• 作成日 : 2026年7月16日

フランチャイズ契約書とは?記載事項・作成や確認時の注意点を解説

Pointフランチャイズ契約書とは何か?

フランチャイズ契約書とは、本部と加盟店の商標利用・費用負担・解約条件などの権利義務を定める契約書です。

  • ロイヤリティの計算方法と支払条件を確認
  • 契約終了後の競業避止義務に注意
  • 法定開示書面と契約書の整合性を照合

Q. 加盟前に契約書で特に確認すべき点は?

A. ロイヤリティの算定方式、中途解約時の違約金、契約終了後の競業避止義務の範囲を重点的に確認することが重要です。

フランチャイズ契約書は、本部と加盟店の権利義務を定める契約書です。商標やノウハウの利用、ロイヤリティ、営業方法、契約期間、解約条件などを明確にすることで、加盟後のトラブルを防ぎやすくなります。

本記事では、フランチャイズ契約書の基本から、記載事項、法定開示書面との違いや契約締結前に確認すべきポイントなどを解説します。

目次

フランチャイズ契約書とは?

フランチャイズ契約書とは、フランチャイズ本部が加盟店に対して商標、ブランド、商品、サービス、経営ノウハウなどの利用を認め、その対価として加盟金やロイヤリティなどを受け取る関係を定める契約書です。

フランチャイズ契約書は本部と加盟店の権利義務を定める書面

フランチャイズ契約書では、本部が提供するブランドやノウハウの範囲と、加盟店が負う営業上の義務を明文化しましょう。契約内容が曖昧なままだと、ロイヤリティの算定方法、仕入先の指定、広告費の負担、解約時の精算などをめぐって認識の違いが生じやすくなります。

フランチャイズでは、加盟店が本部のブランドを利用して事業を行います。一方で、加盟店は本部の従業員ではなく、独立した事業者として営業します。契約書には「本部がどこまで指導できるのか」「加盟店にどのような裁量があるのか」を読み取れる内容を記載することが必要です。

フランチャイズ契約は売買契約や業務委託契約とは性質が異なる

フランチャイズ契約は、商品を売買するだけの契約でも、業務を外注するだけの契約でもありません。商標の使用許諾、経営ノウハウの提供、継続的な指導、店舗運営ルール、対価の支払いなどが一体となった継続的契約です。

たとえば、加盟店は本部から商品を仕入れるだけでなく、店舗の内装、接客方法、販売促進、営業時間、品質管理などについて本部のルールに従う場面があります。こうした継続的な関係を前提とするため、契約期間中だけでなく、契約終了後の商標使用停止や競業避止義務まで定めるケースもあります。

参考:特定連鎖化事業(フランチャイズ)について|中小企業庁

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フランチャイズ契約書が必要な理由は?

フランチャイズ契約書が必要な理由は、本部と加盟店の認識違いを防ぎ、ブランド運営と加盟店経営のルールを明確にするためです。契約書が不十分だと、売上予測、仕入条件、テリトリー、解約時の違約金などをめぐって法的紛争につながるおそれがあります。

加盟後の費用負担を明確にできる

フランチャイズ契約では、加盟金、保証金、研修費、ロイヤリティ、広告分担金、システム利用料、指定商品の仕入代金など、多くの費用が発生します。契約書では、金額、計算方法、支払時期、返還の有無を明確にする必要があります。

たとえば、ロイヤリティが「売上高の一定割合」なのか「粗利益の一定割合」なのか、「毎月定額」なのかによって、加盟店の資金繰りは大きく変わります。広告分担金についても、全国広告に使われるのか、地域販促に使われるのかなどを確認しておくと、契約後の不満を減らしやすくなります。

ブランド品質と営業ルールを統一できる

フランチャイズでは、加盟店ごとの営業品質がブランド全体の信用に影響します。そのため、本部は接客、商品構成、店舗デザイン、衛生管理、販促方法などについて一定のルールを設けます。

契約書では、加盟店が守るべき基準だけでなく、本部が提供する研修、マニュアル、システム、経営指導の内容も記載します。加盟店側から見ると、本部からどの程度の支援を受けられるのかを確認する材料になります。本部側から見ると、加盟店がルールに反した場合の是正指導や契約解除の根拠になります。

フランチャイズ契約書に記載すべき項目は?

