- 作成日 : 2026年3月3日
フリーランス新法の従業員数基準とは?カウント方法や義務の違いを徹底解説
取適法の基準は「従業員の有無」で決まり、1名以上いれば特定業務委託事業者として規制対象になります。
- 週20時間以上のパートや受入派遣社員もカウント対象
- 従業員「あり」で支払期日設定や中途解除予告が義務化
- 「300人超」基準は改正下請法のため混同しないよう注意
法令順守のためには、資本金ではなく「従業員を使用しているか」を起点に判断し、派遣社員を含めた正確な人数把握を行うことが重要です。
2024年11月に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(通称:フリーランス新法)は、2026年1月に施行された「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(改正下請法)と合わせた取引の適正化に関する法律群として「取適法(とりてきほう)」の枠内で議論されます。この法律では、発注事業者が「従業員を使用しているかどうか」によって、課される義務の範囲が大きく異なります。
2026年1月1日施行予「改正下請法」(「取適法」)は「従業員数300人(または100人)」という別の基準が登場するため、情報の混同に注意が必要です。
本記事では、フリーランス新法における「従業員数」の基準とカウント方法について詳しく解説します。パートや役員、派遣社員の扱いはどうなるのか、従業員数によって義務はどう変わるのかを正しく理解し、法令違反のリスクを回避しましょう。
フリーランス新法における従業員数の基準とは?
結論から言うと、フリーランス新法における従業員数の基準は「従業員を使用しているか、いないか(0人か1人以上か)」です。
発注事業者は、この基準によって以下の2つに区分され、義務の重さが変わります。
- 特定業務委託事業者:従業員を使用している事業者(1人以上)または法人であって役員が2人以上
- 業務委託事業者:従業員を使用していない事業者(0人)
※自身もフリーランスである個人事業主や、役員1人のみの法人が該当します。
「従業員を使用する」とはどういう状態か?
法律上、「従業員を使用する」とみなされるのは、以下の条件を満たす労働者を雇用している場合です。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 継続して31日以上雇用されることが見込まれること
つまり、フルタイムの正社員だけでなく、条件を満たすパート・アルバイトも「従業員」としてカウントされます。この条件に該当する従業員が1名でもいれば、あなたは「特定業務委託事業者」となり、より重い義務を負うことになります。
資本金の額は関係ありません。フリーランス新法では、資本金1,000万円以下の法人であっても、上記の条件を満たす従業員を使用していれば規制の対象となります。
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「常時使用する従業員」の具体的なカウント方法
「うちは従業員に含まれるのか?」と迷うケースについて、具体的な判断基準を解説します。ここを間違えると、本来負うべき義務(支払期日の設定など)を見落とすリスクがあります。
1. パート・アルバイト・派遣社員の扱い
週20時間以上などの条件を満たすパート・アルバイトや、受け入れている派遣社員は「従業員」としてカウントします。
| 雇用形態 | カウント対象か? | 理由・条件 |
|---|---|---|
| パート・アルバイト | 条件付きで対象 | 週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば「従業員」としてカウントします。 |
| 派遣社員 | 対象 | あなたの会社が「派遣先」として受け入れている場合、その派遣社員も従業員数に含めて判断します。 |
| 短期アルバイト | 対象外 | 週20時間未満、または31日未満の短期雇用の場合はカウントしません。 |
2. 役員・同居親族の扱い
経営に専念する役員や同居している親族は、原則として従業員数には含めません。
- 役員(取締役など):原則として従業員数には含まれません。ただし、兼務役員のように「労働者」としての性質も併せ持つ場合は含まれる可能性があります。また、法人であって2人以上の役員がいる場合、「特定業務委託事業者」に該当します。
- 同居の親族:事業主と同居している親族のみを使用している場合、その親族は従業員数に含みません。
3. 連結決算(グループ会社)の扱い
「取適法 従業員数 連結」と検索されることがありますが、フリーランス新法では個別の事業者(法人または個人)ごとに判断します。グループ全体の従業員数を合算する必要はありません。
従業員数によって発注事業者の義務はどう変わるか?
従業員がいる(特定業務委託事業者)か、いない(単なる業務委託事業者)かによって、フリーランス(特定受託事業者)に対して守るべきルールの数が異なります。
1. すべての発注事業者に共通する義務
従業員数が0人であっても、フリーランスに業務を委託する際は以下の義務があります。
- 取引条件の明示(書面等の交付):発注内容、報酬額、支払期日などを明記した書面やメールを交付する義務。
2. 「従業員を使用する事業者(特定業務委託事業者)」のみの義務
従業員が1人でもいる場合は、上記に加えて以下の義務が課されます。
- 支払期日の設定・支払義務:報酬は、成果物を受領した日から60日以内に設定し、支払わなければなりません。
- 禁止行為の遵守:1ヶ月以上の委託の場合、受領拒否、報酬の減額、不当な返品などが禁止されます。
- 育児・介護等への配慮:6ヶ月以上の継続委託の場合、フリーランスから申出があれば、育児や介護と両立できるよう配慮する義務があります。
- 中途解除等の予告:6ヶ月以上の継続委託を解除する場合、少なくとも30日前までに予告する義務があります。
- ハラスメント対策:セクハラ、パワハラなどを防止するための体制整備等の義務があります。
- 募集情報の的確表示:求人広告などを出す際、虚偽や誤解を招く表示をしてはなりません。
3. 従業員数による義務の早見表
| 義務項目 | 従業員なし (0人) | 従業員あり (1人以上) |
|---|---|---|
| 取引条件の明示 | 義務 | 義務 |
| ハラスメント対策 | 対象外 | 義務 |
| 支払期日(60日以内) | 対象外 | 義務 |
| 禁止行為(減額等) | 対象外 | 義務 |
| 育児・介護等の配慮 | 対象外(努力義務) | 義務 |
| 解除予告(30日前) | 対象外(努力義務) | 義務 |
※支払期日や禁止行為等は、相手方(受注者)が「特定受託事業者(従業員を使用しないフリーランス)」である場合に適用されます。
【注意】「改正下請法(取適法)」における従業員数基準
ここまでは「フリーランス新法」について解説しましたが、2026年1月1日施行の「改正下請法(取引適正化法)」については「取適法」という略称が使われています。
こちらの法律では、規制対象となる「委託事業者」の定義に、従来の資本金基準に加えて従業員数基準が導入されました。
改正下請法の従業員数基準
- 物品製造委託等の場合:常時使用する従業員数が300人を超える事業者
- 情報成果物作成・役務提供委託の場合:常時使用する従業員数が100人を超える事業者
もしあなたが「取適法 従業員数 300人」といった情報を探している場合は、フリーランス新法ではなく、こちらの改正下請法の情報を指しています。現状のフリーランス取引においては、前述の「1人以上かどうか」が基準となります。
フリーランス新法の従業員数基準を正しく理解し、法令遵守を徹底する
フリーランス新法における従業員数の基準は「1人以上か0人か」であり、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある従業員がいれば「特定業務委託事業者」に該当します。この区分により、支払期日の厳守や禁止行為の遵守といった重い義務が発生するため、自社がどちらに該当するかを正しく把握することが不可欠です。なお、300人などの基準は改正下請法のものであるため混同せず、まずは現行法の要件に合わせた社内体制の整備を進めましょう。
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