• 作成日 : 2026年5月7日

新卒一括採用とは?メリット・課題・成功させるポイントを解説

Point新卒一括採用とは?

新卒一括採用は、卒業予定者を一定時期にまとめて採り、入社後に育成しやすい採用方式です。

  • 育成、配属を設計しやすい
  • 比較評価しやすい
  • 早期化や専門性対応が課題

見直しが進む理由は、人材確保の難化と、通年・職種別採用が必要な場面が増えているためです。

新卒一括採用は、日本の採用活動で広く使われてきた方式ですが、近年は通年採用や中途採用、職種別採用との違いを踏まえて見直される場面も増えています。「なぜ今も行われているのか」「どんな課題があるのか」「自社には合うのか」と疑問を持つ人事担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、新卒一括採用の特徴、企業が導入する理由、見直しが進む背景に加え、成功のポイントなどを解説します。

目次

新卒一括採用とは?

新卒一括採用は、卒業予定者を一定時期にまとめて採用する方式です。採用の違いは時期だけではありません。誰を対象にし、何を重視して採るのかを比べると、通年採用・中途採用・職種別採用との違いが整理しやすくなります。

新卒一括採用は卒業予定者をまとめて採用する方式

新卒一括採用は、卒業予定者を同じ時期にまとめて募集・選考し、入社時期もそろえやすい採用方式です。日本では定期採用の代表的な形であり、卒業から入社までの流れが連続しやすい点に特徴があります。

この方式では、応募者の職務経験そのものより、ポテンシャル、適性、学習力、組織へのなじみやすさなどを見ながら採用する傾向があります。企業側にとっては、新入社員研修や初期配属をまとめて設計しやすく、若手人材を計画的に育てやすい点が大きな特徴です。いわば、入社時点で完成した人材を求めるというより、入社後の育成によって戦力化していく考え方と結び付きやすい採用形態です。

他の採用形式と比較して表にまとめました。

採用形態 主な対象 評価の中心
新卒一括採用 卒業予定者(新規学卒) ポテンシャル、適性、学習力
通年採用 新卒・既卒・経験者など 即戦力性と適性
中途採用 就業経験者 職務経験、スキル、成果
職種別採用 特定職種に合う人材 職務適性、専門性
広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

住居に関する福利厚生が採用を救う 採用改善ガイドライン

住居に関する福利厚生が採用を救う

人材確保は多くの企業にとって大きな課題ですが、そんな中にあっても順調に採用を進め、人材を定着させている企業も存在します。では人材確保がうまくいかない企業の場合、その原因はいったいどこにあるのでしょうか。

3つの原因と、それを解決する福利厚生の具体的な内容まで、採用に役立つ情報を集めた資料をご用意しました。

無料ダウンロードはこちら

入社手続きはオンラインで完結できる!

入社手続きはオンラインで完結できる!

入社手続きでは従業員情報の収集や契約書締結など多くの作業が発生しますが、これらはすべてWeb上で完結できることを知っていますか?

入社手続きをオンライン化する方法を、分かりやすく解説します。

無料ダウンロードはこちら

内定後のフォロー 簡単まとめ

内定者へのフォローアップは、採用活動における重要なプロセスです。 本資料は「内定後のフォロー」について、簡単におまとめした資料です。

ぜひダウンロードいただき、貴社の取り組みの参考としてご活用ください。

無料ダウンロードはこちら

試用期間での本採用見送りにおける、法的リスクと適切な対応

試用期間中や終了時に、企業は従業員を自由に退職させることができるわけではありません。

本資料では、試用期間の基本的な概念と本採用見送りに伴う法的リスク、適切な対応について詳しく解説します。

無料ダウンロードはこちら

企業が新卒一括採用を行う理由は?

企業が新卒一括採用を行う理由は、未経験者をまとめて採用し、入社後に育成しながら戦力化する人材運用と結び付きやすいからです。採用、研修、配属までを一連の流れとして設計しやすく、毎年の採用実務も標準化しやすい点が背景にあります。

企業内育成と配置転換を前提にした運用と合う

新卒一括採用は、訓練可能性の高い若手人材を採用し、社内で育成しながら活躍の幅を広げていく運用と相性がよい方式です。入社時点では職務経験がなくても、企業内訓練や実務経験を通じて育てていけるため、将来の配置転換も見据えた人材確保がしやすくなります。

この方式では、採用時に特定の仕事だけに固定しない「メンバーシップ雇用」により、組織全体のなかで役割を調整しながら育てる考え方を取りやすいメリットがあります。企業にとっては、現時点の完成度よりも、学習力や適応力を見て採用し、その後の育成で戦力化できる点が採りやすさにつながります。

採用から育成までを年度単位で実装しやすい

新卒一括採用は、採用だけで完結する方式ではなく、受け入れ後の育成まで含めて設計しやすい点が理由の一つです。未経験者を採る以上、入社後には基礎研修やOJTが必要になりますが、入社時期がそろっていれば、それらを一斉に実施しやすくなります。

