- 更新日 : 2026年6月22日
パート・アルバイトに福利厚生は適用される?適用条件やおすすめの福利厚生も解説
健康保険など法定内の福利厚生は、所定の労働時間や賃金などの要件を満たせば適用されます。
- 健康保険は週20時間以上などの要件でパートにも適用される
- 労災保険は労働時間や雇用期間を問わず全員に適用される
- 社会保険の加入対象は2027年10月以降に拡大する
制度ごとに条件を確認し、加入手続きの漏れを防ぎましょう。
従業員の満足度を高めるため、福利厚生を導入している企業は多いでしょう。総務担当者の中には、福利厚生がパートやアルバイトにも適用されるのか疑問に感じている人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、パート・アルバイトの福利厚生の利用状況や適用条件について解説します。パート・アルバイトに人気の福利厚生や導入するメリット、ポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
パート・アルバイトに福利厚生は適用される?
福利厚生は、大きく「法定内福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類に分けられ、条件を満たしていれば、法定内福利厚生はパート・アルバイトにも適用されます。
企業の判断で適用させるかを決めることも可能です。
従来、法定外福利厚生は正社員のみが利用できるという考え方が主流でした。しかし「同一労働同一賃金」の考え方が提唱されたことで変化が起きています。
同一労働同一賃金とは、業務内容や責任範囲が同じ場合、正社員と非正規社員との間で賃金に不合理な差を設けないという考え方です。
福利厚生についても、両者で差を設けない風潮が強まっています。
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パート・アルバイトの福利厚生の利用状況
国内におけるパート・アルバイトの福利厚生の利用状況を知ることで、自社でもパート向けに福利厚生を準備すべきかを判断しやすくなります。
たとえば、厚生労働省の「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」に、パート・アルバイトへの福利厚生の適用状況が制度ごとでまとめられています。
調査結果の一部は以下のとおりです。
| 制度名 | 無期雇用パートタイム | 有期雇用パートタイム |
|---|---|---|
| 通勤手当 | 60.7% | 73.3% |
| 住宅手当 | 2.0% | 3.1% |
| 退職金 | 10.9% | 7.5% |
| 人間ドックの補助 | 18.7% | 22.0% |
| 法定外の休暇 | 38.1% | 45.6% |
| 慶弔休暇 | 44.8% | 52.0% |
| 給食施設の利用 | 19.5% | 27.5% |
※表内の割合は、正社員と当該労働者を雇用している企業の中で、当該労働者に対して制度を適用している会社の割合です。
通勤手当を適用している企業がとくに多く、6〜7割程度の企業で提供されています。
一方で、そのほかの福利厚生では適用率が半分以下のものもあり、とくに住宅手当や退職金は1割前後と低い数値に留まっています。
参考:「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」(厚生労働省)
パート・アルバイトに法定内福利厚生が適用される条件
ここからは、法定内福利厚生について、パート・アルバイトにも適用される条件を制度ごとに解説します。
健康保険
健康保険は、毎月一定の保険料を支払うことで、病気の治療や出産時などに医療費の負担を軽減できる制度です。
原則として、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であれば、パート・アルバイトにも適用されます。
また、労働時間や日数が正社員の4分の3未満でも、以下の条件を満たせば加入が可能です。
- 従業員数51人以上の企業に勤めている
- 週の所定労働時間が20時間以上である
- 月額賃金8.8万円以上である(賞与・残業代除く)
- 2ヶ月を超えて雇用される見込みがある
- 学生でない
なお「従業員数51人以上の企業」という条件は、2027年10月以降から「36人以上」に改正される予定です。
健康保険が適用される範囲は、今後も徐々に広がっていく見込みです。
厚生年金保険
厚生年金保険は、保険料を事業主と従業員で折半して支払うことで、老後や障害・死亡時に給付を受けられる公的年金制度です。
