• 作成日 : 2026年2月16日

売上にかかる税金はいくら?個人事業主・法人の違いや計算方法、節税対策まで解説

Point売上にかかる税金のポイントは?

売上にかかる税金は、売上高そのものではなく、そこから経費や控除を差し引いた所得(利益)に対して課税されます。

  • 個人と法人の違い:個人は累進課税の所得税、法人は一定率の法人税が課される。
  • 納税の基準:売上1,000万円超で消費税、所得290万円超で事業税が発生する。
  • 節税のポイント:青色申告小規模企業共済の活用で「課税所得」を直接圧縮できる。

売上800万円、経費300万円・青色申告の個人事業主の場合、所得税と住民税の合計で約48万円が目安です。

売上を上げても、全額が手元に残るわけではありません。ビジネスのキャッシュフローを管理する上で、売上と税金の関係を正しく理解することが重要です。

この記事では、売上にかかる税金の種類、個人事業主と法人の違い、そして手取りを増やすための節税対策まで解説します。確定申告や決算を控えている方は、ぜひ参考にしてください。

【早見表】売上にかかる税金一覧

個人事業主と法人では、課税される税金の種類や計算の仕組みが大きく異なります。まずは、それぞれの主な税金とその特徴を一覧で確認しましょう。

税金の種類個人事業主法人
所得にかかる税金所得税:5%〜45%の累進課税法人税:所得に応じた一定税率
地方自治体の税金住民税:所得の約10%(一律)法人住民税:法人税割+均等割
事業にかかる税金個人事業税:3%〜5%(控除あり)法人事業税:所得等に応じた課税
消費にかかる税金消費税:売上1,000万円超などが対象消費税:個人と同様の基準で課税

参考:[税のしくみ] 税の種類と分類|税の学習コーナー|国税庁

個人事業主の売上にかかる税金の種類は?

個人事業主が支払う税金は、主に所得税、住民税、個人事業税、消費税の4種類です。これらの税金は「売上そのもの」ではなく、売上から経費を差し引いた「利益(所得)」に基づいて計算されます。

1. 所得税(累進課税)

所得税は、1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課される国税で、所得が増えるほど税率が高くなる「超過累進課税制度」が採用されています。

税率は5%から45%までの7段階に分かれており、所得が高くなるほど税負担の割合も大きくなる仕組みです。さらに、2037年までは所得税額に2.1%を乗じた「復興特別所得税」も併せて納める必要があります。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

2. 住民税

住民税は、お住まいの都道府県や市区町村に納める地方税で、原則として所得の約10%が一律で課税されます。

所得に応じた「所得割」と定額の「均等割」で構成されており、前年の所得をもとに計算され、翌年の6月から支払いが始まる「後払い」の性質を持っています。そのため、売上が落ちた年に前年の好調な業績に基づく高い税額の請求が届くリスクに注意が必要です。

参考:総務省|地方税制度|個人住民税

3. 個人事業税

個人事業税は、法律で定められた70の業種に該当し、かつ年間所得が290万円を超える場合に都道府県から課される税金です。

税率は業種により3%〜5%で、年間290万円の事業主控除があるため、控除後の利益がなければ課税されません。この税金は、支払った翌年の確定申告において「租税公課」として全額を経費計上できる点が大きな特徴です。

参考:個人事業税|仕事と税金|東京都主税局

4. 消費税

消費税は、商品やサービスの提供時に顧客から預かった税金を事業者が代わりに国へ納めるもので、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合などに納税義務が発生します。

ただし、インボイス制度の開始により、売上が1,000万円以下でも「適格請求書発行事業者」に登録した場合は課税事業者となり、納税が必要です。計算方法には「本則課税」と「簡易課税」があり、選択次第で手元資金が大きく変わります。

参考:消費税のしくみ|国税庁

個人事業主の売上にかかる税金の計算方法は?

税金の計算は、以下の計算式を基本として行われます。

(売上 − 必要経費 − 各種控除)× 税率

ここでは、個人事業主を中心とした計算の流れを解説します。

1. 売上から所得を算出する

まず、1年間の総収入金額から必要経費を差し引いて「事業所得」を確定させます。計算式は以下の通りです。

事業所得 = 総収入金額 − 必要経費

総収入には本業の売上のほか雑収入も含まれ、必要経費には仕入れや家賃、通信費などが該当します。この段階でいかに正当な経費を漏れなく計上できるかが、最終的な税額を大きく左右します。

2. 課税所得の決定と所得控除

算出した事業所得から、個人的な事情を考慮した「所得控除」を差し引き、課税対象となる金額(課税所得)を決定します。

所得控除は、基礎控除(一律48万円など)や社会保険料控除配偶者控除医療費控除など全部で15種類あります。これらを活用することで、課税対象となる金額を適切に圧縮し、税負担を軽減することが可能になります。

3. 青色申告特別控除の活用

確定申告を青色申告で行うことで、最大65万円の特別控除を受けることができます。65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳とe-Taxによる電子申告などの要件を満たす必要があります。所得税率20%の人の場合、住民税と合わせて約20万円の節税になります。

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

個人事業主の売上800万円の場合の税額シミュレーション

個人事業主(青色申告者)が売上800万円を得た場合の、具体的な税負担額の試算は以下の通りです。

条件設定
税負担額の試算
  1. 事業所得:800万円 – 300万円 – 65万円 = 435万円
  2. 課税所得:435万円 – 150万円 = 285万円
  3. 所得税額:285万円 × 10% – 97,500円 = 187,500円
    ※控除額97,500円は、所得税速算表の「課税所得195万円超〜330万円以下」の区分を適用しています。また、別途復興特別所得税が加算されます。
  4. 住民税額:285万円 × 10% + 5,000円 = 約290,000円

このケースでの所得税と住民税の合計は約48万円となります。ここに個人事業税や消費税が加わると、実際の手取り額はさらに減少します。

個人事業主の手取りを増やすための節税対策は?

