- 更新日 : 2023年12月12日
所轄税務署とは?年末調整との関わりから解説!
税務署といえば、脱税を摘発する“マルサ(国税局査察部)”を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、実際にマルサが関わる税務調査は、1%程度といわれています。一般的に税務署は、個人事業主の年1回の確定申告、会社の経理担当者の法人税や消費税の手続き、個人の人の贈与税や相続税などの申告や年末調整くらいでしか関わりはありません。今回は、手続きでよく登場する「所轄税務署」について解説していきます。
所轄税務署とは
税制を担当する国の中央機関は、いうまでもなく財務省であり、所管業務は税制のほか、財政、税関業務、国庫管理、通貨、外国為替、造幣事業等、広範囲の行政事務に及びます。税制の企画・立案をする内局として主税局があり、外局に租税制度を担う国税庁があります。
さらに国税庁の下には、その地方支分部局として全国11カ所に国税局が設置されています。マルサは、この国税局査察部で使われていた隠語です(「サ」は査察の最初の文字)。
税務署は、国税庁と国税局の指揮監督下にある組織であり、全国に524カ所設置されています。つまり、税務署はひとつの都道府県に多数存在していることになり、国税局が管掌する一部の大企業や大口の税務調査等以外のほとんどの税務行政を担う出先機関となっています。
税務署には、多くの部門があります。総務課、税務広報広聴官、管理運営部門、徴収部門、個人課税部門、資産課税部門、法人課税部門等が置かれています。
確定申告や年末調整等の各種申請書の受付、申告・申請用紙の交付、納税証明書の発行等の窓口業務を担当するのは管理運営部門となっていますが、相談・指導業務は、個人事業であれば個人課税部門、法人関係は法人課税部門が担当しています。
さて、「所管税務署」についてです。所得税は地方税ではなく国税ですから、全国に524カ所設置されている税務署のどこにでも確定申告書が提出できるのでしょうか。
答えは否です。確定申告だけでなく、所得税、法人税、消費税等の内国税の申告・納税の窓口は、納税者の「納税地」を管轄する税務署となっています。
納税地とは、一般的には住所地を意味しています。国内に住所がある人であれば、その住所地が納税地となるため、勤務地の近くの税務署が所管税務署とはならないわけです。その時々の納税者の利便性で決まるのではありません。
ちなみに住所とは、生活の本拠のことであり、生活の本拠に該当するかどうかは、客観的事実によって判定されることになります。住民票があるからといっても、そこが必ずしも住所地とはなりません。ほかの市町村に引っ越しをした場合、何もしなければ住民票はそのままであることを考えればわかると思います。
外国人が単身赴任している場合などは、そこは相当期間継続して居住しているものの、住所ほど密接な場所ではありません。この場合は「居所」と呼ばれます。国内に住所がなければ、居所地が納税地になります。
以上が、納税地の基本的な原則です。
特例として、国内に住所がありながら、単身赴任しているような場合、住所地に代わって居所地を納税地にすることも可能です。また、サラリーマンや事業をしている人の場合には、住所や居所の他に事業所があります。この場合、住所地や居所地に代えて事業所の所在地を納税地にすることも可能です。
こうした特例により納税地で手続をする場合には、確定申告をするときに異動・変更後の納税地を記載した所得税又は消費税の申告書を異動・変更後の所轄税務署に持参または送付、e-Taxなどの方法で提出します。ただし、年の途中で納税地の異動や変更があり、異動・変更後の納税地を国税当局からの各種文書の送付先とする際は、異動・変更後の所轄税務署長に対して、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」提出することにより異動・変更することも可能です。
なお、法人の場合は、登記上の本店所在地が基本です。
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年末調整業務における所轄税務署
実際の税務関係書類で「所轄税務署」等の記載を求める場合があり、上記のルールに従って判断することになります。具体例として「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」(抜粋)で解説しましょう。
申告書の記入方法-加工.png)
出典 :[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁
この申告書は、後述するように会社が年末調整をする際、従業員に配布して本人に記載させた後、回収するものです。
申告書の最初の記載事項として「所轄税務署長等」とあります。「等」となっているのは、申告書には住民税に関する事項もあり、所轄税務署長だけでなく、所轄市町村長も含められているためです。
「所轄税務署長等」欄の上の「〇〇税務署長」は、勤務先の納税地を管轄する税務署名を記載することになります。先ほど述べたように原則は納税者の住所地ですが、個人事業主やサラリーマンの場合、特例により住所地等に代えて事業所の所在地を納税地にしていることもあります。従業員ではわからないため、通常は勤務先が記載することになります。
