• 作成日 : 2026年4月15日

外国人従業員は社宅を利用できる?必要な手続き・ビザとの関係・企業側の対応を解説

Point外国人に社宅は提供できる?

外国人従業員も社宅を利用できます。

  • 国籍による社宅利用の制限はない
  • 住所登録・在留カード変更が必要
  • 企業は在留資格確認と届出を行う

外国人も日本人と同様に社宅制度を利用できますが、在留資格の確認や住民登録など外国人特有の手続きが必要です。

外国人従業員を採用する企業が増える中で、「外国人にも社宅を提供できるのか」「日本人と手続きや税務は違うのか」といった疑問を持つ人事担当者も多いのではないでしょうか。、外国人でも社宅制度を利用することは可能ですが、在留資格の確認や住所手続きなど、日本人とは異なる対応が必要になる場面もあります。

この記事では、外国人従業員が社宅を利用できるかどうか、必要な手続きや税務・給与処理の考え方などを解説します。

目次

外国人従業員は社宅を利用できる?

外国人従業員も、日本人と同様に企業の社宅制度を利用できます。社宅は福利厚生の一つであり、国籍によって利用可否が決まる制度ではありません。ただし、外国人の場合は在留資格(ビザ)の内容や在留期間、住民登録などの手続きが関係するため、企業側の実務では確認事項が増える傾向があります。社宅制度そのもののルールに加えて、在留資格や住所手続きとの関係を理解しておくと運用がスムーズになります。

外国人従業員も社宅制度を利用できる

外国人従業員も、会社の社宅制度を利用することは可能です。社宅は福利厚生として提供される住居であり、原則として国籍による制限はありません。

企業が用意する社宅には、社員寮や借上社宅などの形態があります。これらは会社が住居を確保し、従業員に貸与する仕組みであるため、日本人社員と同じ制度の中で外国人社員も入居できます。
会社が契約者となる借上社宅の形式が利用されるケースが多く、来日直後の外国人社員でも住居を確保しやすいというメリットがあります。

参考:外国人の雇用|厚生労働省

社宅利用の可否は在留資格(ビザ)そのものには左右されない

社宅を利用できるかどうかは、基本的にビザの種類によって直接決まるものではありません。企業に雇用されている外国人であれば、多くの在留資格で社宅の利用が可能です。

「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などの就労系ビザで働く外国人社員は、日本で就労することを前提としているため、会社が住居を提供することに問題はありません。

ただし、在留資格の種類によっては企業側の支援義務や管理方法が異なる場合があります。

参考:在留資格一覧表|出入国在留管理庁

特定技能の在留資格では住居確保の支援が必要になる

特定技能ビザで外国人を受け入れる場合、企業には住居確保を含む生活支援を行う体制が求められます。

特定技能制度では、受入れ企業または登録支援機関が外国人の生活面をサポートする仕組みが設けられており、その支援内容の一つとして住居確保の支援が含まれています。これは必ず社宅を提供しなければならないという意味ではありませんが、住居探しの補助や契約手続きの支援などを行うことが想定されています。

参考:「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」の一部改正について|法務省

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外国人従業員の社宅入居に必要な手続きは?【従業員側】

外国人従業員が社宅に入居した場合、日本での住所に関する行政手続きを行う必要があります。日本では外国人の住所情報が「住民登録」と「在留管理」の両方で管理される仕組みになっているためです。

1. 社宅の住所を確認し居住地を確定する

最初に行うのは、社宅の正式な住所を確認し居住地を確定することです。住所が確定していなければ、行政手続きを進めることができません。

外国人の住所手続きは、実際に居住する場所が決まった時点から開始されます。社宅に入居した場合は、建物名や部屋番号を含めた正式な住所を確認し、住民登録などの手続きで使用できる形で整理しておく必要があります。

日本の在留管理制度では、外国人の居住地は行政に登録される情報として扱われています。これは外国人の在留状況を管理する仕組みの一部であり、後述する住所届出の基礎となる情報です。

2. 市区町村で住民登録(転入届または転居届)を提出する

社宅の住所が確定した後、市区町村で住民登録の手続きを行います。中長期在留者は日本人と同様に住民基本台帳に登録されます。

日本では一定期間以上在留する外国人は住民基本台帳制度の対象となります。海外から来日して初めて住所を定める場合は転入届を提出し、同一市区町村内で住所が変わった場合は転居届を提出します。

