• 更新日 : 2026年6月15日

採用コストを削減するには?内訳・高い原因・効率化の戦略を解説

Point採用単価は下げられる?

採用単価を下げるには外部コストの見直しと内部プロセスの効率化を同時に進めることが重要です。

  • ダイレクトリクルーティングで仲介手数料削減
  • リファラル採用で外部コストを抑える
  • オンライン面接で内部コストを圧縮

効果的なコスト削減方法は、ダイレクトリクルーティングへの移行で、年収の30~35%かかる紹介手数料を数分の一に削減できます。

採用活動にかかるコストは、企業の経営を左右します。求人広告や人材紹介料といった外部費用だけでなく、社内の担当者や面接官の時間といった見えにくい内部コストも含めると、1人の採用にかかる金額は決して小さくありません。

本記事では、採用コストの基本的な考え方と計算方法から、内訳、業種ごとの傾向や効果的なコスト削減の方法などを解説します。

目次

採用コストとは?計算方法は?

採用コストは、人材獲得のために企業が支出するすべての費用を指します。外部への支払いだけでなく、社内で発生する人件費も含めて捉える必要があります。

全体像を整理し、ひとりあたりの採用コストを把握することで、採用活動の質と効率を見極めやすくなるでしょう。

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド3選

この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

住居に関する福利厚生が採用を救う 採用改善ガイドライン

住居に関する福利厚生が採用を救う

人材確保は多くの企業にとって大きな課題ですが、そんな中にあっても順調に採用を進め、人材を定着させている企業も存在します。では人材確保がうまくいかない企業の場合、その原因はいったいどこにあるのでしょうか。

3つの原因と、それを解決する福利厚生の具体的な内容まで、採用に役立つ情報を集めた資料をご用意しました。

無料ダウンロードはこちら

入社手続きはオンラインで完結できる!

入社手続きはオンラインで完結できる!

入社手続きでは従業員情報の収集や契約書締結など多くの作業が発生しますが、これらはすべてWeb上で完結できることを知っていますか?

入社手続きをオンライン化する方法を、分かりやすく解説します。

無料ダウンロードはこちら

内定後のフォロー 簡単まとめ

内定者へのフォローアップは、採用活動における重要なプロセスです。 本資料は「内定後のフォロー」について、簡単におまとめした資料です。

ぜひダウンロードいただき、貴社の取り組みの参考としてご活用ください。

無料ダウンロードはこちら

採用コストとは企業の採用活動で発生する全費用の総計

採用コストとは、企業が人材を採用する際に発生するあらゆる費用の総計です。求人広告の掲載料や人材紹介会社への報酬といった社外での支払いだけでなく、採用担当者や面接官が選考に割く時間の人件費など、社内で発生するコストも含まれます。

採用活動で発生する費用をすべて把握することで、一人の採用にどれほどの費用が発生しているかを明確にでき、採用活動の費用対効果を比較・検討する判断材料になります。

採用コストの正しい計算方法

採用コストは、「採用にかかった総費用(内部コスト+外部コスト)」を「採用人数」で割ることで算出できます。

採用活動の費用対効果を正確に測り、予算超過を防ぐためには、目に見える支払額だけでなく、見えにくい人件費などの内部コストを含めた全体像の把握が必要なためです。

たとえば、求人広告費や紹介手数料などの外部コストが300万円、面接官の稼働費など内部コストが100万円かかり、2名を採用した場合、採用コストは200万円となります。

無駄な支出を削るための第一歩として、まずは外部・内部の両面から正しい採用コストを計算し、現状を可視化しましょう。

採用コストの平均相場

採用コストの平均相場は、新卒採用で約90万円台、中途採用で約60〜100万円以上と年々上昇傾向にあります。少子高齢化による慢性的な人手不足や、即戦力となるITエンジニアなどの専門人材の獲得競争が激化しているためです。