その下の「〇〇市区町村長」欄は、従業員の住所地名を記載します。
年末調整業務で所轄税務署に提出する法定調書
年末調整では、上記の「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」のように勤務先が従業員に配布して申告させる書類が複数あります。「年末調整関係諸用紙」と呼ばれているものです。
年末調整関係諸用紙
1.「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」
年末調整では、扶養している親族等の人数で控除額が異なるため申告させるものです。
2.「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」
配偶者がいる場合、配偶者の所得に応じて配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができますが、その確認のために申告させます。基礎控除や所得調整控除の申告書を兼ねた書式になっています。
3.「給与所得者の保険料控除申告書」
勤務先で把握できる社会保険料等の控除以外の従業員しかわからない生命保険料、地震保険料等の控除のための申告書です。
4.「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書」
従業員が住宅の購入や増改築をして住宅ローンがある場合、借入金の残高を基準に計算した一定額を控除するための申告書になります。
以上が従業員に記載してもらった後、勤務先が回収する申告書になりますが、いずれも税務署に提出する必要はなく、勤務先で保管します。
保管期間は7年間で、起算日は、申告書等の提出期限が属する年の翌年1月10日の翌日となります。税務署長から提出を求められた場合には提出しなければなりません。
法定調書
年末調整で、税務署に提出が必要な書類を「法定調書」と呼び、以下のものがあります。
1.「源泉徴収票」
給与所得の源泉徴収票は、給与等を支払った全員について作成して交付することとされています。しかし、税務署に提出するものは、法人の役員でその年中の給与等の支払金額が150万円を超える場合、弁護士、司法書士、税理士等については支払金額が250万円を超える場合、従業員等それ以外については支払金額が500万円を超える場合です。給与所得の源泉徴収票のほか、退職所得の源泉徴収票があります。
2.「支払調書」
一定の支払金額を超える支払調書は、税務署に提出することになります。
- 「報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書」
個人の取引先に対して原稿料や講演料、弁護士や税理士など特定の業務のために報酬を支払ったときに提出する支払調書です。 - 「不動産の使用料等の支払調書」
家賃や地代等の不動産の賃借料を支払っている場合の支払調書です。 - 「不動産等の譲受けの対価の支払調書」
不動産を購入した場合の支払調書です。 - 「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」
不動産に関するあっせん手数料を支払った場合の支払調書になります。
3.「法定調書合計表」
税務署へ報告するための書類であり、必要に応じて法定調書の種類ごとに記載し、提出する必要があります。合計表には、「人数」「支払金額」「源泉徴収税額等の総額」をそれぞれ記載し、年末調整の際にとりまとめて提出することになります。
所轄税務署の調べ方
住所地を管轄している税務署は、国税庁のWebサイトで確認することができます。Webサイトにある「国税局・税務署を調べる」では、3つの検索方法が用意されています。
- 郵便番号・住所から税務署を調べる
- 地図から税務署を調べる
- 一覧から国税局・税務署を調べる
税務署は全国500カ所以上にありますから、同じ市区町村でも所轄が異なるケースも考えられます。その意味では、郵便番号・住所から税務署を調べる方法が最も簡単で間違いないといえるでしょう。
ただし、前述しましたが、転居した場合、住民票がそのままでも納税地は転居先の住所地となります。個人事業主が住所地を納税地としている場合、事業所がそのままでも、転居によって所轄税務署が変わることがあります。
年末調整の書類提出期限は翌年1月31日。年末調整に関する源泉所得税の納付期限は、以下となります。
- 納期の特例の承認を受けていない企業:翌年1月10日
- 納期の特例の承認を受けている企業:翌年1月20日
転居・移転があった場合、いつ手続きをするかによって管轄税務署が違うことがあるため、年末調整の際にはしっかり確認しましょう。
所轄税務署と納税地の意味について正しく理解しましょう
今回は、所轄税務署について解説してきました。事業を継続している企業の場合は、すでに年末調整等の納税手続きをしているため、所轄税務署も変わらず、特段、意識することもないと思います。しかし、個人事業の方が転居した等、状況が変わった場合には問題が生じることもあります。正しく納税するためには、所轄税務署と納税地の意味について理解してくことも大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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