- 作成日 : 2026年5月7日
月平均所定労働時間とは?基礎賃金や残業代との関係を解説
月平均所定労働時間は、年間の所定労働時間を12で割った、月給者の時間単価を決める基準です。
- 年間所定労働時間÷12
- 基礎賃金の分母になる
- 残業代計算の土台になる
月平均所定労働時間自体に独立した上限はなく、確認すべき基準は法定労働時間です。
月平均所定労働時間は、月給制の社員の時間単価や残業代を計算する際に使われる数値ですが、ひと月の所定労働時間との違いが分かりにくく、混同されやすい項目です。
この記事では、月平均所定労働時間とは何か、算出方法、1時間当たりの基礎賃金や残業代の計算へのつながりなどを解説します。
目次
月平均所定労働時間とは?
月平均所定労働時間は、月ごとに所定労働時間が変わる職場で、1年分の所定労働時間をならして1か月平均にした数値です。月給から時間単価を出す際に分母を一定にし、残業代計算のぶれを抑えるために使います。
月平均所定労働時間は1年の所定労働時間を月平均にした数値
月平均所定労働時間とは、年間の所定労働時間を12で割って求める、1か月あたり平均の所定労働時間です。月の暦日数や休日配置によって各月の所定労働時間が変わる会社でも、時間単価を安定して算出しやすくなります。
所定労働時間と法定労働時間は意味が異なる
月平均所定労働時間を理解するには、「所定」と「法定」を分けて考える必要があります。所定労働時間は会社が就業規則や労働契約で定める勤務時間であり、法定労働時間は原則1日8時間・週40時間という法律上の枠です。月平均所定労働時間は、会社が定めた所定労働時間を平均化した数値です。
| 用語 | 意味 | 主な使いどころ |
| 所定労働時間 | 会社が定めた通常の勤務時間 | 月給を時間単価に直す計算、勤務設計 |
| 法定労働時間 | 法律上の上限枠 | 法定時間外労働の判定 |
| 月平均所定労働時間 | 年間所定労働時間を月平均にした数値 | 月給制の時間単価計算 |
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月平均所定労働時間を使用する場面は?
月平均所定労働時間は、毎月の所定労働時間が一定ではない職場で、給与計算の分母をそろえるために使われる数値です。とくに月給制では、月ごとの日数や休日数の違いで時間単価がぶれやすいため、年ベースで平均した値を使うことで計算を安定させやすくなります。
月給を1時間当たりの賃金に換算する場面
月平均所定労働時間が最も使われるのは、月給を1時間当たりの基礎賃金に直す場面です。月によって所定労働時間が異なる会社で毎月異なる分母を使うと、同じ月給でも時間単価が変わってしまいます。そのため、年間の所定労働時間を12で割った月平均所定労働時間を使い、時間単価を一定の考え方で算出します。
残業代や割増賃金を計算する場面
1時間当たりの基礎賃金を出した後は、その金額をもとに残業代や深夜・休日労働の割増賃金を計算します。月平均所定労働時間は、残業時間そのものを集計するための数値ではなく、割増賃金の基礎となる時間単価を求めるための数値です。当月の実労働時間と混同せず、賃金計算用の基準値として扱います。
月次の勤怠集計と給与計算を切り分ける場面
勤怠管理では当月の所定労働時間を見ますが、給与計算では月平均所定労働時間を使うことがあります。この2つを分けて管理すると、集計ミスや説明不足を防ぎやすくなります。
月平均所定労働時間の算出方法は?