自社の採用コストがこれらの相場を大きく上回っている場合は、採用手法やコスト構造を早急に見直す必要があります。

採用コストを下げる方法7選

採用コストを下げるには、外部コストの見直しと内部プロセスの効率化を同時に進めることが重要です。以下では、今すぐ取り組める7つの実践的な方法をご紹介します。

ダイレクトリクルーティングへ移行する

企業から求職者に直接アプローチするダイレクトリクルーティングへの移行は、コスト削減に有効です。人材紹介会社などを経由しないため、高額な成功報酬や仲介手数料を大幅にカットできるからです。

従来の紹介会社経由で年収の30〜35%(約150万円以上)かかっていた手数料が、データベース利用料のみになることで、ひとりあたりの採用コストが数分の一に抑えられるケースが多くあります。

スカウト文面の作成など採用担当者の工数は増えますが、長期的には外部コストの削減や自社の採用力の強化につながります。

リファラル採用を導入する

自社の社員から知人を紹介してもらうリファラル採用は、費用対効果の高い手法です。求人媒体への掲載やエージェント利用などの外部コストが不要となり、採用成功時の社員へのインセンティブ支給のみで済むからです。

1人の採用につき10万円程度の紹介報酬を社員に支払ったとしても、一般的な中途採用コストと比べると大幅に安く済みます。コスト削減だけでなく、事前に会社のリアルな情報が伝わるためカルチャーフィットしやすく、定着率が高いという点でも推奨される手法です。

SNSをフル活用する

X(旧Twitter)やLinkedIn、InstagramなどのSNSを活用した採用活動も、コスト削減につながります。基本的に無料でアカウントを開設・運用でき、企業の魅力や募集要項をターゲット層へ直接発信できるためです。

採用広報として社員の日常や現場のリアルな雰囲気を投稿し、そこに共感したフォロワーが直接応募してくることで、広告費0円での採用に至る事例が増加しています。

SNSをフル活用し、求職者との接点を自社で持つことで、外部媒体に依存しない低コストな採用基盤が構築できます。

カジュアル面談を取り入れる

本選考の前に「カジュアル面談」を取り入れることで、無駄な採用コストの抑制につながります。履歴書なしでフランクに会話することで、早い段階で双方のミスマッチを防ぎ、選考後半や入社後に発生する工数・費用のロスを未然に防げるためです。

企業理念や業務内容の「良い面・厳しい面」を率直に伝えることで、入社後の早期離職を防ぎやすくなります。候補者の惹きつけとスクリーニングを兼ねるカジュアル面談は、結果的に採用の歩留まりを改善し、全体のコスト最適化に貢献します。

オンライン面接を導入して内部コストを削る

オンライン面接の導入は、社内で発生する見えない内部コストを大きく削減します。面接会場の確保や設営、面接官の移動時間、候補者への交通費支給といった物理的・時間的なリソースを省略できるからです。

特に一次面接や遠方在住者の面接をオンライン化することで、面接官の業務調整が容易になり、人件費換算での内部コストが半減した企業も少なくありません。物理的な制約を減らせるオンライン面接は、選考スピードの向上と内部コスト削減を両立しやすい施策です。

広告費のターゲティングを最適化する

求人広告のターゲティングを見直し、最適化することで無駄な支出を減らせます。ターゲット層に合わない媒体に掲載し続けることは、応募効果が得られないまま費用を垂れ流すことになるからです。

大手総合ナビサイトから、求めるスキルを持つ層が集まる特化型メディアや特定のWeb広告に予算を振り分けることで、出稿費用を抑えつつ質の高い母集団形成が可能になります。定期的な効果測定を行い、自社のターゲットがどこにいるかをデータで分析して広告費を投下することでコストを削減できるでしょう。

補助金制度を活用する

国や自治体の補助金・助成金制度を活用することで、実質的な採用コストの負担を軽減できます。条件を満たした人材採用や雇用環境の改善を行う企業に対し、公的機関から返済不要の資金が支給されるためです。

厚生労働省が提供する「キャリアアップ助成金」などを活用し、有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換・直接雇用することで、1人あたり数十万円の助成を受けながら人材を確保できます。

参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省

自社で活用できる助成金がないか常に最新情報をチェックし、制度を有効活用することで、経営負担を減らしながら採用を進められます。

採用コストの内訳は?

