- 更新日 : 2026年3月3日
フリーランス新法の3条書面とは?4条との違いや必須記載事項、電子化のルールを解説
3条書面とは取引条件を明記した発注書であり、4条に基づく60日以内の支払期日等の記載が義務です。
- 資本金に関係なく全発注事業者に交付義務
- SNSやメール交付も原則可能だが保存性必須
- 基本契約書と個別発注書の組み合わせも可
3条書面は「開始時の条件明示」、4条は「完了後の支払期日設定」を定めたものであり、4条のルール(60日以内)で決めた期日を3条書面に記載する必要があります。
2024年11月に施行された「フリーランス新法」では、業務委託を行う際に「取引条件を明示した書面(3条書面)」を交付することが義務付けられました。
結論から申し上げますと、取適法における3条書面とは、いわゆる「発注書」や「契約書」のことです。口頭での発注による「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、仕事の内容や報酬額を明確に記載して渡さなければなりません。
本記事では、SEOと契約の専門家が、取適法に基づく3条書面の必須記載事項や、4条(支払期日)との関係、メールやLINEでの交付(電子化)のルールについて、行政のガイドラインを基に詳しく解説します。
フリーランス新法の「3条書面」とは何か?
フリーランス新法(事業者間取引適正化等法)の第3条に基づき、発注事業者がフリーランスに対して業務委託をする際、直ちに交付しなければならない「取引条件を明記した書面」のことです。
この義務は、発注事業者の資本金や従業員数にかかわらず、フリーランス(特定受託事業者)に業務委託をするすべての事業者に適用されます。
なぜ3条書面が必要なのか
フリーランスとの取引では、口約束だけで仕事が始まり、後になって「報酬が話と違う」「追加作業代が出ない」といったトラブルが頻発していました。これを防ぐため、法律によって「発注時に条件を形に残すこと」を強制力のある義務としたのです。
改正下請法の3条書面との違い
「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(改正下請法、取適法)」にも同様の3条書面(改正下請法は4条書面)交付義務がありますが、適用対象が異なります。
- 改正下請法:委託事業者の資本金が1,000万円超の場合に適用。電子化には事前の承諾が必要。
- フリーランス新法:資本金要件なし(個人発注者も対象)。電子化は原則可能(相手が書面を求めた場合を除く)。
【無料】お役立ち資料
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶電子契約まるわかり4点セット(合計32ページ)
▶電子契約サービス比較マニュアル(合計12ページ)
3条書面に必ず記載すべき事項は何か?
必ず記載しなければならない項目は、委託日、当事者名、給付の内容、報酬額、支払期日などです。これらが網羅されていれば、書面のタイトルが「発注書」「契約書」「注文請書」のいずれであっても問題ありません。
公正取引委員会の規則により、以下の項目を漏れなく記載する必要があります。
必須記載事項リスト
- 発注事業者とフリーランスの名称(氏名)
- 委託をした日(発注日)
- 給付の内容(業務内容):何を納品するか、どんなサービスを提供するかを具体的に書きます。
- 給付を受領・提供する期日(納期)
- 給付を受領・提供する場所
- 給付の内容について検査をする場合は、その完了期日
- 報酬の額(支払金額):金額が確定していない場合は、算定方法(単価×数量など)を記載します。
- 報酬の支払期日
これらの項目を満たしていれば、1枚の紙である必要はなく、基本契約書と個別発注書を合わせて3条書面とすることも可能です。
3条書面と4条書面(支払期日)の関係とは?
3条は「条件の明示(スタート時の約束)」、4条は「支払期日の設定(ゴール時の約束)」を定めたものであり、4条で定めた支払期日を3条書面に記載する必要があります。
「フリーランス新法 4条書面」と検索されることがありますが、厳密には「4条に基づく書面」という独立した書類があるわけではありません。第4条は「報酬の支払期日を60日以内に設定しなさい」という義務規定であり、そこで決めた日付を第3条の書面に書く、という関係性です。
4条(支払期日)のルール
- 原則:成果物を受け取った日(役務提供完了日)から60日以内の支払期日を設定しなければなりません。
- 再委託の場合:元委託者からの支払日から30日以内とする特例があります(要件あり)。
もし3条書面に支払期日を記載し忘れたり、「月末締め翌々月末払い(90日サイト)」のような違法な期日を書いたりした場合、法律上強制的に「受領日=支払日」とみなされるなど、ペナルティが発生する可能性があります。
3条書面はメールやLINEで交付してもよいか?
