- 更新日 : 2024年12月18日
48連勤は違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
48連勤は、単なる「働き過ぎ」では済まされないほどの負担を労働者にもたらします。身体的な疲労と精神的なストレスが限界を超え、健康を損なうだけでなく、仕事のパフォーマンスや人生全体の質までも低下させてしまいます。
本記事では 「48連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイントも合わせてお伝えしますので、労務管理の改善にお役立てください。
目次
48連勤は違法?
48日間連続で働くことが、法律上ただちに違法となるかどうかは、会社が採用している法定休日の設定方法によって変わります。
もし会社が4週間を通じて4日の法定休日を与える方法をとっている場合、理論上48日間連続で働くことが可能とされています。この仕組みを正しく運用していれば、48連勤そのものが法的に違反しているとはいえません。
しかし、週に1日の法定休日を与える一般的な設定では、最大で12日間連続勤務までが想定の範囲内です。そのため、週1日休日制の下で48連勤が行われた場合には、適切な法定休日が確保されていないことになり、法律違反となります。
※36協定が締結されている場合には、極論連続勤務自体には上限はないものの、労働時間の限度時間があります。(もっとも、長期間の連勤は好ましくありません)
そもそも労働基準法での休日のルールについて
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に対して必ず与えるべき「法定休日」について定められています。会社は以下のいずれかの方法で休日を設定しなければなりません。
- 週に1日
- 4週間を通じて4日
この法定休日に対して、会社が独自に設定する休日は「法定外休日」と呼ばれ、労働基準法ではなく、労働契約や就業規則に基づいて付与されるものです。
たとえば、週2日休みがある会社の場合、そのうち1日が法定休日、残りの1日は法定外休日に該当します。
12連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」 と定めています。このルールに従えば、厳密には 12連勤が認められるケース があります。
12連勤が発生する仕組み
例えば、1週間の区切りを「日曜から土曜」とした場合の例を見てみましょう。
- 1週目:日曜日が休日、月曜日から土曜日まで6日間働く
- 2週目:日曜日から金曜日まで6日間働き、土曜日が休日
この場合、1週目の月曜日から2週目の金曜日まで 連続12日間 の勤務が発生しますが、法定休日は週に1回確保されているため、労働基準法には違反しないことになります。
48連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、会社(使用者)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日」 または 「4週間を通じて4日以上の休日」 を与えることが義務付けられています。この「4週間で4日」のルールを活用すると、 最大48連勤(1カ月あたり24日間)が理論上は認められるケースがあります。
48連勤が発生する仕組み
4週間単位で休日を設定する「変形休日制」を採用している場合、連続勤務が理論上可能になります。具体的な例を見てみましょう。
- 1週目:日曜から水曜まで休み、木曜から土曜まで勤務
- 2週目~7週目:毎日勤務(42日間連続勤務)
- 8週目:日曜から火曜まで勤務、水曜から土曜まで休み
この場合、 1週目の木曜日から8週目の火曜日まで 連続 48日間 の勤務が発生しますが、 4週間ごとに4日間の休日が確保されているため違法ではありません。
違法な連勤が引き起こすリスク
違法な連勤を避けるためには、 法定休日の確保 と 労働者の健康配慮 が重要です。36協定を遵守し、過度な連勤が発生しないよう適切な労務管理を行うことで、従業員の健康と企業の信頼を守りましょう。
安全配慮義務について
労働契約法第5条では、使用者に 「安全配慮義務」 が課されています。これは労働者の健康や安全を守るための配慮義務です。
- 健康を害するほどの連勤:
過度な連勤が続くことで、労働者が心身に不調をきたした場合、安全配慮義務違反に該当します。
違反した場合のリスクとして、使用者には 損害賠償責任 が発生する可能性があり、企業の信頼を大きく損なうことになります。
労働安全衛生法違反となるケースも
労働安全衛生法では、使用者は職場環境を整え、労働者の健康や安全を確保することが義務付けられています。
- 過度な連勤で健康被害が発生:
長時間の連勤が原因で労働者が過労死やメンタルヘルスの不調に陥った場合、違反と判断される可能性があります。
違反した場合のリスクとして、労働基準監督署からの指導が入り、労働環境の改善を求められることになります。
従業員の健康被害・チベーション低下を引き起こす
過度な連勤は、うつ病や過労死など深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。労災認定されれば、企業は慰謝料や損害賠償責任を負う可能性もあります。
連勤が続けば、労働者の業務意欲は低下し、生産性にも悪影響が出ます。労働環境への不満が高まれば、離職者の増加や定着率の低下にもつながります。
企業の信頼失墜にもつながる
労働基準法違反が発覚すれば、罰金や懲役といった刑罰だけでなく、企業名が公表される可能性もあります。社会的信用の失墜は大きなダメージとなるでしょう。
48連勤のきつさとは
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
労働基準監督署の是正勧告とは?無視したらどうなる?
労働基準監督署には、企業が労働基準関係法令を遵守し、違反がないかを監督する役割があります。立ち入り調査や監督指導で法違反が確認されれば、是正勧告が交付されます。指導を無視すると書類送検や企業名が公表されることもあり、企業の信用を傷つけかねま…
詳しくみる未払い残業代とは?時効や請求の仕方、請求された際の対応を解説
未払い残業代とは、企業が従業員に支払うべき残業代を支払っていない状態を指します。 未払い残業代が発生すると、従業員からの請求、労働基準監督署の調査、訴訟などに発展する可能性があり、企業経営に大きな影響を与えます。 そこで本記事では、未払い残…
詳しくみるエクセル(Excel)の勤怠管理のメリットとデメリット
エクセルの勤怠管理で何ができる? 従業員の勤怠管理に紙のタイムカードを使用していませんか?勤怠管理はエクセル(EXCEL)を使うと非常に便利です。エクセルを使用することで ・出社・休憩・退社の勤怠を記録すること ・勤務時間や残業時間を記録す…
詳しくみる時短勤務とは?制度の内容や適用対象、期間などを解説!
時短勤務とは、1日単位の所定労働時間を短縮して勤務することです。短時間勤務と呼ばれる場合もあります。働き方改革や少子化対策が求められる中、育児・介護休業法により制度を設けることが義務付けられています。この記事では時短勤務の定義や、対象者の要…
詳しくみる2連勤はきつい?違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
2連勤は短期間とはいえ、仕事の内容や労働時間によっては特有のきつさを感じることがあります。 本記事では 「2連勤は違法ではない理由」など、労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポ…
詳しくみる勤怠管理とは?仕事内容や活用できるツールの比較
勤怠管理は、会社で人事総務関係や給与関係の担当者が必ずといっていいほど関わることになる業務の一つです。 今回は、勤怠とは、勤怠管理とは、といった基礎的な知識から勤怠管理の仕事内容や流れなどを確認していきます。その後、勤怠管理のツールやシステ…
詳しくみる