• 更新日 : 2026年6月15日

社員寮の寮費・家賃相場はいくら?企業が知るべき設定ルールと非課税の計算について解説

Point寮費の相場はいくら?

社員寮の寮費相場は、周辺家賃の20〜50%が一般的です。

  • 福利厚生としての魅力と非課税ラインを両立
  • 賃貸料相当額の50%以上徴収で非課税
  • 光熱費は社員の実費負担が原則

Q. 寮費が安すぎると課税される?

A. 国税庁の賃貸料相当額の50%未満だと給与課税されます。

会社の寮費相場はいくらが適切か

寮費と家賃の違いや、社員寮の初期費用、光熱費の負担割合はどうすべきか

上記のようにお悩みの方もいるでしょう。

社員寮の寮費相場は周辺家賃の20〜50%が平均です。これは、福利厚生としての魅力向上と、給与課税されない非課税ラインを満たす必要があるためです。

本記事では、税務ルールや費用の負担区分、トラブルのない社宅制度について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

会社が提供する社員寮の寮費・家賃相場

社員寮・社宅の提供は、従業員の生活を支援する強力な福利厚生のひとつです。家賃設定には法的な下限が存在するため、相場感だけでなく税務上のルールも考慮する必要があります。

企業と従業員の双方が納得できる負担割合を決定することが、制度を長続きさせるポイントです。

一般的な社員寮の寮費相場は通常家賃の20〜50%

企業が提供する社員寮の寮費相場は、周辺の一般的な賃貸物件の家賃の20%〜50%程度に設定されることが一般的です。従業員の生活支援という福利厚生の目的を果たすためには市場価格よりも安価に設定して経済的メリットを出す必要があり、税務上の非課税ラインの基準も影響しているためです。

たとえば、周辺相場が月額7万円の単身用アパートを借り上げ社宅とする場合、社員の自己負担額を1万5千円〜3万5千円程度に設定する企業が多く見られます。周辺相場から大きく逸脱しない範囲で、20〜50%を社員負担の相場目安とするのが妥当と言えるでしょう。

社員寮の家賃の平均的な決め方

寮費の平均的な決め方は、大きく分けて、以下の2つのパターンに分かれます。

Point寮費の決め方
  • 一律定額制
  • 給与・役職に応じた割合負担制

若手社員の生活補助を目的とする場合は一律で安く設定し、中堅以上の社員に対しては公平性を保つために給与に応じた負担額にするなど、企業ごとの人事戦略に合わせる必要があるためです。

「新入社員は入社後3年まで月額1万円」とする定額制や、「家賃の上限を8万円とし、そのうちの30%を社員が負担する」といった割合制で定める企業があります。

自社の福利厚生の目的や対象となる社員の層に合わせて、負担の決め方を選択することが重要です。

寮費と家賃の違いとは?

「家賃」は物件の賃貸借契約に基づく部屋の利用料そのものを指すのに対し、「寮費」は家賃に加えて光熱費や食事代、管理費などが含まれた総称として使われることが多いです。

一般の賃貸アパートと異なり、社員寮では食堂の利用や共有スペースの維持管理など、居住以外のサービスが含まれるケースがあるためです。

「寮費無料」と記載されている求人でも、部屋の家賃部分は無料であっても、毎月の光熱費や食費は実費で給与から天引きされるパターンが存在します。

社宅規程を定める際や従業員に説明する際には、「寮費」にどこまでの費用が含まれているかを明確に定義する必要があります。

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給与課税されないための会社の寮費の計算方法

会社が社員から受け取る寮費が安すぎると、その差額が「給与」とみなされ所得税が課税されます。

課税を避けるためには、国税庁が定める基準を満たす額を社員から徴収しなければなりません。

一般社員と役員とでは、適用される計算式やルールが異なる点にも注意が必要です。

国税庁が定める賃貸料相当額とは?

