- 更新日 : 2024年3月22日
求職者支援制度とは? 給付金の条件や職業訓練の内容、手続きを解説
求職者支援制度とは、再就職や転職などに役立つ知識やスキルを身につけるため、給付金をもらいながら職業訓練を受講できる国の支援制度です。失業保険を受けられない人が対象者に該当します。
本記事では、求職者支援制度について解説します。職業訓練の内容や受講条件、申請方法なども紹介しますので、スキルアップと就職活動に向けて制度の利用を検討してみましょう。
目次
求職者支援制度とは?
求職者支援制度とは、再就職や転職、スキルアップを目指す人を支援する国の制度です。主な支援内容は、以下の2つです。
- 「職業訓練」を無料で受講
- 「職業訓練給付金」の受給
一定の条件を満たせば、給付金をもらいながら職業訓練を受講できるため、再就職に向けたスキルアップに専念できます。ここでは、それぞれの支援内容について解説します。
「職業訓練」を無料で受講
求職者支援制度のメインとなる支援内容は、再就職や転職を目指す人のスキルアップを目的とした職業訓練を無料で受講できることです。離職している人だけでなく、会社に在籍している人(転職予定のない人も含む)でも、一定の条件を満たせば受講できます。
職業訓練の内容は、IT関連や営業、販売、事務など多様です。職業訓練には、原則2ヶ月から6ヶ月の「求職者支援訓練(民間の教育訓練機関が実施)」と、最長2年の「公共職業訓練(主にハローワークが実施)」があります。
職業訓練の訓練開始前や訓練期間中、訓練終了後もハローワークが求職活動をサポートしてくれるため、職業スキルを身につけながら仕事探しができます。
「職業訓練給付金」の受給
求職者支援制度のもう1つの支援内容は、訓練期間中の生活を支える「職業訓練給付金」が受給できることです。支給金額は月10万円(「職業訓練手当」という)で、訓練期間中は毎月受給できます。
また、職業訓練手当とは別に、次の手当が支給されることもあります。
- 通所手当:訓練施設へ通うための交通費(上限は月4万2,500円)
- 寄宿手当:訓練施設へ通うために家族などと離れて寄宿する費用(上限は月1万7,000円)
寄宿手当が受け取れるのは、寄宿先が訓練施設に付属する宿泊施設やアパートなどで、ハローワークが訓練のために寄宿が必要と認めた場合に限られます。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
‐入社・退職・異動編‐ 社会保険・労働保険の手続きガイド
企業において社会保険および労働保険の加入・喪失手続きは必ず発生し、手続きを誤れば保険事故が発生した際に従業員が不利益を被る可能性があります。
各保険の基本的な手続き方法を入社・退職・異動のシーン別にギュッとまとめた分かりやすいガイドです。
年度更新の手続きガイドブック
年度更新とは、年間の労働保険料(労災保険料・雇用保険料)を申告・納付するための手続きです。
本ガイドでは、年度更新の具体的な対応手順をはじめ、ミスの発生を防ぐ10のポイントをわかりやすく解説します。
社会保険・労働保険の実務完全ガイド
これ1冊でしっかり網羅!社会保険および労働保険は、従業員の生活上・労働上のリスクに備えるための公的保険制度です。
本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。
労災対応がよくわかるガイド
前半で労災の基礎知識と実務の流れを、後半でケーススタディとともに労災認定のポイントを解説しています。
一連の実務対応手順をステップにわけて紹介していますので、手元に置いておくと労災発生時の対応にも困りません。
求職者支援制度で受けられる職業訓練
求職者支援制度で受けられる職業訓練は、大きく次の2つに分類できます。
- 基礎コース
- 実践コース
基礎コースは多くの職場で求められる汎用的なスキルを学ぶコースで、実践コースは特定分野の専門的なスキルを学ぶコースです。以下で、それぞれについて解説します。
基礎コース
職業訓練の基礎コースは、職種に関係なく職業人としての基本的な知識やスキルを身につけるための訓練コースです。具体的な訓練内容は、ビジネスマナーやコミュニケーション能力に関する知識やスキル、パソコンや簿記といった事務処理に必要なものなどです。
訓練内容や実施時期は、訓練を実施する場所によって異なるため、ハローワークインターネットサービスで確認しましょう。社会人経験の少ない人や事務関係の仕事に就いたことがない人に適した訓練コースといえます。
実践コース
実践コースは、特定の職業・職種に就くために必要とされる専門的な知識やスキルを身につけるための訓練コースです。さまざまなコースが準備されていますが、主なものは以下の通りです。
(実践コースの内容)
| 職業・職種 | 訓練コース |
|---|---|
| IT関連 | WEBアプリ開発科、Android/JAVAプログラマ育成科など |
| 営業・販売・事務 | OA経理事務科、営業販売科など |
| 医療事務 | 医療・介護事務科、調剤事務科など |
| 介護福祉 | 介護職員初任者研修科、介護職員実務者研修科など |
| デザイン | 広告・DTPクリエーター科、WEBデザイナー科など |
| その他 | 3次元CAD活用科、ネイリスト養成科など |
再就職先や転職先として希望する職業・職種に応じて、適切な訓練コースを選択しましょう。
各コースについては前述のハローワークインターネットサービス(訓練検索・一覧)で確認できますが、居住地近くで適切な訓練コースが見つからない場合は、他府県で職業訓練を受講することも可能です。