個人事業主が売上にかかる税金を節税するためのポイントは以下の通りです。

家賃や光熱費を経費にする「家事按分」

自宅兼事務所の場合、プライベートと事業の利用比率に基づいて、家賃や光熱費の一部を経費に計上する「家事按分」が可能です。例えば、床面積の30%を仕事で使用しているなら、家賃の30%を経費にできます。ただし、税務署に説明できる合理的かつ客観的な基準(面積比、使用時間比など)を設定し、その根拠を残しておくことが不可欠です。

小規模企業共済・iDeCoの活用

掛金の全額が所得控除の対象となる制度を活用することで、将来の備えと大幅な節税を同時に実現できます。

  • 小規模企業共済:月額最大7万円(年間84万円)まで積立可能で、将来の退職金として受け取れます。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):個人事業主は月額最大68,000円まで拠出でき、小規模企業共済と併用することで年間最大165.6万円もの所得控除が可能です。

参考:小規模企業共済とは|共済制度|独立行政法人 中小企業基盤整備機構iDeCo公式サイト

経営セーフティ共済(倒産防止共済)の活用

経営セーフティ共済は、取引先の倒産に備えるための制度ですが、掛金を全額必要経費に算入できるため、利益の繰り延べに活用できます。月額最高20万円(年間240万円)まで積み立て可能で、40ヶ月以上納付すれば解約時に全額戻ってきます。突発的に売上が増えて利益が出すぎた年の節税対策として有効な手段です。

参考:経営セーフティ共済とは|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

法人化(法人成り)の検討

個人事業主の所得税は、所得が増えるほど税率が上がる累進課税(5%〜45%)です。一方で法人税は、中小法人であれば所得800万円以下の部分は15%の軽減税率が適用されるなど、税率が一定です。

事業所得が大きくなってきた場合、法人化して自分に役員報酬を支払うことで、所得を分散させ、全体としての税負担を抑えられるケースがあります。売上が安定し、節税対策をやり尽くしたと感じたら、法人化によるメリットを検討するタイミングと言えるでしょう。

法人の売上にかかる税金の種類は?

法人が事業活動で得た利益(所得)に対しては、法人税、法人住民税、法人事業税、そして消費税などが課されます。

1. 法人税

法人税は、法人の所得(益金から損金を引いたもの)に対して課される国税で、個人の所得税に相当します。

個人事業主の所得税が最高45%の累進課税であるのに対し、法人税は中小企業であれば年800万円以下の所得に対して15%の軽減税率が適用されるなど、税率体系が異なります。所得が一定以上の規模になると、個人事業主よりも法人のほうが税負担を抑えられるケースがあります。

参考:No.5759 法人税の税率|国税庁

2. 法人住民税・法人事業税

法人住民税と法人事業税は、法人の所得等に基づいて各地方自治体に納める税金です。

法人住民税には、所得に応じた「法人税割」のほか、赤字であっても資本金等の額や従業員数に応じて定額を負担する「均等割」があるのが特徴です。法人事業税は法人の所得等に対して課税されますが、個人事業税と同様に、支払った分は翌期の計算において損金(経費)として算入することが認められています。

参考:総務省|地方税制度|法人住民税・法人事業税

3. 消費税

法人の消費税も、個人事業主と同様に基準期間(原則2期前)の課税売上高が1,000万円を超えた場合や、特定期間の売上・給与が1,000万円を超えた場合などに納税義務が生じます。

標準税率は10%(軽減税率8%)で、受け取った消費税から支払った消費税を控除して計算します。法人においてもインボイス制度への対応は重要であり、免税事業者であっても取引先との関係上、課税事業者を選択して納税する判断が必要になる場面があります。

参考:消費税のしくみ|国税庁

売上にかかる税金の仕組みを正しく理解しよう

売上にかかる税金は、利益や課税所得をベースに計算されます。正しい知識を持ち、制度を賢く選択することで、手元に残る資金を最大化できます。

  • 所得税・法人税の適正化:個人は青色申告控除や所得控除、法人は損金算入を駆使して、課税対象となる所得を適切に圧縮しましょう。
  • 事業規模に応じた制度理解:個人事業税(所得290万円超)や消費税(売上1,000万円超)など、一定の基準を超えると発生する税金についても、制度の選択によって負担を調整できます。
  • 徹底した管理と計画性:領収書の管理や経営セーフティ共済などの制度活用、そして納税資金の計画的なプールが、個人・法人問わず手元資金を最大化する鍵となります。

税金を事業の必要経費と捉え、適切にコントロールすることで、健全な経営を目指しましょう。


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