• 更新日 : 2026年1月14日

キャリアコンサルティングとは?実施するメリットや配置方法を解説

本記事では、近年関心が高まっているキャリアコンサルティングについて解説します。

キャリアコンサルティングの基本的な考え方や、社会的に注目される理由、活用されるシーンをわかりやすくまとめました。あわせて、導入によって得られるメリットや事前に理解しておきたい注意点にも触れます。
企業が、キャリアコンサルタントを配置する方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

キャリアコンサルティングとは?

キャリアコンサルティングとは、働く人が自分らしいキャリアを築くために、専門家から受けるサポートを指します。

キャリアコンサルタントとの一対一の対話を通じて、これまでの職務経験や身につけてきた能力、仕事に対する価値観や関心分野などを整理します。そのうえで、将来の方向性を検討していく流れです。

第三者の視点が加わることで、自分では気付きにくい強みや適性が明確になり、望む生き方やキャリア像を描きやすい点が特徴です。

また、企業が導入することで、従業員一人ひとりが自身のキャリアを見直すよい機会となり、主体的な成長を促す効果も期待できます。

キャリアコンサルティングが注目されている背景

キャリアコンサルティングが注目を集めている理由のひとつに、働き方を取り巻く環境の変化があります。

かつて主流だった終身雇用や年功序列は見直され、雇用のあり方は多様化しています。

正社員だけでなく、契約社員や派遣社員・業務委託など選択肢が広がり、リモートワークや成果重視の制度も一般的になりました。

その結果、自分に適した働き方を判断することが難しくなっています。

こうした状況の中で、自身の強みや価値観を整理し、客観的な助言を得られるキャリアコンサルティングの重要性が高まっています。

企業においてキャリアコンサルティングが求められる場面

ここでは、企業がキャリアコンサルティングを取り入れる必要性が高まる、具体的な場面について解説します。

人材育成や働き方の多様化が進む中で、どのようなタイミングで有効なのかを整理していきましょう。

従業員のキャリアアップ支援

従業員が業務の幅を広げたいと考えながらも、どの分野から能力開発に取り組むべきか迷っている場合、企業は成長支援策としてキャリアコンサルティングを活用できます。

従業員との面談では、これまでの職務内容や成果を整理し、本人の強みや適性を明確にすることが重要です。

そのうえで、身につけるべきスキルや今後のキャリア形成の方向性について助言します。

将来の会社の展望を踏まえた選択や、社内での成長を目指すか転職を視野に入れるかなど、幅広いテーマを検討できる点も特徴です。

ワークライフバランスの調整

キャリアコンサルティングでは、仕事と私生活の調和を重視した働き方・ワークライフバランスについて相談されるケースも見られます。

出産や育児を経て職場に戻る際に両立が可能かを考えたり、生活を優先した働き方を求めて転職を検討したりと、悩みはさまざまです。

キャリアコンサルタントは本人が望む働き方の軸を整理し、将来を見据えたキャリア設計や職場選びの考え方を提示します。

無理のない形で長く働き続けるための、指針を得られる点が特徴です。

ワークライフバランスについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

メンタルヘルス支援

職場での人間関係への不満や、昇進・役割の変化に伴う不安など、仕事に起因するストレスに対してもキャリアコンサルティングは有効です。

面談を通じて悩みの背景を丁寧に整理することで、心身の不調につながる要因を早期に把握できます。結果として、具体的な対処策を検討できるでしょう。

メンタルヘルスの課題を放置すると、業務効率の低下や休職につながるおそれもあります。

企業が主体的に従業員の状態や意欲を把握し、適切な支援を行うことが重要です。

メンタルヘルスについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

キャリアコンサルティングを実施するメリット

ここでは、キャリアコンサルティングを導入することで得られるメリットを整理します。

企業にとっての効果と、従業員が受ける恩恵の双方に分けて、それぞれの視点からわかりやすく解説していきます。

企業側のメリット

まずは、企業がキャリアコンサルティングを行うことで得られる効果について紹介します。

企業がキャリアコンサルティングを実施することで、従業員の意欲向上や定着率の改善が見込めたり、復職支援やその後のキャリア形成を後押しできたりします。

従業員のキャリアを企業側が支援することで、結果的に企業の成長や発展にもつながるでしょう。

従業員のモチベーションアップにつながる

企業が主体となってキャリアコンサルティングを提供することで、従業員が抱える将来への不安や仕事上の迷いを整理しやすくなります。

従業員が、社内では打ち明けにくいキャリアの悩みも、第三者に相談できるため、気持ちに区切りをつけて働けます。

その結果、自身の役割や目標を前向きに捉えられるようになり、仕事への意欲向上が期待できるでしょう。

従業員のモチベーションが高まることで、パフォーマンスが向上し、組織全体の生産性や成果にもよい影響をもたらします。

離職率を低下させられる

企業がキャリアコンサルティングを通じて、従業員の将来設計を支援する姿勢を示すことで、「個人のキャリアを尊重してくれる会社」という信頼感が生まれます。

これにより職場への愛着が高まり、腰を据えて働き続けたいと考える人が増えるため、離職を防止できるでしょう。

近年は、雇用形態や働き方の選択肢が広がっています。正社員やパート、テレワークなど多様な働き方を理解し、柔軟に対応する企業ほど評価されやすい傾向があります。

離職率の改善方法について知りたい方は、下記の記事もご参照ください。

職場復帰やセカンドキャリアを支援できる

キャリアコンサルティングに、キャリア研修を組み合わせた「セルフ・キャリアドック」を導入することで、組織の活性化が期待できます。

これは、従業員が定期的に自身のキャリアを振り返り、将来の方向性を整理するための仕組みです。

たとえば、育児や介護による休業後のスムーズな職場復帰を支援したり、今後の働き方を模索するシニア層の意欲を引き出したりする場面で効果を発揮します。

従業員一人ひとりが役割を再確認することで、人材の活用が進み、組織全体の活力向上にもつながります。

従業員側のメリット

ここでは、キャリアコンサルティングを受けることで従業員が得られるメリットについて解説します。

従業員は自身の経験や能力を整理することで、強みや向いている分野を把握しやすくなります。

また、第三者の視点から助言を受けることで、新たな気付きが生まれ、将来の働き方やキャリアの方向性を具体的に思い描けるでしょう。

自身の強みや適性がわかる

キャリアコンサルティングでは、第三者による視点を取り入れながら、経験や考え方を整理するため、自分では見落としがちな能力や大切にしている価値観が明確になります。

人は無意識の思い込みや過去の基準に縛られ、適性を正確に捉えられていないことも少なくありません。

専門家の分析を通じて自身の強みを理解できれば、将来どの分野で力を発揮すればよいのかが見えてきます。

結果的に、現実的で納得感のあるキャリア設計に結び付けやすいでしょう。

客観的なアドバイスを受けられる

キャリアコンサルティングを活用することで、利害関係のない立場から冷静な意見をもらえる点が大きな特徴です。

専門家は個々の状況や希望を踏まえ、それぞれに合ったキャリアの方向性を提案します。

一人で将来を考える場合、過去の経験や固定観念に引きずられ、適切な選択ができないこともあるでしょう。しかし、第三者の視点が加わることで、判断の偏りを防ぐことが可能です。

