- 更新日 : 2025年1月20日
成年被後見人の確定申告が必要なケースや書き方・記載例を解説!
認知症などにより判断能力を持たない方の財産を保護する目的で、2000年4月に成年後見制度が施行されました。保護される側である「成年被後見人」の財産を管理するのは「成年後見人」ですが、もし成年被後見人に何らかの所得があり確定申告が必要である場合どうすればよいでしょうか?
今回は「成年被後見人」の確定申告について解説していきます。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
チェックリスト付きなので、情報収集だけでなく、書類作成・申告手続きを行う時にもお使いいただけます。
この記事を読む方におすすめ
税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。
目次
「マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。
取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに記帳・書類を作成。来年の確定申告は余裕を持って対応できます。
PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。

成年被後見人の確定申告は必要?
一般的には所得があれば納税の義務が生じる可能性があります。
不動産を貸し付けて地代家賃を得ているのであれば不動産所得が発生しますし、保険の満期金や解約金は一時所得として申告する必要があります。
これは「成年被後見人」であっても例外ではありません。
例えば、成年被後見人名義の土地や家屋を貸し付けて収入を得たとすれば、その所得は成年被後見人に帰属します。また、契約者と保険金の受取人がいずれも成年被後見人であるような保険契約の満期金や解約金は、一時所得として申告しなければなりません。
成年後見制度は被後見人の財産保護を目的としていますが、納税義務の免除規定ではありません。つまり確定申告が必要か否かの判断は一般的な申告と何ら変わりありません。
計算した結果、納税が生じるような場合には確定申告をする必要があります。
そもそも成年後見制度とは?
成年被後見人の確定申告の手続きを見る前に、そもそも「成年後見制度」とはどのような制度なのかを簡単に解説します。
成年後見人とは
成年後見制度において、自己判断が困難(または不可)の方を保護・支援する立場にある方のことを「成年後見人」と呼びます。
成年後見人には「任意後見人」と「法定後見人」の2種類があります。
1.任意後見人
被後見人にあたる方が、自己判断が可能な段階であらかじめ選任しておいた後見人と、後見してもらう内容について契約を結んでおくのが任意後見制度です。その際、後見人となるのが「任意後見人」です。
2.法定後見人
被後見人にあたる方が、自己判断が困難(あるいは不可)になった後、裁判所によって成年後見人を選任するのが法定後見制度です。その際、後見人となるのが「法定後見人」です。
成年被後見人とは
前段で解説した「成年後見人」に保護・支援してもらう方のことを「成年被後見人」と呼びます。法定後見制度の場合「成年被後見人」はその判断能力に応じて次の3つの制度が利用できます。
1.補助
自己の判断能力が不十分である場合に利用することができる制度です。被後見人ご自身に判断能力があるので、基本的には後見人は何の権限もありません。
後見人は被後見人の判断が不十分である部分について家庭裁判所に申し立てを行い、権限を付与された部分についてのみ補助が行えます。
2.保佐
自己の判断能力が著しく不十分である場合に利用することができる制度です。
後見人は選任された時点で「同意権」と「取消権」の2つの権限を有しますが、後見人が独断で代理権限を行使できる「代理権」はありません。代理が必要な場合には「補助」と同様に、家庭裁判所に申し立てを行い、権限を付与してもらう必要があります。
3.後見
自己の判断能力が全くない場合に利用できる制度です。
被後見人は正しい自己判断能力がありませんので、後見人は選任された時点で「代理権」と「取消権」の2つの権限を有します。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
成年被後見人の確定申告が必要となるケース
先にも述べた通り、成年被後見人であっても所得があり、納税義務が生じれば確定申告をする必要があります。
成年被後見人の確定申告が必要になるケースを例示してみましょう。
不動産の賃貸(不動産所得)
土地や家屋の貸付により得た賃貸収入は「不動産所得」となります。
成年被後見人名義の不動産から生じる不動産所得は、成年被後見人ご自身の不動産所得になるので、確定申告が必要かどうかを判断しなければなりません。
仮に不動産所得以外の所得がないとした場合、以下の計算式で残額が残れば確定申告をする必要があります。
不動産や動産の売却(譲渡所得)
土地・家屋などの不動産や、車・書画骨董品といった動産を売却して得た所得は「譲渡所得」に該当します。
成年被後見人が所有する不動産や動産を売却した場合も、成年被後見人ご自身の所得となりますので、確定申告が必要かどうかを判断しなければなりません。
成年被後見人の確定申告書の書き方・記載例
成年被後見人の確定申告が必要である場合、一般的な申告と異なり注意すべき点がありますので1つずつ確認していきましょう。確定申告書を使って解説していきます。