月平均所定労働時間の基本は、1年分の所定労働時間を集計し、12で割って1か月平均に直す考え方です。月ごとに勤務日数や休日数が変わる会社でも、年単位でならしておくと、時間単価や残業代の計算をぶれにくくできます。
月平均所定労働時間は「年間所定労働時間を12で割って算出」
月平均所定労働時間は、年間所定労働時間を12で割って求めます。まず1年の所定労働日ごとの所定労働時間を合計し、その総時間を12か月で割る流れです。毎勤務日が同じ所定時間であれば、「年間所定労働日数×1日の所定労働時間」で計算できますが、日によって所定時間が違う場合は、実際の年間勤務カレンダーを使って合算するほうがずれを防げます。
所定労働時間が日ごとに異なる場合は年間通算で考える
シフト制や繁閑に応じた勤務設計、変形労働時間制では、日ごとに所定労働時間が異なることがあります。この場合でも考え方は同じで、各日の所定労働時間を年間で通算し、12で割って月平均所定労働時間を出します。月単位で分母を変えるよりも、年平均で統一したほうが、月給から時間単価を求める場面で整合をとりやすくなります。
勤務時間計算ツールでは年間所定と月次実績を分けて集計する
勤務時間計算ツールを使うときは、給与計算用の分母となる年間所定労働時間と、当月の実労働時間を分けて管理すると扱いやすくなります。まず年間カレンダー上で所定休日、所定労働日、各日の所定労働時間を登録して年間所定労働時間を確定し、その数値から月平均所定労働時間を算出します。
そのうえで月次の実労働時間や深夜、休日労働を突き合わせると、時間単価の算定と残業時間の集計が混ざりにくくなります。
| 集計段階 | ツールで入力する内容 | 出力される数値 |
| 年間所定の確定 | 所定休日、所定労働日、各日の所定労働時間 | 年間所定労働時間 |
| 月平均への換算 | 年間所定労働時間 | 月平均所定労働時間 |
| 月次実績との照合 | 実労働時間、深夜・休日区分 | 割増対象時間の内訳 |
月平均所定労働時間から1時間当たりの基礎賃金を算出する方法は?
1時間当たりの基礎賃金は、残業代や深夜割増の土台になる数値です。月給制では、月給のすべてをそのまま使うのではなく、割増計算の基礎に入れる賃金だけを取り出し、所定労働時間で割って算出します。
1時間当たりの基礎賃金は「算入対象の月給を月平均所定労働時間で割って算出」
1時間当たりの基礎賃金は、割増賃金の基礎に入れる賃金額を、所定労働時間で割って算出します。月によって所定労働時間が異なるときは、施行規則上、1年間における1か月平均所定労働時間数を使う考え方です。式で表すと、「1時間当たりの基礎賃金=月給のうち算入対象額÷月平均所定労働時間」となります。
1時間当たりの基礎賃金から残業代を算出する方法は?
残業代は、先に求めた1時間当たりの基礎賃金に、残業の種類ごとの割増率を掛け、さらに対象時間数を掛けて算出します。
残業代は「基礎賃金に割増率と残業時間を掛けて算出」
残業代の基本式は、「1時間当たりの基礎賃金×割増率を加えた単価×対象時間数」です。法定時間外労働は25%以上、深夜労働は25%以上、法定休日労働は35%以上の割増賃金が必要です。たとえば基礎賃金が1,750円で、法定時間外労働が10時間なら、1,750円×1.25×10時間で計算します。1か月60時間を超える法定時間外労働は、50%以上の割増率になります。
残業の種類ごとに割増率を分けて計算する
残業代は、すべて同じ率で計算するわけではありません。法定時間外労働、深夜労働、法定休日労働は扱いが異なり、重なる場合は加算して考えます。たとえば法定時間外労働が午後10時から午前5時の深夜帯に及んだ場合は、時間外25%以上と深夜25%以上を合わせて50%以上の割増になります。
| 労働の区分 | 割増率の最低限度 | 計算の考え方 |
| 法定時間外労働 | 25%以上 | 基礎賃金×1.25×時間数 |
| 深夜労働(午後10時〜午前5時) | 25%以上 | 基礎賃金×1.25×時間数 |
| 法定休日労働 | 35%以上 | 基礎賃金×1.35×時間数 |
| 1か月60時間超の法定時間外労働 | 50%以上 | 基礎賃金×1.50×時間数 |
当月の実労働時間と基礎賃金の分母は分けて扱う
残業代を出すときは、基礎賃金を求めるための月平均所定労働時間と、当月に実際に発生した残業時間を混同しないことが大切です。月平均所定労働時間は時間単価を作るための分母であり、残業代そのものは当月の実績時間をもとに計算します。つまり、先に「基礎賃金」を確定し、その後に「実際の法定時間外・深夜・休日労働時間」を掛け合わせる二段階で考えると整理しやすくなります。
月平均所定労働時間に上限はある?
