- 更新日 : 2026年7月2日
採用KPIとは?KGIとの違いから設定・運用のポイントを解説
応募数や内定承諾率など、採用プロセスの進捗や課題を数値で可視化する指標です。
- 最終目標のKGIと連動させ、途中経過を測る指標として運用する
- 成果を測る結果KPIと、活動量を測る行動KPIに分けて管理する
- SMARTの法則で妥当性を検証し、現実的な目標値を設定する
数値の達成自体を目的化せず、自社に合う人材の採用を軸に運用しましょう。
採用活動の成果を高めるには、勘や経験に頼るだけでは限界があります。近年注目されているのが「採用KPI」の活用です。
採用KPIとは、応募数や内定承諾率など、採用プロセスの進捗や課題を数値で可視化する指標のことを指します。
本記事では、KPIとKGIの違いをはじめ、KPIを設定するメリットや手順、運用上の注意点などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
採用KPIとは?
採用活動を効率的に管理し、改善策を検討するには、KPIとKGIの違いを正しく理解することが求められます。KPIはプロセスの進捗を示す指標で、KGIは最終成果の達成度を示す指標です。
両者を切り分けて捉えることで、目標に向けて今何を追うべきかが明確になります。
まずは、採用KPIの基本的な役割から解説していきます。
採用KPIは、プロセスを数値化する
採用KPIとは、採用活動のプロセスを数値で可視化し、目標達成までの進み具合を管理するための指標です。
英語の「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の頭文字を取った言葉です。採用分野では応募者数、書類選考の通過率、内定承諾率などが該当します。
これらの数値を観測することで、採用フローの各段階における効率や、どこに課題が潜んでいるのかを把握しやすくなります。
KPIは最終的な達成目標というよりも、現状を映し出す途中経過の役割を果たし、的確な改善を行うための判断材料として機能します。
KGIは最終ゴール、KPIはその途中経過を表す
KGI(Key Goal Indicator)は、採用活動の最終的な成果を定量的に示す指標です。
「年間で何名を採用するか」「採用コストの上限」「入社後〇ヶ月の定着率」などがKGIにあたります。
これに対しKPIは、KGIを達成するための途中段階の進捗を示す指標であり、両者は常に連動して運用されるべきものです。
たとえばKGIが「営業職を年間5名採用する」ならば、そのために「月間応募数○○件」「書類通過率○○%」「内定承諾率○○%」などのKPIが必要です。
KGIだけを設定しても、プロセスに対する分析や改善は困難です。
だからこそ、KPIを設けてプロセスを定量的に管理することが不可欠です。
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採用KPIは「結果KPI」と「行動KPI」に分けて考える
採用KPIは、自分たちでコントロールできるかどうかという性質によって「結果KPI」と「行動KPI」の2種類に分けて考えると管理しやすくなります。
この分類を押さえておくことで、課題が発生した際にどの数値から改善すべきか、打ち手の優先順位をつけやすくなるでしょう。
結果KPIは活動の成果を測る
結果KPIは、採用活動を通じて得られた成果や、施策がターゲットにどう響いたかの質的な効果を示す指標です。
具体的には、応募数や面接通過率、内定承諾率などがこれに該当します。
結果KPIは、自社だけではコントロールしきれない市場動向などの外部要因を含んでいる点が特徴です。
そのため、数値の表面だけを見るのではなく、その背景にある傾向を分析し、次の打ち手につなげる判断材料として活用することが大切です。
行動KPIは直接コントロールできる活動量を測る
行動KPIは、採用担当者やチームが実際に行った活動量を示す指標です。
成果を生み出すためには、まず母集団形成などに必要な行動の絶対量を確保しなければならないため、重要な指標となります。
求人媒体への掲載数やスカウトメールの送信数、面接の実施回数などがこれにあたり、担当者の努力で直接コントロールできる点が特徴です。
採用活動で結果が出ないときは、まず自分たちで管理できる行動KPIから見直すことが、成果を上げるための基本的な動きとなります。
採用KPIを設定するメリットは?
