• 更新日 : 2026年7月7日

人事・労務業務を自動化する方法3選!自動化に適している業務や手順なども解説

Point労務自動化はどう進める?

人事・労務業務はRPA・AIツール・アウトソーシングの3つの方法で自動化できます。

  • 自動化方法はRPA・AIツール・外部委託の3択
  • 勤怠管理・給与計算・採用対応などに対応
  • 個人情報管理と専門知識の維持が注意点

Q. 労務自動化で最初に何をすればよい?
A. 現状業務を洗い出し、定型かつ工数の多い業務から優先的に自動化対象を特定しましょう。

人事・労務業務は、RPAやAIツールの活用によって自動化が可能です。しかし、具体的な活用方法がわからず、実施に至れていない企業もあるのではないでしょうか。

そこで本記事では、人事・労務業務を自動化させる方法やその領域、自動化するメリットや手順を解説します。ぜひ参考にしてみてください。

人事・労務業務の自動化が注目される理由とは?

人事・労務業務の自動化が注目される理由には、以下の2点が挙げられます。

企業の人手不足が進んでいるため

まずひとつ目は、企業の人手不足が進んでいる点です。

厚生労働省が令和8年2月に公表した「労働経済動向調査」によると、労働者の過不足状況の総計は49ポイント不足超過となっており、これにより国内企業が全体的に人手不足であることがわかります。

引用:労働経済動向調査 令和8年(2026年2月)の概況|厚生労働省

人事・労務業務においても、人手不足になる可能性があるといえるでしょう。

こうした背景から、業務を自動化し工数を減らす取り組みの重要性が高まっています。

AIが普及しているため

人事・労務領域を含め、ビジネスシーンでAI活用が広がっている点も、理由のひとつに挙げられます。

米国の調査会社であるGrand View Researchのレポートによると、人事市場におけるAIの世界市場規模は、2023年時点で32億5,000万米ドルという結果であった一方、2030年までにおよそ5倍の152億4,000万米ドルに達すると予測されています。

この傾向は国内にも及び、たとえば財務省が令和8年1月に公表した「地域におけるAI活用を巡る現状(特別調査)」によると、国内の約7割の企業がAIを活用しているという結果です。

この調査結果の5年前は、いずれの業種も1割前後に留まっていたことから、国内においてもAIの普及は今後さらに加速するでしょう。

参考:人事分野における人工知能市場の規模とシェアに関するレポート、2030年
参考:地域におけるAI活用を巡る現状(特別調査)

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人事・労務業務を自動化させる方法3選

ここからは、人事・労務業務を自動化させる具体的な方法を3つ紹介します。

RPAを導入する

RPAとは、パソコン上で行う定型業務を自動化する技術です。

たとえば、入社手続きに必要な書類の作成や、給与計算システムへの勤怠データの転記作業などを自動化できます。

書類作成やデータ入力など、手順が決まっている作業はRPAとの相性がいいでしょう。

AIツールを活用する

AI機能を搭載した労務管理システムや、複数の手順を自律的に実行するAIエージェントなど、さまざまなAIツールが存在します。これらを活用することで、定型的な業務が自動化できます。

たとえば、提出書類の記載ミスのチェックや、求人応募者のスキルレベルの判定など、一定の判断を要する業務をサポートしてもらうことが可能です。

ただし、AIは事実と異なる回答を出力する「ハルシネーション」をおこす恐れがあります。

そのため、AIツールだけに頼らず、最終的な確認は人の手で行うようにしましょう。

アウトソーシングを行う

アウトソーシングは、特定の業務を外部の専門業者に代行してもらう方法です。

RPAやAIツールでは自動化しにくい、イレギュラーな手続きや複雑な業務にも柔軟に対応してもらえる可能性があります。

一方で、月額の委託費用や業者の打ち合わせにかかる工数など、ほかの方法に比べてコストがかかりやすくなります。

自動化できる人事・労務の業務

ここでは、自動化できる人事・労務の業務を6つ紹介します。

従業員の入退社手続き

RPAやAIツールなどを活用することで、以下のような作業を自動化できます。

  • 入社する従業員に送付する、雇用契約書や労働条件通知書などの書類の準備
  • 入社した従業員の情報(氏名や生年月日など)の登録
  • 退社する従業員の情報の削除

