- 更新日 : 2025年10月10日
デジタルネイティブとは?年齢や世代の特徴、指導方法、次の世代を解説 | 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」
デジタルネイティブとは、物心ついたときからインターネットが普及していて、使えるのが当たり前の世代を指します。情報検索に優れ、SNSを活用してつながりを作るのが得意な一方、なかには対面コミュニケーションや自分で物事を考えるのが苦手という面もあるかもしれません。デジタルネイティブ世代の特徴と育成方法について解説します。
目次
デジタルネイティブとは?
デジタルネイティブとは、生まれたときや物心ついたときから、インターネットが当たり前にあった世代を指します。世界の商用インターネットがはじまったのが1987年頃といわれており、日本でサービスが開始されたのが1992年です。そのため、広義にはこれ以降に生まれた人が該当します。
もともとは、1990年代後半にアメリカで作られた言葉ですが、時代とともに少しずつ定義が変わり、2010年頃から日本でもよく使われるようになったといわれています。
- 生まれたときからパソコンでインターネットを使う環境があった世代
- 物心ついたときからスマートフォンが一般的だった世代
- 赤ちゃんの頃からディバイスに触れている世代
インターネット技術の変遷に合わせて、現代ではデジタルネイティブもさまざまな形が入り混じっています。
デジタルネイティブの対義語
デジタルネイティブの対義語は、デジタルイミグラントです。これは「immigrant(移民)」を掛け合わせた言葉で、大人になってからインターネットに触れた人を意味します。
デジタルネイティブ世代とは?
デジタルネイティブ世代とは、生まれたときからインターネット環境があった人々のなかでも1990年代〜2000年代に生まれた人を示す言葉です。ただし、明確な定義があるわけではなく、デジタルネイティブとデジタルネイティブ世代という言葉が同じ意味合いで使われることもあります。また、デジタルネイティブ世代のなかでも「ミレニアル世代」「Z世代」「スマホ世代」と分ける考え方もあります。
ミレニアル世代(Y世代)
ミレニアル世代とは、1980年代半ば〜1990年代半ばに生まれた人を指します。ミレニアル世代とデジタルの大きな関係性は、パソコンです。1995年に2割にも満たなかったパソコンの世帯普及率は、2000年には5割と大きく飛躍しています。Windows95の登場とともに、IT初心者でもパソコンに触れる機会が増え、インターネットの世界が大きく広がったのがミレニアル世代といえます。
Z世代
Z世代は、1990年代半ばから2000年代にかけて生まれた人々です。Z世代は、中高生や物心ついたころからスマートフォンに親しんできた世代といえます。2010年には約1割程度でしかなかったスマホの普及率は、2021年には約9割まで上昇しています。スマホの普及により、SNSを身近にしたものZ世代の特徴です。SNSで知らない人とつながる、知り合いとクローズドな関係性を築く、SNSで世間に広く打ち出すなど、Z世代はIT技術が活用されたサービスを日常的に楽しんでいます。
参考:令和3年度版 情報通信白書 第1章 デジタル化の現状と課題|総務省
スマホ世代
スマホ世代とは、1995年〜2012年頃に生まれた世代をいいます。iGen(iジェネレーション)とも呼ばれており、人生のほとんどをスマホの影響を受けている世代といえます。スマホを持つことで、常に誰かとつながっている状態にあるのがスマホ世代の特徴です。
デジタルネイティブ世代の特徴
デジタルネイティブ世代は、デジタル機器に強いなどの特徴があります。
デジタル機器に強い
インターネットがある環境が当たり前であるため、スマートフォンやパソコンを難なく使えるのがデジタルネイティブ世代の特徴です。新しいアプリなど、新技術を使うことへの抵抗がなく、スムーズに馴染めます。デジタル環境への順応性が高いといえるでしょう。
情報収集は動画・インターネット
デジタルネイティブ世代の主な情報収集方法は、動画やインターネットです。インターネットを活用した情報検索は、デジタルネイティブ世代にとって当たり前の方法といえます。また、InstagramやYoutubeなどで情報を収集する人も少なくありません。メイク動画やレシピ動画など、本・雑誌以外からの情報収集を当然のものとして活用しています。
