- 更新日 : 2026年6月15日
住宅手当のある会社の割合は?求職者を惹きつける家賃補助の作り方を解説
住宅手当を導入している企業の割合は47.2%で、平均支給額は17,800円です。
- 企業規模が大きいほど支給額が高い
- 求職者は福利厚生を重視する傾向がある
- 借り上げ社宅の方が節税効果が高い
Q. 住宅手当があると採用に有利になる?
A. 応募数増加、内定承諾率向上、定着率向上の効果があり、採用競争力を高められます。
「自社の採用力を高めたいけれど、住宅手当を導入すべきか」とお悩みの方もいるでしょう。
家賃補助の導入には求人面での効果が期待でき、内定承諾率や定着率の向上にもつながりやすくなります。求職者のなかには、額面の給与以上に、生活に直結する手取りを重視する人も多いためです。
本記事では、他社の相場や節税のメリットを踏まえ、自社に合った制度づくりの考え方を解説します。採用効果を上げるための考え方についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
住宅手当のある会社の割合は?
ここでは、日本の企業における住宅手当の導入状況を整理します。平均的な支給額の相場や、企業規模による違いを把握したうえで、求職者が福利厚生をどの程度重視しているかを理解しましょう。
住宅手当を導入している企業の割合
厚生労働省の調査によると、家族手当や住宅手当などの生活手当のうち、「住宅手当など」を支給している企業の割合は47.2%となっています。
住宅手当は法律で定められた義務ではなく、企業が任意で設定する法定外手当であるため、企業の方針によって導入の判断が分かれます。半数以上の企業は住宅手当制度を導入していないため、住宅手当があること自体が採用市場において企業のひとつの強みになり得ます。
住宅手当の平均相場
厚生労働省の同調査によると、住宅手当の平均支給額は17,800円です。企業規模別に見ると、1,000人以上の企業では21,300円、30〜99人の企業では14,200円と差があります。
支給額は企業の規模が大きくなるほど高くなる傾向があり、居住地域によっても相場が変動します。
自社で住宅手当を設計、あるいは見直す際は、この1.7万〜2万円という水準を一つのベンチマークとするのが適切です。都市部に本社を置く企業であれば、より高い水準を検討することで他社との差別化が図れます。
求職者は福利厚生をどう見ているか?
求職者は企業選びにおいて、給与水準に次いで「福利厚生(特に住宅手当)」を重視する傾向があります。家賃は毎月の固定支出のなかで大きな割合を占めるため、住宅手当の有無が実質的な可処分所得に直結するためです。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査において、「会社選びで重視する点」として「福利厚生が充実していること」は上位に挙がっています。
参考:若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③|JILPT
手取りの増加を実感しやすい住宅手当の充実は、求人効果を高めるポイントの一つになります。とくに20〜30代の若手人材は家賃負担を重く感じているケースが多く、住宅補助判断材料のひとつとして考えるケースも多く存在します。
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住宅手当のある会社の求人はどう見られる?
