- 作成日 : 2026年4月15日
組織サーベイとは?種類・実施の流れ・活用方法を解説
組織サーベイは、従業員の意識や職場体験を調査し、組織の状態や課題をデータとして把握する従業員調査です。
- 組織の課題と強みを可視化
- 調査結果を人事施策に活用
- 改善と再調査で変化を確認
組織サーベイの目的は従業員の声をデータ化し、組織改善や人事施策の判断材料にすることです。
組織サーベイとは、従業員の意識や職場での体験を調査し、組織の状態や課題を把握するための従業員調査です。近年はエンゲージメントや組織文化、働きやすさなどをデータとして把握する手段として、多くの企業で活用されています。
本記事では、組織サーベイとは何かという基本から、主な種類、実施する目的や調査の進め方などを解説します。
目次
組織サーベイとは?
組織サーベイとは、従業員の認識や職場での体験を調査し、組織の状態や課題をデータとして把握するための従業員調査です。職場環境や組織への信頼、働き方への評価など、目に見えにくい要素を可視化し、人事施策や組織改善の判断材料として活用されます。
組織サーベイは組織の状態をデータとして把握する従業員調査
組織サーベイは、従業員のモチベーションや組織への帰属意識、職場環境の受け止め方など、数値として表れにくい状態を測るための従業員調査です。多くの場合、全従業員または一定の対象者にアンケート形式で実施され、組織の現状を客観的に把握する手段として用いられます。
調査では、働きやすさや上司との関係、組織の方向性への理解など、職場での体験や認識を質問項目として設計します。回答結果を集計すると、部署ごとの傾向や組織全体の特徴が見えるようになり、現状と理想の状態の差を把握できます。こうしたデータをもとに、人事施策や職場改善の方向性を検討することが組織サーベイの役割です。
また、調査票を配布して回答を回収するだけではなく、どの単位で結果を集計するのか、どの指標として可視化するのかまでを含めて設計されます。さらに、結果をどの会議体で共有し、どのような意思決定に活用するのかをあらかじめ整理しておくと、組織サーベイは経営や人事の判断材料として機能します。
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組織サーベイの種類は?
組織サーベイにはいくつかの種類があり、調査の目的によって使い分けられます。従業員の意識や組織の状態を把握するという点は共通していますが、測定する内容や実施方法には違いがあります。
【エンゲージメントサーベイ】従業員の組織への関与度や意欲を測る
エンゲージメントサーベイは、従業員が組織や仕事にどれだけ主体的に関わり、意欲を持って働いているかを把握するための組織サーベイです。仕事への熱意や組織への信頼、会社の方向性への共感などを測定する質問項目で構成されることが多く、生産性や組織への貢献に影響する要因を探る目的で実施されます。
この調査では、上司との関係や仕事のやりがい、組織への信頼などの要素がエンゲージメントにどのように影響しているかを分析します。結果をもとに、組織文化の改善やマネジメントの見直しなど、人事施策の方向性を検討する材料として活用されます。
【従業員満足度調査】働きやすさや職場環境の評価を把握する
従業員満足度調査(Employee Satisfaction Survey)は、従業員が職場環境や制度、待遇などに対してどのように感じているかを把握するための組織サーベイです。ES調査と呼ばれることもあり、働きやすさや福利厚生、給与制度、職場環境への評価などを中心に質問が設計されます。
この調査では、職場の環境や制度に対する満足度を数値として把握できるため、職場環境の改善や制度設計の見直しに活用されます。従業員体験を把握する手段として用いられることが多く、離職率の改善や職場環境の向上を目的に実施されるケースもあります。
【パルスサーベイ】短い周期で継続的に組織の状態を確認する調査
パルスサーベイは、短い質問数の調査を定期的に実施し、組織の状態を継続的に把握する組織サーベイです。年に一度の大規模な調査とは異なり、月次や四半期などの短い周期で実施されることが多い点が特徴です。
質問数は数問から十数問程度に絞られることが多く、従業員のエンゲージメントや職場環境の変化を素早く把握できます。組織施策の実施後に変化を確認したり、組織の状態を定点観測したりする目的で利用されることが多く、組織改善のスピードを高める手段として活用されます。
【組織診断サーベイ】組織の構造や課題を多角的に分析する
組織診断サーベイは、組織の構造やマネジメントの状態、組織文化などを多角的に分析するための組織サーベイです。組織全体の課題を把握することを目的としており、比較的多くの質問項目を用いて詳細に調査が行われます。
この調査では、組織の意思決定の仕組みや部門間の連携、マネジメントの質など、組織運営に関わる要素を広く確認します。結果は組織の健康状態を診断する資料として使われ、組織改革や組織開発の取り組みを検討する際の基礎データとして活用されます。
【カルチャーサーベイ】組織文化や価値観の浸透度を把握する
カルチャーサーベイは、組織文化や企業の価値観がどの程度職場に浸透しているかを把握するための組織サーベイです。企業理念や行動指針が実際の職場でどのように理解され、日常の行動にどの程度反映されているかを調査します。
この調査では、組織文化の共有度や価値観への共感、組織内のコミュニケーションのあり方などが質問項目として設定されます。結果をもとに、企業文化の浸透施策や組織コミュニケーションの改善などの取り組みにつなげることができます。
企業は組織サーベイを行う義務がある?