新入社員研修、配属前教育、現場受け入れの準備を年度単位で組み立てることができるため、社内の教育担当者や現場の負担も見通しを立てやすくなります。結果として、採用計画と育成計画を切り離さず、一体で運用しやすい仕組みになります。

採用実務の標準化と比較評価がしやすい

新卒一括採用では、同じ学年の応募者を近い時期に扱うため、選考フローをそろえやすいという特徴があります。説明会、書類選考、面接、内定までの流れを定型化しやすく、採用担当者にとって毎年の運用を継続しやすくなります。

また、同時期に集まった応募者を比較しながら評価できるため、選考基準を一定に保ちやすい点も理由です。採用市場の状況は年ごとに変わりますが、企業側は大きく仕組みを崩さずに採用活動を続けやすく、実務面でも扱いやすい採用方式といえます。

新卒一括採用の見直しが進む理由は?

新卒一括採用の見直しが進む理由は、労働力人口の減少や採用競争の変化により、従来の一律な採用設計だけでは対応しにくくなっているからです。加えて、学生の就職活動の時期や働き方の価値観も多様化し、企業側にも採用ルートや評価方法の見直しが求められる場面が増えています。

若手人材の確保が難しくなり従来型だけでは採り切れなくなっている

新卒一括採用の見直しが進む大きな理由の一つは、若手人材そのものの確保が難しくなっていることです。少子化が進むなかで、企業は限られた学生を取り合う状況になっており、これまでのように同じ時期にまとめて募集すれば十分に採れるとは限らなくなっています。

企業は新卒一括採用だけに頼るのではなく、通年採用や既卒者の受け入れ、インターンシップ経由の接点づくりなど、複数の採用ルートを組み合わせる方向に動きやすくなっています。従来型の入口を維持しつつ、取りこぼしを減らす必要が生じていることが見直しの背景です。

就職活動の早期化と長期化が企業にも学生にも負担をかけやすい

新卒一括採用は時期をそろえて運用しやすい反面、就職活動が早期化しやすく、長期化もしやすいという課題があります。企業は早い段階から学生との接点を持とうとし、学生側も長い期間にわたって情報収集や選考対応を行うことになりやすいです。

この状態が続くと、学生にとっては学業との両立が難しくなりやすく、企業にとっても説明会、面接、フォローの期間が長引きます。結果として、採用活動全体の負荷が高まり、従来の一括採用の運用をそのまま続けることに無理が出やすくなっています。

専門性や職務適性を見たい場面が増えている

見直しが進むもう一つの理由は、企業が求める人材像が変化していることです。従来の新卒一括採用では、人物面や将来性を中心に評価しやすい一方で、特定分野の専門性や職務との適合を十分に見極めにくい場合があります。

職種ごとに必要な知識やスキルが明確になってきた企業では、職種別採用やジョブ型に近い考え方を取り入れる動きが強まっています。学生側も、入社後にどのような仕事をするのかを具体的に知りたい傾向があり、企業は一括採用だけではなく、仕事基準で採る仕組みを組み合わせる必要が出てきています。

新卒一括採用を成功させるポイントは?

新卒一括採用を成功させるには、採用の入口だけでなく、評価基準、仕事理解、入社後の受け入れまでを一つの流れとして設計することが欠かせません。

評価基準をそろえて選考のぶれを減らす

新卒一括採用を成功させるには、面接官ごとの判断の差を小さくし、応募者を同じ基準で見られる状態をつくることが大切です。評価項目があいまいなままだと、印象や相性に左右されやすく、採用の再現性が下がります。

そのため、学習力、協働性、主体性など、自社が見たい項目を先に定め、質問内容や評価の観点をそろえておく必要があります。誰を採るべきかが言語化されていれば、比較評価がしやすくなり、採用後の振り返りにもつなげやすくなります。

仕事や職場の実態を早い段階で伝える

新卒一括採用では、応募者が仕事内容を十分に理解しないまま入社すると、配属後のギャップが大きくなりやすいです。採用を成功させるには、企業の魅力だけでなく、仕事の大変さや課題なども含めた実際の業務内容、働き方、求められる役割を具体的に伝えることが欠かせません。

説明会、面談、インターンシップ、社員面談などを通じて、入社後のイメージを持てるようにすると、応募者自身も合うかどうかを判断しやすくなります。その結果、内定辞退や早期離職の抑制につながりやすくなります。

受け入れと育成まで含めて採用を設計する

新卒一括採用は、採用した時点で終わるものではありません。未経験者を採る以上、入社後の研修、配属、OJT、フォローまで設計されていてはじめて成果につながります。ここが弱いと、採用人数を確保しても戦力化や定着に結び付きにくくなります。

また、内定を出してから入社までの数ヶ月から1年近くの期間、個別フォロー等の体制づくりも整えることで、内定者の不安を軽減させることで、内定辞退の発生を防ぎます。現場と連携しながら、入社後にどのように育てるか、誰が支えるか、どの段階でつまずきやすいかまで見込んで準備することが必要です。採用と育成を切り離さずに運用することが、新卒一括採用を成功させる土台になります。

新卒一括採用の流れは?

