- 更新日 : 2026年6月17日
家賃補助がない企業はどれくらいある?廃止する際の注意点や対処法
福利厚生の見直しや同一労働同一賃金への対応を背景に、導入しない企業が増えています。
- 家賃補助がない企業は全体の約6割を占める
- テレワーク普及や税負担を理由に廃止が進む
- 制度をやめる際は不利益変更を避け、代替措置を用意する
都市部や若手・単身社員が多い職場では、導入が定着率の向上につながります。
家賃補助は従業員満足度を高める人気の福利厚生ですが、実際には導入していない企業も少なくありません。近年は制度の見直しや廃止を検討する動きも見られ、背景にはコストの負担や公平性の課題があります。
本記事では、家賃補助がない企業の割合や増加の理由、廃止時の注意点を解説するとともに、代替策や導入を検討すべき企業の特徴についてもわかりやすく整理します。
目次
家賃補助がない企業はどれくらいある?
家賃補助(住宅手当)がない企業は全体の約6割とされ、制度が整っていない会社のほうが多数派といえます。
とくに、転勤の少ない事務職やIT系の企業では未導入が一般的です。一方、営業職や転勤の多い企業では支給されやすい傾向があります。
さらに近年は福利厚生の見直しが進み、家賃補助を廃止する企業も増加しており、家賃補助を支給しない企業の割合は、今後も拡大していくと考えられます。
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家賃補助がない・廃止する企業が増加している要因
家賃補助がない、または廃止する企業は近年増加しています。背景には、企業のコスト負担や福利厚生の公平性確保、働き方の多様化といった要因があります。
本章では、家賃補助がない・廃止する企業が増加している要因を整理しました。
働き方改革の実施によるもの
働き方改革により「同一労働同一賃金」の考え方が浸透し、雇用形態による待遇差の是正が強く求められるようになっています。
非正規雇用が増える中で、職務の差によらず単に正社員のみに家賃補助を支給する制度は不公平と捉えられやすくなりました。
すべての社員に家賃補助を適用するには、制度設計の見直しが必要となるため、また後ほど解説する働き方の多様化などの結果として、家賃補助の廃止に踏み切る企業が増加しています。
フレックスタイム制・テレワークなどの普及によるもの
フレックスタイム制やテレワークの普及により、働く時間や場所の自由度が高まり、従来の家賃補助の必要性は相対的に低下しています。
在宅勤務の増加に伴い、電気代や通信費など別の支援を求める声も強まり、制度がニーズに合わなくなってきました。
こうした変化を背景に、企業は在宅勤務手当や成果連動型の手当に移行する流れがあります。
結果的に、家賃補助を廃止する動きが広がっています。
リモートワークのメリットや制度導入のポイントを知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
コスト削減のため
家賃補助を含む住宅関連の費用は、福利厚生の中でも大きな割合を占め、企業にとって負担の重いコスト項目です。
さらに同一労働同一賃金への対応で、職務の違いによらず単に正社員にのみ家賃補助を支給している会社において、アルバイトやパートを含む全社員に適用すると費用はいっそう増大します。
こうした事情から見直しの対象となりやすく、業績悪化や経費削減の流れの中で、住宅関連支出を抑える目的で家賃補助を廃止する企業が増えています。
税金がかかるため
企業から支給される家賃補助は給与の一部とされ、所得税の課税対象となります。
そのため税負担が増え、手取り額に影響が出ることから、必ずしも従業員にとって有利とはいえません。
一方、借り上げ社宅であれば一定条件のもと会社が負担している部分について非課税にできます。
しかし、制度設計が複雑なため、企業が家賃補助自体を見直す要因となっています。
家賃補助がない場合の従業員側のメリット
家賃補助がない場合、課税対象となる収入が増えないため、所得税や住民税の負担を抑えやすい点が従業員にとってのメリットです。
また、年収に手当分が含まれないことで、児童手当など所得制限のある公的支援にも影響しにくくなります。さらに、家賃補助の代わりに基本給を高めに設定している企業もあり、昇給や賞与の面でメリットが得られるケースもあります。
法人税の節税対策について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
家賃補助を廃止する場合の注意点
家賃補助を廃止する際は、従業員への影響が大きいため慎重な対応が求められます。不利益変更にあたるリスクもあり、十分な説明や代替措置の検討が重要です。
ここでは、家賃補助を廃止する場合の注意点について解説します。
一方的な「不利益変更」を避ける
家賃補助の廃止を会社の判断のみで進めると、労働条件の不利益変更と判断され、認められない可能性があります。
法律上、十分な説明や合意がないまま従業員に不利な変更を行うことは、原則として認められていません。
トラブルを防ぐためにも、事前に説明や協議の機会を設けましょう。
(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。
従業員に対して丁寧に説明する
家賃補助は生活費の負担軽減につながる重要な制度であり、廃止すると従業員の家計に大きな影響があります。
十分な説明がないまま制度の見直しを進めると、不満や不信感が高まり、職場環境の悪化につながるおそれがあります。
企業側は、制度の廃止理由や背景を丁寧に共有し、従業員の納得感を得ながら進めることが、離職や社内トラブルの防止において重要です。
採用の競争力が低下するリスクを抑える
家賃補助は求職者にとって魅力的な福利厚生のひとつであり、廃止すると企業の魅力度が低下する可能性があります。
とくに都市部では住居費の負担が大きく、同条件の企業と比較された際に、採用面で不利になりやすいでしょう。
競争力の低下を抑えるには、社員食堂や食事補助、引っ越し支援など代替となる福利厚生を整備し、総合的な魅力を高めることが重要です。
