• 作成日 : 2026年4月15日

福利厚生の見直しは必要?タイミング・手順・注意点を解説

Point福利厚生は見直すべき?どのタイミングで制度を変更すればよい?

福利厚生の見直しは、制度と従業員ニーズのズレが生じたタイミングで実施する人事施策です。

  • 制度の利用率が低下している時
  • 採用や定着の課題を確認した時
  • 税制や社会保険が変更された時

福利厚生の見直しはまず現行制度の内容・利用率・コストを整理し、従業員ニーズと企業目的を踏まえて制度の追加や変更を検討します。

福利厚生制度を導入したまま長期間放置してしまうと、従業員のニーズや働き方の変化と合わなくなり、制度が十分に活用されないケースも少なくありません。定期的に福利厚生を見直し、制度の追加や変更を検討することが求められます。

本記事では、福利厚生を見直すべきタイミングや見直し手順、注意点などを解説します。

目次

福利厚生を見直すべきタイミングは?

福利厚生の見直しは、制度と現場のズレが見えた段階で着手すると、制度変更による混乱や手戻りを抑えやすくなります。制度が形骸化している兆候が見えたとき、採用や定着の課題が顕在化したとき、税制や社会保険の扱いが変わるときは、福利厚生を点検する代表的なタイミングです。

福利厚生制度が形骸化しているとき

福利厚生が実際には使われていない、または従業員に知られていない状態が見えた場合は、制度を見直すタイミングです。制度が存在していても利用率が低い場合、認知不足や利用条件が現状と合っていない可能性があります。

福利厚生は制度が用意されているだけでは価値が生まれにくく、従業員に届いて利用されて初めて意味を持ちます。福利厚生の利用率だけでなく、人事部門への問い合わせ内容や申請の差し戻し理由などを確認すると、制度のどこで利用が止まっているのかを把握しやすくなります。

採用や定着に課題が見えたとき

採用競争力や従業員の定着率に課題が見えた場合も、福利厚生を見直す機会になります。福利厚生は企業の魅力を示す要素の一つであり、採用活動や人材定着の施策として活用されるためです。

ただし、福利厚生の効果は制度の豪華さだけで決まるわけではありません。育児期の社員、介護を担う社員、単身者、遠距離通勤者など、従業員の生活環境によって求められる制度は異なります。退職理由や入社辞退理由、従業員サーベイの自由記述などを確認し、何が不足しているのかを整理してから制度設計を行うと、実態に合った福利厚生を整備しやすくなります。

税制や社会保険のルールが変わるとき

税制や社会保険制度が変わるタイミングも、福利厚生を点検する機会になります。福利厚生の中には税務上の非課税扱いや社会保険上の報酬扱いに関わるものがあるためです。

例えば、通勤手当には非課税限度額が設定されており、制度変更や税制改正があると給与計算や年末調整の処理に影響が出る場合があります。通勤手当に関しては、2025年11月に限度額の引き上げが行われているため、注意が必要です。また、食事や住宅などを現物で提供する福利厚生は、社会保険の標準報酬月額に関わる報酬として扱われる場合があり、現物給与として価額換算が必要になるケースもあります。制度変更のタイミングに合わせて福利厚生を点検すると、税務や社会保険の対応を含めた適切な運用につなげやすくなります。

参考:通勤手当の非課税限度額の改正について|国税庁
参考:全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)|日本年金機構

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福利厚生の見直しを行う担当者は?

福利厚生の見直しは、基本的には人事・労務部門が中心となって進めます。ただし、制度は給与計算や税務、経営戦略とも関係するため、人事部門だけで完結するものではありません。

人事・労務部門が中心となって制度設計を行う

福利厚生の見直しは、人事・労務部門が中心となって進めるケースが一般的です。福利厚生は従業員の待遇や働き方と関係する制度であり、人事制度の一部として管理されるためです。

人事部門は、現在の福利厚生制度の利用率や運用状況を把握し、制度の改善案を検討します。従業員アンケートや社内サーベイの結果、採用活動の状況、退職理由などを確認しながら、従業員ニーズと企業方針の両方を踏まえた制度案を作成します。福利厚生の見直しは人事施策の一つとして進められるため、人事部門が全体の調整役を担うことが多くなります。

経営層が制度の方向性と予算を判断する

福利厚生の見直しでは、最終的な制度方針や予算の判断を経営層が行います。 福利厚生は企業の人件費や採用戦略に関わる施策であるためです。

例えば、住宅手当の新設や福利厚生サービスの導入などはコストが発生するため、企業全体の人件費バランスを踏まえた判断が必要になります。また、福利厚生を採用強化や人材定着の施策として活用する場合は、経営戦略との整合性を確認することも重要になります。人事部門が作成した制度案をもとに、経営層が最終的な方向性を決定します。

経理・総務など関係部門が制度運用を支える

福利厚生の制度変更を実際に運用する際には、経理や総務などの関係部門も関わります。福利厚生の中には給与計算や税務処理、社内規程の管理に関わるものがあるためです。

福利厚生として手当を新設した場合は給与計算や税務処理の確認が必要になります。また、福利厚生サービスの契約管理や社内周知は総務部門が担当するケースもあります。

制度設計は人事部門が中心になりますが、実際の運用では複数の部署が関わるため、部門間の連携を取りながら進めると制度を定着させやすくなります。

福利厚生の見直し手順はどう進める?

