- 更新日 : 2025年2月25日
先物・オプション取引の利益は確定申告が必要?書類や記載例とあわせて解説
先物・オプション取引で一定以上の利益が出た場合は、申告分離課税が適用され確定申告をする必要があります。
税率は所得にかかわらず一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)が課税されます。また、先物・オプション取引の場合は、日経225やFX(外国為替証拠金取引)などとも損益通算が可能です。この記事では先物・オプション取引の確定申告について解説します。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
チェックリスト付きなので、情報収集だけでなく、書類作成・申告手続きを行う時にもお使いいただけます。
この記事を読む方におすすめ
税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。
目次
「マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。
取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに記帳・書類を作成。来年の確定申告は余裕を持って対応できます。
PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。

先物・オプション取引で利益が出た場合、確定申告が必要?
先物・オプション取引で一定以上の利益が出た場合は、申告分離課税の雑所得として課税の対象となり、確定申告が必要です。確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日まで)の所得を申告し、翌年の決められた期間中に確定申告書を税務署に提出して納税の手続きをすることを指します。
株式投資の場合は、特定口座という制度があり、そのなかで「源泉徴収あり」を選択している場合は、利益に対して源泉徴収されますので基本的に確定申告をする必要はありません。しかし、先物・オプション取引では特定口座がないため、一定以上の利益が出た場合は、確定申告が必要となります。
先物・オプション取引の利益は雑所得として申告分離課税の対象
先物・オプション取引によって得られた利益は「雑所得」に分類され、課税方式は分離課税の対象です。分離課税制度には、「源泉分離課税」と「申告分離課税」の2つの種類があります。
源泉分離課税は、支払う側が先に所得税を控除するため、利益を受け取るときにはすでに所得税は納税済みとなります。一方の申告分離課税は、利益があったことを自分で申告する必要があります。先物取引・オプション取引においては、申告分離課税となります。
つまり、先物取引やオプション取引で一定以上の利益が出ている場合は、確定申告による納税義務が発生します。税率は所得にかかわらず一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)です。
会社員でも利益が20万円を超えると確定申告が必要
先述している「一定以上の利益」とは、会社員の場合、先物・オプション取引の利益が20万円を超えた場合です。「利益が20万円」とは、先物取引・オプション取引などで得た収入から、元手や売買手数料など取引に係った費用(必要経費)を差し引いたものを指します。
利益が20万円を超えなければ、確定申告の必要はありません。ただし、これは所得税の申告が不要であって、住民税の申告は必要です。また、給与収入が2,000万円以上の方は、年末調整の対象とはならないため、確定申告が必要です。
会社員の方の副業や確定申告については、下記記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
先物・オプション取引で損失が出た場合、確定申告は必要ない?
先物・オプション取引は、日経225やFX(外国為替証拠金取引)との「損益通算」が可能です。また、先物・オプション取引で損失が出た場合でも、損失を確定申告しておくと翌年以降3年間にわたり利益と相殺できます。詳しく見ていきましょう。
日経225やFXと損益通算ができる
先物・オプション取引は、日経225やFXと「損益通算」が可能です。損益通算とは、異なる金融商品について一定期間の利益と損失を相殺することです。先物・オプション取引の場合は、日経225やFXと損益通算できます。
先物・オプション取引で利益が出ていたとしても、損失が出ている他の金融商品と損益通算することで、納める税金が少なくなります。ただし、株式や投資信託で損失が出ていても、先物取引・オプション取引とは課税方式が異なるため損益通算はできないので注意が必要です。
損失の繰越控除も可能
先物・オプション取引で一定以上の利益が出た場合は確定申告が必要ですが、損失が出てしまった場合も、確定申告をしておくことで翌年以降3年間にわたって利益の相殺が可能となります。これを「繰越控除」といいます。
例えば、2021年に100万円の損失を出してしまったとします。損失が出たことを申告しておくと、翌年以降に利益が出たとしても2021年の損失と相殺して、課税所得を減らしたり納税額をゼロにしたりすることができます。
このグラフでは、2021年に100万円の損失が出ています。納税のための申告は不要ですが、繰越控除を受けるために損失の確定申告を行いました。
2022年には30万円の利益が出ましたが、2021年の繰越控除が適用となるため、課税所得はゼロとなります。2023年にも20万円の利益が、2024年には50万円の利益が出ましたが、いずれも繰越控除により相殺されて納税額はゼロです。なお、仮に繰越控除期間中に取引をせずに損益がなくても、繰越控除の適用を受けるには、毎年連続して確定申告をする必要があります。
このように、損失が出たとしても損失分の確定申告をしておくことで翌年以降3年間の利益に対する納税額を減らすことができます。面倒でも損失が出た場合は必ず確定申告を行いましょう。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
先物・オプション取引の確定申告に必要な書類は?
<自分で用意するもの>
先物・オプション取引の確定申告に必要な書類は以下の通りです。
番号確認書類 | 本人確認書類 | |
---|---|---|
A | マイナンバーカード | 不要 |
B | 通知カード | 運転免許証 パスポート 在留カード 公的医療保険の被保険者証 身体障害者手帳 いずれかひとつ |
C | マイナンバーカード記載の住民票の写し または住民票記載事項証明書 | パスポート 在留カード 公的医療保険の被保険者証 身体障害者手帳 いずれかひとつ |
<税務署でもらうもの>
- 確定申告書(第一表・第二表)
- 申告書第三表(分離課税用)
- 先物取引にかかわる雑所得等の金額の計算書
- 納付書(金融機関で税金を納付する場合のみ使用)
※損失を繰り越す場合は上記書類に加え「申告書付表(先物取引にかかわる繰越損失用)」が必要
申告書第三表(分離課税用)の記入例
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
申告書第三表(分離課税用)の「収入金額」のなかにある「先物取引」の欄に、証券会社などから入手した「年間取引損益計算書」の「収入金額」の数値を記入してください。
続いて、申告書第三表(分離課税用)の「所得金額」のなかにある「先物取引」の欄に、同じく「年間取引損益計算書」の「所得金額」の数値を記入してください。
先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書の記入例
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
先物取引にかかわる雑所得等の金額の計算明細書の「取引の内容」に売買内容を記入します。売買回数が多く、書き切れない場合は税務署に相談してください。
次に、「総収入金額」の合計欄に年間取引損益計算書の収入金額を記入します。
続いて、「必要経費等」の「手数料等」に年間取引損益計算書の「必要経費等」の金額を記入します。最後に、「所得金額」の欄に年間取引損益計算書の「所得金額」を記入します。
先物・オプション取引の利益は忘れずに確定申告しましょう
先物取引・オプション取引で一定の利益が出た場合は、確定申告が必要です。税率は所得にかかわらず一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)です。
なお、損失が出た場合も確定申告をすることで、繰越控除が適用となり翌年以降3年間は利益が出ても損失と相殺することができます。先物取引・オプション取引をしている場合は、忘れずに確定申告をしましょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得

銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案

自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能

白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む複数サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。

合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド

青色申告1から簡単ガイド

個人事業主が知っておくべき経費大辞典


マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
よくある質問
先物取引・オプション取引で利益が出た場合は確定申告が必要ですか?
はい、必要です。先物取引・オプション取引は申告分離課税のため、利益が出た場合は自分で申告する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
先物取引・オプション取引の課税の税率は何パーセントですか?
税率は、所得にかかわらず所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%となります。 詳しくはこちらをご覧ください。
先物取引・オプション取引は他の金融商品とも損益通算できますか?
日経225やFXと損益通算できます。ただし、株式や投資信託とは課税方式が異なるため、損益通算できません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
投資の確定申告の関連記事
新着記事
ビジネスキーパーは個人事業主でも加入できる!メリット・保険料・補償内容を解説
個人事業主にとって、突発的なトラブルや自然災害による損害は、事業継続に大きな影響を与える可能性があります。三井住友海上の「ビジネスキーパー」は、そうしたリスクに備えるための総合事業保険で、火災・風水害・盗難・賠償責任・休業損害など幅広い補償…
詳しくみる個人事業主が秘書代行を導入するメリットは?選び方・料金・活用術まとめ
秘書代行サービスは、かつては大企業の役員秘書の代替として利用されていましたが、今では個人事業主やフリーランスにとっても日常業務の負担軽減や時間の有効活用を図るための有力な選択肢となっています。メール対応やスケジュール管理、資料作成などをオン…
詳しくみる特殊清掃で個人事業主として独立するには?開業までの準備や手続きを解説
特殊清掃業は、孤独死や事件現場、ゴミ屋敷など、一般の清掃では対応が難しい特殊な現場を対象とする専門的な仕事です。高齢化や単身世帯の増加により需要が高まり、個人事業主としての開業を目指す方も増えています。 本記事では、特殊清掃業をこれから始め…
詳しくみる働き方改革推進支援助成金とは?個人事業主向けの条件・申請方法・活用例を解説
働き方改革推進支援助成金は、中小企業や個人事業主が職場環境の改善や労働時間の見直し、生産性向上に取り組む際に活用できる制度です。対象となる取組にかかる費用の一部が助成されるため、経費負担を抑えながら、従業員の働きやすさや企業の持続性を高める…
詳しくみる【個人事業主向け】電話代行完全ガイド|メリット・注意点・おすすめサービスを解説
個人事業主にとって、電話対応は業務の中で大きな負担になりがちです。作業中の中断や外出中の着信、休日の対応など、限られた時間を圧迫する要因となることも少なくありません。そんな中、電話代行サービスを活用すれば、電話応対を外部に任せることで本業に…
詳しくみる電気工事士が個人事業主として独立するには?資格・費用・集客について解説
「いつかは自分の力で仕事をしたい」「技術を活かして独立したい」と考えている電気工事士の方は少なくありません。現場での経験を積む中で、自分の裁量で働きたい、収入を増やしたい、仕事の幅を広げたいという思いを抱くのは自然なことです。しかし、独立に…
詳しくみる