原則としてメールやSNS(LINE等)での交付も認められますが、フリーランス側から「書面(紙)で欲しい」と請求された場合は、紙で交付しなければなりません。
改正下請法では電子化(メール等)にあたり「事前の書面による承諾」が必須ですが、フリーランス新法では現代の働き方に合わせ、より柔軟な運用が認められています。
電子交付(電磁的方法)の条件
- 方法:電子メール、チャットツール(Slack, Chatwork, LINEなど)、クラウド契約サービス、SNSのメッセージ機能などが利用可能です。
- 注意点:記載事項が網羅されており、後から改変できず、双方が閲覧できる状態で保存される必要があります。「電話で伝えた」「消えるメッセージ機能」は認められません。
- 運用:トラブル防止のため、発注内容をPDFにしてメール添付したり、クラウドソーシング上の発注画面を利用したりする方法が推奨されます。
テンプレートやサンプルはどこで入手できるか?
厚生労働省や公正取引委員会の特設サイトにて、法律の要件を満たした「発注書(3条書面)」のモデル様式が無料で公開されています。
独自のフォーマットを使っても構いませんが、記載漏れを防ぐためには、公式の雛形(テンプレート)を参考にすることをおすすめします。
推奨されるテンプレートの入手先
- 公正取引委員会・厚生労働省:「フリーランス・事業者間取引適正化等法」関連のページに、WordやPDF形式の発注書サンプルがあります。
- 記載例:テンプレートには、「原稿執筆」「デザイン制作」「建設工事」など、業種別の記載例も掲載されているため、自社の業務に近いものを参照してください。
3条書面の交付を徹底しトラブルを防ぐ
フリーランス新法における3条書面とは、業務委託の内容や報酬、納期などを明記した発注書のことです。この書面には、4条で定められた「60日以内の支払期日」を含め、8つの必須項目を記載する必要があります。メールやSNSでの交付も可能ですが、言った言わないのトラブルを避けるためにも、公式テンプレートを活用し、確実に履歴が残る形で交付しましょう。
法務関連のおすすめコンテンツ
法務関連記事
▶法務とは?意味や事業における役割、仕事内容など解説
▶企業法務とは?仕事内容や関連する資格、法律を解説
▶法務のAI活用で業務はどう変わる?生成AIの具体的な活用事例
▶契約書のリーガルチェック(法務確認)とは?やり方や依頼費用を解説
おすすめお役立ち資料
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶マネーフォワード クラウド契約サービス資料
▶マネーフォワード クラウドAI契約書レビューサービス資料
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 法令・法律用語
インサイダー取引とは?対象となる行為や罰則、防止策などをわかりやすく解説
インサイダー取引とは、株価に影響する事実を知る上場企業関係者が、事実の公表前に自己の利益や損失回避を目的として有価証券等を売買することです。家族や友人との話で何気なく重要事実を口に…
詳しくみる -
# 法令・法律用語
過失とは?故意との違いや民法・刑法上の扱い、法律上問題となる事例を簡単に解説
過失を一言でいうとすれば、注意義務違反です。この記事では、民法や刑法における過失の定義や分類などについて解説します。 過失とは 過失とは、常識的な注意をしていれば防げていたにもかか…
詳しくみる -
# 法令・法律用語
民法における危険負担とは?契約時に確認したい項目も解説
2020年4月に民法の改正法が施行され、売買など、当事者双方が債務を負う双務契約で問題となる「危険負担」のルールが大きく変わりました。 この記事では、売買契約などの双務契約において…
詳しくみる -
# 法令・法律用語
契約書におけるバスケット条項とは?事例やメリット・デメリットを解説
契約書で見かける「その他これに付随する一切の業務」のような曖昧に見える表現、これらが「バスケット条項」です。包括的に契約をカバーする便利な一面と、解釈次第でトラブルの原因にもなり得…
詳しくみる -
# 法令・法律用語
特許権とは?効力や取得方法を解説
これまでになかった大きな発明に成功すれば、事業者として大きなアドバンテージを得られます。しかしせっかくの発明も他社にマネをされてしまっては優位に立つことができません。重要な発明につ…
詳しくみる -
# 法令・法律用語
抱き合わせ販売とは?独占禁止法と事例を解説
事業を行う上で、複数の商品を組み合わせる「セット販売」は一般的な販売戦略ですが、その一形態である「抱き合わせ販売」が独占禁止法に抵触し、排除措置命令や課徴金といった経営リスクを招く…
詳しくみる