パートやアルバイトへの適用条件は、基本的に健康保険と同様です。
法改正によって適用範囲が広がる可能性があるため、最新の情報を常に確認しておきましょう。
介護保険
介護保険は、高齢化や病気などで介護が必要になった際に、訪問介護や施設入居などを受けられる制度です。
健康保険に加入済みで年齢が40歳以上であれば、パート・アルバイトにも適用されます。
加入後は保険料の支払いが発生するため、40代を迎えた従業員の給与計算は注意して対応しましょう。
雇用保険
雇用保険は、失業時の生活を支えることを目的とした制度で、加入しておくと失業時に給付を受けられます。
原則として、以下の条件を満たせばパート・アルバイトにも適用されます。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用が見込まれる
条件を満たす従業員が未加入のままだと法令違反になるため、採用時に加入手続きの漏れがないよう注意しましょう。
労災保険
労災保険は、業務中や通勤途中に負傷した際、特定の要件を満たすことで補償を受けられる制度です。
週の労働時間や雇用期間に関係なく、すべての労働者が対象となるため、パート・アルバイトにも適用されます。従業員を雇った時点で必ず加入手続きを行いましょう。
パート・アルバイトに人気の法定外福利厚生7選
ここからは、法定外福利厚生の中から、パート・アルバイトに人気の制度を7つ紹介します。
健康診断
健康診断は、身体測定や血液検査、尿検査などを含めた健康状態の測定です。
以下の2点に該当する従業員には、実施させるよう義務づけられています。
- 1年以上雇用契約を続けているか、雇用期間を定めていない
- 1週間当たりの労働時間が正社員の4分の3以上
上記を満たしていないパート・アルバイトも含め全従業員に実施させることで、金銭的な負担なく健康管理ができるため喜ばれます。
企業側にとっても、従業員の健康状態を把握することで急な欠勤や離職を防ぎ、事業の運営を安定させやすいメリットがあります。
特別休暇
特別休暇とは、法令で定められている休日とは別に、企業が独自で与える休暇です。
たとえば以下が挙げられます。
- 慶弔や育児、病気など特定の事情に応じて取得できる休暇
- 誕生日に休めるアニバーサリー休暇
- 長期間勤務した従業員に与えられるリフレッシュ休暇
休暇を多く与えることで仕事の疲れをリフレッシュさせやすくなり、パート・アルバイトの定着化を図れます。
特別休暇を有給扱いにすると、収入が減る心配をなくせるため、より満足度の高い制度になります。
従業員割引
従業員割引は、自社の商品やサービスを割引価格で購入できる制度です。
たとえば、スーパーで働くパートが店舗内の商品を安く購入できるケースが挙げられます。
また、飲食店やレジャー施設など、企業が提携している店舗を割引で利用できる制度も存在します。
物価高が続く中で生活費を節約しやすくなるため、多くのパート・アルバイトから喜ばれやすい福利厚生です。
住宅補助
住宅補助は、住宅手当の支給や社宅・寮の提供などを通して、従業員の家賃負担を軽減する制度です。
生活費を節約しやすくなるため、パート・アルバイトから喜ばれやすい福利厚生です。
とくに、家賃が高い都市部で事業を営んでいる場合は、積極的に導入を検討しましょう。
食事補助
食事補助は従業員の食費の負担軽減を目的に、以下のような取り組みを行う制度です。
- 社員食堂の設置
- 外部の飲食店で利用できる食事券の支給
- まかないの提供
収入が限られるパート・アルバイトにとって、食事補助は家計の大きな助けになります。とくに都市部は外食費が高くなりやすいため、より重宝されるでしょう。
また、社員食堂の設置やまかないの提供などを行うことで、出勤前に弁当を作る手間が省けるため、主婦層からも喜ばれやすくなります。
子育て支援
子育て支援は、育児中の従業員が離職せずに働けるよう、以下のような取り組みを行います。
- 保育料の補助
- 託児スペースの完備
- 社内へのベビーシッターの派遣
パート・アルバイトとして働く層には、子育て中の人も多く含まれます。
保育先の確保や経済的な支援を行うことで、子育てに理解がある職場と評価されるため、定着率の向上が可能です。
正社員登用制度
正社員登用制度は、勤務期間や業務態度、実績などの条件を満たしたパート・アルバイトを、正社員に昇格させる仕組みです。収入を高めるきっかけになるため、人気の福利厚生です。
企業にとっても、パート・アルバイトがスキルアップするきっかけになり、組織の生産性を高めやすいメリットがあります。
パート・アルバイト向けの福利厚生を充実させるメリット