企業に組織サーベイを実施する法的義務はありません。ただし、近年は人的資本への関心の高まりや企業経営における人材マネジメントの重要性から、組織サーベイを活用する企業が増えています。
組織サーベイの実施は法律で義務付けられているわけではない
組織サーベイは、労働基準法などで実施が義務付けられている制度ではありません。企業は、組織サーベイを実施するかどうか、どのような調査を行うかを自社の方針に基づいて決めることができます。
そのため、企業によって実施の有無や調査内容、実施頻度は異なります。年に一度の大規模な調査を行う企業もあれば、定期的な簡易調査を組み合わせて組織の状態を確認する企業もあります。
人材マネジメントの観点から導入する企業が増えている
組織サーベイは義務ではありませんが、組織の状態を把握する手段として多くの企業で導入されています。従業員のエンゲージメントや職場環境、組織文化の状態をデータとして把握できるため、人材マネジメントや組織改善の判断材料として活用しやすいためです。
また、人的資本への関心の高まりにより、従業員の状態や組織文化を把握する取り組みが経営の中で注目されています。その中で、組織サーベイは従業員の意識や職場体験を把握する代表的な手段として活用されています。
組織サーベイを行う目的は?
組織サーベイの目的は、従業員の声を意思決定に活用できる情報として整理し、組織改善の優先順位を明確にすることです。従業員の感じ方や職場体験をデータとして把握すると、感覚や印象だけでは見えにくい課題や強みを客観的に理解できます。
意思決定の根拠を揃え、勘と経験の偏りを減らす
組織の状態に対する認識は、部署や職種、上司との関係などによって異なります。組織サーベイは、こうした感じ方のばらつきをデータとして可視化し、共通の情報をもとに議論できる状態をつくります。
調査を設計する際には、目的や対象、収集方法、実施頻度をあらかじめ整理しておくと、結果を意思決定に活用しやすくなります。得られたデータは、組織戦略や人事施策の優先順位づけ、施策の対象範囲、リソース配分の判断材料として利用できます。
施策の効果検証をできる形にして改善を続ける
組織サーベイは、実施するだけでは成果にはつながりません。結果を共有し、改善施策を検討することで、組織開発の取り組みに活用されます。調査結果をもとにアクションプランを作成し、その後のサーベイで変化を確認すると、施策の効果を検証できます。
また、年次や半期の調査だけでは変化を捉えにくい場合もあります。そのため、短い質問で実施する定期的な調査を組み合わせることで、組織の状態を継続的に把握できます。
人的資本の観点から組織文化とエンゲージメントを扱う
組織サーベイが活用される背景には、人的資本への関心の高まりがあります。従業員のエンゲージメントや組織文化の状態を把握することは、企業が人材や組織の状況を理解するための基礎となります。
調査によって、従業員がどのように組織を認識し、どのような職場環境で働いているかを把握できます。こうした情報は、社内の組織改善だけでなく、人材や組織に関する説明や情報開示の場面でも活用されます。
組織サーベイを行う担当者・対象・頻度は?
組織サーベイは、人事部門を中心に設計・運用され、全従業員または特定の組織を対象に実施されることが一般的です。実施頻度は調査の目的によって異なり、年次の調査と短い周期の調査を組み合わせて運用されることもあります。
【担当者】人事部門が中心となり経営層や現場管理職と連携
組織サーベイは、人事部門が中心となって設計や実施、結果の分析を行うケースが多く見られます。人事部門は、調査の目的設定や質問設計、集計方法の検討などを担当し、組織全体のデータを管理します。
調査結果を組織改善に活かすためには、経営層や現場の管理職との連携も欠かせません。経営層は組織全体の方針や改善の方向性を判断し、管理職は部署ごとの結果をもとに具体的な改善施策を検討します。このように複数の役割が関わることで、サーベイの結果が実際の組織運営に活用されます。
【対象】全従業員または特定の組織・属性で設定される
組織サーベイの対象は、企業の目的や調査内容によって設定されます。組織全体の状態を把握する場合は、全従業員を対象に調査が実施されることが一般的です。
特定の課題を把握したい場合には、部署や職種、役職などの属性ごとに対象を設定することもあります。例えば、マネジメントの課題を確認するために管理職を対象に調査を行ったり、新入社員や若手社員の定着状況を把握するために特定の層を対象にしたりするケースがあります。
【調査頻度】年次調査と短周期調査を組み合わせることが多い
組織サーベイの頻度は、調査の目的や調査の種類によって異なります。組織全体の状態を把握する大規模なサーベイは、年に一度または半年に一度など、比較的長い周期で実施されることが多くあります。
組織の変化を継続的に把握する目的で、短い質問の調査を定期的に実施する方法もあります。月次や四半期ごとに実施される調査では、施策の効果や組織の状態の変化を確認しやすくなります。こうした調査を組み合わせることで、組織の状態を多面的に把握することができます。
組織サーベイを実施する流れは?
