- 更新日 : 2026年6月22日
グローバル人事とは?重要性や課題、戦略立案のポイントを解説
世界規模で人材を最適配置・育成し、海外市場での競争力を高めるために重要です。
- グローバル人材の不足を社内育成で補う
- 本社理念を現地の言葉と行動指針に変換する
- ジョブ型人事制度で現地の人材流出を防ぐ
経営戦略と人事戦略を連動させ、中長期的な視点で取り組むことが大切です。
国内市場の縮小や少子高齢化などを理由に、海外市場へ進出する企業も増えています。これに伴い、国や地域をまたいで人材を最適に配置・育成する、グローバル人事の重要性が高まっている状況です。
そこで本記事では、グローバル人事が重要視される理由や課題、成功させるためのポイントを解説します。海外に向いている人材の特徴も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
グローバル人事とは
グローバル人事とは、企業が世界規模で事業を展開する際に、国境を越えて人や組織を最適に配置、活用するマネジメントを指します。
単に海外赴任者のサポートをすることだけではなく、世界中の拠点で働く人材を共通の戦略に基づいて管理、育成することが求められます。
なお、国内人事では、日本の法律や雇用慣行を意識して運用されることが一般的です。
一方で、グローバル人事には、各国の異なる労働法規や税務、文化・宗教的価値観や雇用慣行などを深く理解したうえで適用させる必要があります。
具体的には、全世界で共通の企業理念や評価軸を作成したり、国内外を問わず最適な人材を最適なポストへ配置したりといった業務を担います。
なお、国際経営については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてぜひ参考にしてみてください。
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グローバル人事の重要性
グローバル人事は、海外における企業の競争力を確保・維持するために重要です。
グローバル人事が成功するかどうかは、事業内容だけでなく、実際に運営する「人」の影響も大きくなります。
たとえば、現地事情に精通した優秀な人材を確保・育成をすることで、商品やサービスの現地市場開拓ができ、結果的に事業の成功へとつながります。
多様なバックグラウンドを持つ人材が協働できる環境を整えることで、日本人だけでは想像できなかったアイデアやイノベーションの創出も期待できるでしょう。
グローバル人事における課題
企業がグローバル人事を実践するうえで、いくつかの課題に直面します。
ここでは、これらがどのような問題を引き起こすのか、どのように対処すればいいのかを解説します。
グローバル人材が不足している
多くの日本企業において、海外事業を推進するために必要な語学力や異文化理解、ビジネススキルなどを有したグローバル人材が不足している状態です。
主な理由には以下が挙げられます。
- 国内の少子高齢化と労働人口の減少によって優秀な人材の確保が難しくなっている
- 急速な海外展開によって、人材育成が追い付いていない など
適切なグローバル人材が不足していることにより、事業の海外進出が計画通りに進んでいないという企業も珍しくありません。
優秀な人材の外部採用のみに頼るのではなく、社内の有望な候補者をリストアップし、戦略的に育成するのも検討しておきましょう。
本社と現地で理念を共有するのが難しい
言語や文化、価値観が異なる海外支社において、本社のビジョンや理念を浸透させるのは困難です。
本社から日本式のやり方を一方的に押し付けていたり、現地従業員とのコミュニケーションが不足していたりすることが原因に挙げられます。
ビジョンや理念が共有されないことにより、各拠点がバラバラに動いてしまい、組織としての一体感が失われる恐れがあるでしょう。
そのため、企業の理念をただ翻訳して伝えるのではなく、現地の言葉で響く表現に変換し、具体的な行動指針に落とし込むことが重要です。
日本と現地で仕事やキャリアの捉え方が異なる
日本と海外で雇用慣行やキャリア観のズレがある点も大きな課題です。
日本では長期雇用を前提に人に仕事を割り当てる「メンバーシップ型」が一般的なのに対し、海外は「仕事に人を割り当てる」という「ジョブ型」が主流です。
海外は個人の専門性やキャリア自律を重視する傾向が強く、評価制度やキャリア開発への不満が生じやすくなります。