ここからは、パート・アルバイト向けの福利厚生を充実させるメリットを4点解説します。
企業の生産性を高めやすい
福利厚生を充実させると、パート・アルバイトの満足度を高めることが可能です。自社に貢献しようとする意識も強くなり、積極的に業務へ取り組んでもらいやすくなります。
積極性を高められると、商品やサービスの改善案の増加や、顧客対応の品質向上なども期待できるでしょう。
離職率の低下につながる
福利厚生を整えることで、パート・アルバイトの離職率を低下させられる点もメリットです。
自社以外で福利厚生が豊富な職場が存在すると、従業員は条件のいい職場への転職を検討し始めます。
正社員と同等の福利厚生を提供したり、他社にはないオリジナルの制度を導入したりすることで、自社への定着率を高められます。
離職率が低下すると、新たにパート・アルバイトを採用し、研修を行うコストを抑えられる点もメリットです。
採用力を強化できる
パートやアルバイトへの福利厚生を充実させることで、採用力の強化も可能です。
多くの求職者は、求人情報を比較する際、給与と並んで福利厚生の内容を重視します。
パート・アルバイトへの手厚い制度をアピールすることで、求職者から魅力的に映りやすくなります。
応募者数が増えると採用の幅が広がり、優秀な人材が確保しやすくなる点もメリットです。
節税につながる
パート・アルバイト向けの福利厚生を整えると、節税にもつながります。
法定外福利厚生にかかる費用は、一定の条件を満たすことで「福利厚生費」として経費へ計上できます。経費を増やすことで課税対象の所得が少なくなるため、節税が可能です。
なお、福利厚生費として経費計上できる条件には、以下の3点が挙げられます。
- すべての従業員が対象である
- 福利厚生費の金額に妥当性がある
- 現金支給の福利厚生ではない
注意点として、節税を意識して福利厚生を増やしすぎると、かえって導入費用がかさむリスクがあります。予算を圧迫しないよう、無理のない範囲で導入しましょう。
パート・アルバイト向けの福利厚生を充実させる際のポイント
最後に、パート・アルバイト向けの福利厚生を充実させる際のポイントを3点解説します。
事前に福利厚生のニーズを調査する
企業側の判断で福利厚生を導入してしまうと、パート・アルバイトに利用してもらえない可能性があります。
導入コストが無駄にならないよう、事前にどのような福利厚生が求められているかを調査することが大切です。
たとえば、社内アンケートや個別面談を通して、従業員が欲しいと思う福利厚生を訊いてみましょう。
人気のある制度から段階的に導入することで、予算が限られている場合でも、従業員の満足度を効率良く高められます。
正社員との待遇のバランスに注意する
パート・アルバイトへの福利厚生を充実させる際は、正社員との待遇のバランスにも注意が必要です。
たとえば、両者に食事手当を支給する場合、パート・アルバイトへの額が必要以上に低いと不公正な印象が拭えず、不満が生じやすくなります。
ほかにも、週末や深夜帯の勤務に対して手当を支給する場合も注意が必要です。
パート・アルバイトが週末や深夜帯にシフトを多く入れることで、基本給が固定されている正社員よりも収入が多くなる可能性があります。
福利厚生の導入時は、手当の支給額や支給条件などを慎重に設定し、公平感のある制度にすることが大切です。
運用コストに余裕がなく、どちらかの利用に制限を設けたい場合は、従業員と話し合いながら調整しましょう。
福利厚生代行サービスの利用も検討する
福利厚生代行サービスとは、企業に代わって福利厚生の企画や運営、管理などを担うサービスです。
自社で福利厚生を整備する際は、制度の考案や外部企業との連携などが必要になり、相応の工数がかかります。
とくにリソースが限られている中小企業は負担が大きくなりやすいため、福利厚生代行サービスの活用がおすすめです。
たとえば、福利厚生として社宅を導入したい場合は「マネーフォワード クラウド福利厚生賃貸」がおすすめです。
物件の管理会社との手続きを代行してもらえるため、社宅導入にかかる手間やコストを抑えやすくなります。
パート・アルバイトを多く採用する企業でも、総務担当者が入居手続きに追われにくくなり、人材育成や備品管理などのコア業務に集中しやすくなります。
社宅の導入を検討している人は、ぜひ「マネーフォワード クラウド福利厚生賃貸」をチェックしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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