。以下では審査時に重視されるポイントと、その条件を満たすための留意点を解説します。

資金使途の明確さ

借入金を何に使うのか明確に説明できることは、融資審査で基本となるポイントです。例えば「新規店舗の内装設備資金」や「運転資金(仕入れ代や人件費など)」といった具体的な用途を示す必要があります。設備資金であれば何にいくら必要か、運転資金であれば月々の必要額や資金繰り計画を示すなど、使途と事業計画に一貫性を持たせることが大切です。漠然と「事業に必要だから」といった曖昧な理由では信用が得られないため、借入目的を明確にした上で申請しましょう。

事業計画の内容

融資申請の際には、今後の事業見通しをまとめた事業計画書の提出が求められることが多いです。事業計画書には事業の目的や提供する商品・サービス、市場の状況、将来の収支見込みなどを現実的な数字とともに記載します。重要なのは、計画に実現可能性があることです。金融機関は計画に矛盾がないか、資金によって事業が軌道に乗り返済できる見込みがあるかを厳しくチェックします。熱意を伝える営業資料とは異なり、融資審査用の事業計画書は冷静で客観的な内容であることが求められる点に留意しましょう。

自己資金の額

事業のために用意できている自己資金の額も審査で重視されます。最初から他人資金(借入)に全面的に頼る計画よりも、まずは自己資金で事業を賄い、不足分を融資で補完する計画の方が信頼性が高いと判断されます。一般的には開業に必要な資金の3割~5割程度を自己資金で賄うことが望ましいとされます。自己資金が多いほど返済不能に陥るリスクが低いため、融資を受けやすくなります。なお、タンス預金(現金を自宅保管していたもの)は預金通帳で残高証明できないため自己資金と見なされないなど、資金の形態によって評価が変わる点にも注意が必要です。

経営状況と収支バランス

現在の経営状況や過去の収支実績も審査では詳細に見られます。基本的に金融機関は、融資した資金が赤字補填ではなく事業成長のために使われることを期待しています。そのため、最近の決算が慢性的な赤字であったり債務超過に陥っている場合、融資による事業改善の見込みを合理的に示せなければ審査通過は難しくなります。逆に、黒字経営で利益率も安定している場合は返済原資がある程度確保できていると判断され、プラス要素となります。金融機関に提出する試算表決算書類は、日頃から正確な会計処理を行い信頼性の高い内容にしておくことが重要です。特に開業後間もない時期であっても、売上や経費を記録して簡易な損益計算を示すなど、経営の現状を説明できる準備をしましょう。

融資希望額の妥当性と返済能力

申請する融資額が事業規模や自己資金に照らして過大でないかもチェックされます。必要以上の借入は返済負担を重くし事業継続を危うくするため、金融機関も慎重になります。借入希望額については、自己資金や年間の利益見込みと比較して妥当な範囲に収めることが大切です。また、その融資額を予定通り返済していけるだけの返済原資(キャッシュフロー)が見込めるかが最大のポイントです。返済能力の評価には、事業の利益だけでなく、減価償却費など非現金支出も含めたキャッシュフローや、他の借入状況も考慮されます。金融機関から「返済可能性が低い」と判断されれば審査通過は困難なため、計画の段階で余裕を持った返済計画を組んでおく必要があります。

信用情報の健全性

個人事業主の場合、事業者本人の個人信用情報も審査で照会されます。過去にクレジットカードやローンの返済遅延・滞納がないか、5年以内に債務整理(任意整理や自己破産)を行っていないかなど、信用情報に傷があると融資審査に通らないケースが多いです。また、事業者として税金を滞納していないかも重要なチェックポイントです。心当たりがある場合は事前に自身の信用情報を信用情報機関(CIC、日本信用情報機構、全国銀行個人信用情報セ ンター)で開示請求して確認し、問題があれば改善に努めましょう。新たな借入前には、既存の借入やクレジット利用を整理し、信用情報をできるだけクリーンに保つことが肝要です。

開業届の提出状況

個人事業主として税務署に開業届を提出しているかどうかも確認される場合があります。開業届は正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、事業開始から1ヶ月以内に提出することが求められる書類です。提出が義務付けられているものではありませんが、提出していない場合、事業を正式に開始しているのか判断がつかないため融資担当者の心証を悪くする可能性があります。特に青色申告を予定している場合は開業届が必要なため、多くの金融機関では開業届の写しや控えの提出を求めます。なお、すでに一度でも確定申告を済ませている場合は、それが事業開始の事実証明となるため開業届に代わり得ます。