代替措置を検討する
家賃補助の廃止は、実質的な減収と受け取られやすく、従業員の不満や損害賠償請求などのトラブルにつながるおそれがあります。
従業員の同意を得ることが難しいケースも多いため、企業は代替となる制度を用意し、負担軽減を図ることが大切です。
円滑に制度変更を進めるには、補完策を検討しながら従業員と十分に協議し、納得感を高めることが重要です。
家賃補助を廃止する際の代替措置の例
家賃補助を廃止する際は、従業員の負担増を緩和するための代替措置が重要となります。
適切な補完策を用意することで、従業員の不満を軽減し、制度変更をスムーズに進められます。
ここでは、具体的な代替措置の例をまとめました。
基本給や手当を見直す
基本給や各種手当の増額・再設計を行うことで、制度変更に対する従業員の納得感を高めやすくなります。
家賃補助の廃止による実質的な減収を補う方法として、手当を基本給に組み込み総支給額を維持する手法も有効です。
また、成果に応じて支給する報酬制度へ切り替えることで、企業への貢献度と報酬を連動させた仕組みを構築することも可能です。
借り上げ社宅に変更する
現金支給による家賃補助は給与として扱われるため、税金や社会保険料の負担が増え、企業・従業員双方にコストがかかります。
一方、借り上げ社宅に切り替えると会社が契約や家賃の大部分を負担し、従業員は一部負担のみで済むため、税負担を抑えやすくなります。
物件選択の自由度が高く、管理の手間も比較的少ないことから、家賃補助の代替策として導入するのも効果的です。
福利厚生を充実させる
家賃補助の代わりに福利厚生を充実させることで、実質的な待遇改善につながり、従業員満足度の向上が期待できます。
たとえば、子ども手当の導入や選択型のカフェテリアプランなど、ライフスタイルに応じた柔軟な支援制度などです。
ただし、公平性の確保や導入コストへの配慮も必要となるため、全体のバランスを踏まえた制度設計が求められます。
在宅勤務・テレワーク手当を支給する
テレワークや在宅勤務の普及に伴い、通信環境の整備や光熱費の負担を補う、在宅勤務手当を導入する企業が増えています。
自宅で働くための費用を支援することで、従業員の働き方に合った柔軟なサポートが可能です。
在宅勤務・テレワーク手当を導入する代わりに、家賃補助の見直し・廃止をすることでスムーズに体制を変更しやすくなります。
家賃補助を導入すべき企業の特徴
家賃補助はすべての企業に必要な制度ではありませんが、条件によっては有効な施策となります。自社の人材戦略や働き方に応じて、導入を検討することが重要です。
ここでは、導入を検討すべき企業の特徴を解説します。
都市部や家賃の高いエリアにオフィスがある
都心部など家賃水準の高いエリアでは、住居費が生活費に占める割合が大きくなり、従業員の負担が重くなりがちです。
家賃補助を導入することで可処分所得を増やし、生活にゆとりができれば、従業員の満足度や定着率の向上につながります。
地域ごとの生活コストに応じた福利厚生として実効性が高く、企業の魅力向上にもつながるでしょう。
若手社員・単身社員が多い
若手社員や単身社員が多い企業では、家賃補助の効果を発揮しやすいといえます。
これらの層は収入に対する家賃負担の割合が高く、住居費の支援ニーズがとくに大きい傾向があります。
家賃補助により生活基盤を安定させることで、経済的不安を軽減し、早期離職の防止につなげることが可能です。
加えて、引っ越し費用や日常の生活コストへの不安を和らげ、安心して働ける環境づくりにもつながります。
若手従業員の育成について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
転勤や異動が多い
転居を伴う人事異動が多い企業では、家賃補助により住居費の負担を軽減でき、従業員の不安を和らげる効果が期待できます。
たとえば、金融業や小売業、不動産業などではとくに有効です。
遠方からの人材受け入れもスムーズになり、人材配置の柔軟性が高まります。
さらに、配属先や地域に応じた支援を行うことで、従業員が安心して異動に応じやすい環境づくりにつながります。
家賃補助に関するよくある質問
家賃補助に関しては、住宅手当との違いや支給の可否が問われるケースなど、多くの疑問が寄せられます。
家賃補助の詳細を正しく理解しておくことが、適切な判断につながるでしょう。
ここでは、よくある質問とポイントをわかりやすく解説します。
家賃補助と住宅手当の違いは?
家賃補助と住宅手当は基本的に同義で使われることが多く、企業によって呼び方が異なります。
目安として、会社契約の住居に対する支援を家賃補助、個人契約の物件に対する支給を住宅手当と区別するケースがあります。
なお、個人契約の手当は課税対象となる一方、会社契約の社宅は一定条件で非課税となるため、制度内容を確認することが重要です。
大手企業でも家賃補助がない場合はある?
大手企業であっても、家賃補助が用意されていないケースは一定数存在します。
近年は働き方やライフスタイルの多様化を背景に、あえて家賃補助を設けない企業も増えています。
家賃補助は継続的なコストがかかるため、大手企業のほうが導入しやすい傾向はあるものの、必ずしもすべての大企業が支給しているわけではありません。
実家暮らしの場合は家賃補助を受けられない?
実家暮らしの場合、家賃や住宅ローンの負担がないと判断されることが多く、家賃補助の対象外となるのが一般的です。
本人が住居費を負担していないと判断されるため、支給要件を満たさないケースが多い点に注意しましょう。
ただし、世帯主として家計を支えている場合など、企業独自の基準により例外的に支給されることもあります。
家賃補助は従業員にとって嬉しい制度である一方、企業にとっては費用負担や制度運用の手間が大きいのが実情です。
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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