住宅手当があることを求人票でアピールする際の効果を解説します。単なる応募数増加だけでなく、内定承諾率や入社後の定着率に与える影響も重要です。
求人票で住宅手当ありと記載できる
「住宅手当あり」と求人票に明記することで、求人サイトの検索条件に合致しやすくなり、応募数の増加につながります。多くの求人メディアでは「住宅手当あり」「社宅・家賃補助制度あり」が絞り込みフィルターの条件になっており、求職者が最初からこの条件で検索をかけるためです。
具体的には、求職者が「基本給25万円・手当なし」と「基本給23万円+住宅手当3万円」の求人を比較した際、実質的な手取りや待遇の良さを感じやすいのは後者です。
求人票という限られた情報のなかで、「住宅手当あり」の記載は、採用面でのアピールとして有効です。支給金額や上限額などを具体的に記載することで、より求人数を増やせるでしょう。
住宅手当が内定承諾率や定着率にも関係する
住宅手当は内定承諾を後押しするだけでなく、入社後の離職防止にもつながります。今の企業から生活を支援してもらえているという安心感を与えることで、転職により今よりも待遇が低下してしまう可能性を感じさせるためです。
採用コストの観点から見ると、1名あたりの採用費用は数十〜数百万円にのぼるため、定着率の向上はコスト削減につながると言えるでしょう。採用成功率を上げるだけでなく、定着率向上の観点からも、住宅手当は費用対効果の高い人事投資といえます。
住宅手当が手厚い会社とは
ここからは、平均を大きく上回る家賃補助を出している企業の特徴について解説していきます。高額支給や割合負担など、インパクトのある独自制度の事例を理解することで、自社の制度設計の参考となるでしょう。
住宅手当が手厚い会社の特徴
資金力のある大企業や、優秀な人材の獲得競争が激しいIT・メガベンチャー企業に手厚い住宅手当が多く見られます。大手企業は全国転勤を前提とするため生活補填の必要性が高く、IT企業などは人材の流動性が高いため、他社との差別化を図る必要があるためです。
厚労省調査においても、1,000人以上の大企業では平均額が2万円を超え、支給企業の割合も60%を超えています。
一方、メガベンチャーでは会社近隣への居住を条件に月額5〜10万円を支給する独自制度を持つ企業も出てきています。
住宅手当の上限
一部の企業では、条件付きで月額10万円前後の住宅手当を支給するケースがあります。オフィス周辺に住んでもらうことで通勤ストレスをなくし、生産性を高める「近距離手当」としての側面や、優秀なエンジニアをピンポイントで獲得するなどの明確な経営戦略があるためです。
「会社から半径〇km圏内、または〇駅以内に住む社員」に限定して高額な手当を出すITベンチャー企業の事例などが該当します。支給額にインパクトを持たせることで、「社員を大切にする働きやすい会社」というブランディングが可能になります。
住宅手当の支給ルール
定額支給ではなく、「家賃の〇割(上限あり)」といった負担方式をとる企業もあります。居住地域による家賃相場の格差を公平に埋めたり、従業員のライフステージに合わせた柔軟な支援をおこなったりするためです。
「家賃の80%(上限〇万円まで)を会社が負担する」という制度は、借り上げ社宅制度と併用されることが多く、従業員の手取りを増やしやすい設計です。なお、「一律〇万円」といった定額の支給方法は、残業代(割増賃金)の算定基礎から除外できないケースがあるため注意が必要です。
自社に住宅手当を導入・見直しする際のポイント
住宅手当を新設・改定する際には、具体的な条件設定のステップを踏む必要があります。持ち家と賃貸の扱いの違いや、現金支給と借り上げ社宅の税務面での比較も押さえておきましょう。
住宅手当の支給条件を設定する
>住宅手当の支給条件を設定する際、「誰に・いくら・どのような条件で」支給するかを、客観的な基準で明確に設計する必要があります。条件を曖昧にすると、従業員間で不公平感が生まれ、かえってモチベーションの低下や労使トラブルを招くリスクがあるからです。
具体的には、以下のように証明可能な基準を設けるのが一般的です。
- 世帯主であること
- 賃貸契約者であること
- 住民票や賃貸借契約書を提出すること など
就業規則や賃金規程に明確なルールを記載し、定期的な確認・審査プロセスを構築しましょう。申請書類の提出ルーティンを半年ごとや年度初めに設けることで、実態把握が継続的におこなえます。
賃貸だけでなく持ち家にも住宅手当を支給すべきかを決める