月平均所定労働時間そのものに、独立した法定上限が置かれているわけではありません。上限として直接問題になるのは、あくまで法定労働時間です。
月平均所定労働時間には独立した法定上限はない
月平均所定労働時間は、年間の所定労働時間を12で割って求める平均値です。したがって、この数値だけに対して「何時間まで」という単独の上限が法律で決まっているわけではありません。ただし、元になる所定労働時間の設計が法定労働時間の枠を超えていれば、その勤務設計自体に問題が生じます。
実際に確認すべき上限は法定労働時間
確認すべき基準は、原則として1日8時間、1週40時間という法定労働時間です。月平均所定労働時間が高く見えても、各日の所定や各週の総労働時間がこの枠内で設計されていれば、直ちに違法とはいえません。逆に、平均値だけ整っていても、実際の週や日の所定が法定労働時間の上限を超えていれば違法ですん。
変形労働時間制では平均で判断する場面がある
変形労働時間制を採用している場合は、特定の日や週で法定労働時間を超える設定があっても、制度上定められた一定期間を平均して、週当たりの労働時間が法定の範囲内であれば認められます。この場合も、無制限に長くできるわけではなく、制度の要件を満たしたうえで平均管理する形です。
月平均所定労働時間は就業規則に記載するべき?
月平均所定労働時間そのものを、法律上必ず就業規則に書かなければならないとはいえません。就業規則で必須なのは、始業・終業時刻、休憩、休日、休暇、賃金の決定や計算方法などです。もっとも、月給者の時間単価や残業代計算に月平均所定労働時間を使う会社では、計算根拠として明記しておくほうが運用のずれを抑えやすくなります。
月平均所定労働時間の記載は法的な必須事項ではない
就業規則の必須記載事項には、勤務時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職などが含まれますが、「月平均所定労働時間」という数値自体が独立して必須項目になっているわけではありません。したがって、法律上は、始業・終業や賃金計算の方法が定まっていれば足ります。月平均所定労働時間は、その賃金計算を補足するための数値と位置づけるのが正確です。
残業代計算の根拠として記載しておくほうがのぞましい
必須ではなくても、月給を時間単価に換算する際に月平均所定労働時間を使うなら、就業規則や賃金規程に記載しておくほうが有利です。どの賃金を算入し、どの所定労働時間を分母に使うのかが見えやすくなり、従業員への説明や給与計算ソフトの設定とも整合をとりやすくなります。勤怠管理上の当月所定労働時間と、賃金計算上の月平均所定労働時間を分けて運用する場合も、定義を書いておくと混同を防ぎやすくなります。これは、就業規則に賃金の計算方法を記載すべきとされている考え方にも沿います。
月平均所定労働時間を理解して給与計算のずれを防ごう
月平均所定労働時間は、月ごとに所定労働時間が変わる職場で、月給を時間単価に直すための基準になる数値です。年間の所定労働時間を12で割って求め、1時間当たりの基礎賃金や残業代の計算に使います。独立した法定上限があるわけではありませんが、前提には法定労働時間の枠があります。また、就業規則への記載は必須ではないものの、賃金計算の根拠として明記しておくと運用のずれを抑えやすくなります。勤務時間計算ツールを月単位で使う場合も、当月の所定労働時間と月平均所定労働時間を分けて管理することが、計算ミスの防止につながります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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