入退社手続きが増加しやすい年度初め・年度末でも、担当者の負担を軽減しやすいでしょう。

勤怠管理

出勤日数や労働時間の集計も、自動化できます。

たとえば、勤怠システムをRPAやAIツールと連携させることで、従業員が打刻した出退勤のデータを自動で集計し、月ごとの労働時間の算出が可能です。

また「残業が月80時間を超えた場合」「休日出勤が連続した場合」など、特定の条件を満たした際にアラートを発信できる可能性もあります。

勤務時間が長い従業員を把握することで、業務効率化につなげやすくなる点も魅力です。

給与計算

基本給や残業代の計算式をRPAやAIツールに設定することで、勤怠データをもとに自動で給与計算が可能です。

たとえば、各種手当の支給条件や、天引きされる金額(健康保険料や源泉徴収税など)の算出ルールを設定することで、給与明細の作成が自動化できます。

ただし、保険料率や税率は法改正で変わる場合があるため、制度が改正されたタイミングで設定を見直す必要があります。

人事評価

人事評価の際に、各従業員の目標達成率や勤怠状況などをAIツールに読み込ませることで、そのデータをもとにスコアリングを自動化できます。

人間の主観による評価が防止できる上に、公平性が高められ、従業員からの納得感も得やすくなります。

採用活動における応募者とのやり取り

応募者に送信する採用メールも自動化できます。

たとえば、以下のとおりです。

  • 説明会の日程の通知
  • 応募書類の提出期限の通知
  • 選考の合否連絡
  • 面接の日程の調整

応募者からの返信をもとに、説明会や面接のスケジュールをカレンダーへ登録してもらうことも可能で、担当者が予定を手入力する手間も省けます。

従業員からの問い合わせ対応

チャットボット(テキストで質問・相談できるAIシステム)を導入すると、社内制度に関する問い合わせ対応を自動化できます。

たとえば、以下のような問い合わせへの対応を任せられます。

  • 交通費の申請の方法
  • リモートワークの対象者
  • 育児休業手当の支給条件

チャットボットは時間を問わずに回答できるため、勤務時間外に対応しなければならないケースなど、担当者への心理的な負担も軽減できるでしょう。

人事・労務業務を自動化するメリット

ここからは、人事・労務業務を自動化するメリットを3点解説します。

担当者の業務時間を短縮できる

勤怠データの集計や給与計算などを自動化することで、人事・労務担当者の業務時間を短縮できます。

たとえば、担当者の残業時間を削減することで人件費が抑えられれば、仕事のモチベーションの維持や離職リスクの防止につながります。

人的ミスを防止しやすくなる

各種ツールや外部委託を活用し、人事・労務業務を自動化することで、担当者が多忙なときでも人的ミスを防ぎやすくなります。

人事・労務の担当者が、多忙な中で書類作成やデータ入力を行うと、誤字脱字や数値の転記ミスが発生しやすくなります。

ときには、給与計算の誤りや、求人への応募者に対する連絡漏れなど重大なミスにつながる恐れもあり、企業としての信頼を失いかねません。

自動化によって人的ミスを防止できれば、企業イメージが悪くなるリスクを抑えられるでしょう。

コア業務に集中しやすくなる

人事・労務業務を自動化すると、書類作成やデータ入力の工数を削減でき、担当者に余裕が生まれます。

その結果、採用活動や人員配置など、企業の成長に直結する業務に取り組みやすくなります。

労働時間の削減やコミュニケーションの活性化につながり、人材が定着しやすい職場環境に近づくでしょう。

人事・労務業務を自動化する手順

ここからは、人事・労務業務を自動化する手順を、4つに分けて解説します。

1.自動化すべき業務を特定する

まず、現在の人事・労務業務を洗い出し、自動化できるものを特定しましょう。定期的に発生するなど、決まった手順の作業を優先して探します。

複数の作業を一度に自動化すると、着手に時間がかかるため、担当者がとくに工数をかけているものから着手します。

工数に応じて優先順位を決めるなど、段階的に取り組みましょう。

2.自動化の方法を検討する

自動化する業務が決まったら、RPAやAIツール、アウトソーシングなど、どのような方法で実施するかを検討しましょう。

方法が決まったら、具体的にどのツール・業者を利用するかを選定します。

なお、RPAやAIツールの場合は、搭載されている機能や操作性、導入費用などを踏まえて選びましょう。

RPAやAIツールは、無料トライアルが提供されている場合があります。実際に操作し、手順やUIがわかりやすいかを確認しましょう。

アウトソーシングであれば、得意な作業や委託費用、コミュニケーションの円滑さなどが選定基準になります。

3.ツールの導入や外部企業への委託を行う

業務を自動化する方法に応じて、ツールの導入作業や、委託先との打ち合わせを進めましょう。

通常業務と並行して行うことで、人事・労務担当者の作業量が一時的に増加するため、負担が大きくならないよう、余裕を持たせたスケジュールで進めることがポイントです。

あわせて、導入するツールの仕様や、委託先との打ち合わせの内容など、自動化に関する情報を人事・労務の部署内で共有しておくことも大切です。

複数のメンバーが状況を把握できていれば「この設定では自動化できない」といった課題に気づきやすく、改善案の協議がスムーズになります。

4.自動化の効果を検証する

人事・労務業務の自動化を開始したら、削減できた工数やミスの発生率などを検証しましょう。導入前と比較して、想定通りの効果が出ているかを確認します。

効果が出ていない場合は、RPA・AIツールの再設定や、委託先との打ち合わせを検討しましょう。改善が難しい場合は、ツールや委託先を変更するのもひとつです。

人事・労務業務を自動化する際のポイント

ここからは、人事・労務業務を自動化する際のポイントを2点解説します。

個人情報の漏えいリスクを抑える

人事・労務業務を自動化する際は、従業員の個人情報の取り扱いに注意しましょう。

たとえば、入退社手続きや給与計算を自動化する場合、各従業員の氏名や住所などをツールで管理したり、外部の委託先に提供したりする可能性があるためです。

個人情報が漏えいすると、従業員からの信頼の低下や企業イメージの悪化につながります。

ツールのセキュリティ機能や、委託先のプライバシーポリシーをよく確認し、個人情報を安全に管理できそうか判断しましょう。

また、業務委託契約書や個人情報保護に関する覚書などを委託先と取り交わし、秘密保持の義務や再委託の禁止、目的外利用の禁止などを確実に盛り込みます。

従業員に対しては、個人情報の利用目的や提供先などを説明し、同意を得ておきましょう。

自動化による専門知識の空洞化を防ぐ

人事・労務業務を自動化すると、担当者が実務に携わる機会が減ります。その結果、給与計算の流れや社会保険の手続きの進め方などを忘れやすくなるため注意が必要です。

担当者の専門知識が空洞化すると、自動化によって正しく業務を進められているかチェックできず、給与の計算ミスや手続きの不備などが生じる恐れがあります。

また、ツールの不具合や委託先の営業停止などが発生した場合、自社で円滑に対応できないリスクも考えられます。

人事・労務業務を自動化後も、定期的に勉強会を実施し、担当者が業務の進め方を把握できるようにしましょう。

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