• 更新日 : 2026年5月11日

【25選】独立するなら何の仕事?独立しやすい資格と方法を解説

Point独立するなら?

自分の強みや生活スタイルに合う仕事を選ぶのが近道です。

  • 資格を活かす仕事:税理士や社労士など独占業務で安定を狙う
  • スキルで戦う仕事:ITエンジニアやWebデザインなど実績で勝負
  • 経験を形にする仕事:美容師や飲食業など現場の技術で店舗を持つ

独立する仕事を決めるには、国家資格の有無や場所を選ばない働き方、あるいは積み上げた実務経験など、自分が無理なく継続できる分野から検討を始めるのがおすすめです。

仕事における独立とは、企業に雇用されず自分の判断と責任で事業を営む働き方です。資格を取って士業として開業する道もあれば、飲食店や建設業のように下積みで経験を積んでから独立する道もあり、そのかたちは多様です。

独立するなら、有利な資格や必要な資金感を事前に把握しておきましょう。国内のフリーランス人口は約462万人と推計され、独立しやすい仕事や資格を知っておくことで自分に合った開業の道を見つけやすくなります。

目次

仕事における独立とは?意味や会社員との違い

仕事における独立とは、企業や団体に雇用されず、自らの技術やサービスを提供して収入を得る働き方を指します。個人事業主として開業届を提出して始めるケースと、株式会社や合同会社を設立するケースの大きく2つに分かれます。

「フリーランス実態調査結果」によると、フリーランスの働き方を選んだ理由として「自分の仕事のスタイルで働きたいため」が約6割、「働く時間や場所を自由にするため」が約4割でした。独立する意味は収入面だけでなく、自分のペースで仕事を進めたいという動機から選ばれることが多いといえます。

参照:フリーランス実態調査結果|内閣官房日本経済再生総合事務局(令和2年5月)

独立と会社員との違いを整理

会社員は企業と雇用契約を結び、毎月の給与や社会保険有給休暇などの保障を受けます。一方、独立した個人事業主やフリーランスは、収入が成果に連動し、社会保険や年金も自分で手続きしなければなりません。

独立とは自分の裁量で働ける反面、保障は自力で整える必要がある働き方ともいえるでしょう。安定収入を優先するなら会社員が向いているでしょうし、裁量や自由度を優先するなら独立が選択肢になるでしょう。

項目 会社員 独立(個人事業主等)
収入形態 固定給(月給・賞与) 売上に連動(変動あり)
社会保険 会社が半額負担 国民健康保険・国民年金を全額自己負担
税務手続き 年末調整で完了 確定申告が必要
働く時間 就業規則に準じる 自分で決められる
退職金 制度があれば支給 小規模企業共済等で自分で積立

独立の形態(個人事業主・フリーランス・法人設立)

独立の方法は主に、個人事業主(フリーランス)か法人設立の形態があります。個人事業主は税務署に開業届を出すだけで始められ、手続きが最も簡単です。フリーランスは個人事業主の一種で、特定の会社に雇用されず業務委託で仕事を請ける働き方を広く指す言葉です。

法人設立は株式会社や合同会社を設立するもので、社会的信用が得やすい反面、登記費用や決算費用がかかります。

どの形態を選ぶかは、売上規模や取引先の条件、将来の事業拡大の見通しなどによって変わります。独立するなら、まずは小さく個人事業主として始め、年間の売上がおおよそ800万円〜1,000万円を超えてきた段階で法人化を検討する流れが多いようです。

下積みを経て独立する道もある

独立とは、資格を取得してすぐ開業するケースばかりではありません。建設業の職人や料理人、美容師のように、まず現場で何年も経験を積み、技術と人脈を身につけてから独立するルートも広く見られます。たとえば一人親方として建設現場で働く職人は、工務店や先輩の下で技術を学び、信頼を得たうえで独立開業するのが一般的な流れです。

飲食業でも同様で、調理師として飲食店に勤務し、メニュー開発や仕入れ、店舗運営のノウハウをひととおり身につけてから自分の店を構える方が多いでしょう。こうした「修業→独立」のパターンでは、勤務先での実績がそのまま独立後の集客力や信用に結びつくため、下積み期間は将来の経営を支える準備期間ともいえます。

独立するなら自分の業種では何年程度の実務経験が求められるのか、必要な許認可は何かを早い段階で確認しておくと、独立までの計画を立てやすくなるでしょう。

国家資格を活かして独立できる仕事

国家資格を取得して独立する最大のメリットは、「独占業務」があることです。資格保有者でなければ行えない業務があるため、一定の需要が見込め、価格競争に巻き込まれにくいという特徴があります。各資格の独占業務を軸としつつ、実務では関連する幅広い業務も手がけることが一般的です。独立しやすい資格を探しているなら、まずこのカテゴリを検討してみてください。