フランチャイズ契約書には、契約の目的、商標使用、加盟金・ロイヤリティ、営業地域、仕入条件、マニュアル遵守、契約期間、更新、解除、契約終了後の義務などを記載しましょう。

記載項目 記載内容の例 確認する観点
契約の目的 本部ブランドを用いた店舗運営の条件 加盟店の事業範囲が明確か
商標・ロゴの使用 商号、ロゴ、看板、販促物の利用条件 契約終了後の使用停止も定めているか
加盟金・保証金 初期費用、返還条件、充当範囲 返還される費用と返還されない費用が分かるか
ロイヤリティ 売上歩合、粗利歩合、定額制など 計算方法と支払時期が明確か
営業場所・営業地域 出店場所、テリトリー、近隣出店の扱い 競合店や同一チェーン出店の扱いが読めるか
仕入れ・指定業者 指定商品、指定仕入先、価格条件 加盟店の仕入自由度がどこまであるか
マニュアル遵守 営業方法、接客、衛生、販促ルール 変更時の通知方法も確認できるか
契約期間・更新 契約開始日、満了日、更新条件 自動更新か、再審査があるか
契約解除 解除事由、催告期間、即時解除事由 軽微な違反でも解除される設計になっていないか
契約終了後の義務 商標使用停止、在庫処理、競業避止 営業継続への影響が過大でないか

商標やノウハウの使用条件

フランチャイズ契約書では、本部の商標、ロゴ、看板、マニュアル、営業ノウハウを加盟店がどの範囲で使えるかを定めましょう。利用できる範囲が不明確だと、インターネット広告、SNS、チラシ、看板、求人広告などでトラブルが起きる場合があります。

契約終了後は、加盟店が本部の名称やロゴを使い続けることは通常認められません。看板撤去、販促物の廃棄、WebページやSNS表示の修正、制服や備品の扱いまで定めておくと、終了時の混乱を抑えられます。

加盟金・ロイヤリティ・広告費の条件

費用条項は、加盟店の採算に直結します。加盟金は契約締結時に支払う対価として設定されることが多く、研修費や開業支援費とは別に定められる場合もあります。保証金は未払金や損害金に充当されることがあり、返還時期や控除条件の確認が欠かせません。

ロイヤリティは、売上高に連動する方式、粗利益に連動する方式、定額方式などがあります。売上歩合の場合は、赤字でも支払いが発生する可能性があります。粗利歩合の場合は、原価計算の方法をめぐってトラブルになる場合があります。こうしたトラブルを回避するためには、契約書では、売上や粗利の定義、対象期間、報告方法を明確にしましょう。

契約期間・更新・解約条件

フランチャイズ契約は、店舗投資を伴うため、契約期間と更新条件の確認が欠かせません。内装費、設備費、人件費を回収する前に契約が終了すると、加盟店側の負担が大きくなるためです。

更新条項では、自動更新なのか、双方の合意が必要なのか、更新料が発生するのかを確認しましょう。解約条項では、中途解約の可否、違約金、原状回復、在庫処理、リース契約の残債なども見ましょう。加盟店側は、契約を終了したい場合にどの程度の負担が生じるのかを事前に把握できるように契約書で定めておく必要があります。

フランチャイズ契約書と法定開示書面の違いは?

フランチャイズ契約書は、本部と加盟店の契約内容を定める書面です。法定開示書面は、契約締結前に加盟希望者へ本部の概要や契約条件を説明するための書面です。

【法定開示書面】契約前に確認する説明資料

法定開示書面は、一定のフランチャイズ本部が契約締結前に加盟希望者へ交付し、説明する書面です。小売業や飲食業などの特定連鎖化事業では、中小小売商業振興法に基づく書面交付・説明が必要になります。

法定開示書面には、本部事業者の概要、財務状況、店舗数の推移、契約条件、加盟者が負担する金銭、商品供給条件、経営指導の内容などが記載されます。加盟希望者は、契約書だけでなく、法定開示書面の内容と契約条項が矛盾していないかを確認する必要があります。