「賃貸料相当額」とは、会社が社員に社宅や寮を貸与する際、最低限徴収すべき家賃の基準として国税庁が定めている法定額のことです。無料または著しく低い家賃で社宅を貸与すると、社員が経済的利益を得たことになり、課税の公平性を保つためにこれを現物給与として扱う必要があるためです。

賃貸料相当額は、その年度の建物の固定資産税の課税標準額や敷地の固定資産税の課税標準額などを用いて算出されます。

参考:No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁

税務トラブルを防ぐために、物件ごとにこの賃貸料相当額を正確に算出しておきましょう。

一般社員の寮費計算方法

一般社員に社宅を貸与する場合、算出した賃貸料相当額の50%以上を社員から徴収していれば、給与として課税されません。国税庁の通達により、賃貸料相当額の半額以上を従業員が負担していれば、経済的利益の供与はないとみなされるためです。

賃貸料相当額が月額2万円と計算された場合、社員から月額1万円以上の寮費を徴収していれば非課税となります。もし5,000円しか徴収していない場合、差額の1万5,000円が給与所得として課税対象になる点に注意が必要です。

一般社員向けの寮費は、最低でも「賃貸料相当額の50%」を下回らないよう設定しましょう。

役員の寮費計算方法

役員に社宅を貸与する場合、一般社員の「50%ルール」は適用されず、物件の規模や所有形態によって厳密な計算式を用いて賃貸料相当額を算出し、その全額を徴収する必要があります。役員は一般社員よりも優遇されやすいため、税務上の取り扱いが厳格に定められており、より実勢家賃に近い額を基準とする必要があるためです。

他から借り受けた住宅を「小規模住宅でない社宅」として役員に貸与する場合、「会社が家主に支払う家賃の50%の金額」と「所定の計算式による賃貸料相当額」のいずれか多い金額が賃貸料相当額となります。

参考:No.2600 役員に社宅などを貸したとき|国税庁

役員社宅の家賃設定は税務調査でも指摘を受けやすいポイントであるため、顧問税理士と連携して正確な額を設定しましょう。

寮費以外にかかる費用

社宅運用では、毎月の寮費以外にも様々な付帯費用が発生します。敷金・礼金、光熱費、インターネット代など、どの費用を会社が負担し、どれを社員負担とするかを取り決める必要があります。

費用の負担区分を明確にしておかないと、後々社員との間でトラブルに発展するリスクがあります。

敷金・礼金

借り上げ社宅を契約する際に発生する敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用は、会社側が全額負担するのが一般的です。契約の名義人は法人であり、業務命令に伴う転居や福利厚生の一環として提供される性質上、社員に初期費用を負担させるのは適切ではないとみなされるためです。

初期費用が家賃の3〜4ヶ月分かかる場合でも全額を会社が支払い、社員には引越し費用の一部を補助する形で規定を設けている企業が多く見られます。採用時の魅力付けのためにも、入居時の障壁となる初期費用は会社負担としておくとよいでしょう。

家賃・光熱費・水道代

光熱費や水道代は、会社が負担するのではなく「社員個人の実費負担」とするのが原則です。光熱費は個人のライフスタイルによって使用量が大きく異なり、これを会社が負担してしまうと特定の社員だけが過剰な経済的利益を得ているとみなされ、給与課税の対象となる可能性があるためです。

ワンルームの借り上げ社宅では、社員個人が電力会社や水道局と直接契約を結び、各自で支払う形態をとるのが最もトラブルが少ない方法です。

家賃は給与から天引きし、光熱費等は個人契約・実費負担として切り分けることで、公平かつ適切な運用が可能になります。

なお、給与天引きにする場合は実際の検針量に基づく実費分を控除する必要があり、「光熱費込みで一律〇〇円」という形では光熱費分が給与課税とされる可能性があります。

インターネット費用

インターネット費用や退寮時の清掃費についても、事前に社宅規程で負担割合を明記しておく必要があります。近年インターネットは必須のインフラですが通信速度への要望は個人差が大きいためです。また退寮時の清掃費や故意による修繕費は、誰の責任によるものかという点で揉める可能性があります。

インターネットは「無料Wi-Fi完備物件を会社が選定する」か「回線契約は個人で行う」のどちらかに統一しましょう。退寮時のハウスクリーニング代については、「通常損耗は会社負担、故意・過失による損傷は社員の全額自己負担」と規定するのが一般的です。

