- 更新日 : 2025年12月5日
承認欲求が強い人は病気?背景にある心理やうまく付き合う方法を解説
職場にいる「承認欲求が強い人」は、病気なのか?と、疑問を抱く人は少なくありません。業務に支障をきたす場合は、対応が難しいと感じる場面も多いでしょう。
本記事では、承認欲求の強さと精神疾患や発達障害などの、病気との関連性について解説します。
承認欲求が強い人に見られる特徴や、その背景にある心理的要因を紐解きます。
承認欲求が強い人と関わる際に、避けるべき対応や、円滑な関係を築くための実践的なヒントもまとめました。ぜひ最後までご覧ください。
目次
承認欲求が強い人は病気?
「承認されたい」という気持ちは、人間にとって自然で本能的な欲求です。
承認欲求の強い人というだけでは、病気かどうかを判断することはできません。
とはいえ、過度に他者の評価に依存しすぎたり、承認を得られないことで強い不安や自己否定を感じたりする場合、心の不調が関係している可能性もあります。
承認欲求そのものを消し去ることは困難です。しかし、長期間にわたり満たされない状態が続いたり、喜びを感じにくくなったりする際には、心理的な病が隠れているケースもあります。
承認欲求が強い人の病気には、下記のようなものがあります。
- 境界性パーソナリティ障害
- 自己愛性パーソナリティ障害
- 演技性パーソナリティ障害
- うつ病
病気のサインを早めにキャッチし、心のケアを意識することが大切です。
承認欲求について詳しく知りたい方は、あわせて下記の記事もご覧ください。
承認欲求が強い人に関連する病気
承認欲求が強い人は、心理的な病気が原因となることがあります。
ここでは、承認欲求が強い人に該当しうる、病気の種類や特徴をわかりやすく解説します。
境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害は、感情の起伏が激しく、衝動的な行動が出やすい特徴をもつ障害です。
とくに、他者から認められていないと強い不安を感じやすい傾向にあります。自分が見捨てられたり、無視されたと受け止めたりすると、突然、恐怖や怒りが湧くことがあります。
対人関係は不安定になりやすく、周囲の承認や安心を過剰に求めるのが特徴です。
こうした特性が、承認欲求の強さと深く関わっていることが多いといえます。
自己愛性パーソナリティ障害
自己愛性パーソナリティ障害は、他者からの称賛や承認を強く求め、自分の価値を過大に評価する傾向がある障害です。
自己中心的な思考が強く、他人の立場に立って考えることが難しい場合が多く見られます。
また、周囲からの好意や期待に敏感で、望む反応が得られないと不機嫌になったり、感情が乱れやすくなったりする特徴もあります。
演技性パーソナリティ障害
演技性パーソナリティ障害は、周囲の注目を集めるために、大げさな行動や言動をとる傾向がある障害です。
演技性パーソナリティ障害の特性は、成功の原動力になる場合もあります。しかし、現代社会では、度がすぎると本人や周囲に負担を与えることがあります。
注目や承認を得ようとする行動の裏には、自己表現の偏りがあり、「本来の自分」と「人前の自分」が乖離してしまうことも少なくありません。
うつ病
うつ病は、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失といった精神的症状がある病気です。精神的症状に加え、睡眠障害や食欲低下、疲労感などの身体症状が現れ、日常生活に支障をきたすのが特徴です。
精神的・身体的なストレスによって、脳の働きが低下することが背景にあります。
承認欲求が強い人は、周囲の評価を意識して行動する傾向があります。
そのため、自分の努力や頑張りを認識できないまま、苦しみを深めやすくなる点に注意が必要です。
うつ病の従業員に対する対応について理解を深めたい方は、あわせて下記の記事もご確認ください。
承認欲求が強い人はアスペルガー症候群?