住民登録が行われることで住民票が作成され、日本での居住地が公的に記録されます。住民票は銀行口座の開設や携帯電話契約など、生活上のさまざまな手続きで使用されるため、日本で生活を始めるうえで基礎となる手続きの一つです。

参考:住民基本台帳法|e-GOV

3. 在留カードの住所変更手続きを行う

住民登録を行うと、在留カードの住所情報も更新されます。外国人は住所が変わった場合、新しい居住地を届け出る義務があります。

中長期在留者は、新たな住所を定めた日から一定期間内に市区町村へ届け出る必要があります。この手続きは住民登録と同時に行われることが一般的で、在留カードの裏面に新しい住所が記載されます。

在留カードは外国人の在留資格や在留期間などを示す公的な証明書であり、住所情報もその一部として管理されます。社宅に入居した場合は、この住所変更手続きを行うことで日本での居住情報が正式に登録されます。

参考:出入国管理及び難民認定法|e-GOV

外国人従業員の社宅入居に必要な手続きは?【企業側】

外国人従業員が社宅に入居する場合、企業側でも雇用管理や在留資格の確認などの手続きが必要になります。社宅の契約自体は日本人社員と同様ですが、外国人を雇用する場合には在留資格の確認や行政への届出といった追加の対応が発生します。

1. 在留カードを確認し就労可能かを確認する

企業は外国人を雇用する際、在留カードなどにより就労可能な在留資格かどうかを確認します。これは外国人雇用において企業が最初に行うべき確認事項です。

外国人は在留資格によって日本で行える活動が定められているため、企業は採用時または入社時に在留カードを確認し、在留資格・在留期間・就労制限の有無などを確認します。就労が認められていない外国人を雇用した場合、不法就労助長罪に該当する可能性があります。

参考:出入国管理及び難民認定法|e-GOV

2. 外国人雇用状況の届出をハローワークへ提出する

外国人を雇用した企業は、外国人雇用状況の届出をハローワークへ提出します。これは外国人を雇用した場合に企業へ課される法定の届出です。

届出では、外国人の氏名、在留資格、在留期間などの情報を報告します。雇用保険の被保険者となる場合は雇用保険の資格取得届の提出をもって雇用状況の届出を行ったことになりますが、雇用保険の対象外の場合でも外国人雇用状況の届出自体は必要になります。

参考:労働施策総合推進法|e-GOV

3. 社宅契約の手続きを行い入居手続きを整える

外国人従業員が社宅に入居する場合、企業は社宅契約や借上社宅の手続きを行います。これは通常の社宅制度と同様の社内手続きです。

借上社宅では企業が賃貸借契約の契約者となり、その住居を従業員へ貸与します。外国人の場合、保証人や日本語での契約手続きの問題から企業名義の契約とするケースが多く見られます。

また、入居後は外国人本人が住民登録や在留カードの住所変更を行うため、企業は社宅の正式な住所を案内するなど、行政手続きが行えるように情報を共有しておくと対応が円滑になります。

外国人従業員の場合、借上社宅と住宅手当どちらを選ぶべき?

外国人従業員の住居支援では、借上社宅を選ぶ企業が多い傾向があります。企業の社宅制度や受け入れ体制に応じて、どの方式が運用しやすいかを検討することがポイントになります。

借上社宅は来日直後の外国人従業員に適している

借上社宅は、企業が賃貸契約の契約者となり、その住居を従業員へ貸与する方式です。外国人従業員を受け入れる場合、最も利用されることが多い住居手配の方法です。

来日直後の外国人は、日本での居住実績や信用情報がないことが多く、本人契約で賃貸住宅を借りることが難しい場合があります。企業名義で契約する借上社宅であれば、入居審査が通りやすく、住居確保をスムーズに進めやすくなります。

また、企業が契約主体となることで、入居手続きや退去時の対応を社内で管理しやすいという点も運用上のメリットです。

住宅手当は生活が安定した後に選ばれることが多い

住宅手当は、従業員本人が賃貸契約を結び、企業が家賃の一部を補助する方式です。日本での生活に慣れた外国人従業員が利用するケースが多く見られます。

勤務実績や日本での居住歴ができると、保証会社を利用して賃貸契約を結びやすくなるため、本人契約へ移行する企業もあります。

本人契約の場合、従業員は住居の選択自由度が高くなる一方で、契約や退去手続きは本人が主体となります。企業側は住宅手当として給与に上乗せする形で支援することが一般的です。

社宅に関する税務や給与処理は、国籍により異なる?