新卒一括採用は、採用計画の設計から募集、選考、内定、入社受け入れまでを年度単位で進める流れです。政府が示す原則では、広報活動は卒業・修了年度直前の3月1日以降、採用選考活動は6月1日以降、正式な内定日は10月1日以降とされています。

参考:大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期について|厚生労働省

1. 【前年度中】採用計画と募集要件を固める

最初に行うのは、採用人数、求める人物像、配属予定、選考方法を決めることです。新卒一括採用は入社後の育成とセットで動くため、採る基準だけでなく、入社後にどう育てるかまで含めて設計しておく必要があります。ここが曖昧だと、後の母集団形成や面接評価がぶれやすくなります。

2. 【3月1日以降】広報活動とエントリー受付を始める

企業説明会、採用サイト公開、エントリー受付などの広報活動は、原則として卒業・修了年度直前の3月1日以降に始まります。学生に自社を知ってもらい、応募意欲を高める段階であり、募集の入口に当たります。実務では、この時期までに説明会資料や選考導線を整えておく流れが一般的です。

3. 【6月1日以降】書類選考や面接を進める

書類選考、適性検査、面接などの採用選考活動は、原則として6月1日以降に始まります。この段階では、ポテンシャル、適性、学習力、自社との相性を見ながら候補者を絞り込みます。新卒一括採用では応募者数が多くなりやすいため、評価基準をそろえて進めることが流れを安定させます。

4. 【10月1日以降】に正式な内定を出してフォローする

選考を通過した学生には、正式な内定日である10月1日以降に内定を出します。ここで終わりではなく、内定後の面談や情報提供を通じて不安を減らし、入社意欲を維持することが欠かせません。内定辞退を防ぐには、配属や仕事理解につながるフォローまで含めて考える必要があります。

5. 翌年4月の入社に向けて受け入れと育成準備を進める

最後は、翌年4月の入社に向けた受け入れ準備です。入社前課題、新入社員研修、配属準備、現場との連携を進め、採用した人材を早期に立ち上げられる状態を整えます。新卒一括採用は、募集から入社まで長いぶん、採用だけでなく受け入れまで一続きで設計することが成果につながります。

中途採用・職種別採用を行うべきケースは?

中途採用や職種別採用は、新卒一括採用では補いにくい人材ニーズがあるときに有効です。中途採用は経験や実務遂行力を早く取り込みたい場面に向き、職種別採用は担当業務を明確にしたうえで適した人材を採りたい場面に向きます。

【中途採用】即戦力を早く確保したい場合

中途採用を行うべきなのは、欠員補充や事業拡大、新規部署の立ち上げなどで、早い段階から実務を担える人材が必要な場合です。新卒一括採用は育成を前提にした採り方であるため、入社直後から高い専門性や実務経験を求める場面には向きにくいことがあります。

経理、法務、労務、営業マネジメントのように、一定の実務経験がある人のほうが立ち上がりが早い職種では、中途採用のほうが適しています。現場がすぐに成果を求められている状況では、経験者を採用したほうが教育負担を抑えやすく、事業スピードにも合わせやすくなります。

【職種別採用】配属先や仕事内容を明確にして採りたい場合

職種別採用を行うべきなのは、入社後に担当してもらう業務がある程度固まっており、必要な適性や専門性も明確になっている場合です。新卒一括採用の総合職型では、入社後に配属を決めることが多いため、応募者に仕事内容を具体的に示しにくいことがあります。

エンジニア、デザイナー、マーケター、経理など、職務内容が比較的明確な職種では、職種別採用のほうが適しています。企業側は必要な能力を見極めやすく、応募者側も自分がどの仕事に就くのか理解しやすいため、入社後の認識のずれを抑えやすくなります。

新卒一括採用だけでは採り切れない場合に組み合わせるとよい

中途採用や職種別採用を行うべきケースは、新卒一括採用だけでは必要な人材を十分に確保できない場合です。若手の母集団形成が難しいときや、専門職の採用競争が強いとき、あるいは配属後のミスマッチを減らしたいときには、採用方法を分けて考える必要があります。

組織全体で育てる人材は新卒一括採用、すぐに成果を求める人材は中途採用、仕事内容を明確にして適合度を高めたい人材は職種別採用、と役割を分ける考え方が有効です。

自社に合う採用方式を見極めて設計しよう

新卒一括採用は、未経験者をまとめて採用し、入社後の育成や配置転換を通じて戦力化しやすい採用方式です。一方で、若手人材の確保難、就職活動の早期化・長期化、専門性を重視する採用ニーズの高まりを背景に、見直しも進んでいます。育成前提で広く採る場面は新卒一括採用、即戦力が必要な場面は中途採用、仕事内容を明確にして採りたい場面は職種別採用というように、採用目的に応じて使い分ける視点が欠かせません。自社の人材戦略に合った採用設計が、採用の成果を左右します。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事