- 作成日 : 2026年7月13日
中小企業が最低限押さえるべき電子帳簿保存法。法対応を契約管理の見直しにつなげるポイント
「電子帳簿保存法の内容が難しく、何から手をつければよいかわからない」「対応を間違えて罰則を受けないか不安だ」多くの小規模企業の方から、こうした悩みの声が聞かれます。
日々の業務に追われるなかで、新しい法律への対応を負担に感じるのは当然です。一方で、電子帳簿保存法の一部はすべての企業で対応が必要なものであり、避けて通れない課題でもあります。
そこで本記事では、「小規模企業が最低限守るべき電子帳簿保存法のルール」は何か、どのようにルールを守ればよいのかを解説します。電子帳簿保存法への対応は手間に感じられるかもしれませんが、実はデジタル化を進めるチャンスです。前向きな一歩を踏み出すためのヒントとして、ぜひ最後までご一読ください。
目次
1. 小規模企業が最低限押さえるべき電子帳簿保存法の要件
まず整理しておきたいのは、電子帳簿保存法には「必ず対応しなければならないもの」と「任意で対応すればよいもの」の2種類がある点です。
会計ソフトなどで作成した帳簿をデータのまま保存する「電子帳簿保存」や、紙の領収書をスキャナで読み取って保存する「スキャナ保存」は任意対応となります。一方で、メールやWebサイトからダウンロードしてやり取りした請求書などの「電子取引」データの保存は、すべての事業者に課せられた義務です。
リソースの限られた小規模企業であれば、まずは「必須対応」となる電子取引への対策を最優先に進めるとよいでしょう。
2. 「電子取引」への対応方法
ここでは、何が電子取引に該当するのか、どのように対応すれば法令を遵守できるのかを解説します。
電子取引の対象書類
電子取引とは、紙ではなくデータでやり取りした取引情報を指します。
<電子取引の具体例>
- 電子契約サービスで締結した契約書
- メールに添付されて届いたPDFの請求書や見積書
- Amazonや楽天などのECサイトからダウンロードした領収書
これらはすべて電子取引に該当し、データのまま適切に保存しなければなりません。
電子取引データの保存方法
データを保存する際は、国税庁が定める「真実性の確保」と「可視性の確保」というルールを守る必要があります。難しく感じられるかもしれませんが、以下の3つのポイントを押さえておけば問題ありません。

①改ざん防止のための措置をとる
保存されたデータが、後から改ざんされていないことを証明する仕組みを設けます。具体的には、以下の4つのうちいずれかの方法で対応しましょう。
- タイムスタンプ(データが存在していた日付を証明する仕組み)が付与されたデータを受領する
- 受領したデータに、自社でタイムスタンプを付与する
- 訂正・削除の履歴が残るシステムでデータを管理する
- 改ざん防止のための事務処理ルールを定め、遵守する
専用システムを導入してタイムスタンプや履歴管理で対応する方法のほか、社内で改ざん防止ルールを定める方法でも十分に法令対応が可能です。
②保存データを確認するためのディスプレイやプリンタを用意する
保存した電子取引データは、税務調査などの際に税務署員がスムーズに確認できるよう、ディスプレイで見られる状態にし、必要に応じて紙で出力できるようにしておく必要があります。
③「日付・金額・取引先」の3つで検索できるようにする
必要なデータをすぐに探せるよう、検索機能を確保することも求められます。検索機能を備えた専用システムを導入する以外にも、Excelなどで索引簿を作成したり、ファイルの名称自体に日付・金額・取引先を含めて保存したりする方法でも認められます。
なお、2年前(基準期間)の売上高が5,000万円以下の事業者などは、税務調査の際に電子取引データのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば、③の検索要件を満たす必要はありません。まずは自社の売上規模を確認し、どこまでの対応が必要かを把握しておきましょう。
※参考:国税庁「電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について」
3. 電子帳簿保存法に最低限対応するための2つの方法
電子取引データを電子帳簿保存法に沿った形で管理する方法は、大きく分けて「Excelによる手作業での管理」と「システムによる管理」の2つがあります。
方法①:Excelによる手作業での管理
保存する電子取引データの名称を「20240427_110000_株式会社XXX.pdf」のように一定のルールに沿って変更し、フォルダに仕分けしたうえで、その内容をExcelの台帳に転記して管理する方法です。事前に改ざん防止のための事務処理ルールを定めて運用すれば、追加のシステムコストをかけずに法対応をスタートできます。
一見すると手軽でコストがかからないように思えるExcel管理ですが、「目に見えないコスト」がある点に注意しなければなりません。手作業でのファイル名変更や台帳への転記は、取引件数が増えるほど日々の業務時間を圧迫します。また、人間が手作業で行う以上、入力ミスや保存漏れを完全に防ぐことは困難です。
さらに、ファイル名の入力ミスが1つあるだけでも、税務調査時に「検索要件を満たしていない」と指摘されるリスクがあるため、正確な運用が求められる方法でもあります。
方法②:システムによる管理
電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスなどを利用して、電子取引データを保存・管理する方法です。取引先からメールなどで受け取ったPDFの請求書や契約書をアップロードするだけで、タイムスタンプの付与や検索項目の自動抽出など、法律で求められる要件をシステム側が自動で処理してくれます。手作業によるファイル名変更やExcelへの転記負担を軽減できるため、リソースの限られた企業におすすめの選択肢です。