【契約書】締結後の権利義務を直接定める書面

フランチャイズ契約書は、署名や電子署名により契約が成立した後、本部と加盟店を拘束する文書です。契約書に定められた解除事由、費用負担、競業避止義務、損害賠償条項などは、加盟店の事業運営に直接影響します。

法定開示書面で説明を受けた内容と、契約書の文言が異なる場合、後の法的紛争の火種になります。たとえば、説明資料では「十分な営業支援がある」と説明されていたのに、契約書では本部の支援義務が限定されている場合、加盟店側の期待と契約上の権利に差が生じてしまいます。

フランチャイズ契約書を確認する際の注意点は?

フランチャイズ契約書を確認する際は、加盟店に一方的な負担が偏っていないか、説明内容と契約書が一致しているか、独占禁止法上の問題がないかを見ましょう。契約前の売上予測や収益モデルだけで判断せず、契約終了時の負担まで含めて確認する視点が必要です。

売上予測や収益モデルの根拠を確認する

加盟希望者にとって、売上予測や収益シミュレーションは契約判断に大きな影響を与えます。ただし、予測は将来の売上を保証するものではありません。提示された数値が、既存店舗の平均値なのか、類似立地の実績なのか、理想論的なモデルケースなのかを確認しましょう。

売上予測に人件費、家賃、原材料費、広告費、ロイヤリティ、減価償却費、借入返済が反映されていない場合、実際の手残りと大きく異なる可能性があります。契約書だけで判断せず、法定開示書面、事業計画、既存加盟店の実績などを合わせて見ることが望まれます。

仕入制限や販売方法の拘束を確認する

フランチャイズでは、ブランド品質を保つために、本部が仕入先や販売方法を指定することがあります。一方で、本部が加盟店に不合理な制限を課すことは、独占禁止法上の問題が生じる場合があります。

たとえば、指定業者からの仕入れが義務付けられている場合、その価格が市場価格と比べて過度に高いというようなケースです。また、営業時間、値引き販売、取扱商品、広告方法などについて、加盟店の経営判断がどこまで制限されるのかも独背禁止法との関係で問題になりえますので、確認するようにしましょう。本部の統一ルールと加盟店の独立性のバランスが取れているかが判断軸になります。

競業避止義務や契約終了後の制限を確認する

契約終了後の競業避止義務は、加盟店の将来の営業に大きく影響します。一定期間、同種業態の営業を禁止する条項がある場合、期間、地域、対象業務が広すぎないかを確認しましょう。

また、契約終了後には商標使用停止、看板撤去、マニュアル返還、顧客情報の取扱い、在庫処分などの義務が発生します。終了後の義務が重すぎると、別ブランドでの再出発や独立開業が難しくなる場合があります。契約締結前に、終了時の負担を具体的に把握しておくことが欠かせません。

フランチャイズ契約書を作成する流れは?

フランチャイズ契約書を作成する際は、事業モデルを整理し、加盟店に課す義務と本部が提供する支援を明確にしたうえで、法定開示書面や運用マニュアルとの整合性を確認しましょう。

1. フランチャイズ本部の提供内容を整理する

最初に整理するのは、本部が加盟店に何を提供するのかです。商標、商品、仕入ルート、研修、店舗設計、広告、システム、経営指導などを洗い出します。

提供内容が曖昧なままだと、加盟店から「聞いていた支援と違う」と主張されるおそれがあります。本部が行う支援と、加盟店自身が負担する業務を分けて整理することで、契約書の条項も明確になります。

2. 加盟店の義務と禁止事項を定める

加盟店が守る営業ルールを定めましょう。営業時間、商品品質、衛生管理、接客、販促物の使用、報告義務、秘密保持、商標の使用方法などが対象になります。

禁止事項では、無断仕入れ、商標の目的外使用、顧客情報の不正利用、本部の信用を損なう行為、契約上の地位の無断譲渡などを定めます。禁止事項が広すぎると加盟店の事業活動を過度に縛るため、ブランド保護に必要な範囲で設計しましょう。

3. 法定開示書面・マニュアル・契約書の整合性を確認する

契約書を作成した後は、法定開示書面、加盟募集資料、営業資料、店舗運営マニュアルとの整合性を確認しましょう。資料ごとに説明が異なると、契約前説明をめぐるトラブルが起きやすくなります。

たとえば、募集資料では「未経験でも本部が全面支援」と記載しながら、契約書では本部の支援内容が限定的に書かれている場合、加盟希望者の理解と契約内容に差が出てしまい、法的紛争になりかねません。契約書の文言だけでなく、加盟募集時の説明全体を一貫させることが大切です。

フランチャイズ契約書に押印や収入印紙は必要?