住所
住所については、成年被後見人が住んでいる住所地を記載します。老人ホームなどの施設に入居して住民票を移しているような場合には注意が必要です。
成年被後見人の住所地を記載したら下段に成年後見人の住所地も記載します。
氏名
成年被後見人の氏名を記載した後、続けて成年後見人の氏名を「成年後見人 ○○」というように記載します。
印鑑
令和3年分の確定申告から申告書への押印は不要となっています。
特別障害者控除の適用
成年被後見人は判断能力に乏しい(あるいは判断能力を欠く)状態であるため、所得税法上の「特別障害者」に該当し、40万円が控除できます。
医療費控除の適用
医療費控除の適用については、一般的な確定申告と同じように所得控除が受けられます。
マネーフォワード クラウド会社設立は、個人事業主が法人成りを検討したほうがよいタイミングをまとめた「法人化を検討すべき7つのタイミング」を無料で用意しております。
創業支援に強い税理士監修で、ポイントがまとまったお得な1冊となっていますので、ぜひ将来を見据えた情報収集でご活用ください。
成年被後見人の確定申告書の提出先は?
成年被後見人の確定申告書は、被後見人が住んでいる住所地を管轄する税務署に提出します。
ただし介護施設に入居して住民票を移したような場合には、管轄が変わることがありますので国税庁HPなどで所轄税務署を確認してから提出しましょう。
振替納税を行う場合は口座の名義変更が必要
確定申告で所得税の納税をする際に口座振替を利用している場合には注意が必要です。
成年後見制度では、被後見人の口座名義を変更する必要があります。具体的には被後見人の氏名の後ろに「後見人 ○○」といった形式で後見人の氏名を追加します。
これにより、確定申告の口座振替の名義人が一致しない、ということが起こり得ます。
成年後見制度を利用する際は、口座の名義変更の手続きを忘れずに行いましょう。
成年被後見人の申告漏れがないよう気をつけましょう
所得が生じれば課税が発生するのが税法の原則です。これは被成年後見人であっても例外ではありません。成年被後見人が所有する財産から生じる各種の所得を漏れなく把握し、必要に応じた確定申告を正しく行うようにしましょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得

銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案

自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能

白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。

合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド

青色申告1から簡単ガイド

個人事業主が知っておくべき経費大辞典


マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
よくある質問
成年後見制度を利用している場合、被後見人の確定申告は必要ですか?
成年後見制度を利用していても、申告要件に該当すれば確定申告が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
確定申告をする際の注意点は?
確定申告書に記載する住所、氏名欄に成年後見人の住所、氏名を追加しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ピアノ教室の確定申告はいくらから?必要書類や経費の扱いまで解説
個人事業主としてピアノ教室を経営している人は、確定申告が必要になるケースがあります。事業所得や副業、勤務先での収入がある場合は、必要書類を用意したうえで確定申告の手続きをしましょう。 今回はピアノ教室の経営者向けに、確定申告の基本と経費とし…
詳しくみる海外勤務中の非居住者も確定申告が必要?課税のしくみや納税管理人の選定方法を解説!
日本国内に住んでいない非居住者は、どのような場合に確定申告が必要なのでしょうか?国内所得の有無や国外の所得をどう扱えばよいのかも気になるところです。また、納税管理人が必要となる場合やその選定方法について気になる方も多いでしょう。 この記事で…
詳しくみる土地は減価償却できない?その他の経費や特例による節税方法も解説!
減価償却とは、固定資産の耐用年数に応じて、その固定資産の取得価額のうち価値が減少した部分の金額を減額することです。 固定資産には、有形固定資産や無形固定資産があります。中でも土地や建物などの不動産は金額的にも大きく、事業を支える収益確保の基…
詳しくみる未成年でも確定申告が必要になるケースとは?
最近では未成年のYouTuberや個人事業主としてネット副業で稼いでいる方を知る機会が多いと思います。さらに、未成年はさまざまな制度で優遇や免除をされることが多いため、税金も同様であると考えてしまいがちです。 ところが、所得税では成年と未成…
詳しくみる確定申告で通信費を経費にすることはできる?
電話代や切手代などは、事業をするうえで必要な支出です。これらは「通信費」の勘定科目で処理します。もちろん、事業に必要なものなので、確定申告で経費にすることができます。 ここでは、確定申告で経費にできる通信費や仕訳の方法について解説します。確…
詳しくみる非常勤講師は確定申告が必要? 掛け持ちしたらどうする?経費にできる?まとめて解説
一口に非常勤講師と言っても、雇用契約の有無や、不定期での活動などさまざまです。さらに確定申告では、以下の疑問にぶつかることがあります。 「非常勤講師の収入は何の所得になるの?」 「年末調整したから確定申告は不要?」 「必要経費はどんなものま…
詳しくみる