なお、費用対効果を考える際は、月額料金だけでなく、ファイル名変更・台帳転記・検索・確認依頼対応にかかる時間まで含めて比較することが重要です。1人が複数の業務を兼務することが多い小規模企業ほど、月額コストを支払ってでも「探す・入力する・確認する」工数を削減したほうが、結果的に全体のコストパフォーマンスが高くなるケースが少なくありません。
4. 電子帳簿保存法に対応する管理方法を選ぶときに見るべき4つの軸
このように、電子帳簿保存法に対応する方法には、Excelなどを使った手作業での管理と、システムを使った管理の2つがあります。ただし、リソースに限りのある小規模企業にとって重要なのは「どちらの方法なら法対応できるか」ではなく、「どちらの方法なら無理なく継続できるか」という観点です。
自社に最適な管理方法を見極めるために、押さえておきたい4つの判断軸を整理しました。
判断軸①:取引件数が増えても運用し続けられるか
ファイル名の変更や台帳への転記、保存漏れの確認などを毎回手作業で行う運用は、件数が少ないうちは対応できても、取引数が増えるほど負担が大きくなります。特に小規模企業では、経理や総務の担当者が他の重要業務を兼務しているケースが多いため、手作業の蓄積が業務全体の停滞を招くリスクがあります。
判断軸②:必要なときにすぐ検索・確認できるか
電子帳簿保存法への対応は、ただデータを保存するだけでなく、後から必要なデータをすぐに検索できる状態にしておくことが重要です。検索や確認のたびに時間がかかる管理方法では、形式上の法対応をクリアできても、実務上の負担は減りません。
判断軸③:法対応だけで終わらせず、契約管理までつなげられるか
電子取引データだけを別管理にすると、紙の契約書や過去の契約情報との分断が起こりやすくなります。その結果、法対応のためだけに新たな保管場所や二重の確認フローが増え、かえって管理が複雑になることもあります。
判断軸④:月額料金だけでなく、運用工数まで含めて費用対効果を見られるか
小規模企業ほど、月額コストの安さだけでなく、入力・検索・確認にかかる時間まで含めて比較することが重要です。一見安く見える方法でも、日々の作業負担が積み重なれば、結果的に高コストな運用になる可能性があります。
このように、電子帳簿保存法への対応方法を選ぶ際は、「とりあえず保存できるか」ではなく、「無理なく継続できるか」「契約管理まで含めて運用しやすいか」という視点で考えることが重要です。担当者が複数の業務を兼務している小規模企業ほど、Excelなどによる手作業に頼るよりも、検索性や一元管理に優れたシステムを導入したほうが、結果として会社全体の経営負担を最小限に抑えられるでしょう。
5. 法令対応を「保存」で終わらせず、契約管理の見直しにつなげる考え方
電子帳簿保存法への対応を進めるにあたり、まずは「電子取引データを保存できる状態をつくる」ことが必要です。しかし、ただ保存ができるようになっただけでは、日々の契約業務が楽になるとは限りません。
法対応を単なる義務対応で終わらせず、契約管理の見直しにつなげるための考え方を整理します。
保存先が増えるだけでは、現場の業務負担は減らない
「電子取引データはフォルダで保存し、紙の契約書はキャビネットで管理し、更新確認は担当者の記憶に頼る」という状態では、せっかく法律を守れても、現場の実務はむしろ複雑になってしまいます。管理場所が分散することで、書類の確認や検索にかかる手間が大きく増える可能性もあります。
契約書は“締結して終わり”ではない
契約書は、締結後も更新時期の確認、契約条件の見直し、取引先とのやり取りの確認など、後から参照する場面が多い書類です。そのたびに過去のメールをさかのぼったり、紙の書類を探したりしていると、見えにくい時間コストが積み重なります。
法対応をきっかけに、契約情報を探しやすく、確認しやすい環境にする
せっかく管理ルールを見直すのであれば、単に保存要件を満たすだけでなく、契約情報を「探しやすく・共有しやすく・見返しやすい」状態まで整えましょう。そうすることで、法令対応と業務効率化を切り離さず、同時に進めやすくなります。電子帳簿保存法への対応は、単なる保存義務への対処ではなく、社内の契約管理のあり方そのものを見直すきっかけとして捉えることが重要です。
6. 電子帳簿保存法対応と契約管理を両立する「マネーフォワード クラウド契約」
「法令対応とバックオフィスの効率化を実現したいが、システム導入に人手はかけられない」という企業におすすめしたいのが、マネーフォワード クラウド契約です。同サービスを導入することで、電子帳簿保存法対応と契約実務の効率化を両立できます。
法令対応の自動化
電子帳簿保存法で求められる要件を、ユーザーが意識することなくクリアできます。法改正のたびに自動でアップデートされていくため、その都度運用ルールを見直す必要もありません。
契約業務のワンストップ化
電子契約の送信・締結はもちろん、紙で締結した契約書や他社サービスで締結した契約書も、まとめて一元管理が可能です。すべての契約が1つの画面で完結するため、情報の分散を防げます。
直感的な操作性と拡張性
難しい設定は必要ありません。ITに詳しくない方でもすぐに使い始められる直感的な操作画面が特徴です。
まとめ
電子帳簿保存法における最低限の対応事項は「電子取引データ」の保存です。リソースの限られた小規模企業においては、まずこの対応を優先しましょう。電子帳簿保存法への対応は面倒な課題に思えるかもしれませんが、うまく活用すれば業務の効率化やデジタル化にもつながります。「法令対応も業務効率化も同時に実現したい」と考えるなら、マネーフォワード クラウド契約の導入が近道です。バックオフィスの負担を減らしたい企業にとって、頼れる一手となります。
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