採用活動においてKPIを導入し適切に活用することには、業務の属人化を防ぎ、数値に基づいた判断と改善を可能にするという利点があります。
以下に、主なメリットを解説します。
採用活動の進捗を可視化できる
採用KPIは、プロセスの進行状況を数値で「見える化」する最も基本的なツールです。
応募者数や内定承諾率などを定期的に追跡することで、採用活動が計画通り進んでいるか、あるいはどこかで遅れや停滞が発生しているかを即座に把握できます。
可視化をすることによって、感覚や経験に依存せず、現実のデータに基づいた適切な意思決定が可能となります。
課題を早期に発見し、改善できる
KPIを継続的にモニタリングすれば、選考フローにおけるボトルネックを早期に発見できます。
たとえば、書類選考の通過率が著しく低い、一次面接後の辞退が多い、といった異常値は、採用プロセスのどこに改善の余地があるかを明確に示します。
数値の異常から課題を可視化し、即時に改善施策を講じることで、PDCAサイクルを迅速に回せ、採用活動全体の質を向上させることが可能になります。
リソース配分を最適化できる
採用活動には限られた人員、時間、予算が投入されるため、リソースの効率的な配分が大切です。
KPIを活用することで、どの媒体や選考工程が最も時間や費用を要しているかを明らかにできます。
特定の求人媒体からの応募者の質が高い、または面接調整に過剰な工数がかかっているといった状況を把握すれば、改善の優先順位を客観的に決定できるようになります。
これにより、無駄な出費や作業を抑えられ、効率的な採用運用につながります。
関係者間で状況を共有しやすくなる
採用KPIは、部門間の共通言語としても機能します。
人事担当者と現場の責任者、経営陣など、関係者が同じ数値データを基に状況を把握すれば、認識のズレが生じにくくなります。
全員が「どの指標が良好か」「現在どの段階に問題があるのか」を同じ視点で共有できるため、採用に関する意思決定や連携がスムーズになります。
このようにKPIは、組織内の情報伝達を支えるインフラの役割も果たします。
データに基づき戦略を強化できる
KPIの蓄積データを分析することで、採用活動の傾向や成功パターンを見出せます。
たとえば、ある属性の応募者が高い定着率を示す、または特定の媒体経由の候補者が内定率が高いといった傾向は、戦略の再構築に役立ちます。
数値に裏付けされたインサイトをもとに採用手法やターゲット像を見直すことで、より成果の出やすい採用計画を策定することが可能となるでしょう。
採用KPIを設定する手順は?
採用KPIを効果的に設定するためには、ゴールから逆算して設計する視点が欠かせません。
最終的な目標であるKGIを明確にし、採用プロセスを段階ごとに可視化した上で、現実的かつ定量的なKPIを設計していく必要があります。ここからは、実務で活用できる具体的なステップを6つに分けて解説します。
① KGIを明確に設定する
KPIの設計は、採用活動のゴールであるKGI(Key Goal Indicator)を数値で具体化するところから始まります。
KGIは「何を、いつまでに、どれだけ達成したいか」を示す指標であり、具体的には、「6ヶ月以内に営業職を5名採用する」「今年度中に新卒を30名内定させる」などといった目標が該当します。
事業計画や組織戦略と連動した現実的な目標を設定することが大切です。
KGIが曖昧だと、KPIも具体性を欠き、的確な運用が困難になります。
② 採用プロセスを可視化し分解する
KGIを達成するために必要な採用フローを細かく分解して可視化します。
一般的には、募集・応募・書類選考・面接・内定・入社といったステップに分かれますが、自社のフローに即して工程を洗い出します。
そのうえで、各フェーズごとに「応募数」「通過率」「面接所要日数」など、定量的に測れる指標を設定する準備を整えましょう。
プロセスを分解することで、KPIを設定すべき箇所が明確になります。
③ 歩留まり率の目安を把握し、目標値を設定する
各工程の通過率(歩留まり率)の目安を把握し、それに基づいた目標値を設定します。
現状の通過率の基準がわからない状態で目標を立てても、現実離れした数値になりやすいためです。
過去の自社データや業界平均を参考に、書類通過率や面接通過率の基準を確認した上で、少し背伸びすれば届く水準に目標を定めます。
根拠のある目標値を置くことで、進捗の良し悪しを客観的に判断できるようになるでしょう。
④ 採用チャネルごとに選考フローとKPIを分ける
採用経路(チャネル)ごとに、選考フローとKPIを分けて設定することも大切です。
求人媒体、人材紹介、スカウトなど、チャネルによって選考の開始地点や通過率の傾向が大きく異なるためです。
たとえば、求人媒体なら書類通過率、スカウト型ならメールの返信率といったように、経路ごとの特性に合わせて重要指標を設定します。
全体を一律の数値で管理せずチャネルごとに細分化することで、強化すべき経路や課題がより正確に分析できます。
⑤ KPIツリーを作成し、KGIから逆算する
各KPIがKGIの達成にどう貢献するかを整理し、全体の構造を見える化する「KPIツリー」を作成します。
KPIがKGIと結びついていないと、途中の目標だけを達成しても最終的な採用人数に届かない恐れがあるためです。
たとえば、営業職5名の採用(KGI)に対し、必要な面接通過数や応募数を逆算してツリー状に配置していきます。
構造化することで、関係者にも採用プロセス全体の見通しを説明しやすくなります。
⑥ SMARTの法則で妥当性を検証する
設定したKPIが「SMARTの法則」を満たしているかをチェックします。
SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限の明確性)の5要素を指します。
たとえば、「応募者数を増やす」では曖昧すぎますが、「来月末までに応募者数を100名にする」であればSMARTなKPIになるでしょう。
この5つの観点でKPIを見直すことで、実行性の高い目標へと精度を高められます。
採用KPI運用のポイントと注意点は?
