- 更新日 : 2025年4月8日
契約書の保管期間は何年?法律で定められた期間を紹介!
企業において重要な役割を果たす契約書ですが、事業年度が長くなるほど管理が煩雑になるため、現在使用していないものを処分したくなるかと思います。しかし、契約書には会社法や法人法施行規則といった法律によって保管が義務付けられているものがあるため、誤って処分してしまわないように気を付けなければなりません。ここでは契約書の保管期間について、関連する法律と併せて解説します。
目次
契約書の保管期間は何年?
ここでは保管期間が5年、7年~10年の契約書とその関連法律を紹介します。
契約書によって、保管期間の起算日は異なります。保管期間内に処分してしまわないように、起算日についても正しく理解しておきましょう。
5年保管の契約書
保管期間が5年の契約書は、以下の通りです。
※第8条4項3号
産業廃棄物処理の委託契約書は、産業廃棄物の処理を第三者へ委託する際、廃棄物の種類や量、処理方法などを記載した文書です。起算日は契約締結日ではなく、契約終了日です。定められた期間は保管しておきましょう。
7~10年保管の契約書
法人の取引に関する契約書の保管期間は、通常7年です。契約書だけでなく、帳簿書類や取引で作成・受領した各種書類も7年間保管する義務があります。
申告書提出期限の翌日 |
※第59条1項・2項
【保管期間が7年の書類の例】
法人税法施行規則における保管期間は7年ですが、各事業年度の確定申告時に青色申告書を提出している法人は10年(平成30念4月1日前に開始した事業年度は9年)となることがあるため、注意が必要です。
各事業年度で青色申告書を提出している法人は、要件を満たせばその事業年度に発生した欠損金の繰越控除※が認められています。この制度は、該当する事業年度に欠損金が生じた場合、翌事業年度以降に生じた課税所得と相殺する際に利用できるものです。
※欠損金とは、法人税を計算する際の所得金額がマイナスの場合に生じる金額のことです。欠損金の繰越控除に関する詳細は、「金融庁 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」または税理士に確認してください。
欠損金の繰越控除の適用を受けている場合、欠損金が生じた事業年度の契約書の保管期間は10年間となります(平成30年4月1日以前に開始した事業年度に関しては9年間)。
また、株式会社の会計帳簿の保管期間も10年です(詳細は第2章「10年保管の書類」をご覧ください)。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
【弁護士監修】法務担当者向け!よく使う法令11選
法務担当者がよく参照する法令・法律をまとめた資料を無料で提供しています。
法令・法律の概要だけではなく、実務の中で参照するケースや違反・ペナルティ、過去事例を調べる方法が一目でわかるようになっています。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
契約書以外の書類の保管期間
契約書以外にも、法律で保管期間が定められている書類がいくつかあります。ここでは、保管期間が定められている書類を保管年数別に紹介します。
【書類の保管期間】
- 3~5年
- 10年
- 15年
- 永久保管
契約書と同様に書類によって起算日や関連法規が異なるため、それらも併せて紹介します。
3~5年保管の書類
保管期間が3~5年の書類は以下の通りです。起算日や関連法規と併せて確認してください。
| 労災保険に関する書類 | 請求が完結した日や徴収、納付などの日 | 労働者災害補償保険法 施行規則※1 | |
| 雇用保険の被保険者に関する書類 | 被保険者がその事業所に在籍しなくなった日 | 雇用保険法施行規則※2 | |
| 株式会社の事業報告(本店備え置き分) | 定時株主総会の日の1週間前※3 | 会社法※3 | |
| 有価証券届出書とその添付書類※4 | 提出日 | 金融商品取引法※4 |
※1:第51条
※2:第143条1項
※3:第442条1項(取締役会を設置している会社の場合は2週間前)
※4:第25条2項(例外もあるため、詳細は金融商品取引法の本文をご確認ください)
10年保管の書類
保管期間が10年の書類は、以下の通りです。
| 株主総会議事録 (本店備え置き分) | 株主総会の日 | 会社法※1 |
| 建築業者の営業に関する図書 | 目的物の引き渡し日 | 建設業法施行規則※2 |
| 株式会社の会計帳簿・ 事業に関する重要書類 | 帳簿閉鎖の日 | 会社法※3 |
※1:第318条2項
※2:第28条
※3:第432条2項
15年保管の書類
建築士事務所の業務に関する図書は、15年間の保管が義務付けられています。
| 建築士事務所の業務に関する図書 | 図書を作成した日 | 建築士法施行規則※ |
※第21条5項
平成17年に起きた民間建築工事における耐震偽装事件の再発を防止するため、平成19年6月20日以降、建築士事務所に関する図書の保管期間が5年から15年へ、大幅に延長されています。保管期間を守らなかった場合は罰金を科せられる場合があるため、注意が必要です。
永久保管の書類
以下の書類は法律で義務付けられていないものの、書類の性質上永久保管が好ましいと考えられる書類です。これらも併せて確認しておきましょう。
【永久保管が好ましいとされる書類】
- 効力が存続している契約書
- 特許、商標など知的財産権に関する書類
- 社内規則に関する書類
- 製品の開発、設計に関する重要書類
契約書の保管方法
ここまで紹介したように、契約書や各種書類には長期の保管期間が定められているものが複数あるため、保管スペースや管理の手間に関する問題が生じることもあるでしょう。このような問題を抱えている場合は、保管方法が自社に合っていない可能性があります。