アスペルガー症候群は、社会性やコミュニケーションに困難を抱える発達障害の一種です。アスペルガー症候群の方は、その場の空気を読むのが難しく、なかには承認欲求の強い方もいます。
ただし、生まれつきの脳の特性によるものであり、うつ病などの後天的な病気とは異なります。
アスペルガー症候群の人は、コミュニケーションや社会的なやり取りが苦手で、対人関係に不安を抱きやすいのが特徴です。
また、特定の物事や手順に強い関心やこだわりをもつことも多くあります。こうした特性が、日常生活や他者との関係に影響を及ぼすことがあります。
承認欲求が強い人の特徴
承認欲求が強い人には、行動や思考に独特の傾向が見られます。
ここでは、承認欲求が強い人の特徴や心理的背景について詳しく解説します。
SNSでの反応を気にしてしまう
承認欲求が強い人は、SNSでの「いいね」やコメントの数を頻繁に確認したり、充実した生活を演出する投稿をしたりする傾向があります。
SNSは、他人からの評価を直接的に感じやすい場です。そのため、承認欲求の強い人が、目に見える反応を通して安心感を得ようとする心理が背景にあります。
承認を求める行動は、オンライン上でも顕著に現れることが多いのです。
自分の非を認められない
承認欲求が強い人は、失敗した際に自分の責任を認めず、他人や環境のせいにする傾向があります。
承認欲求が強い人には、「失敗する自分は価値がない」という自己評価の不安があります。そのため、否定的な態度をとってしまうのが特徴です。
こうした行動は、自分のプライドが傷つくことを避ける無意識的な防御反応ともいえます。
自己保護の一環として、承認欲求が現れるのが特徴です。
過去の成功体験をアピールする
承認欲求が強い人は、学歴や職歴、過去の成功などを繰り返し強調して、自分を大きく見せる傾向があります。
一見すると、自信に満ちているように見えますが、内面には劣等感が隠れている場合も少なくありません。
こうした功績のアピールは、「自分に価値がないのでは」という不安から、自分を守るための心理的な防衛反応と考えられます。
否定を受け入れられない
「自分の考えを認めてほしい」という欲求が強い人は、肯定されやすい場面では、積極的に意見を伝えます。一方で、否定される可能性がある状況では、発言を控える傾向があります。
否定されると強い悲しみや怒りを感じやすく、同時に否定されること自体をおそれるのが特徴です。
「肯定されたい」という気持ちは、裏返せば「否定されたくない」という、防衛的な欲求とも深く結びついているといえます。
愚痴・不平不満が多い
承認欲求が強い人は自分の苦労や悩みを理解してもらおうと、上司には不平を、同僚や家族、友人には愚痴を話すことが多い傾向にあります。
相手が共感してくれるときは、大きな喜びを感じます。一方、理解を示してもらえない場合は、強い不満や悲しみを覚えるでしょう。
他者からの労いの言葉を期待して、自分の努力や苦労をアピールする行動も見られるのが特徴です。
承認欲求が強い人の原因は?
承認欲求が強くなる背景には、性格や環境、過去の経験などさまざまな要因があります。
本章では、承認欲求が強い人の原因について、詳しく解説します。
愛情不足の環境で育った
幼少期に両親から十分な愛情を受けると、「自分は愛される存在だ」という自己認識が育ちます。これは、人間関係の基盤を作るうえで重要です。
しかし、両親から十分な愛情を受けられなかった場合、この認識が形成されず、自分を肯定しにくくなります。
結果として、自己承認の不足を他者からの承認で補おうとする傾向が強まり、承認欲求が高くなることがあります。
自己肯定感が低い
承認欲求が強くなる背景には、自分に自信がないことが大きく関わっています。
人は本来、自分を受け入れたいという自己承認欲求をもっていますが、自己肯定感が低いと自分を認められず、他者からの評価に依存しやすくなります。
結果として、自分の価値を確認するために自己アピールし、周囲から共感や称賛を得ようとする傾向が強まるのです。
他人から認められた経験が少ない
他者からの承認を、ほとんど経験してこなかった人は、満たされない気持ちを抱きやすい傾向にあります。そのため、認められたいという欲求が、強く現れやすいのが特徴です。
学校や職場などで、周囲と比較される環境も影響します。
競争や比較を通じて、自分の価値を他者に示そうとする意識が高まり、承認欲求がいっそう強まる傾向が見られるでしょう。
