- 更新日 : 2024年10月17日
請求書で値引きはどう記載すべき?具体例をもとに解説
商品やサービスに対して値引きを行った際、請求書にはどのように記載すべきでしょうか。もし書き方を間違えてしまうと消費税の計算にも支障が出てくるため、注意が必要です。
この記事では、値引きを行った際の請求書の書き方についてご紹介します。値引きの際の品目の書き方などについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
値引きが発生した際は請求書にどう書く?
まずは、値引きがあった際の請求書の書き方について具体例を確認しましょう。下記は、1万円の商品Aを販売し納期調整(納期の遅れ)のため500円値引きした際の請求書項目の記載例です。
ための値引き |
どの項目に書くべき?
どのような場合でも値引きの事実は記載しなければなりません。どの部分に値引きを記載するかの決まりはありませんが、多くは上の請求書例のように、「品目」の項目に値引きする旨を理由と共に記載し、金額の項目に値引きした金額を記載します。
消費税額の扱いについては、できるだけ計算を簡単に・明確にしたいのであれば、上記の例のように税抜金額から値引き金額を引きましょう。税込金額から値引き分を引くと、経理処理が煩雑になってしまうためです。
金額の書き方
例えば、1万円の商品を販売し、500円の値引きを行った際、請求書に「商品A 9,500円」と記載するのは誤りです。必ず、値引き対象(この場合は「商品A 10,000円」)の下に「値引き(理由も記載) ▲500円」などと記載しましょう。
値引きした金額の書き方には特に決まりはありません。「-(マイナス)」や「▲」など、値引きをしたことが誰にでも分かる方法で記載しましょう。
値引きが発生するのはどのような場合?
値引きが発生するのはどのような場合なのかを確認しておきましょう。なお、「端数調整」以外のケースにおいて、販売した「商品B」の代金「10万円」を請求し、「5万円」値引きした場合を例とします。
相殺が発生する場合
取引先との間で、以前行った取引時に返金が発生している場合、販売した商品からその金額を引いて請求する場合があります。これを「相殺」と呼びます。
この場合は、項目欄と金額欄で「商品B 100,000円」を記載した下に、「相殺 ▲50,000円」と記載します。
また、買掛金分を請求金額(売掛金)から差し引いて請求するのも相殺の一種です。買掛金を入金する手間が省け、2つの取引を1つにまとめることができる利点があります。
大量購入で割引が発生する場合
大量に購入してもらった際に、値引きを行う場合もあります。「リベート」や「売上割戻」とも呼ばれるものです。
この場合は項目欄と金額欄で「商品B 100,000円」を記載した下に、「割引 ▲50,000円」と記載します。
クレーム対応の場合
販売した商品の品質や店舗・会社のサービスに問題があった場合、クレームが寄せられる場合もあります。返品で対応することもありますが、大きな欠陥ではない場合は、値引き対応を行うこともあります。
クレームでの値引きの際も、項目欄と金額欄で「商品B 100,000円」を記載した下に、「値引き(もしくは「割引」) ▲50,000円」のように記載します。クレームは扱いもデリケートになることが予想されます。「クレームのため値引き」などと記載すると再度クレームになることも考えられるため、記載内容には注意しましょう。
納期調整の場合
取引先が希望する納期を延ばしてもらうなど納期調整を行った場合、お詫びの意味で値引きをする場合があります。
納期調整で値引きを行う場合は、項目欄と金額欄で「商品B 100,000円」を記載した下に、「納期調整のため値引き ▲50,000円」のように記載します。
端数調整の場合
最後に、端数調整による値引きのケースも紹介します。端数調整とは、キリがいい数字にして請求するために値引きを行うことです。例えば商品Cの金額が10万200円だった場合、200円分を値引きし10万円で請求するようなケースです。
この場合は項目欄と金額欄に「商品C 100,200円」と記載し、その下に「端数調整のため値引き ▲200円」と記載しましょう。
値引きを行う際の注意点
上記で紹介したとおり、さまざまな理由から値引きして請求する場合があります。しかし、値引きの際は注意点もあるので、値引きの際は改めて確認するようにしましょう。
値引きが不当な要求ではないか確認する
一般的に商品を購入する方が、販売する方よりも立場が強くなりがちです。そのため、中には商品購入を条件に不当な値引きを要求されたり、非常に安価な海外製品などと比較して値引き交渉を受けたりする場合もあります。
値引きをすると購入してもらえる可能性は高くなりますが、その要求が不当なものでないかは必ず確認してください。値引き後の販売価格が原材料価格や人件費、その他コストに見合ったものかどうかを考えてから、値引きを決めましょう。
なお、特にコストを割ってしまう不当な値引きは「下請法」「独占禁止法」違反となる可能性もあります。
値引き後の金額から消費税を計算した方が良い
値引き後の金額で消費税を計算するか、値引きする前に消費税を計算してその後値引きをするか迷った際は、特段の事情がない限り、まず値引きを行い、値引き後の金額から消費税を計算するようにしましょう。
値引き前に消費税を計算してしまうと、売上を計上する際に改めて税抜価格を計算する必要が生じ、経理処理が煩雑になります。
難しい処理や計算ミスを発生させないためにも、消費税計算の前に値引きを行うようにすると良いでしょう。
金額や表記にミスがないか再確認する
当然のことですが、請求書を作成、送付する際は金額や表記にミスがないようにすることが重要です。
特に値引きが発生する場合は、値引きされる金額や値引き後の金額に間違いがないかをよく確認してください。
また、品目などはもちろん、送り先の会社名、部署名、担当者名、および、振込先の記載が間違っていないかもチェックするようにしましょう。可能であれば、送付前に社内で二重チェックを行うことをおすすめします。
値引きの理由を明記する
値引きを行う際は、その理由を請求書に記載することも忘れないでください。上記で紹介した「相殺」「売上割戻」「納期調整」などを明示するようにしましょう。
ただし、クレームで値引きを行う場合は気をつけてください。請求書に「クレームのため値引き」と記載すると、さらなるクレームの原因ともなりかねません。
消費税は値引き後に算出することを忘れずに!
値引きを行った場合、請求書には値引き前の金額と値引き金額を併記するようにしてください。その際は「相殺」など、値引きの理由を必ず記載しましょう。
なお、値引きの際に迷いやすい「値引きを行った際の消費税額算出」ですが、値引き前の金額ではなく、値引き後の金額をもとに計算すると良いでしょう。値引き前に消費税を算出してしまうと経理処理が複雑になるためです。業務に負担がかからないようにするためにも、この点は特に注意しましょう。
よくある質問
値引きを行った際、請求書にはどのように記載すべきですか?
まずは値引き前の金額を記載し、別途、値引き金額を記載してください。詳しくはこちらをご覧ください。
請求書に値引きを記載する際の注意点はありますか?
値引きの理由を記載することを忘れないようにしましょう。また、消費税は値引き後の金額で算出してください。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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