持ち家に対する支給は企業の考え方次第ですが、近年は支給対象外とする、あるいは賃貸よりも減額するケースもあります。持ち家は個人の「資産形成」という側面が強く、会社の経費で個人の資産購入を補助することへの疑問の声や、賃貸派との公平性を保つためです。
国家公務員の住居手当においても、持ち家に関する手当は段階的に廃止されています。
民間企業もこれに追随する傾向があります。限りある原資を有効に使うため、「若手社員の自立支援」をターゲットするなど、目的に応じた制度設計をしましょう。
住宅手当(現金支給)と借り上げ社宅制度の比較をする
企業と従業員の双方にとって、現金での住宅手当よりも、借り上げ社宅制度の方が節税のメリットが大きくなります。
現金支給の住宅手当は給与とみなされ、所得税や社会保険料の課税対象になりますが、借り上げ社宅として一定の家賃(賃貸料相当額)を従業員から徴収すれば、給与課税されず社会保険料の算定基礎からも外れやすいからです。
国税庁でも、使用人に社宅を貸与する場合、一定の条件を満たせば給与として課税されない旨が明記されています。
参考:No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁
運用上の事務負担は増えますが、従業員の実質的な手取り額を増やす目的であれば、借り上げ社宅制度の導入を検討すべきです。
住宅手当制度を導入する際の社内手続きの流れ
住宅手当を新設・改定する際は、就業規則の変更手続きが必要です。
具体的には、以下のステップを踏む必要があります。
- 賃金規程への条文追加・変更
- 労働基準監督署への届出
- 全従業員への周知
とくに不利益変更に当たらないよう、既存の手当を廃止せずに新制度を付加する場合や、支給額を増やす変更であれば、手続きは比較的スムーズに進みます。一方、手当を廃止・減額する場合は、労働者の個別同意や合理的な理由の説明が法律上求められます。
申請書類の集め方などを制度開始前に決めておくことで、担当者の事務負担を抑えつつ、適正な運用を続けやすくなります。社会保険労務士の関与のもと、正確な就業規則の整備と届出を行うことをおすすめします。
住宅手当の設計は一度決めたら終わりではなく、法改正や社会情勢の変化、従業員の構成の変化に応じて定期的に見直しを行うことが重要です。自社の採用戦略や人事方針と照らし合わせながら、柔軟に制度をアップデートしていくことで、採用力の維持につながります。
住宅手当のある会社に関するよくある質問
住宅手当がある会社の割合は今後増える?
全体としては微減、または横ばい傾向が続くと予想されます。リモートワークの普及による居住地の自由化や、「同一労働同一賃金」への対応から、仕事の成果に直結しない属人的な手当を見直す動きがあるためです。
東京都産業労働局の調査などの経年推移を見ても、住宅手当を支給する企業割合は過去10年ほどで横ばいからわずかに減少する傾向にあります。
他社がやっているから、とむやみに導入するのではなく、自社の採用戦略として本当に機能するかを見極めることが重要です。
同業他社の家賃補助の金額はどこで調べられますか?
厚生労働省などの公的データや、求人媒体の検索機能を活用して調べられます。業界によって利益率や人材獲得の難易度が異なり、相場感が大きく変わるため、同業種・同規模のリアルな動向を把握することが重要です。
厚労省の「就労条件総合調査」で産業別の平均支給額を確認できるほか、転職サイトで同業種の求人を検索し、募集要項に記載されている手当の金額をピックアップすることで最新の相場が掴めるでしょう。
公的データで全体の相場を把握しつつ、競合企業の求人票を直接確認するのが確実な調査方法です。
住宅手当を廃止して基本給に組み込む動きがあるのはなぜですか?
主な理由は、「同一労働同一賃金」への対応と、評価・報酬制度の公平性を高めるためです。
正社員と非正規雇用労働者との間で不合理な待遇差を設けることが法律で禁止されたこと、また、「世帯主かどうか」といった仕事の成果と関係ない属人的な要素で給与差が生じることへの不満を解消するためです。
厚生労働省によると、各種手当についても正規・非正規間で不合理な待遇差を設けてはならないと示されています。
住宅手当を廃止する代わりに基本給を底上げし、より公平で成果に応じた報酬制度へシフトする企業は今後も増えていくと考えられます。
住宅補助を残しつつ制度を整えたい場合は、マネーフォワードクラウド福利厚生賃貸のような借り上げ社宅サービスとの組み合わせも選択肢のひとつです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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