認められる快感を求めている
承認欲求が満たされることで強い快感を得る人は、その喜びを繰り返し求める傾向があります。
結果として、次第に承認欲求が強まりやすくなります。
とくに、内向的な人に顕著です。他者からの承認によって、社交的な不安を和らげる手段として、承認を強く求める行動がエスカレートすることがあります。
承認欲求が強い人にしてはいけない行動
承認欲求が強い人と関わる際には、注意すべき行動があります。
ここでは、承認欲求が強い人と関わる際に、関係を悪化させないための対応を解説します。
すべての話を肯定する
承認欲求が強い人に対して、心にもない賞賛や過剰に肯定するのは危険です。
一時的には場をやり過ごせますが、相手は「何でも受け入れてくれる人」と認識し、依存が強まるリスクがあります。
承認欲求の強い人から、些細なことでも頼られるようになり、距離を保ちにくくなってしまうため、注意が必要です。
相手の話をストレートに否定する
承認欲求が強い人に対して、「でも」「いや」と否定したり、連絡を無視したりすると、相手は否定されたと感じやすくなります。これは相手の承認欲求を刺激するため、避けたほうがよいでしょう。
もし、承認欲求が強い人の話を否定した場合、皮肉を言われたり頼みごとを忘れたふりをされたりと、遠回しに不満を伝えてくる可能性があります。
否定や無視は避け、相手の気持ちに配慮した対応が重要です。
マウントを取る
承認欲求が強い人の自慢話に対抗して「自分のほうがすごい」と返すと、相手はあなたをライバルとみなすリスクがあります。承認欲求の強い人は、優位に立とうとしてさらに自慢を重ねるかもしれません。
結果的に、会話や関わりの時間が長引き、あなたの負担や労力が増えてしまいます。
承認欲求が強い人と対抗する態度は、避けることが望ましいです。
承認欲求が強い人とうまく付き合うポイント
承認欲求が強い人と良好な関係を築くには、接し方に工夫が必要です。
最後に、承認欲求が強い人と上手に付き合うためのポイントを解説します。
事実にもとづいて適度に認める
承認欲求が強い人の自慢話には、適度に付き合いながらも過度に関係を深めず、軽く受け流す程度に対応することが重要です。
具体的な行動や事実を褒めることで、相手の「認めてほしい」という欲求を的確に満たしつつ、不要なアピールや長話を避けましょう。
マウンティングに反応しない
承認欲求が強い人は、他者との上下関係で自分の価値を測ろうとする傾向があります。
そのため努力の成果ではなく、学歴や持ち物、プライベートなどをもとに優位性を意識し、相手をけなすことで優れていると感じがちです。
承認欲求の強い人と関わる際は、詮索せず、勝ち負けで人を評価しない姿勢を意識することが、良好な関係を保つポイントとなります。
自分と相手の境界線を意識する
承認欲求が強い人に振り回されないためには、心のなかで境界線を引き、距離を保つことが重要です。
たとえば、関わる時間を意識的に短くしたり、プライベートな話題に深入りしないようにしたり、SNSではミュート機能を活用したりするなどが有効です。
物理的な接触や関わる頻度を減らすことで、徐々に相手の承認欲求に影響されにくくなります。これにより、精神的な負担を軽減できます。
相手の気持ちを汲み取る
承認欲求が強い人の自慢話に対応する際は、話の内容よりも相手の気持ちに注目することが有効です。
承認欲求が強い人の言葉の背後にある「頑張りを認めてほしい」という思いを汲み取りましょう。相手のニーズに沿って返答することで、承認欲求を満たせます。
たとえば、「〇〇な成果を上げた」と話す人には、「努力されたのですね」と伝えるようにします。
何を話すかではなく、相手が望むものに意識を向けることがポイントです。
別の角度から捉える
承認欲求が強い人と接する際には、状況を別の角度から捉えるリフレーミングが有効です。
リフレーミングとは、出来事や状況の枠組みを変えて新たな視点をもつことで、ストレスを和らげる手法のことです。
たとえば、相手の自慢話を「自分が話を上手に受け流す練習の機会」と考えることで、心の負担を減らし、冷静に対応する力を養います。
リフレーミングについて詳しく知りたい方は、あわせて下記の記事もご確認ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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