採用KPIは一度設定したら終わりではなく、継続的なモニタリングと改善があってこそ、真に意味のある指標として機能します。
以下に、採用KPIを適切に運用するためのポイントと注意点を解説します。
定期的なモニタリングで素早く対処する
KPIは設定するだけではなく、採用活動の進行中に定期的にモニタリングする必要があります。
採用終了後にまとめて評価しても、その時点ではプロセス上の改善ができません。
リアルタイムで数値の推移を確認し、応募数や通過率、面接辞退などに異常があれば、その都度原因を分析し、即座に対策を講じることが求められます。
こうしたサイクルを継続していくことで、採用の現場での判断が素早くなり、機会損失や無駄な工程の発生を防げます。
KPIは、まさにPDCAサイクルを回すための起点です。
KPIを必要に応じて更新・調整する
採用市場の変化や社内の人材ニーズの見直しにより、設定したKPIが実情に合わなくなることもあるでしょう。
そのため、KPIは定期的に振り返り、必要があれば指標や目標値を見直す柔軟性が大切です。
市場の競争が激化して応募者が集まりにくくなった場合や、採用フローの改善によって面接通過率が変化した場合などは、従来の基準のままでは現場が苦しむことになります。
過去のデータや業界平均なども参考にしつつ、実態に即したKPIへと適宜調整する姿勢が、KPIを形骸化させないためのポイントです。
KPIの数値達成を目的化しない
運用上の注意点として、KPIの数値達成そのものを最終目的にしないという意識を持つことが挙げられます。
数値はあくまで採用プロセスの進捗を測る手段であり、本来の目的は、自社に合う人材の採用です。
目標数値をこなすことばかりに気を取られると、採用の質が二の次になるリスクがあります。
何のための指標なのかを常に振り返る姿勢が、KPIを正しく活用するためのスタンスとなります。
採用KPIの運用で陥りやすい失敗は?
KPIの運用方法を間違えると、現場の混乱や採用活動の質の低下を招くことがあります。
事前に押さえておきたい、運用時に陥りやすい3つの失敗例を解説します。
目標設定が高すぎる
達成が困難な高すぎる数値を目標に設定してしまうと、担当者の意欲を下げてしまう失敗につながります。
過去の実績や現在のリソース、市場の状況を無視して、施策の裏付けがないまま「昨年の倍の応募数」などを設定するケースがこれにあたります。
現実離れした目標は現場を疲弊させ、計画通りに動けない原因となってしまうでしょう。
手が届く現実的な数値を設定し、達成感を得ながら段階的に引き上げていくアプローチが有効です。
「数値」を追うことが目的化してしまう
現場の運用で起こりやすいトラブルとして、数値目標を埋めるためだけの行動をとってしまうケースが挙げられます。
担当者がKPIの達成状況だけで評価されるような環境下では、質よりも量が優先される危険性があるためです。
たとえば、面接実施数のノルマをクリアするために、明らかに自社の要件を満たさない候補者まで面接に呼んでしまうといった事態が発生してしまいます。
このような行動は選考全体の質を落とし、結果的にミスマッチや早期離職を招く原因となります。
現場の面接官と認識のズレが生じてしまう
人事側と現場の面接官との間で、選考基準や目標に対する認識がずれてしまうことも起こりやすい失敗です。
人事が「面接通過率の目標」を優先して選考を進めようとする一方で、現場は「スキルの高さ」を妥協したくないと考え、対立が生じてしまう危険性があります。
認識のズレを放置すると、選考プロセスが停滞し、人事と現場の間に不信感が生まれる要因になります。
KPIを設定する段階で、現場の目線も取り入れて基準をすり合わせておくことが重要なポイントです。
採用KPIの運用で失敗を回避する方法
前述したような失敗は、運用ルールや仕組みの工夫で防ぐことが可能です。
データに基づく目標設定を中心に、失敗を回避するための4つの方法を解説します。
過去データに基づいて数値を設定する
現実的な目標を設定し、現場の納得感を高めるには、客観的な過去データに基づいて数値を決める方法が有効です。
勘や勢いだけで目標を立てると、高すぎる目標設定による現場の疲弊を招くためです。