仕事 仕事内容 国家資格 年収目安 届出・許認可
税理士 税務申告・記帳代行・経営助言 税理士 600万〜1,200万円 税理士登録・開業届
社会保険労務士 労務管理・社会保険手続き 社労士 400万〜800万円 社労士登録・開業届
行政書士 許認可申請・契約書作成 行政書士 300万〜700万円 行政書士登録・開業届
司法書士 登記手続き・相続関連 司法書士 500万〜1,000万円 司法書士登録・開業届
公認会計士 会計監査・コンサル 公認会計士 700万〜1,500万円 公認会計士登録・開業届
一級建築士 建築設計・工事監理 一級建築士 500万〜1,000万円 建築士事務所登録・開業届
電気工事士 電気設備の施工・保守 第一種電気工事士 400万〜700万円 開業届・電気工事業届出
美容師 カット・カラー・スタイリング 美容師免許 300万〜700万円 開業届・保健所届出
柔道整復師 施術・骨盤矯正等 柔道整復師 300万〜600万円 開業届・保健所届出
看護師(訪問看護) 訪問看護ステーション運営 看護師免許 400万〜700万円 指定申請・開業届
介護福祉士 訪問介護事業所の運営 介護福祉士 300万〜500万円 指定申請・開業届

※年収目安は独立後の収入帯の参考値であり、地域・顧客数・経験年数によって大きく異なります。

参照:職業情報提供サイト jobtag|厚生労働省

士業系:独占業務を持つ資格で独立する

税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士、公認会計士といった士業には「独占業務」があり、資格保有者でなければ行えない仕事があります。そのため、資格を取得すれば一定の需要が見込めるのが特徴です。とりわけ行政書士と社労士は、合格後すぐに独立する「即独」をする人も多く、開業のハードルが比較的低いといわれています。

総務省「経済センサス-活動調査」によると、税理士事務所の売上は2012年から2021年にかけて約1.6倍に成長しており、行政書士事務所は同期間で約2倍に伸びています。独立しやすい資格を検討するなら、こうした市場の成長傾向もふまえて選ぶとよいでしょう。

参照:経済センサス-活動調査|総務省統計局

建築・技術系:現場経験と資格で独立する

一級建築士や電気工事士は、設計事務所やゼネコン、電気工事会社で実務経験を積んだのち、自分の事務所や事業を構えて独立するのが一般的です。2024年4月に相続登記が義務化された影響で、住宅のリフォームや建て替え需要が増えており、建築系の独立にも追い風が吹いているといえます。

電気工事士は第二種で一般住宅、第一種でビルや工場の工事まで対応できます。太陽光発電やEV充電設備の設置拡大により今後も安定した受注が見込める分野でしょう。資格を取得して電気工事会社で経験を積み、一人親方として独立するケースが多く見られます。

美容・施術系:免許と下積みで独立する

美容師や柔道整復師は、国家資格を取得後にサロンや施術所で技術を磨き、指名客やリピーターがついた段階で独立する流れが多いでしょう。店舗を構えるには設備投資が必要ですが、近年はシェアサロンや面貸しといった初期費用を抑えた独立方法も広がっています。

医療・福祉系:看護師・介護福祉士で独立する

看護師が独立する代表的なルートは訪問看護ステーションの開設です。在宅医療の需要拡大により、訪問看護ステーション数は2012年の約6,800か所から2023年には約15,700か所へとほぼ倍増しています。ただし開設には常勤換算2.5人以上の看護職員の確保が必要で、一人では始められない点が士業との大きな違いです。

介護福祉士やケアマネジャーの場合は、訪問介護事業所やデイサービスの開設が独立の選択肢になります。都道府県の指定を受ける必要があり、人員基準・設備基準を満たすことが条件です。開業資金や人材確保のハードルはあるものの、高齢化の進展にともない需要は伸び続けている分野です。独立するなら、事業計画に加えて人材確保の見通しも事前に立てておくことが欠かせません。

参照:訪問看護ステーション数 推移|一般社団法人全国訪問看護事業協会

スキル・経験を活かして独立できる仕事

国家資格がなくても、実務経験やポートフォリオ、業界知識を武器に独立できる仕事も数多くあります。勤務先で培ったスキルがそのまま独立後の強みになるため、「資格がないから独立できない」と考える必要はありません。独立するなら、まず自分のキャリアの中でどんなスキルが売りになるかを棚卸ししてみましょう。