採用コストを適切に管理・削減するためには、まず何にどれだけのお金がかかっているかを正確に把握することが重要です。採用コストは大きく分けて、内部コストと外部コストの2種類に分けて考えられます。

【内部コスト】社内で発生する採用経費

採用コスト削減のためには、まず内部コストを正確に洗い出すことが不可欠です。外部への支払いとは異なり、社員の工数など、見えにくいコストが経営を圧迫しているケースが多いためです。

採用担当者の基本給与、リファラル採用のインセンティブ、現場の社員が本来の業務を離れて面接に費やした時間の人件費換算、内定者フォローにかかる工数などが該当します。これらをリストアップし金額換算して可視化することで、面接回数が多すぎるといったプロセス上の無駄を特定し、改善策を打てます。

【外部コスト】外部サービスに支払う費用

同様に、社外へ支払う外部コストの全容を洗い出すことも重要です。採用手法が多様化する中で、どの外部サービスにいくら投資し、どれだけの成果が出ているかを把握しなければ、最適な予算配分ができないためです。

具体的には以下が含まれます。

  • 求人媒体への掲載費
  • 人材紹介会社への成功報酬
  • 採用代行(RPO)への委託費
  • 採用サイトの制作・運用費
  • 会社案内パンフレットの印刷費 など

外部コストを詳細に把握し、採用経路ごとの費用対効果を算出することで、効果の低いサービスを解約するなど、具体的な削減施策に繋げられます。

無駄な採用コストを見つける3つのステップ

現状のコスト構造を可視化し、何にどれだけのお金と時間がかかっているかを特定します。投資した費用に対して期待した効果が得られているかをチャネルごとに比較・検証し、選考のどの段階で求職者が離脱しているかを数値化することが重要です。

全体の採用コストを外部と内部に分類する

まずは前年度の採用活動にかかったすべての費用を洗い出し、「外部コスト」と「内部コスト」に分類して可視化します。

コストの全体像と内訳を正確に把握しなければ、どの部分の支出が過剰なのかを客観的に判断できないからです。

以下のように一覧化し、全体の構成比率を算出します。

  • 求人広告費(外部)が500万
  • エージェント手数料(外部)が300万
  • 人事と面接官の稼働費(内部)が200万

項目ごとに整理することで、次にメスを入れるべきポイントが明確になります。

採用コストと費用対効果を比較する

利用している求人媒体やエージェントごとに採用コストを算出し、費用対効果を厳しく比較します。たくさん応募が来る媒体でも採用に至っていなければ無駄な出費であり、逆に単価が高くても確実に定着する人材を採れる手法なら投資価値があるからです。

以下のようなデータを比較し、成果の出ない媒体Aの契約を打ち切ります。

  • 媒体Aは掲載費100万円で採用0名
  • エージェントBは手数料150万円で1名採用(単価150万)
  • リファラルCは報酬20万円で1名採用(単価20万)

チャネルごとのCPA(顧客獲得単価)を明確にし、成果の高い手法に予算を集中投下しましょう。

選考プロセスのボトルネックを特定する

応募から内定・入社に至るまでの各ステップの通過率を分析し、改善すべきボトルネックを特定します。せっかく広告費をかけて母集団を集めても、選考途中で大量に辞退されていれば、そこまでの集客コストがすべて水の泡になるからです。

「応募数は多いが書類選考の通過率が異常に低い」場合はターゲット設定や媒体が間違っており、「内定後の辞退率が高い」場合は内定者フォローが不足していると判断できます。歩留まりの悪い工程を重点的に改善することで、抑えた集客コストでも採用成果を出しやすくなります。

採用コストが高くなってしまう要因は?