自社の過去の通過率や採用単価の実績、業界の平均値などを参考に、無理のない範囲で基準となる数値を算出します。
根拠のあるデータをもとに設定されたKPIであれば、現場への説明もしやすくなるでしょう。
質のKPIもセットで設定する
量の目標だけを追い求めてミスマッチを起こさないために、質のKPIもセットで設定して両面から評価する手法が役立ちます。
応募数や面接実施回数といった量的な指標に加えて、ターゲット層の応募割合や入社後の定着率といった指標を組み合わせます。
量と質の両方を見ることで、自社の要件を満たさない候補者を無理に通過させるといった行動を防げます。
両面の指標を持つことが、健全な採用活動の維持につながるでしょう。
設定段階で採用チーム全体と合意形成を行う
人事と現場の認識のズレを防ぐには、KPIを設定する初期段階で採用チーム全体と合意形成を行うことが重要です。
配属先のマネージャーや面接官が、設定された目標値や選考基準に納得していないと、実際の選考プロセスがスムーズに進まないためです。
KPI案をもとに現場と議論を交わし、基準が現実的かどうかをすり合わせて微調整をおこないます。
全員が納得した数値を持つことで、採用活動が全社的なプロジェクトとして円滑に進行しやすくなるでしょう。
KPIの集計と共有を仕組み化する
KPIのモニタリングを途絶えさせないためには、数値の集計と共有を仕組み化して手間を省くことが効果的です。
手作業での集計に時間がかかると、リアルタイムでの進捗確認が滞り、迅速な改善行動がとれなくなるためです。
採用管理システム(ATS)や表計算ツールを活用し、応募数や通過率が自動でグラフ化されるような環境を整えます。
誰でも常に最新の数値を確認できる状態を作ることで、継続的なKPI運用が無理なくおこなえるようになります。
採用KPIの具体例と使い方は?
代表的な採用KPIを把握しておくと、自社の採用活動でどの指標を追うべきかが明確になります。
ここでは多くの企業で利用される指標を取り上げ、採用プロセスのどの段階で役立つのか、どのように改善へつなげるのかを解説します。
【応募数・チャネル比率】集客の状況をチェックする
採用活動の入口となる母集団形成の状態を把握するため、媒体ごとの応募数やチャネル別の比率を指標として用います。
入口の集客がうまくいかないと、その後のすべての選考工程に影響が出てしまいます。
媒体ごとの応募者数を比較して費用対効果を測ったり、特定のチャネルに依存しすぎていないかを確認したりする際に活用しましょう。
応募が伸び悩んでいる場合は、求人の掲載時期や訴求ポイントを見直す手がかりとなります。
【各選考の通過率】プロセスのスムーズさを測る
書類選考、一次面接、最終面接といった各工程の通過率は、選考プロセスがスムーズに流れているかを測る指標となります。
どの工程がボトルネックとなり、候補者の離脱を招いているかを見極められるようになります。
たとえば、書類通過率が極端に低い場合は応募条件の設定が厳しすぎる可能性があり、逆に高すぎる場合はフィルタリングが適切に機能していないと推測できるでしょう。
通過率の偏りを観察することで、優先して改善すべき工程が明確になります。
【内定承諾率や採用単価】最終的な効率と質を測る
採用活動の成果に近い部分を評価するため、内定承諾率や1人あたりの採用単価といった指標を用います。
最終的な効率や、候補者に対する動機付けが適切に行われていたかを振り返れるようになります。
内定承諾率が低い場合は、選考中のフォロー体制や提示している労働条件の魅力に改善の余地があると判断できるでしょう。
こうした最終段階の指標から得られた分析結果は、翌年以降の採用戦略をより良くするためのデータとして生かされます。
適切なKPI設定で採用力を向上させよう
採用KPIは採用活動をデータによって可視化し、継続的な改善を促す強力な指標です。
KGIと連動させて正しく設計・運用することで、人事担当者は効率的かつ効果的に採用目標を達成できます。
数値に裏付けられたKPI管理を通じて、組織の採用力向上につなげていきましょう。
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