- 作成日 : 2026年1月14日
資産管理会社とは?節税メリット・デメリットや設立の目安、作り方までわかりやすく解説
「年収が上がって税金が高すぎる」「副業や投資の利益を効率よく残したい」 このようにお悩みの方にとって、有力な選択肢となるのが資産管理会社の設立です。
本記事では、資産管理会社の基礎知識から、具体的な節税メリット・デメリット、法人化を検討すべき年収の目安、そして設立の手順まで詳しく解説します。
目次
資産管理会社とは?
資産管理会社とは、一般的な事業(商品の販売やサービスの提供)を行うのではなく、個人の資産(不動産、株式、現金など)を管理・運用することを主目的とした法人のことです。
法的な定義において「資産管理会社」という特別な区分があるわけではありません。会社法上は一般的な「株式会社」や「合同会社」として登記されます。一般企業のように顧客相手の商売を行うわけではないため、自分の資産状況に合わせて柔軟に設計できるのが最大の特徴です。
プライベートカンパニーとの違いは?
資産管理会社は、通称「プライベートカンパニー」とも呼ばれますが、これらに法的な違いや明確な線引きはありません。 どちらも一族や個人の資産を管理するための会社を指す言葉です。
富裕層が自身の資産を管理するために設立する会社を指して、プライベートカンパニーと呼ぶことが多く、実質的な意味は資産管理会社と同じと考えて問題ありません。
マイクロ法人との違いは?
近年、副業を持つサラリーマンや個人投資家の間で「マイクロ法人」と呼ばれる形態が増えていますが、これも資産管理会社の一種と言えます。
マイクロ法人とは、従業員を雇わず社長一人(または家族のみ)で運営する極小規模な会社のことを指します。本業の給与所得とは別に、副業収入や投資収益をこの法人で受け皿にすることで、社会保険料の最適化や経費計上による節税を図るスキームとして注目されています。
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資産管理会社で扱える資産は?
資産管理会社では、不動産、有価証券(株式・債券)、預金、暗号資産など、価値のある資産全般を管理対象とすることができます。
| 資産の種類 | 具体例・収益源 |
|---|---|
| 不動産 | アパート、マンション、駐車場、太陽光発電設備(賃料収入) |
| 金融資産 | 上場株式、投資信託、債券、FX(配当金、売却益、利子) |
| その他 | 暗号資産(仮想通貨)、高級車、絵画・骨董品など |
個人名義の資産を法人に移すには、単に名義を変えるのではなく、「売買」または「現物出資」という正式な手続きが必要です。
例えば、個人で持っている株式や不動産を自分の会社に移す場合、法人が個人から「時価」で買い取る形をとります(売買)。この際、個人側に譲渡益(売却益)が発生すれば、個人に対して譲渡所得税がかかる点に注意が必要です。また、資産を法人に貸し付ける形式をとる場合もあります。
資産管理会社を設立するメリットは?
資産管理会社を設立する主なメリットは、「税率差による節税」「経費範囲の拡大」「相続税対策」「資産管理の効率化」の4点に集約されます。
1. 所得税と法人税の税率差による節税効果
日本の税制において、個人の税率は最大で約55%(所得税及び住民税)に達しますが、法人税の実効税率は約30%〜34%程度に留まります。
所得が高い個人投資家や不動産オーナーの場合、個人で受け取る利益を法人に移転させることで、適用される最高税率を下げることが可能です。これにより、同じ利益額であっても、納税後の手残りキャッシュフローを確実に増やすことができます。
| 項目 | 個人の場合(所得税+住民税) | 法人の場合(法人実効税率) |
|---|---|---|
| 課税方式 | 超過累進課税(所得が増えるほど高くなる) | 比例税率(所得に関わらずほぼ一定) |
| 最大税率 | 約55% (所得4,000万円超の場合) | 約34% (中小法人の場合さらに低い) |
参考:No.2260 所得税の税率|国税庁、No.5759 法人税の税率|国税庁
2. 経費として認められる範囲の拡大
法人化することで、役員報酬、生命保険料、社宅家賃、出張手当(日当)などを会社の経費(損金)として計上できるようになります。個人事業主や個人の投資家では認められにくい支出も、法人の事業活動に関連性があれば経費として処理可能です。
特に効果的なのが「所得分散」です。自分自身だけでなく、配偶者や親族を役員にして給与(役員報酬)を支払うことで、法人から個人へ所得を分散させることができます。これにより、世帯全体での税率を下げ、手取りを増やすテクニックは広く用いられています。
3. 相続税対策とスムーズな資産承継
資産管理会社を活用することで、資産(不動産や株式)の評価額上昇を抑制し、次世代への資産移転コストを下げることができます。
個人が資産を保有し続けると、資産価値の上昇がそのまま相続税評価額の増加に直結します。しかし、法人で資産を保有し、その法人の株式を贈与・相続する場合、法人の資産評価や株価評価の仕組み(純資産価額方式など)を活用することで、直接資産を相続するよりも評価額を圧縮できるケースが多くあります。また、不動産そのものではなく「株式」として分割できるため、遺産分割協議での分割を簡素化できる効果も期待できます。
4. 個人資産の一元管理
複数の不動産や証券口座などの散在する個人資産を法人に集約(一元化)することで、経営的な視点での運用管理が可能になります。
個人所有だと生活費と投資資金が混ざりやすいですが、法人化することで「事業としての資産運用」が明確になります。これにより、収支管理がしやすくなるだけでなく、金融機関からの融資評価において事業性が認められやすくなるケースもあります。
資産管理会社を設立するデメリットは?