優秀な現地の人材を流出させないためには、役割と責任をもとに評価する「ジョブ型」人事制度の導入を検討するのもひとつです。
グローバル人事戦略を成功させるためのポイント
グローバル人事を実践するうえで、重要となるポイントがいくつかあります。
ここでは、グローバル人事を成功させるためのポイントを解説します。
専門の担当者や部署を配置する
国内向けの人事部門とは別に、グローバル人事に特化した専任の担当者や専門部署を設置するのが大切です。
グローバル人事には、国内人事の知見だけでなく、各国の労働法規・税務・雇用慣行・言語・文化・宗教的価値観など、多岐にわたる専門知識が必要です。
これらを通常の業務と並行して行うのは負荷が大きく、専門組織がないと導入が滞るリスクがあります。
そのため、現地の経営陣や人事部の意見を収集できるような仕組みを構築することが重要です。
もし社内でグローバル人事に対応できる人材や知見が不足している場合には、外部の専門家やコンサルタントを招き、仕組みの構築をサポートしてもらいましょう。
経営戦略を組み立て、人事戦略と同期させる
企業の経営目標や事業戦略を達成するためには「どのような人材が・いつ・どこで・何人必要なのか」を逆算することが重要です。
「5年後に海外売上比率を◯%にする」「新興国でシェアを奪う」といった経営戦略に基づいてロードマップを作成し、それを支える人事施策の計画を立てましょう。
経営戦略と人事戦略を連動させることで、事業戦略に必要な人材を、最適なポジションに配置できるようになり、競争力が強化されます。
経営戦略を策定して終わらせるのではなく、市場の変化に応じて柔軟に変化させ続けることが大切です。
「共通する点」と「ローカライゼーションする点」を意識する
世界中の拠点で統一すべき世界共通の仕組みと、各国の法規制や文化に適応するためのローカライゼーションさせる部分のバランスを意識することも重要です。
すべての制度を日本本社流に共通化しようとすると、現地の法律や文化と摩擦が生じます。
逆にすべてを現地任せにすると、グループ全体の統合性が失われ、公正な評価ができなくなってしまうでしょう。
共通させるべきポイントと現地用に最適化させる部分には、たとえば以下が挙げられます。
| 分類 | 項目 | |
|---|---|---|
| 共通させるべき点 |
|
|
| 最適化させる部分 |
|
|
とくに「実務成果が給与体系にどう影響するのか」といった点は、評価制度において慎重に設計する必要があります。
グローバル人材を育てる仕組みも整える
海外事業をけん引するリーダーや専門人材を、計画的に確保・育成できる仕組みも構築しておきましょう。
仕組みを構築するうえで、以下のような取り組みを実施するのが効果的です。
| 取り組み | 概要 | |
|---|---|---|
| グローバル人材の定義 | 自社の戦略に基づき、どのような能力(語学力、異文化適応力、リーダーシップなど)を持つ人をグローバル人材とするか明確にする | |
| 専門教育の実施 | 語学力だけでなく、異文化コミュニケーションやリーダーシップなどを学べる環境を提供する | |
| ナレッジシェアの実施 | 成功事例や失敗事例を世界中の拠点で共有できる仕組みを構築する | |
人材育成には時間がかかります。短期的な成果のみに着目するのではなく、将来への投資として中長期的な視点で実施しましょう。
海外赴任に向いている人材の特徴
ここからは、海外赴任に適している人の特徴について解説します。グローバル人事を進めるうえでの参考にしてみてください。
海外志向が強い人
「世界を相手に仕事をしたい」「海外で働きたい」という強い動機と主体性を有している人は海外赴任に適しています。
異国での生活や仕事には予期せぬトラブルが頻繁に発生します。強い海外志向やチャレンジ精神を持つ人ならば、こうした困難な状況においても粘り強く対処できるでしょう。
また、現地の言語や文化を吸収しようとする意欲が高いため、赴任後も孤独感やストレスを感じることなく適応できます。
ただし、海外志向の有無は「留学経験がある」「語学スコアが高い」といった外面的な要素とは直結しません。
採用段階や面談で「語学力を活かして具体的にどのような仕事をしたいのか」という本人の動機を聞き取るのが大切です。
育児や介護の心配がない人
育児や介護の心配がなく、家族からの理解が得られている人も、海外赴任に適しています。
家庭に心配ごとがあるまま海外赴任すると、赴任者は現地の仕事に集中できず、メンタルの不調や生産性の低下を招く恐れがあります。