採用コストが高くなる要因には、外部環境の変化と社内の採用プロセスの非効率、両方が絡んでいます。人材獲得競争の激化や求職者ニーズの多様化といった市場変化に加え、採用手法の選定ミスや業務の属人化がコスト増を招くことも少なくありません。

業界・職種による人材不足

建設・介護・IT・物流など、慢性的な人手不足が続く業界では、求職者の絶対数が少なく、1人の採用に多大なコストがかかります。求職者優位の売り手市場では、複数社から内定を得た候補者を自社に引き込むために条件競争が避けられず、高額な求人広告や人材紹介を活用せざるを得ないためです。

こうした業界では採用単価が相場の2〜3倍になるケースも珍しくありません。中長期的な採用計画と社内育成への投資が、根本的なコスト対策として重要です。

採用手法の選定ミス

採用ターゲットと媒体・手法のミスマッチは、コスト増大の大きな要因となります。求めるターゲットと合わない媒体に予算を投じ続けても応募効果は得られず、費用対効果が低下してしまうためです。

若手エンジニアを採用したいにもかかわらず中高年向け媒体に掲載し続けるなど、チャネル選定を誤った事例は少なくありません。また、紹介手数料は高額になることが多く、採用が成功するたびに大きな外部コストが発生します。

採用手法は定期的に見直し、どのチャネルから質の高い応募が集まっているかをデータで検証することが、コスト最適化の基本です。

中途採用に偏るケース

中途採用は即戦力を確保できる反面、一人あたりの採用単価は新卒採用より高くなりがちです。人材紹介会社を活用する場合、成功報酬として年収の30〜35%前後の手数料が発生するため、1名あたりの採用コストが100万円を超えるケースもあります。

大量採用ができる新卒採用に比べて、スケールメリットが働きにくい点もコスト高の要因です。中途採用一辺倒にならず、新卒・第二新卒採用との組み合わせがコスト最適化につながります。

採用業務の非効率

採用担当者の対応工数が多すぎたり、選考フローが長期化している場合、社内の人件費が不必要に発生し、内部コストが増加します。

とくに面接回数が多い、関係者が多く調整が複雑など、プロセスの煩雑さもコストの一因になります。採用管理システム(ATS)の未導入や、評価基準の属人化も非効率の温床になりやすいです。

選考ステップの見直しや評価基準の標準化によって、内部コストを大きく削減できる可能性があります。

採用コストを削減する方法は?

採用コストを抑えるには、「外部コストの見直し」と「内部コストの効率化」を両輪として取り組むことが効果的です。まずコストの大きい施策から優先的に見直すことで、早期に削減効果を実感しやすくなります。以下では、4つのアプローチを紹介します。

費用のかかる採用手法を見直す

コスト削減の第一歩は、高額な採用チャネルへの過度な依存を減らすことです。人材紹介会社や有料求人広告は成果が見込める一方、1件あたりの単価が高くなりがちです。こうしたチャネルから、社員紹介(リファラル採用)やダイレクト・リクルーティングへの切り替えを検討することで、外部支出を削減できます。

リファラル採用は、社内の従業員が信頼できる人材を紹介する仕組みで、紹介報奨などを除けば大きなコストはかかりません。また、ダイレクト・リクルーティングでは、自社から候補者に直接アプローチすることで、求人媒体への掲載料を節約できます。さらに、SNSを活用した採用活動も有効です。企業アカウントや社員の投稿によって会社の魅力を発信すれば、広告費を抑えて自然な応募を促せるうえ、ミスマッチの少ない人材と出会える可能性が高まります。

採用プロセスの効率化で内部コストを削減する

採用にかかる内部コストの多くは人件費です。採用担当者や面接官の時間的負担を減らすことで、目に見えにくいコストを効果的に削減できます。具体的な方法として、採用管理システム(ATS)の導入が挙げられます。応募者情報を一元管理し、ステータス更新や通知を自動化することで、日々の業務時間を大幅に短縮できます。