仕事 仕事内容 有利な資格・スキル 年収目安 届出・許認可
ITエンジニア システム開発・インフラ構築 基本情報技術者等 500万〜1,000万円 開業届
Webデザイナー Webサイトのデザイン・構築 ポートフォリオ重視 300万〜700万円 開業届
動画編集者 映像編集・YouTube運営支援 編集ソフトのスキル 300万〜600万円 開業届
コンサルタント(IT・人事等) 専門分野の助言・改善支援 PMP・業界経験 500万〜1,200万円 開業届
カメラマン 撮影・レタッチ・納品 ポートフォリオ 250万〜600万円 開業届
翻訳者・通訳 翻訳・通訳サービス TOEIC900点以上目安 350万〜700万円 開業届
飲食店オーナー 調理・店舗運営 食品衛生責任者等 300万〜800万円 開業届・営業許可

IT・Web系:実績とポートフォリオで仕事を獲得する

ITエンジニア、Webデザイナー、動画編集者は実績やポートフォリオがあれば仕事を獲得しやすい分野です。オンラインで受注できるため場所を選ばず、副業から始めて徐々に本業へ移行する人も多いのではないでしょうか。

資格なしで独立するなら、まずは副業やクラウドソーシングで実績をつくり、案件単価を少しずつ上げていくステップが現実的です。ポートフォリオサイトやSNSでの発信も、営業の代わりになるでしょう。

コンサル:専門知識と業界経験で独立する

ITコンサルタントなどは、企業や個人の課題を解決する助言業務が中心です。

コンサルタントとして独立するなら、勤務先での業務経験をそのまま専門分野として打ち出せるのが強みです。セミナー講師やWeb相談との組み合わせで収入を安定させている人もいます。

クリエイティブ・飲食系:現場スキルを自分の事業に変える

カメラマンや翻訳者はクラウドソーシングやSNS経由で仕事を獲得するケースが多く、独立のハードルは比較的低いといえます。一方で単価競争になりやすい面もあるため、得意なジャンルを絞り込んで専門性を打ち出す工夫が求められるでしょう。

飲食店オーナーは調理経験に加えて仕入れ・原価管理・集客のノウハウを身につけておくと、独立後の経営が安定しやすくなります。日本政策金融公庫の「新規開業実態調査」によると、開業費用の中央値は約600万円です。独立するなら、自己資金に加えて公庫の融資や自治体の創業支援補助金なども検討しておくと安心でしょう。

参照:新規開業実態調査|日本政策金融公庫

資格なし・未経験からでも独立しやすい仕事

「資格も専門スキルもないけれど独立したい」という方にも選択肢はあります。特別な資格や長い下積みがなくても、体力や丁寧さ、工夫次第で始められる仕事を紹介します。初期費用が少なく、参入障壁が低い分、サービスの差別化が収入を左右するポイントになるでしょう。

仕事 仕事内容 有利または必須な資格 届出・許認可
軽貨物ドライバー EC荷物・企業配送 普通自動車免許 開業届・貨物軽自動車運送事業届
宅配・フードデリバリー 飲食デリバリー・ラストワンマイル配送 普通自動車免許 or 原付免許 開業届(個人事業の場合)
ハウスクリーニング 住宅・オフィスの清掃 ハウスクリーニング技能士 開業届
家事代行 掃除・料理・買い物代行 整理収納アドバイザー等 開業届
ECショップ運営 ネット通販の仕入・販売 なし 開業届・特定商取引法に基づく表示

軽貨物ドライバー・宅配:車一台で始められる

軽貨物ドライバーは、軽バンやワンボックスカーがあれば始められる独立方法として近年注目されています。EC市場の拡大にともない宅配の荷物量は増え続けており、国土交通省によると2024年度の宅配便取扱個数は約50億個に達しています。運輸支局への届出(貨物軽自動車運送事業経営届出書)と黒ナンバーの取得で開業でき、特別な資格は普通自動車免許以外に必要ありません。

フードデリバリーの配達員も、個人事業主として業務委託で働く形態であれば独立の一形態といえます。ただし、配送単価は委託元によって異なり、燃料費や車両維持費を差し引いた実質収入は事前に試算しておくことが大切です。

参照:令和6年度 宅配便・メール便取扱実績|国土交通省

ハウスクリーニング・家事代行:低コストで開業できる

ハウスクリーニングは、特別な資格がなくても道具と洗剤があれば始められる仕事です。フランチャイズに加盟すれば集客支援やノウハウ提供を受けられますが、加盟金やロイヤリティが発生します。技術を証明するものとして「ハウスクリーニング技能士」を取得しておくと、顧客からの信頼を得やすくなるでしょう。