フランチャイズ契約書は、契約の成立自体に押印が必ず必要というわけではありません。収入印紙は、契約書の内容が印紙税法上の課税文書に該当するかで判断します。

押印は契約成立の絶対条件ではない

契約は、当事者の合意によって成立します。押印がない契約書でも、合意の存在を立証できれば法律上は有効な契約として扱われることになります。一方で、押印や署名があると、誰が、どの内容に合意したのかを示しやすくなります。

法人間のフランチャイズ契約では、代表者印や契約権限者の署名が用いられることがあります。電子契約を利用する場合は、電子署名、タイムスタンプ、承認履歴、締結権限の管理を確認しましょう。紙か電子かにかかわらず、後で合意内容を示せる状態にしておくことが要点です。

収入印紙は契約内容によって判断する

フランチャイズ契約書に収入印紙が必要かどうかは、契約書の記載内容によって変わります。商標使用許諾、継続的取引、請負、売買、代理店取引など、契約内容がどの課税文書に当たるかを確認します。

同じ「フランチャイズ契約書」という名称でも、商品供給などの売買契約の要素が強いもの、業務委託などの請負契約の要素が含まれるもの、継続的取引の基本契約に近いものなどがあります。印紙税は文書名ではなく記載内容で判断されるため、判断に迷う場合は税理士や弁護士に確認するとよいでしょう。

フランチャイズ契約書は更新時に何を見直すべき?

フランチャイズ契約書の更新時は、ロイヤリティ、広告費、仕入条件、システム利用料、契約期間、解約条件、競業避止義務などを見直しましょう。開業時には問題が見えにくかった条項も、数年運営すると加盟店の採算や本部の支援実態に照らして再検討しやすくなります。

実際の運営実態と契約条項のずれを確認する

契約更新時には、契約書に書かれた支援内容と、実際に受けている支援内容が一致しているかを確認しましょう。研修、販促支援、システム提供、スーパーバイザーの訪問頻度などが、契約当初の説明と大きく異なる場合は、更新条件の交渉材料になります。

また、仕入価格やロイヤリティ負担が収益を圧迫している場合は、店舗の損益データを基に見直しを検討しましょう。感覚的な不満ではなく、売上、粗利、人件費、広告費、支払手数料などの数字で整理すると、話し合いを進めやすくなります。

電子契約では契約データの保管と改ざん防止を確認する

電子契約でフランチャイズ契約書を締結する場合は、契約データの保管期間、閲覧権限、改ざん防止、締結者の権限管理を確認します。フランチャイズ契約は長期契約になることが多く、契約期間中だけでなく、終了後の法的紛争の場面でも契約書が参照されます。

電子契約サービスを利用する場合は、契約書本体だけでなく、締結日時、承認者、送信先、電子署名、タイムスタンプ、関連資料をまとめて管理します。法定開示書面や説明時の資料も一緒に保管すると、契約前にどのような説明があったかを確認しやすくなります。

フランチャイズ契約書を確認してから加盟判断を進めよう

フランチャイズ契約書は、加盟後の店舗運営、費用負担、ブランド利用、解約条件を左右する文書です。加盟金や売上予測だけで判断せず、法定開示書面、契約書、募集資料、既存店の実績を合わせて確認することが欠かせません。契約書を読む際は、ロイヤリティ、仕入条件、営業地域、契約終了後の義務まで見ておくと、加盟後の認識違いを減らせます。契約内容に不明点がある場合は、締結前に本部へ質問し、必要に応じて専門家の確認を受けるとよいでしょう。

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