ここでは、契約書の保管方法として以下の3つを紹介し、それらのメリット・デメリットを見ていきます。現在とは別の保管方法を検討している場合は、参考にしてください。
- 紙で保管
- マイクロフィルムで保管
- 電子データで保管
紙で保管する
契約書を紙で保管するメリット・デメリットは、以下の通りです。
【メリット】
- 特別なシステム等が必要なく、誰でも管理できる
- 書類が少ない企業では管理コストを抑えられる
【デメリット】
- 保管スペースが必要
- 探す際に時間がかかる場合がある
- 紛失リスクがある
- 経年劣化により解読が困難になる場合がある
マイクロフィルムで保管する
マイクロフィルムとは、契約書を微小サイズに縮小してフィルムに記録できるアナログ媒体です。マイクロフィルムによる保管には、以下のメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 長期保存できる
- 見読性を維持できる
- 紙で保管する場合よりも保管スペースを節約できる
【デメリット】
- 電子データで保管する場合と比べると、広い保管スペースが必要
- 機器の購入や修理など、保守にコストがかかることがある
電子データで保管する
電子契約サービス等を利用して保管する方法です。電子データによる保管には、以下のメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 保管コストを削減できる
- 電子契約サービス等を利用すれば、検索の手間を削減できる
- 電子契約を導入する場合は、収入印紙代を節約できる
【デメリット】
- 電子契約サービスを導入する場合は、導入コストや維持費がかかる
- 契約の相手方によっては、利用できないことがある
- セキュリティ対策を万全にする必要がある
電子契約を導入する際の収入印紙や文書の電子化については、以下の記事で詳しく解説しています。
契約書の保管期間は起算日も要確認!
契約書や各種書類には、法律で保管期間が定められているものがあります。書類によって保管期間の起算日が異なるため、起算日も併せて確認しておくことが大切です。
事業年度が長くなるにつれて、保管する契約書や各種書類は増えていきます。業務効率化を図りたい場合は、早い段階で電子データでの保管を検討するとよいでしょう。
保管方法を変更する際は手間がかかるかもしれませんが、将来を見据えて自社に合った保管方法を検討してください。
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使える「契約書のひな形(テンプレート)パック」をご用意しています。
総務・法務担当者など、契約関連の業務がある方に、多くダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご活用ください。
よくある質問
契約書の保管期間は何年ですか?
契約書の保管期間は種類によって異なります。例えば、取引に関する契約書の保管期間は7~10年です。契約書によって保管期間の起算日が異なるため、併せて確認することが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
契約書の保管方法について教えてください。
契約書の保管方法には、紙・マイクロフィルム・電子データによる保管があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社に適した方法を選択することが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
行政契約とは?意味や種類をわかりやすく解説
行政契約とは、行政主体が契約の当事者となり、他の行政主体や私人との間で結ぶ契約をいいます。過去には、行政契約を公法上の法律関係として私人間の契約と区別する考え方がとられることもありましたが、現在では両者の区別はせず、あくまで契約としてその意…
詳しくみる【2023年施行】電気通信事業法改正の概要は?事業者への影響まで解説
2023年6月に電気通信事業法改正が施行され、新たに規律が追加されました。事業者へも影響するため、電気通信事業の経営者は、改正の概要やどのような影響を及ぼすのかを理解しなければなりません。本記事では、電気通信事業法改正の内容や気を付けるべき…
詳しくみるフリーランス新法で個人事業主は何を確認すべき?メリットや違反への対応を解説
フリーランス新法で個人事業主の権利が強化されます。2024年11月施行予定のこの法律は、フリーランスの労働環境を保護し、多様な働き方をサポートすることになるでしょう。 本記事では、新法のメリットや個人事業主が確認すべき点、違反への対応方法な…
詳しくみる著作権法とは?概要と事業者が注意すべきポイントをわかりやすく解説
音楽や美術、小説、映像等の作品は著作権法によって取り扱い方法等が制度化されています。著作権法に基づく権利を害する形で著作物を利用することは許されず、企業活動においても留意しないと損害賠償請求を受けるおそれがあります。 具体的に何に気をつける…
詳しくみる時効とは?刑事と民事における定義や完成猶予などを解説
時効とは、ある出来事が一定期間継続しているとき、その状態に即した権利関係を確定させることです。時効というと、刑事上の時効を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし実は民事上の時効も存在し、時効によって権利の取得や消滅が起きます。今回は、時効の概…
詳しくみる請求権とは?請願権との違いや代表例も簡単に解説!
請求権とは、個人の人権が侵害された場合に救済を求めることを保障している権利です。請求権には国家賠償請求権や刑事補償請求権があり、裁判所へ訴えるなどして請求できます。 今回は、日本国憲法で保障されている基本的人権の1つである請求権(受益権)の…
詳しくみる