家事代行サービスも共働き世帯や単身高齢者の増加を背景に需要が伸びている分野です。マッチングプラットフォームに登録して始める方法もあり、自分で集客する手間を減らせます。リピーターを増やすためには丁寧さやコミュニケーション力が大切になります。

ECショップ運営:ネット販売で独立する

ECショップ運営は、商品の選定や集客が大切です。また、仕入れ・在庫管理・発送といったオペレーション面の準備も必要になります。まずは副業として小規模に始め、売上が安定してから本業に切り替える方法がリスクを抑えやすいでしょう。

独立するなら知っておきたい開業の方法と手続き

独立の方法には大きく分けて、個人事業主として開業届を出す方法と、法人を設立する方法の2つがあります。ここでは個人事業主としてスタートする場合の手順を、ステップ形式で解説します。

STEP 1:事業計画を立てる

まずは「誰に・何を・どのように提供するのか」を整理します。ターゲットとなる顧客層、提供するサービスの内容、価格帯、集客方法を明確にしておくと、開業後の方向性がぶれにくくなります。売上見込みと経費の概算を半年〜1年分は書き出しておきましょう。

STEP 2:開業届を税務署に提出する

個人事業主として事業を始めるには、所轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。提出期限は事業を開始した日の確定申告期限までから1か月以内に納税地の所轄税務署へ提出します。届出書は国税庁のWebサイトからダウンロードできるほか、e-Taxを使えばオンラインで提出することも可能です。

また、定められた期限までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておくと、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。

参照:個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき|国税庁
参照:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

STEP 3:業種に応じた届出・許認可を取得する

開業届とは別に、業種によっては許認可の申請が必要です。たとえば飲食店なら保健所の営業許可、美容室なら保健所への届出、建設業なら都道府県知事の許可が求められます。士業であれば、各士業団体への登録が必須となります。必要な届出を事前に確認し、開業日までに手続きを済ませておきましょう。

STEP 4:事業用の銀行口座・会計ソフトを準備する

個人の生活費と事業の収支を混在させないために、事業専用の銀行口座を開設しておくと経理処理がスムーズになります。あわせてクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードクラウド、弥生会計オンラインなど)を導入すると、日々の記帳や確定申告の負担が軽減されるでしょう。

会社員と独立後の仕事では何が変わるのか

会社員から独立すると、収入・保険・税金・働き方のすべてが変わります。仕事における独立とは自由を手にする代わりに、これまで会社が肩代わりしていた手続きや負担を自分で引き受けることでもあります。

社会保険と年金の負担が変わる

会社員の場合、健康保険料と厚生年金保険料は会社と折半で負担します。独立すると国民健康保険と国民年金に切り替わり、保険料は全額自己負担です。将来の年金受給額も厚生年金保険より少なくなるため、国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)などで上乗せを検討するとよいでしょう。

税金の申告を自分で行う

会社員は年末調整で所得税の精算が完了しますが、個人事業主は毎年確定申告が必要です。青色申告を選択すれば最大65万円の特別控除を受けられるほか、赤字の繰越しや家族への給与の経費算入といった特典もあります。帳簿の管理が煩雑に感じる場合は、税理士に記帳代行や申告のサポートを依頼する方法もあります。

収入が変動するリスクに備える

独立後は毎月の収入が一定とは限りません。マイナビ「フリーランスの意識・就業実態調査2025年版」によると、専業フリーランスの年間収入平均は528.1万円ですが、月収が0円になる月がある人の割合は3割を超えていると報告されています。半年分程度の生活費を貯蓄しておくこと、複数の取引先を持つことが収入の安定につながるでしょう。

参照:フリーランスの意識・就業実態調査|マイナビキャリアリサーチLab(2025年)

独立するなら押さえておきたい注意点と退職の準備

独立を決意してから実際に事業を軌道に乗せるまでには、いくつか注意しておきたいポイントがあります。特に退職のタイミングや手続きは、後から「知らなかった」では済まないこともあるため、早めの準備が大切です。

退職前にクレジットカードやローンの審査を済ませる

独立直後は収入の実績がなく、クレジットカードの新規申込みや住宅ローンの審査が通りにくくなる傾向があります。会社員のうちにカードの発行やローン契約を済ませておくと安心です。事業用のクレジットカード(ビジネスカード)の準備も、この段階で検討しておくとスムーズでしょう。

競業避止義務や秘密保持契約を確認する

退職時に会社と結んだ雇用契約書や就業規則に、競業避止義務の条項が入っている場合があります。内閣府の調査では、雇用者の約13.9%に競業避止義務が「ある」と報告されています。同業種で独立する場合はトラブルを避けるために、契約内容を事前に確認しておきましょう。