求職者支援制度の対象者や条件
求職者支援制度は、生活を支える職業訓練給付金をもらいながら職業訓練を無料で受けられるメリットの大きな制度ですが、誰もが給付金をもらったり職業訓練を受けられるわけではありません。
ここでは、求職者支援制度を利用できる対象者や条件について解説します。
求職者支援制度の対象者
求職者支援制度の対象者は、原則失業保険(雇用保険の基本手当)を受けられない離職者です。具体的には、以下の条件に該当する人です。
- 離職者で失業保険を受けられない人
- フリーランスや自営業を廃業した人
- 失業保険の受給が終わった人
など
ただし、一定額以下の収入でパートなどで働きながら、正社員への転職を目指す人も制度を利用できます。また、上記の条件を満たしていない場合でも、職業訓練給付金の支給はなしで、かつ職業訓練は無料(テキスト代は原則自己負担)で受講できます。
職業訓練給付金を受給するための収入要件などは次の通りです。
- 本人の収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地や建物を所有していない
- 訓練実施日全てに出席する(救済要件あり) など
求職者支援制度の条件
求職者支援制度を利用するための主な条件は、以下の通りです。
- ハローワークに求職の申し込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
など
ハローワークが上記の条件を満たしているかどうかを判断するため、次で解説する制度の利用申請はハローワークで行います。
求職者支援制度の申請方法
求職者支援制度の申請は、次の手順で行います。
- ハローワークで支援制度の利用を希望することを伝え、支援制度についての説明を受ける
- ハローワークで職業相談を受けながら、訓練コースを選択する
- 訓練コースが決まったら、ハローワークで受講申込する
- 訓練実施機関で、面接や筆記などの選考試験を受ける
- 選考に合格したら、ハローワークの案内に従って訓練を受講する
ハローワークで支援制度利用の希望を伝えた後は、ハローワークの指示に従って申請手続きを進めればよいため、それほど心配することはありません。
求職者支援制度を利用する際の注意点
求職者支援制度を利用する際の主な注意点は、以下の2つです。
- 欠席せずに真面目に訓練を受講する
- 受講開始後、ハローワークが指定した来所日に職業相談を受ける
再就職などに必要な知識やスキルを身につけるために、訓練を休まず受講(救済要件あり)するのは当然ですが、訓練の受講は職業訓練給付金を受給するための要件でもあるため注意しましょう。
また、訓練を開始してから訓練終了後3ヶ月間、原則月1回、ハローワークに来所して職業相談を受けなければなりません。来所日は、ハローワークが指定します。
職業相談には就職支援計画書を持参して、「次回の指定来所日までに行うべき求職活動」の指示を受けるとともに、前回来所日に指示された活動の実施状況を報告します。また、対象者は、職業訓練給付金の支給申請も必要です。
スキルアップや仕事の幅を広げるため制度利用の検討を
求職者支援制度は、再就職や転職などに役立つ知識やスキルを身につけるため、給付金をもらいながら職業訓練を受講できる国の支援制度です。
再就職や転職を有利に進められるだけでなく、自分の成長や仕事の幅を広げるきっかけにもできるため、条件を満たす人は積極的に利用を検討してみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
- # 社会保険業務
退職月の社会保険料はいくら?月末退職と月途中退職の違いは?2か月分徴収の理由も解説
会社を退職する際、「退職月の社会保険料はいつまで支払うのか」「なぜ最後の給与から2か月分引かれるのか」といった疑問は尽きません。実は、退職日を月末にするか月の途中にするかで、社会保…
詳しくみる - # 社会保険業務
厚生年金の受給に必要な加入期間 – 10年未満の場合はどうなる?
日本の公的年金制度は2段階です。会社勤めで厚生年金保険に加入していた方は、国民年金の制度で受け取れる老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金が上乗せされます。 国民年金の支給額が年間約78…
詳しくみる - # 社会保険業務
【2025年-28年】雇用保険法改正まとめ!図解資料も用意!
本記事では、2025年から2028年にかけて段階的に施行される雇用保険法の改正ポイントを、企業の人事労務担当者向けに解説します。 雇用保険の制度概要から始め、高年齢者雇用継続給付の…
詳しくみる - # 社会保険業務
育休中は本当に8割もらえる?育児休業給付と出生後休業支援給付の仕組みを解説
育休中は本当に手取り8割もらえるのでしょうか? 育休中の手取りは制度上おおむね8割確保されます。 給付率は原則67% 社保免除で実質8割 出生後休業支援給付金で80%(最大28日)…
詳しくみる - # 社会保険業務
月の途中で退職した従業員の社会保険料は控除できる?
従業員の退職は月末だけとは限りません。月末に退職したときと月の途中で退職したときとでは、いつまでの分の社会保険料を控除する必要があるのかを迷うことがあるでしょう。 給与計算で間違い…
詳しくみる - # 社会保険業務
国民年金加入期間は何年必要?受給資格や満額に足りない時の対処法
自身の年金記録について詳細を確認する機会は意外と少ないかもしれません。ふとした瞬間に、過去の未納期間や免除期間が将来の受給にどう影響するのか、あるいは今の納付ペースで受給資格を十分…
詳しくみる