また、面接回数の適正化や評価項目の標準化を進めれば、選考にかかる時間と工数を圧縮でき、応募者にもメリットが生まれます。さらに、事務作業をアシスタント職に任せたり、外部の採用代行(RPO)を活用したりすることで、担当者が戦略的な業務に集中できる環境を整えることも有効です。これらの取り組みは、小さな改善の積み重ねですが、長期的には大きなコスト差を生みます。

採用ミスマッチを防ぎ定着率を向上させる

早期離職が発生すると、再び採用活動を行う必要があり、結果として二重のコストが発生します。そのため、採用の質を高め、定着率を向上させることは直接的なコスト削減と同様に重要な施策です。

まず、募集段階で必要な人物像を明確にし、求職者とのミスマッチを減らすことが重要です。適性検査の活用や、現場社員との座談会を実施することで、職場や業務の理解を深めたうえで選考を進められます。カルチャーフィットを重視した選考設計も、ミスマッチ防止に有効です。入社後には、オンボーディングの強化やメンター制度の導入により、スムーズな職場適応と早期戦力化を支援しましょう。また、中途採用者にはキャリア支援や育成プランを用意することで、継続的な成長イメージを持たせ、離職リスクの低減につなげます。

採用広報・ブランディングに注力する

応募者数の母集団を安定的に確保できれば、採用成功率が高まり、ひとりあたりの採用コストを下げることが可能です。自社の魅力を継続的に発信する採用広報・ブランディングは、低コストで母集団を広げる有効な手段です。

自社サイトに採用ページを設け、企業理念、社員紹介、キャリアステップなどの情報を発信することで、求職者の理解と関心を深められます。さらに、ブログやSNSを通じて社内の雰囲気や文化を継続的に伝えれば、費用をかけずに採用認知を拡大できます。こうした活動を通じて応募者との相互理解を深めれば、採用の質が上がり、結果として採用コストも抑制されます。

採用広報は即効性こそ乏しいものの、中長期的には高コストな手法への依存を減らし、自社に共感する人材を継続的に惹きつける基盤となります。費用をかけずに始められる施策も多いため、コスト削減を目的とした戦略的な選択肢として積極的に検討する価値があります。

採用コストを削減する際の注意点

コストカットばかりに気を取られ、スキル不足の人材を採用するなど「採用の質」を落とさないことが最大の注意点です。

採用の「質」を落とさない

コスト削減を追求するあまり、採用する人材の「質」を妥協してはいけません。予算をケチって自社のカルチャーや求めるスキルレベルに合わない人材を採用すると、パフォーマンスが低迷するだけでなく早期離職を招き、結果的に高くつく「安物買いの銭失い」になるからです。

エージェントの手数料を避けて無料の求人票だけで採用枠を埋めようとした結果、スキル不足の人材が集まり、現場の教育負担が増えて既存社員の不満が高まるケースもあります。

コストは削っても「採用基準」は下げず、適性検査やリファレンスチェックなどを活用して、見極めの質を保ちましょう。

人事・面接担当者の負担の増大に気をつける

外部コスト(外注費)を削る分、社内の人事や現場社員の業務負担(内部コスト)が増大しすぎないよう注意が必要です。ダイレクトリクルーティングでのスカウト文面作成やSNS運用などをすべて内製化すると、担当者のリソースがパンクし、本来のコア業務(面接や内定者フォロー)がおろそかになるからです。

採用予算を半減させた結果、人事担当者が深夜までスカウトメールを送り続けることになれば、担当者自身の離職や燃え尽きという別のコストを生んでしまいます。単なるコストカットではなく、ATSや日程調整ツールなどITツールの導入による「業務効率化」とセットで進めることが重要です。