参照:政策課題分析シリーズ17 日本のフリーランスについて|内閣府

健康保険の切り替えと失業手当の関係を把握する

退職後は「任意継続被保険者」として退職前の健康保険を最長2年間継続するか、国民健康保険に加入するかを選びます。また、開業すると「就職していない状態」に該当しなくなり、雇用保険の失業手当(基本手当)を受給できなくなる点に注意が必要です。退職後すぐに開業するかどうかは、手当の受給計画とあわせて検討しましょう。

フリーランス新法による保護を知っておく

2024年11月に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)により、発注事業者には契約条件の明示や報酬の支払い期日の順守が義務づけられました。マイナビの調査では、施行後1年で「総合的な働きやすさの向上」を実感している人が41.7%に達しています。独立後にトラブルが生じた際は、公正取引委員会や「フリーランス・トラブル110番」に相談できることを覚えておくとよいでしょう。

参照:フリーランス新法|経済産業省 中小企業庁

独立した仕事はAIに奪われないか?将来性を考える

「独立しても、AIに仕事を取られてしまうのではないか」という不安を持つ方は少なくないでしょう。野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究(2015年)では、日本の労働人口の約49%の仕事が10〜20年以内にAIやロボットで代替される可能性があると示されました。一方で、すべての仕事が代替されるわけではありません。

AIが得意とするのはデータ入力や定型的な事務処理など、ルールが明確でパターン化しやすい作業です。反対に、顧客との信頼関係を築くコミュニケーション、現場での臨機応変な判断、独自の発想による企画立案といった業務は、AIによる代替が難しいとされています。

たとえば士業の場合、書類の下書きやデータ集計はAIで効率化できても、クライアントの事情をヒアリングして最適な助言を行う業務はAIだけでは完結しません。建設業の現場管理や美容師の接客も同様で、人間にしか提供できない価値が残る領域でしょう。

独立するなら、AIをツールとして取り入れて作業効率を上げながら、人間にしかできない対人スキルや専門判断を磨くことが大切です。「AIに代替される仕事」を恐れるより、「AIを活用して付加価値を高められる仕事」として捉え直すことで、独立後の将来性はむしろ広がるのではないでしょうか。

参照:日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等により代替できる可能性|野村総合研究所(2015年12月)

独立後のお金の管理ポイント

独立後の経営を安定させるうえで、会計と資金繰りの管理は避けて通れないテーマです。ここでは独立直後に押さえておきたいポイントをまとめます。

青色申告のメリットを活かす

青色申告を選択し、複式簿記で帳簿を付けることで最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。さらに、事業が赤字になった場合でもその損失を翌年以降3年間繰り越して所得と相殺できるため、独立初年度の赤字が翌年以降の節税につながります。これらの制度を知らずに白色申告のまま確定申告をしてしまうと、控除を受けられず税負担が大きくなってしまいます。

参照:No.2070 青色申告制度|国税庁

小規模企業共済で将来の退職金を準備する

個人事業主には退職金制度がないため、自分で退職金を積み立てる必要があります。小規模企業共済は、月額1,000円から7万円までの掛金を積み立てでき、掛金の全額が所得控除の対象です。廃業時や65歳以上で受け取る共済金は退職所得扱いとなるため、税制上も有利な仕組みといえます。

参照:小規模企業共済 制度の概要|独立行政法人中小企業基盤整備機構

消費税の免税期間とインボイス制度を理解する

個人事業主は、インボイスの登録をしていない限り、前々年の課税売上高が1,000万円以下であれば消費税の免税事業者となります。ただし、2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、取引先から適格請求書の発行を求められるケースが増えています。課税事業者になるかどうかは、取引先との関係や売上規模を考慮して判断しましょう。判断に迷う場合は税理士に相談することをおすすめします。

参照:インボイス制度の概要|国税庁

独立するなら仕事選びと資格の準備から始めよう

仕事で独立とは、雇用に頼らず自分の力で収入を得る働き方であり、資格を取って士業で開業する方法、IT系のスキルでフリーランスになる方法、飲食や建設のように下積みを経て独立する方法など、そのかたちは多岐にわたります。独立しやすい資格としては、税理士・社労士・行政書士といった士業のほか、中小企業診断士やFPなどのコンサル系資格も選択肢に入るでしょう。

独立するなら、退職時の保険切り替えや競業避止義務の確認、AIとの共存、独立後の会計管理など、準備すべき事項を一つひとつ確認します。本記事を参考に、自分に合った独立の方法をじっくり見つけてみてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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