福利厚生の見直しは、思いつきで制度を変更するのではなく、現状の把握から制度設計、社内手続きまで段階的に進めると整理しやすくなります。ここでは、福利厚生を見直す際の基本的な進め方を整理します。

1. 現在の福利厚生制度と利用状況を把握する

福利厚生の見直しは、まず現行制度と利用状況を整理するところから始めます。制度の利用率や対象者、費用などを把握すると、改善すべき点を見つけやすくなります。

例えば、各福利厚生制度について「制度内容」「対象者」「年間利用者数」「利用率」「年間コスト」などを整理します。また、人事部門への問い合わせ内容や従業員アンケートの結果を確認すると、制度が知られていないのか、利用条件が合っていないのかを判断しやすくなります。現状の利用実態を把握することで、制度の課題が明確になります。

2. 従業員ニーズと企業目的を整理して制度案を作る

従業員のニーズと企業の目的を整理し、見直す制度の方向性を決めます。福利厚生は従業員満足だけでなく、採用や定着などの人事戦略とも関係するためです。

従業員アンケートやサーベイ、退職理由、採用時の辞退理由などを確認すると、どのような福利厚生が求められているかを把握できます。例えば、若手社員が多い企業では住宅支援や自己啓発支援のニーズが高い場合があります。一方で、子育て世代が多い企業では育児支援制度の充実が求められることもあります。こうした情報をもとに、制度の追加・廃止・内容変更などの案を整理します。

3. 就業規則や社内手続きへの影響を確認して導入する

制度案を作成した後は、就業規則や社内規程への影響を確認し、必要な手続きを進めます。

福利厚生の内容によっては、就業規則の変更や労働条件の見直しが必要になる場合があります。

例えば、手当の新設や制度内容の変更は就業規則の改定が必要になることがあります。また、税務上の扱いや社会保険への影響が出る制度もあるため、給与計算や社内規程との整合性を確認することが求められます。制度変更の内容を社内に周知し、従業員が理解しやすい形で運用を開始すると、福利厚生の利用率向上にもつながります。

福利厚生の見直し例は?

福利厚生は導入した時点では効果があっても、時間の経過とともに従業員の働き方や企業の状況と合わなくなる場合があります。ここでは、福利厚生を見直すべき代表的なケースと、改善の方向性を紹介します。

【福利厚生の利用率が低い】制度の周知と申請手続きを見直す

福利厚生の利用率が低い場合は、制度の認知方法や利用手続きを改善することで利用率が上がる可能性があります。制度が存在していても、従業員に知られていなかったり申請が複雑だったりすると利用されにくくなります。

レジャー施設割引や保養施設補助などの制度があっても、利用方法が分かりにくい場合は申請まで進まないケースがあります。このような場合は、社内ポータルで制度をまとめて紹介する、入社時や異動時に福利厚生を案内する、申請をオンライン化して手続きを簡略化するなどの方法があります。制度の存在を思い出しやすくすることで、利用率の改善につながることがあります。

【従業員のライフステージが変化した】ニーズに合わせて制度内容を調整

従業員の年齢構成や生活環境が変わった場合は、福利厚生の内容を調整することで制度の効果を高めやすくなります。従業員のライフステージによって必要とされる福利厚生は異なるためです。

例えば、若手社員が多い企業では住宅関連の支援や自己啓発支援のニーズが高い傾向があります。一方で、子育て世代が増えると育児支援や柔軟な働き方を支援する制度の需要が高まります。このような変化が見られる場合は、既存制度の内容を調整したり、新しい福利厚生制度を追加したりすることで、従業員の生活状況に合った支援を提供できます。

【採用や人材定着に課題がある】採用競争力を高める福利厚生を追加

採用や人材定着に課題がある場合は、採用市場で評価されやすい福利厚生を整備すると改善につながる可能性があります。福利厚生は企業の魅力を示す制度の一つであり、求職者や従業員の評価に影響するためです。

採用活動の中で福利厚生が他社よりも弱いと判断されると、応募辞退や早期離職につながる場合があります。このような場合は、住宅手当や資格取得支援制度、テレワーク支援など、働き方や成長支援に関わる制度を検討する方法があります。また、既存社員の満足度を高める制度を整えることで、離職率の低下や企業イメージの向上につながることがあります。

福利厚生を見直した後に必要な手続き・周知は?