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確定申告と借入審査の関係

毎年の確定申告は、個人事業主の信用力を示す重要な資料となります。金融機関は融資審査の際、提出された確定申告書や決算書を丹念にチェックし、申告所得や納税状況から事業の健全性を判断します。適切に申告・納税していることは信用力のアピールになり、逆に申告漏れや期限後申告、税金未納があると大きな減点材料となります。利益を少なく見せるために過度な経費計上を行っていないかといった点も見られます。これは、融資審査において事業の収益力を正しく評価する必要があるためです。

金融機関に提出する確定申告書は控えや電子申告の受信通知付きのものが基本となります。まだ事業開始後1年未満で申告実績がない場合でも、創業計画や開業後の試算表などから収支見込みを示す必要があります。日頃から正確な帳簿をつけ、期限内に確定申告を行うことが、融資審査を有利に進める上での土台となります。青色申告を行っていれば損益計算書貸借対照表といった詳細な決算書類が作成されるため、金融機関に対しても事業実態を説明しやすくなるでしょう。

開業年数・所得・資金使途が借入審査に与える影響

融資審査では個人事業主の置かれた状況も総合的に考慮されます。中でも「開業からの年数」「所得(利益)水準」「資金使途」の3つは、事業の成熟度や信用力を図る重要な指標です。それぞれの要素が与える影響について見てみましょう。

開業年数と事業実績

開業からの年数が浅いほど、金融機関はその事業が軌道に乗るか不確実と考える傾向があります。創業直後では信用力の裏付けとなる過去の決算書がないため、前述した日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資といった新規開業向けの制度を利用するのが現実的です。一方、開業から2年以上経過し毎期黒字を確保しているような事業者であれば、民間金融機関の融資も選択肢に入りやすくなります。実績がある程度あることで、銀行からプロパー融資を受けられる可能性も生まれてきます。逆に開業直後に資金繰りに行き詰まって融資申請を行うと、「計画が甘かったのではないか」と審査側に受け取られ、融資が敬遠される恐れがあります。そのため、大きな資金需要が見込まれる場合はむしろ開業前から資金調達の準備を進め、創業と同時に融資を受けておく方が得策と言えます。

所得・収支状況の水準

事業から得られる所得(利益)水準が高く安定しているほど、融資の返済能力があると判断されやすくなります。金融機関は申告所得や営業利益を見て、借入後の返済原資が十分に生み出せるかを評価します。例えば年商が増加傾向にあり営業利益もしっかり確保できていれば、融資によってさらなる成長が見込めるポジティブな材料となります。反対に売上が頭打ちで利益もほとんど出ていない場合、追加の借入をしても返済負担に耐えられない可能性が高いと判断されます。また、事業所得以外に給与所得や不動産収入など他の収入源がある場合は総合的な返済余力として考慮されることもあります。いずれにせよ、確定申告書に示された所得額は融資審査の重要データとなるため、事業が順調なときほど積極的に申告して実績を示すことが、将来の資金調達力につながります。

資金使途の妥当性

資金使途は前述のとおり明確にする必要がありますが、その妥当性自体も審査に影響します。同じ借入額でも、例えば「老朽化した設備の更新」と「既存借入の返済」に使うのとでは審査評価が異なります。前者のように将来の収益向上や経費削減につながる前向きな使途であればプラス材料となり得ます。しかし借換や運転資金不足の穴埋めのような消極的な使途の場合、経営状態が思わしくないシグナルと受け取られ、追加融資に慎重になる金融機関もあります。融資を申し込む際は、その資金使途が事業計画上妥当であり将来的にプラスを生むものであることを説明できるように準備しましょう。

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銀行融資、日本政策金融公庫、ノンバンク系ローンなど多様な選択肢がある中で、自分の事業フェーズや資金使途に合った融資先を選ぶことが重要です。どの融資を利用する場合でも、返済計画に無理がなく、事業を発展させるための資金であることを示す準備が欠かせません。確定申告書や事業計画書など客観的な資料を整え、自己資金を含めた健全な財務基盤をアピールすることが審査通過の近道です。近年は審査動向や融資制度も変化していますので、最新情報をチェックしつつ、信頼できる専門家の助言も得ながら適切な資金調達を実現しましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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