組織サーベイは、調査票を配布して回答を集めるだけで完結するものではありません。ここでは、企業で一般的に行われている組織サーベイの実施手順を紹介します。
1. 調査の目的とテーマを整理する
組織サーベイの最初のステップは、調査の目的を明確にすることです。組織のどの状態を把握したいのか、どの課題を確認したいのかを整理すると、調査の方向性が定まります。
例えば、従業員エンゲージメントを把握したいのか、職場環境の満足度を確認したいのかによって、質問項目や調査方法は変わります。調査の目的を先に定めておくと、結果をどの意思決定に活用するのかも整理しやすくなります。
2. 調査設計と質問項目を作成する
目的が決まった後は、調査の設計を行います。対象者、実施方法、回答形式、実施時期などを整理し、質問項目を作成します。
質問は、従業員が職場で感じていることや仕事への認識を把握できる内容で構成されます。回答負荷を考慮しながら質問数を調整すると、回答率を維持しやすくなります。
3. 調査を実施して回答を収集する
調査設計が整ったら、従業員に対してサーベイを実施します。多くの企業では、オンラインのアンケートツールを使って回答を収集します。
調査を実施する際には、調査の目的や回答の匿名性を事前に説明しておくと、回答者が安心して意見を記入しやすくなります。こうした説明は、回答率や回答の質にも影響します。
4. 調査結果を分析して課題を整理する
回答を回収した後は、結果を集計し、組織の状態を分析します。平均スコアや回答分布、部署ごとの違いなどを確認すると、組織の特徴や課題が見えてきます。
分析では、スコアが低い項目だけを見るのではなく、組織全体の傾向や部署ごとの差にも注目します。こうした分析によって、改善の優先順位を整理できます。
5. 結果を共有し改善施策を実行する
最後のステップは、調査結果を共有し、改善施策につなげることです。経営層や管理職と結果を共有し、組織の課題について共通認識を持つことで、改善策を検討しやすくなります。
結果をもとにアクションプランを作成し、施策を実行した後は、次回のサーベイで変化を確認します。
組織サーベイの結果をどう活用する?
組織サーベイの結果は、組織の課題を整理し、改善施策を検討するための基礎情報として活用されます。結果の共有、課題の整理、改善施策の実行という流れをつくると、組織サーベイは組織開発の取り組みの中で機能しやすくなります。
調査結果を分析して組織の課題と強みを整理する
組織サーベイの結果は、まず全体傾向や部署ごとの違いを分析することで、組織の課題や強みを把握できます。平均値や回答分布、部署ごとのスコアなどを確認すると、組織の状態を客観的に理解しやすくなります。
分析では、スコアが低い項目だけを見るのではなく、組織全体の傾向や部門ごとの差にも注目します。こうした分析によって、どの領域に課題があるのか、どの部署で良い取り組みが行われているのかを整理できます。
結果を共有して組織内の対話を促す
調査結果は、人事部門だけで扱うのではなく、経営層や管理職、従業員と共有することで組織内の対話の材料になります。結果を共有すると、組織の現状を共通の情報として理解しやすくなります。
部署ごとに結果を確認しながら話し合いを行うと、現場の視点から課題や改善案が出やすくなります。こうした対話を通じて、組織全体で課題を認識し、改善に向けた共通理解をつくることができます。
改善施策を実行し継続的に変化を確認する
組織サーベイの結果は、具体的な改善施策につなげていくことで意味を持ちます。課題が明らかになった領域については、アクションプランを作成し、取り組みの内容や担当者を整理します。
施策を実施した後は、次回のサーベイや定期的な調査によって変化を確認できます。結果の分析、施策の実行、再調査という流れを繰り返すことで、組織改善の取り組みを継続的に進めることができます。
組織サーベイを理解し組織改善に活用しよう
組織サーベイは、従業員の認識や職場体験をデータとして把握し、組織の課題や強みを明らかにするための調査です。エンゲージメントサーベイや従業員満足度調査、パルスサーベイなど目的に応じた種類があり、企業は組織の状況に合わせて使い分けています。
調査の結果は、組織の現状を把握するだけでなく、人事施策や組織改善の判断材料として活用できます。目的の整理、調査設計、結果の分析、改善施策の実行という流れをつくることで、組織サーベイは継続的な組織改善を支える手段になります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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