福利厚生を見直した後は、制度を決めるだけでなく、社内ルールの更新や労使手続き、従業員への周知まで進めることで制度が実際に機能します。ここでは、福利厚生見直し後に行う主な手順を整理します。

1. 就業規則や社内規程の更新対象を確認する

福利厚生を見直した場合は、どの社内文書を更新する必要があるかを最初に整理します。福利厚生は就業規則だけでなく、複数の社内規程に分かれて記載されていることが多いためです。

例えば、通勤手当や住宅手当は賃金規程、慶弔見舞金は慶弔規程、出張費用は旅費規程、育児・介護関連制度は専用規程などに記載されることがあります。福利厚生の内容変更が就業規則の変更に該当する場合は、該当条文の修正だけでなく、関連する社内規程との整合性も確認します。

2. 労働者代表の意見聴取と就業規則の届出を行う

就業規則の変更に該当する場合は、労働者代表の意見聴取と行政への届出を行います。福利厚生の変更が労働条件に関わる場合、労使手続きを経て制度変更を進める必要があるためです。

過半数労働組合がある事業場ではその組合から意見を聴取し、組合がない場合は労働者の過半数を代表する者を選出します。この代表者は管理監督者ではないことが条件とされており、投票など民主的な方法で選出することが必要です。意見聴取後は、変更後の就業規則全文と意見書を添付して労働基準監督署へ届け出ます。電子申請での提出方法も用意されているため、会社の運用に合わせて手続きを進めます。

3. 従業員がいつでも確認できる形で制度を周知する

福利厚生の変更後は、従業員が制度内容を確認できる状態を整える形で周知を行います。制度変更の情報を伝えるだけでなく、必要なときに内容を確認できる状態を整えることが重要になります。

周知の方法としては、社内ポータルへの掲載、社内掲示板での掲示、社内規程の配布などがあります。電子媒体で周知する場合は、従業員がデータを閲覧でき、必要なときに容易に確認できる状態を整えます。また、制度変更の背景や利用方法をまとめた資料を作成すると、従業員が新しい福利厚生を理解しやすくなり、制度の利用率向上にもつながります。

福利厚生を見直す際の注意点は?

福利厚生を見直す際は、制度変更が従業員の待遇や企業運営に影響する点を踏まえて進める必要があります。ここでは、福利厚生を見直す際に確認しておきたいポイントを紹介します。

従業員に不利益となる変更は慎重に検討する

福利厚生を縮小・廃止する場合は、従業員に不利益が生じないかを確認して進めます。福利厚生の内容によっては、従業員の待遇の一部として認識されている場合があるためです。

例えば、長年支給されてきた住宅手当や通勤補助を突然廃止すると、実質的な収入減につながる可能性があります。このような場合は、段階的な変更や代替制度の導入などを検討し、制度変更の理由を丁寧に説明することで従業員の理解を得やすくなります。

制度の利用率だけで判断しない

福利厚生の見直しでは、利用率の数字だけで制度の価値を判断しないことが大切です。福利厚生の中には、利用機会が限られている制度もあるためです。

育児や介護に関する制度は対象者が限られるため、利用率だけを見ると低くなることがあります。しかし、こうした制度は必要な従業員にとって重要な支援になる場合があります。そのため、利用率だけで廃止を判断するのではなく、制度の目的や対象者を踏まえて検討することが求められます。

制度変更後の運用方法まで設計しておく

福利厚生の見直しでは、制度の内容だけでなく運用方法も整理しておきます。制度の利用方法が分かりにくい場合、制度を変更しても利用率が上がらない可能性があるためです。

申請方法や対象者、利用条件などを明確にし、社内ポータルや社内規程で確認できるようにしておくと、従業員が制度を利用しやすくなります。制度設計と運用ルールを合わせて整備することで、福利厚生を実際に活用される制度にしやすくなります。

利用状況や従業員ニーズを踏まえて福利厚生を見直そう

福利厚生の見直しは、制度の利用状況や従業員のニーズを確認しながら進めることで、活用される制度を整えやすくなります。福利厚生は導入すること自体が目的ではなく、従業員が必要な場面で利用できることによって働きやすさや満足度につながります。

利用率の数値だけで制度の価値を判断するのではなく、制度の目的や対象者、従業員のライフステージの変化なども踏まえて見直すことが重要です。利用状況や従業員の声を継続的に確認しながら調整していくと、企業と従業員の双方にとって効果的な福利厚生制度を維持しやすくなります。


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