成果に必要なコストは削らない

自社の利益や事業成長に直結する優秀な人材を獲得するための「必要なコスト(投資)」まで削ぎ落としてはいけません。会社の売上を牽引するキーパーソンや高度専門人材は市場価値が高く、一定のコストをかけなければ採用市場で競合に勝てないからです。

新規事業を立ち上げるための幹部候補を探す場合、無料媒体で待っていても優秀な人は来ません。高額なヘッドハンティング費用を払ってでも採用し、その人が大きな利益をもたらせば、費用対効果は十分に見合います。

一律のコスト削減ではなく、「未経験ポジションは低コスト手法で集める」「幹部層には予算を惜しまず投資する」といったメリハリをつけた予算配分を行いましょう。

採用コストが高い業界・職種はある?

採用コストは業界や職種によって大きく異なり、人材不足の深刻さや必要とされるスキルレベルによって費用が高騰するケースがあります。同じ採用手法を使っても業界ごとに成果が異なるため、自社が属する領域の特性を把握したうえで採用戦略を設計することが重要です。

人手不足が慢性化している業界

介護・福祉、建設・土木、運輸・物流、介護、建設、飲食など、慢性的な人手不足に悩む業界では採用コストが高くなりやすい傾向があります。

これらの業界では求職者の絶対数が少なく、1件の応募を獲得するための広告費(CPA)が他業界より著しく高くなるためです。応募数が集まりにくいため、求人広告を出しても効果が得られず、追加広告や複数媒体への掲載が必要になることがあります。

さらに、人材紹介サービスの利用率が高まることで、一人あたりの紹介手数料が採用単価を押し上げます。業界特化型媒体の活用やリファラル採用など、低コスト手法を複数組み合わせることがとくに重要です。

高度な専門性が必要な職種

ITエンジニア(とくにAI・クラウド・セキュリティ系)、データサイエンティスト、医療職、専門技術職など、高度なスキルを必要とする職種は採用難易度が高く、結果的にコストが上昇します。

これらの職種では、求人広告だけでは十分な応募が見込めず、スカウトサービスや人材紹介を併用することが一般的です。市場に出回る人材数が少ない一方で需要が急増しており、大手との獲得競争が激化しているためです。

特にエンジニア採用では、紹介手数料が年収の35〜40%程度に上るケースもあり、一人採用するだけで高額な費用が発生します。自社の技術の発信による採用広報が、長期的なコスト削減に有効です。

管理職やマネジメント層の採用

管理職や経営幹部クラスの採用は、候補者層が限られているため、専門のヘッドハンティングサービスを利用するケースが多くなります。

これらのサービスは一般的な紹介料よりも報酬が高額で、採用決定1件あたり数百万円規模になることもあります。また、選考過程が長期化する傾向もあり、面接官となる経営層の時間コストも積み重なりやすい点が特徴です。

管理職採用では、OBネットワークの活用やリファラルで候補者を発掘するなど、ヘッドハンティング依存を減らす工夫がコスト削減につながります。

中途採用と新卒採用ではどちらがコスト高?

採用活動にかかる費用は、対象となる採用区分によっても大きく異なります。中途採用と新卒採用では、かかるコストの種類や配分、採用までの期間に違いがあり、結果として1人あたりの採用単価にも差が生じます。それぞれのコスト構造を正しく理解したうえで、自社の採用目的に応じた判断をすることが重要です。

一般的には中途採用の方が採用単価が高くなる

採用単価の観点では、一般的に中途採用の方が新卒採用よりも高くなる傾向があります。

中途採用は、即戦力を確保する目的で行われるため、スピードや質を重視して人材紹介会社を活用するケースが多く見られます。紹介手数料は候補者の年収の30〜35%が相場で、年収500万円の人材なら紹介料だけで150万円超の外部コストが生じます。