資産管理会社はメリットが多い一方で、設立時の初期費用や維持コスト(ランニングコスト)が発生すること、および赤字でも納税義務が生じる点は無視できないデメリットです。 節税効果がこれらのコストを上回らなければ、法人化する意味がありません。
1. 設立費用とランニングコストの発生
法人を設立するには、定款認証手数料や登録免許税などの法定費用がかかり、設立後も税理士顧問料などの維持費が必要です。 株式会社であれば約20〜25万円、合同会社でも約6〜10万円の初期費用がかかります。
さらに、個人であれば確定申告を自分で行うことも容易ですが、法人の決算申告は複雑であるため、税理士へ依頼するのが一般的です。顧問料や決算料を含めると年間数十万円程度のコストが発生するため、節税効果がこのコストを上回らない場合は、かえって手取りが減ってしまう可能性があります。
2. 赤字でも発生する法人住民税(均等割)
法人の場合、利益が出ていなくても最低限支払わなければならない「法人住民税の均等割」という税金が年間約7万円発生します。個人事業主であれば、赤字の年に所得税や住民税はかかりませんが、法人は存在するだけでコストがかかる点に注意が必要です。
また、社長1人の会社であっても社会保険への加入義務が生じます。個人の国民健康保険・国民年金と比較して、社会保険料(健康保険・厚生年金)の負担が増える可能性があることも、シミュレーション時に考慮すべき重要なポイントです。
3. 事務手続きの複雑化と専門家への依存
法人は個人よりも厳格な会計処理が求められ、決算申告や社会保険の手続き、登記変更など、複雑な事務作業が発生します。 個人の確定申告のように「領収書を集めて集計する」だけでは済みません。複式簿記による記帳はもちろん、役員報酬の決定プロセスや株主総会の議事録作成など、会社法に則った運営が必要です。
これらを自力ですべて行うのは困難であるため、税理士や司法書士などの専門家のサポートが必須となります。自身の状況で本当にメリットが出るのか、事前に専門家へシミュレーションを依頼し、慎重に判断することが重要です。
資産管理会社を設立する年収の目安は?
一般的に、給与所得以外の所得(副業や不動産所得など)が年間900万円を超える人、または相続税対策が必要な資産家が設立に適しています。
所得金額による損益分岐点の目安は?
課税所得が900万円を超えると、個人の所得税率(33%〜)が法人税の実効税率と並ぶか上回るため、法人化のメリットが出やすくなります。 ただし、会社設立には維持コスト(税理士費用や均等割など)がかかります。
これらを考慮すると、ギリギリ900万円で法人化するよりも、より安全な目安として「課税所得1,000万円〜1,200万円」あたりを実質的な損益分岐点とする専門家も多いです。サラリーマン投資家の場合は、本業の給与とは別に、不動産投資などの副収入だけでこのラインに近づいた段階で検討を始めると良いでしょう。
どのような人が設立を検討すべき?
具体的には、以下のような属性の方が設立による恩恵を最大化できます。
- 高額な所得がある方:給与所得が高いサラリーマン経営者、医師、弁護士、プロスポーツ選手など
- 不動産・株式を多く所有する方:すでに多額の賃料収入や配当収入がある地主や個人投資家
- 相続を意識している方:次世代への資産移転コスト(相続税)を抑えたい資産家
- 副業収入が伸びている方:本業以外での収入が安定して数百万円を超え、さらに拡大を目指す方
資産管理会社の具体的な作り方・手順は?
資産管理会社を作るには、会社形態(株式会社か合同会社)を決定し、定款の作成・認証、登記申請を行うというフローが必要です。
1. 会社形態の決定
まず、認知度の高い「株式会社」にするか、設立コストが安い「合同会社(LLC)」にするかを選びます。
資産管理のみを目的とし、外部からの出資や信用をそれほど必要としない場合は、設立費用が安く手続きが簡素な「合同会社」が選ばれる傾向にあります。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 設立費用(法定実費) | 約20万〜24万円 | 約6万〜10万円 |
| 社会的信用度 | 高い | 株式会社よりは低い |
| 役員の任期 | あり(最長10年) | なし(更新手続き不要) |
| おすすめな人 | 将来的に事業拡大を目指す人 | コストを抑えて資産管理したい人 |
2. 基本事項の決定と定款作成
商号(会社名)、本店所在地、事業目的、資本金額、出資者(株主)などの基本事項を決定し、会社のルールブックである「定款」を作成します。
事業目的には「不動産の賃貸・管理・保有」や「有価証券の運用・投資」など、将来行う可能性のある事業も含めて記載しておくと、後から変更する手間が省けます。
3. 登記申請と開業届出
法務局へ設立登記申請書を提出し、登記が完了した日が「会社設立日」となります。
その後、税務署や都道府県税事務所、市町村役場へ「法人設立届出書」や「青色申告の承認申請書」、年金事務所へ「社会保険の加入手続き」を行うことで、資産管理会社としての運営が正式にスタートします。
資産管理会社の設立は専門家に相談を
資産管理会社(プライベートカンパニー)とは、事業収益ではなく個人の資産を守り、効率的に運用・承継するための強力なツールです。
所得が900万円を超える場合や、将来の相続を見据えている場合、法人化することで「税率差による節税」「経費の最大化」「円滑な資産承継」という大きなメリットを享受できます。一方で、設立コストや維持費、社会保険料の負担増といったデメリットも存在するため、自身の資産規模と照らし合わせた冷静な判断が必要です。
「とりあえず法人化すれば得をする」というわけではありません。まずは税理士などの専門家にシミュレーションを依頼し、あなたにとって最適な資産管理の形を見つけることから始めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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