曖昧になりがちな付帯費用の負担ルールを明確化し、入居時に書面で合意をとっておくことが重要です。

企業が社員寮を導入するメリットとデメリット

社員寮の導入には、コストをかけるだけの大きな組織的メリットがあります。一方で、導入後に担当者が直面しやすい特有のデメリットや課題も存在します。メリットとデメリットの両面を理解した上で、自社に合った運用方法を検討する必要があります。

社員寮導入のメリット

社員寮最大のメリットは、遠方からの人材獲得を容易にし、社員の生活水準を向上させることで離職を防げることです。とくに若手社員にとって家賃負担は生活費の多くを占めるため、社宅制度によって可処分所得が増えることは、給与のベースアップと同等かそれ以上の魅力に映ります。

「社宅完備・初期費用無料」と求人に記載することで地方からの応募者が増加したり、住環境が安定することで入社3年以内の離職率が低下したという企業の事例は多数あります。社員寮への投資は、単なるコストではなく、採用と人材定着のための投資として捉えるとよいでしょう。

社員寮導入のデメリット

社員寮導入の主なデメリットは、物件の手配・契約更新といった総務の業務負荷増大と、社員間のトラブル対応です。借り上げ社宅の数が増えるほど不動産会社との折衝・給与天引きの計算・入退去の手続きなど煩雑な事務作業が増加し、集合寮タイプでは騒音や生活態度を巡るクレームが発生しやすいためです。

春の異動シーズンに大量の入退去が重なり人事担当者が疲弊するケースや、共有スペースの使い方を巡るトラブルの仲裁に会社が巻き込まれるケースが挙げられます。

社員寮制度は強力な福利厚生ですが、運用には相応の人的リソースとトラブル対応への備えが必要であることを認識しておく必要があります。

トラブルを防ぐための社宅規程の作り方

社宅制度を円滑に運用するためには、ルールを明文化した「社宅規程」を策定しましょう。対象者の条件や入居期間の制限が曖昧だと、社員間の不公平感やトラブルの原因になるためです。

対象者の条件として年齢・勤続年数・通勤距離などを明確にし、入居期間の制限として「入社から5年まで」「30歳まで」などを設けることで、社宅の長期占有を防げます。

また、退寮時の原状回復や寮費の滞納への対応、無断での同居禁止といった事項もあらかじめ規程に盛り込んでおくことが重要です。規程はあらかじめ社員に周知し、入居時に書面での合意を得ることで、後々のトラブルを未然に防げます。

手間なく適切な社員寮運営を行うためのポイント

社員寮の運用を成功させるためには、自社だけで全てを抱え込まない仕組み作りが重要です。社員の満足度と企業の負担のバランスを常に最適化する必要があります。

外部リソースを有効活用することで、本来の人事・経営課題に集中できる環境を整えましょう。

近隣家賃や給与水準とのバランスを考慮する

寮費を設定する際は、物件の近隣相場と社員の給与水準のバランスを定期的に見直すことが重要です。寮費が相場より高ければ福利厚生としての意味をなしません。反対に安すぎると、会社の財政を圧迫したり一部の社員だけが優遇されているという不満を生む原因になります。

会社の業績や地域ごとの家賃相場の変動に合わせて、「数年に一度、負担割合や上限額を見直す」という条項を社宅規程に盛り込んで運用する企業が増えています。制度を作って終わりにせず、時代の変化や社員の生活実態に合わせた柔軟なバランス調整が求められます。

外部委託サービスを活用する

社員寮にまつわる煩雑な業務を手間なく回すための最善策は、社宅管理代行サービスの活用です。

以下を専門業者にアウトソーシングすることで、人事・総務担当者の業務負荷を大幅に削減できるからです。

  • 物件探し
  • 賃貸借契約
  • 支払いの代行
  • 入退去時の原状回復トラブルの窓口 など

全国の物件を網羅した代行会社を利用することで複数エリアでの社宅手配が一本化され、担当者は毎月送られてくる支払いデータを給与計算システムに取り込むだけで済むようになります。

管理戸数が増えてきた段階、または導入の初期段階から外部委託を検討することで、企業はリスクを抑えつつ社員寮のメリットだけを享受できます。

社宅管理の効率化を検討されている企業には、マネーフォワードクラウド福利厚生賃貸の活用もご検討ください。物件手配から費用管理まで一元化し、担当者の負担を大幅に軽減できます。


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