また、求めるスキルに合致する人材が少ない場合は、スカウト型サービスや有料媒体を併用することも多く、総費用がさらに増加します。

新卒採用は初期費用はかかるが、スケール効率が高い

一方、新卒採用は合同説明会や採用サイト制作、インターンシップ実施など準備段階の費用がかかるものの、一度の活動で複数名を採用できるため、1人あたりの採用単価は比較的抑えやすくなります。

説明会の会場費や移動費、内定者フォローイベントなども必要となるものの、まとまった人数を同時に採用・教育できる点でコスト効率が高いとされています。自社のカルチャーに合わせて育成できる点でもミスマッチが起きにくく、長期定着率が高い傾向にあります。

中途採用一辺倒から脱し、新卒・第二新卒採用を戦略的に組み合わせることが、採用単価の全体最適につながります。

採用難易度や対象ポジションによって異なる

ただし、業種や採用する職種、ポジションによっては新卒より中途の方がコスト効率が良い場合もあります。

管理職や専門性の高いポジションは新卒ではカバーできないため、中途採用が不可欠です。また、新卒採用で定着率が低く早期離職が多いと、再採用が必要になり結果的に高コストとなるケースもあるため、一概にどちらが安いとは言えません。採用後の活躍と定着率まで含めて総合的に評価することが重要です。

採用コストの比較は金額だけでなく、期待される成果や採用後の活躍も含めて評価する必要があります。

採用コスト削減には中長期で取り組もう

長期的に自社の魅力を発信し続けることで、無料で応募が来る状態(自然流入)を目指すことが重要です。採用活動を「点」ではなくマーケティング戦略という「線」で捉える視点が経営層には不可欠です。

内定者フォローと入社後の育成で定着率を上げる

採用コスト削減で効果が大きいのは、採用した人材の定着率を高めることです。早期離職を防げれば、求人広告の再出稿や面接のやり直しといった「再採用のコスト」を抑えられるからです。

内定承諾後から入社までの間に社内イベントへ招待する「内定者フォロー」や、入社後に先輩社員が相談に乗る「メンター制度」を導入することで、入社前後のギャップを埋め、離職率を劇的に下げることができます。

人事の仕事は、採用して終わりではありません。入社後のオンボーディング(定着・戦力化支援)にこそ、最大の時間と労力を投資すべきです。住宅補助などの生活関連の福利厚生を充実させることも定着率向上に直結するため、マネーフォワードクラウド福利厚生賃貸のような借り上げ社宅サービスの導入も検討するとよいでしょう。

自社の採用サイトを整備して自然流入を増やす

自社の採用サイトを充実させることは、中長期的な外部コストの削減につながります。自社サイトのコンテンツが充実していれば、検索エンジン経由で直接求職者が訪れ、求人媒体や紹介会社を介さずに直接応募を獲得できるからです。

社員の1日のスケジュール、詳細な福利厚生、リアルなオフィス環境の写真を掲載した採用サイトを作り込むことで、それを見た求職者が「直接応募」してくれれば、媒体費やエージェント手数料は1円もかかりません。

短期的には制作費用がかかりますが、一度作れば継続して応募を生み出す「資産」となるため、早急に整備しましょう。

採用マーケティングを強化する

企業が自ら市場に働きかける「採用マーケティング」を強化し、継続的な母集団形成を行うことが、将来的なコスト削減の鍵を握ります。

求人を出すときだけ広告を打つ「待ちの姿勢」ではなく、日頃から自社の認知度やブランド力を高めておくことで、いざ募集をかけたときの応募率や内定承諾率が高まりやすくなるからです。

ブログでの継続的な発信や業界イベントへの登壇などを通じて「この会社で働いてみたい」というファンを増やしておけば、広告費をかけずともSNSの告知一つで人が集まるようになります。

「マーケティング思考」を採用活動に取り入れ、自社の魅力を継続して発信する採用広報の体制を社内に構築しましょう。採用コストの削減と優秀な人材の確保は、短期的な施策の積み重ねと中長期的なブランド構築の両輪で初めて実現できます。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事