情報発信に積極的
情報発信に積極的な人が多いのもデジタルネイティブ世代の特徴です。ブログを書く、SNSのフォロワーを増やすなど、さまざまな手法で情報を発信し、一部の人々は収益化にも取り組んでいます。
ネットで人脈を広げる
インターネットでのコミュニケーションに慣れているのもデジタルネイティブ世代の特徴です。知り合い同士でつながるだけではなく、共通の話題や趣味を通じて、知らない人とのつながりを作ることに価値があると考える人もいます。
多様性を尊重
インターネットは、さまざまな「個」の考え方を表に出すきっかけとなりました。個人の価値観が言語化されて広まったことで、多様性がより目に見える形となり、デジタルネイティブ世代は、さまざまな考え方や価値観に日々触れています。そのため、多様性を尊重する姿勢があり、新しい意見や自分とは異なる考えを否定せずに受け止められる傾向にあります。
デジタルネイティブ世代の弱み
インターネットが当たり前だからこその、デジタルネイティブ世代の弱みもあります。デジタルネイティブ世代の人すべてに当てはまるわけではありませんが、なかには当てはまる人がいるかもしれません。
ネットリテラシーの低さ
若年層のうちからインターネットに触れることになる人々は、ネットリテラシーの低さが問題になることがあります。「子どもがタブレットで勝手に課金してしまった」というようなトラブルは、近年よく聞かれるようになったことです。親の目が届かないところで、インターネットについて十分に理解しない子どもが使うことで発生する問題といえます。また、デジタルネイティブ世代であっても、次々と新しいITサービスが登場することで、新しいサービスを使いこなせないということもあります。
SNSトラブルのリスク
SNSでコミュニケーションを取ることに抵抗がないデジタルネイティブ世代は、SNSでのトラブルに巻き込まれることもあります。代表的な例は、SNSの炎上です。何気ない一言が拡散され批判的なコメントが集まる事態に精神的に消耗し、SNSのアカウントを削除する人々もいます。また、顔の見えないコミュニケーションであることから、認識に齟齬が生まれ、知り合い同士でもトラブルになってしまうことがあります。
対面コミュニケーションが苦手
SNSやチャットに慣れ親しんだデジタルネイティブは、対面コミュニケーションが苦手といわれることがあります。思っていることを直接いえない、対立を避けるといった傾向が強い人もなかにはおり、相手からすると「何を考えているのかわからない」と誤解されることもあるでしょう。大学の教授と学生、会社の上司と新入社員など、世代の開いた者同士の場合、さらにその印象が深くなる可能性があります。
自分で考えることが少ない
デジタルネイティブ世代は、インターネットで検索するのが当たり前です。そのため、自分で物事を考えることが少なくなる傾向にあります。インターネットがすべての答えを表示してくれるため、「まずは考える」よりも「まずは調べる」ほうを優先します。情報収集の効率性という意味では強みになりますが、情報の信頼性を見抜く力がないと、偽の情報に踊らされてしまうかもしれません。
デジタルネイティブ世代の消費傾向
インターネットに慣れ親しんだデジタルネイティブ世代は、消費傾向が他の世代と比べて異なる点があるといわれます。デジタルネイティブ世代が、どのような点に惹かれて消費活動を行うのか、以下にポイントを紹介します。
SNSを活用
株式会社電通デジタルが行った調査によれば、デジタルネイティブ世代はSNSを駆使して、好きな商品やサービスをきっかけにつながりを作っています。消費活動は、デジタルネイティブ世代にとって一種の自己表現でもあり、何をいつ購入したかをSNSに投稿することで、自分の「好きなこと」を表現しています。そして投稿をきっかけに、同じ趣向を持つ人同士でつながれることに意義を見出しています。
参考:デジタルネイティブ世代の「自己表現消費」傾向が強化|電通デジタル
口コミを重視
購入を決定する際、口コミを重視するのもデジタルネイティブ世代の特徴です。デジタルネイティブ世代は、SNSやインターネットの検索を通じてほかの購入者の声を知ることができます。良い口コミが購買意欲を後押しすることはもちろん、逆のことも起こり得ます。
非ブランド志向