社宅に関する税務や給与処理は原則として日本人と外国人で違いはありません。社宅の課税関係は国籍ではなく、会社がどのような形で住居を提供しているかによって判断されます。

税務上の社宅の扱いは日本人と外国人で原則同じ

社宅の税務処理は、日本人と外国人で基本的に同じルールが適用されます。課税の判断基準は国籍ではなく、社宅の提供方法です。

企業が住宅を借り上げて従業員に貸与する借上社宅では、従業員が一定額の家賃を負担していれば、会社が支払う家賃との差額がすべて給与として課税されるわけではありません。社宅として貸与されている住宅については、税務上「賃貸料相当額」と呼ばれる基準額の50%以上の家賃を従業員が支払っていれば、会社負担分は給与と扱われない仕組みになっています。

この取り扱いは国籍による違いはなく、日本人社員と外国人社員のどちらにも同じ基準が適用されます。そのため、外国人従業員に社宅を提供する場合でも、社宅規程や家賃負担のルールは日本人社員と同様の制度設計で運用されることが一般的です。

住宅手当や家賃補助は給与として課税される

従業員本人が賃貸契約を行い、会社が住宅手当として家賃を補助する場合、その支給額は給与として課税されます。

住宅手当は現金給与の一部として扱われるため、所得税や社会保険料の計算対象になります。この点も日本人と外国人で扱いに違いはありません。

外国人従業員の場合でも、日本で働き給与を受け取る限り、日本の税制に基づいて給与所得として課税されます。そのため、住宅手当を採用する場合は、給与計算や源泉徴収の対象になることを前提に制度を設計することになります。

外国人に社宅を提供する場合の注意点は?

外国人従業員に社宅を提供する場合、社宅制度を運用する際は、起こりやすいトラブルを想定して対応方針を決めておくと管理が安定します。

社宅入居時に住所手続きの流れを案内しておく

社宅入居時には、住民登録や在留カードの住所変更などの行政手続きを案内しておくとトラブルを防ぎやすくなります。外国人は住所変更手続きの制度を知らない場合があるためです。日本では外国人も住所が変わった場合、住民登録や在留カードの住所変更を行う必要があります。しかし、制度を知らないまま手続きを行わないケースも見られます。

そのため、社宅入居時に必要な行政手続きの内容や期限、窓口などを説明しておくことで、住所登録の漏れを防ぎやすくなります。

社宅の利用ルールや生活ルールを事前に説明する

社宅の利用ルールや生活上のマナーを入居前に説明しておくことで、近隣トラブルを防ぎやすくなります。生活習慣の違いが原因で問題が起こることがあるためです。騒音に関するルールやゴミ出しの方法、共用部分の利用方法などは日本の住宅特有のルールが関係する場合があります。これらを知らないまま生活すると、周囲の住民とのトラブルにつながることがあります。

入居前に社宅のルールや生活上の注意点を説明しておくことで、トラブルの発生を減らすことができます。

参考:賃貸住宅トラブル防止ガイドライン~概要~|東京都

退職や帰国時の退去ルールを社内で整理しておく

退職や帰国時の退去ルールをあらかじめ整理しておくことで、退去手続きのトラブルを防ぎやすくなります。

借上社宅では企業が契約者になるケースが多く、退去日や原状回復の手続きなどが必要になります。外国人従業員の場合、帰国のスケジュールが急に決まることもあり、退去手続きが十分に行われないケースもあります。

そのため、退職時の社宅退去の流れや必要な手続きを社内ルールとして整理し、入居時や退職時に説明できるようにしておくと対応が円滑になります。

参考:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)|国土交通省

社宅制度を理解してスムーズな受け入れにつなげよう

外国人従業員も、日本人社員と同様に社宅制度を利用できます。社宅の提供自体に国籍による制限はなく、借上社宅や住宅手当などの制度も同じルールで運用されるのが一般的です。ただし、外国人の場合は在留資格の確認や住民登録、在留カードの住所変更など、日本人とは異なる行政手続きが関係する場面があります。

また、来日直後は借上社宅で住居を確保し、その後本人契約へ移行するなど、状況に応じた住居支援の設計も重要になります。外国人に社宅を提供する際は、住所手続きの案内や生活ルールの説明、退去時の対応などを事前に整理しておくことで、社宅管理を安定させながら外国人従業員の受け入れを円滑に進めることができます。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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