将来的なキャリアプランがイメージできる

キャリアコンサルティングでは、将来に対する漠然とした不安や迷いを言語化し、整理することが可能です。

年齢やライフステージの変化に伴い、転職や独立といった選択肢に悩みを抱く人も少なくありません。

面談を通じて現在の状況や課題を客観的に見直し、どのような姿を目指したいのかを明確にすることで、現実的な行動指針が見えてきます。

具体的な助言を得られる点が、将来像を描くうえでの大きな助けとなります。

キャリアコンサルティングを実施する際の注意点

キャリアコンサルティングを効果的に行うためには、事前準備と実施後のフォローが重要です。

面談時間を有意義に使うため、従業員には履歴書や職務経歴書を用意し、相談したい内容を整理してもらうとよいでしょう。

企業側も、従業員が将来どのような働き方や生活を望んでいるのかを考えたうえで相談できるよう、環境づくりを支援する必要があります。

また、面談後に意思疎通がうまくいかないと感じる場合は、担当コンサルタントの変更など柔軟に対応することも大切です。

企業側がキャリアコンサルタントを配置する方法

ここでは、企業がキャリアコンサルタントをどのように確保・配置するかについて紹介します。

社内で対応する方法や外部人材を活用する選択肢など、導入の考え方整理しましょう。

1. 経営層の協力を仰ぐ

企業がキャリアコンサルティングを本格的に進めるには、経営層の理解と関与が欠かせません。

企業の経営者がセルフ・キャリアドックの導入意義を認識し、組織を活性化させる取り組みとして全従業員に向けて発信することが重要です。

経営者自らが方針を示すことで、施策が一時的な取り組みではなく、会社全体の方針として浸透しやすいといえます。

経営層が積極的に関与することで、キャリアコンサルティングを推進する土台が整い、現場での理解や協力も得やすいでしょう。

2. 従業員から理解を得る

キャリアコンサルティングを円滑に進めるためには、従業員一人ひとりの理解を得ることが欠かせません。

制度の目的や意義を丁寧に伝え、社内全体で前向きに受け止められる環境を整える必要があります。

変化の激しい時代において、自ら考えて行動するキャリア形成が重要である点を認識してもらうことも大切です。

また、管理職が人事部門やキャリアコンサルタントと連携し、部下を支援する体制づくりも求められます。

推進役の責任者を任命し、取り組みを組織的に進めることが効果的です。

3. キャリアコンサルタントを確保する

キャリアコンサルティングを継続的に進めるためには、専門的に対応できるキャリアコンサルタントの育成や確保が必要です。

企業には、従業員向けのキャリア研修の実施や、個別面談を通じた相談対応、その後の状況確認や支援までを一貫して実施する体制が求められます。

キャリアコンサルタントは、社内で育成する方法と、外部の専門家を活用する方法の二つが考えられます。

次の項目で、それぞれの特徴や選び方について詳しく見ていきましょう。

社内キャリアコンサルタント

社内キャリアコンサルタントとは、企業の一員として働きながら、従業員のキャリア形成を専門的に支援する役割を担う人材のことです。

職場内の課題や業務上の悩みを把握しやすく、組織の状況に合った助言や改善提案ができる点がメリットです。

多くの場合、「キャリアコンサルタント国家資格」や「キャリアコンサルティング技能検定(1級・2級)」といった公的資格を保有していることが望まれますが、企業の方針によっては必須としないケースもあります。

社内事情に精通した専門家として、継続的な支援が期待できます。

社外キャリアコンサルタント

社外キャリアコンサルタントとは、企業の外部から専門的な立場で支援を行う人材を指します。

社内事情に左右されにくいため、課題を客観的に捉え、人間関係のしがらみを避けた提案ができる点が強みといえます。

原則として、公的資格を保有していることが前提です。

効果的な支援を受けるには、経営方針や人材育成の考え方、現状の課題を十分に共有することが重要です。

社外コンサルタントは、厚生労働省の国家資格キャリアコンサルタント検索サイト「キャリコンサーチ」などで探せるので、ご活用ください。

企業のキャリアコンサルティング実施事例

大手総合商社のI社では、2002年に民間企業として先駆けてキャリアカウンセリング室を設置しました。

2007年には、若手社員の仕事への意欲向上や価値観の形成を目的に、階層別研修と連動したキャリアコンサルティング制度を整備しています。

入社4年目や8年目などの節目には、出向中の社員も含めた全員を対象に研修を実施しました。

出向先でも現場経験を積みながら、継続的かつ計画的なキャリア支援を行う体制を構築しています。

参考:「セルフ・キャリアドッグ」導入の方針と展開(p.11)|厚生労働省

キャリアコンサルティングに関するよくある質問

ここでは、キャリアコンサルティングについて多く寄せられる疑問や不安を取り上げます。よくある質問をもとに、ポイントをわかりやすくまとめました。

企業が外部のコンサルタントに依頼するメリットは?

外部のキャリアコンサルタントに依頼するメリットは、組織内の利害関係に左右されない視点から助言を受けられる点です。

第三者だからこそ、現状を冷静に分析した実践的な提案ができます。

また、社内の人間には打ち明けにくい悩みも、外部の専門家であれば率直に相談できると感じる従業員も多いでしょう。

豊富な支援実績を持つコンサルタントの助言は、これまでとは異なる角度から自身のキャリアを捉え直すよい機会です。

キャリアコンサルティングが役に立たないと言われる理由は?

日本においてキャリア相談の文化が十分に浸透していないことが、キャリアコンサルタントが役に立たないと言われる理由のひとつです。

実際に相談を希望する人は多いとはいえず、正社員向けに制度として導入している企業も限られているのが現状です。

また、自己啓発やキャリア形成に取り組む労働者自体が少なく、コンサルティングを受ける機会や経験がない人も少なくありません。

そのため、内容を理解しないまま効果を実感できず、「役に立たない」という印象が生まれていると考えられます。

キャリアコンサルタントを選ぶ際のポイントは?

キャリアコンサルタントを選ぶうえで重視したいのは、安心して話せる相手かどうかです。

キャリアを相談する際には、業務内容や価値観だけでなく、生活状況や収入などデリケートな話題に触れることもあります。

そのため、きちんと耳を傾けてもらえていると感じられ、本音を打ち明けても問題ないと思える関係性が重要です。

具体的には、言葉遣いの丁寧さや人柄の柔らかさ、会話のテンポや声のトーンが自分に合っているかなどが判断材料です。

信頼感を持てるかどうかが、キャリアコンサルティングの満足度を左右します。


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