一方、家庭環境が安定しており、帯同か単身赴任かといった条件についても納得感がある場合、赴任者は現地の業務に集中でき、高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
また、本人が了承していたとしても、配偶者や子どもが無理をしているケースもあります。
海外赴任を打診する際は、配偶者のキャリア支援や子どもの教育支援など、会社からのサポート体制も提示するのがおすすめです。
現地スタッフとも円滑にコミュニケーションがとれる人
初対面の人や異なる価値観を持つ相手に対しても、物怖じせずコミュニケーションがとれる外交的な人も海外赴任に適しています。
内向的な性格で周囲とのコミュニケーションを避けるタイプは、現地スタッフから「信頼されていない」と不満を買うリスクがあります。
外交的な性格ならば、自分の持つ技術や知識を周囲と積極的に共有し、多様な価値観を持つメンバーを巻き込んでチームワークを高めることも可能です。
これにより、現地拠点のモラル向上や品質維持を実現できるでしょう。
海外赴任者を選定する際には、専門スキルや勤続年数、実務経験だけでなく、本人の性格的な適性も踏まえて選考していきましょう。
グローバル人事に関するよくある質問
ここでは、グローバル人事に関するよくある質問をご紹介します。
海外勤務を希望しない人が多い場合はどうすればいい?
赴任後のキャリアパスを明示しつつ、家族を含めた手厚いサポート体制を提示するのがおすすめです。
海外赴任を希望しない理由には、以下が考えられます。
- 海外赴任中の評価に不安がある
- 海外赴任から帰ってきた後、どのようなポジションに配置されるのかわからない
- 親の介護や子どもの教育、配偶者のキャリアといった家族の事情がある など
こうした懸念を払しょくできるような制度に整備しておくことで、キャリアの不透明感や家族への負担を最小化できるでしょう。
日本人の駐在スタッフは本当に必要なの?
日本人の海外赴任者は、提供する製品やサービスの品質を維持するためにも重要です。
海外と日本では、文化や習慣などが異なり、仕事への向き合い方や考え方にも違いがあります。
現地スタッフのみでは、サービスや製品に関して日本基準の品質を維持するのが難しい傾向にあります。
そのため、海外進出の初期段階や本社が求める品質を浸透させる場合には、日本人駐在員の存在が必要です。
また、現地の支社に日本スタッフが在籍していることで、本社との連絡においても言語の壁がなく、正確に指示を伝えられるようになるでしょう。
なお、以下の記事では、海外子会社における内部統制の必要性を解説しています。これから事業の海外進出を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
グローバル人事に活かせる資格はありますか?
グローバル人事資格とは、グローバル人事の専門家として活躍できるための知識やスキルを有していると証明する資格です。
グローバル人事資格の具体例として以下が挙げられます。
| 資格名 | 資格概要 | |
|---|---|---|
| Professional in Human Resources (PHR) | 多国籍な環境で働くために必要な、人事の基本的な法律知識や経営戦略に関する知識を証明する資格 | |
| SHRM Certified Professional (SHRM-CP) | 米国のSHRMという機関が提供しており、グローバル人事としてのスキルを証明する資格 | |
| Senior Professional in Human Resources (SPHR) | 高度な人事知識と経験を持つ方を対象とした、大企業で必要となる人事能力を証明する資格 | |
ただし、グローバル人事を担当するにあたって、これらの資格が必須というわけではありません。
取得を目指す方は、自身の担当領域を把握したうえで、取得したい資格に関するオンライン講座や参考書で勉強し、試験に合格する必要があります。
なお、マネーフォワードでは社宅系の福利厚生サービスを提供しています。企業の福利厚生を充実させたいと考えている方は、ぜひ詳細をご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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