デジタルネイティブ世代は、非ブランド志向といわれます。高額なブランド品を買うことだけが、デジタルネイティブ世代にとっての価値観を満たすわけではありません。購入決定フェーズにおいて、デジタルネイティブ世代は企業のビジョンや社会貢献性を重視します。作り手の想いや、使う人々に共感することが、購買意欲を後押しします。
リセールバリュー
デジタルネイティブ世代にとって、もう一つの重要な消費ポイントがリセールバリューです。リセールバリューとは、再販価値のことで、使わなくなった場合に中古品市場で高く売れるかどうかという価値を指します。デジタルネイティブ世代がリセールバリューを重視するのは、SDGsなどで環境保護が世間的に重視されるようになったことや、メルカリなど中古品を簡単に販売できる仕組みが普及したことがあげられます。
デジタルネイティブ世代の指導方法
この先、企業の中核で活躍する可能性のあるデジタルネイティブ世代を指導するにはどうしたらよいのでしょうか。デジタルネイティブ世代に限ることではありませんが、指導方法のポイントについて解説します。
命令ではなく情報共有
デジタルネイティブ世代は、理不尽なルールや公平性を欠いた対応を嫌います。上司からの命令だからといって、黙って従うとは限りません。デジタルネイティブ世代を育て、ともに仕事をする場合、情報を共有し、納得できる形で仕事を依頼することが大切です。
デジタルに関する仕事を担当
SNSの活用やIT機器に抵抗のないデジタルネイティブ世代に対して、デジタルに関する仕事を任せることは、彼らのモチベーション向上やキャリア形成の点でプラスになります。近年、企業成長の要となっているDX(デジタルトランスフォーメーション)推進についても、インターネットをはじめとしたITスキルの経験とリテラシーが身につけているデジタルネイティブ世代の従業員がいれば、取り組みやすいプロジェクトといえるでしょう。育成対象となる人材が、日頃からどのようなSNSやアプリを活用しているのか、ITスキルを持っているのかなどを判断した上で、経験や知識に合わせた仕事を依頼するのがよいでしょう。
ネットリテラシー教育
インターネットに抵抗のないデジタルネイティブ世代ですが、ネットリテラシー教育は重要です。企業倫理に反しない情報の取扱いや、情報セキュリティの重要性など、基本について教育する機会を持ちましょう。
柔軟な対応
デジタルネイティブ世代を育てるには、柔軟な対応も重要です。これまでの業務フローや従来のやり方に彼らが反発することがあります。それは、もともとのマニュアルが古いものになっているからかもしれません。時代に合わない方法について、より良い改善をという彼らの提案を聞き入れ、業務を見直すことも重要です。
デジタルネイティブ人材を育成するには?
デジタルネイティブ世代ではない、アナログ世代の従業員をデジタル人材として育成するには、環境整備が重要です。まずは、従業員がどれくらいのITスキルや知識を持っているのかを把握し、その後、自社にとって必要となるデジタル人材を定義した上で育成方針を定めます。
場合によっては、部署別、チーム別にデジタル人材に求めるスキルや経験が異なることもあるでしょう。そのような場合には、定義した人物像に合わせて、ITスキルやリテラシーを底上げするための研修を実施します。研修以外に、社内公募で意欲のある人材を募り育成プログラムに参加させることも効果的です。
デジタルネイティブ世代の次の世代
デジタルネイティブ世代の次の世代を、アルファ世代といいます。アルファ世代は、2010年序盤から2020年代中盤に生まれた世代を指す言葉です。生まれたときからスマートフォンやタブレットが存在しており、赤ちゃんのときからタブレットに触れてきた世代といえるでしょう。
デジタルネイティブ世代の強みを活かした人材育成に取り組む
デジタルネイティブ世代は、インターネットに慣れ親しんだ世代です。SNSの活用に長けており、消費活動でも独自の判断基準をもとに行動する傾向にあるといわれています。デジタルネイティブ世代の特徴を知ることは様々な世代の考え方を理解することにつながります。社内でも、マーケティング活動や人材育成に活かすことができるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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