- 更新日 : 2026年8月6日
源泉徴収票の再発行は会社以外でもできる?可能なケースや手順など解説
発行できるのは勤務先だけで、税務署や役所では受け取れません。
- 会社が拒否するなら不交付の届出を出す
- 倒産した場合は破産管財人に依頼する
- 所得証明書で代用できるか提出先に確かめる
電子データで受け取っておくと、紛失しても再発行が不要になります。
源泉徴収票が必要なのに手元になく再発行を検討する際、会社への連絡が難しい場合や退職済みの場合、「会社以外(役所や税務署)で再発行できないか?」と考える方もいるでしょう。
結論から言えば、源泉徴収票の発行元は原則として勤務先の会社のみですが、特定の状況下では会社以外の手続きで解決できるケースもあります。
この記事では、源泉徴収票の基本的な再発行ルールから、会社が倒産・拒否した場合の特例的な対処法、そして将来的な紛失を防ぐためのデジタル活用術まで、人事労務のプロが網羅的に解説します。
源泉徴収票の再発行は会社以外でも可能?
源泉徴収票を再発行できるのは、原則として給与を支払った事業者(勤務先の会社)だけです。
源泉徴収票とは、事業者が従業員に対して「1年間にいくら給与を払い、いくら所得税を納めたか」を証明する法定調書であり、所得税法によって発行義務が事業者に課せられているからです。
たとえ税務署や市区町村役場であっても、企業の代わりにこの書類を勝手に作成・発行することは権限外となります。
したがって、まずは勤務先の総務部や人事経理担当者に依頼するのが最短かつ確実なルートとなります。
税務署や市役所・区役所では再発行はできない
税務署や市役所・区役所の窓口に行っても、会社発行の「源泉徴収票」そのものを再発行してもらうことはできません。行政機関は企業から提出されたデータを課税資料として保管しているだけで、個人の求めに応じて原本を再出力する機能を持たないためです。
誤解しやすいポイントですが、「役所に行けばなんとかなる」というのは、所得証明書(課税証明書)と混同しているケースがほとんどです。ただし、後述する「不交付の届出」を行うことで、税務署経由で会社に発行を促すことはできます。
入手できる書類と発行場所の違い
再発行や代替書類の取得を考える際は、目的に応じて依頼先が変わります。入手できる書類は次のとおりです。
| 依頼先 | 入手できる書類 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 勤務先(会社) | 源泉徴収票 | 確定申告、ローン審査、転職など、源泉徴収票が必要とされる全ての場面で有効。 |
| 市区町村役場 | 所得証明書(課税証明書) | 前年の所得額の証明。ローンの審査などで代用可能な場合がある。 |
| 税務署 | 開示請求による申告書の写し | 過去に確定申告をしている場合に限り、提出した申告書の写しを開示請求できる。年末調整のみで確定申告をしていない場合は対象外。手続きに1か月程度かかり、即日発行はできない |
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源泉徴収票の再発行が会社以外で可能なケースは?
原則は会社発行ですが、「会社としての機能が失われている」または「会社が義務を果たさない」場合に限り、例外的に公的機関が介入可能です。
具体的には、以下の3つのケースに該当する場合、次章で解説する「会社以外(税務署や役所)」を使った対処法を利用できます。
ケース1:会社が倒産して連絡先が存在しない
勤務先が倒産、閉鎖、夜逃げなどをしており、総務担当者とも連絡がつかず、物理的に発行を依頼する相手がいないケースです。この場合、通常の再発行依頼はできません。
ケース2:会社に依頼しても拒否・無視される
会社は存続しているものの、発行を断られたり、連絡しても対応してもらえなかったりするケースです。「退職者には発行しないと言われた」「何度メールしても返答がない」といった状況が該当します。
発行義務違反の状態にあるため、第三者が関わる必要があります。
ケース3:提出先が「所得証明書」での代用を認めている
提出先(銀行や保育園など)が「年収がわかれば源泉徴収票でなくてもよい」としているケースです。これは再発行ではありませんが、会社を通さずに役所の手続きだけで完結できます。
会社が源泉徴収票を再発行できない場合の対処法は?
前述のケースに当てはまる場合、自力での解決は困難です。税務署や破産管財人など「第三者の公的な力」を借りて入手する方法へ切り替えてください。
ここでは、状況に応じた具体的な3つの解決手順を解説します。
税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する
会社が連絡に応じない、あるいは発行を拒否するケースでは、所轄の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。この手続きを行うと、税務署から会社に対して行政指導が入ります。
税務署からの指導に法的拘束力はありませんが、多くの企業はこれに応じて発行の手配を行います。これが実質的に「会社以外」の力を借りて源泉徴収票を入手する最も有効な最終手段です。
- 必要なもの:給与明細書(手元にある場合)、勤務先に対して、源泉徴収票の交付を求めたことが分かる書類
- 提出先:会社の所在地を管轄する税務署(自分の住所地ではない点に注意)
破産管財人に連絡を取る(会社が完全に倒産している場合)
会社が法的に倒産手続き(破産手続き)を開始しているケースでは、会社ではなく裁判所が選任した「破産管財人(弁護士)」に発行を依頼します。
倒産した企業の事務機能は管財人に移管されており、従業員への書類発行業務も管財人の業務範囲に含まれるからです。官報や会社からの通知書を確認し、担当の弁護士事務所へ連絡を入れてください。
市区町村役場で「所得証明書」を取得して代用を相談する
どうしても源泉徴収票が入手できないケースでは、市区町村役場で発行される「所得証明書(課税証明書)」で代用できないか、提出先(銀行や転職先)に相談・交渉してください。
所得証明書は、会社から役所へ提出された「給与支払報告書」に基づいて作成される公的な所得証明書類であり、数字の信頼性は源泉徴収票と同等だからです。住宅ローンや扶養認定の審査などで利用できます。
会社に依頼して源泉徴収票を再発行する手順
会社と連絡が取れる通常の状況であれば、会社(総務・経理)へ依頼するのが最も早く確実です。
ここでは、依頼先へのコンタクトから申請完了までのフローを2つのステップで解説します。
手順1:総務または経理担当者へ直接連絡する
再発行の依頼は、直属の上司ではなく、給与計算を担当している管理部門(総務部、人事部、経理部など)へ直接連絡を入れるのがスムーズです。源泉徴収票の発行業務は給与計算ソフトや人事労務システムで行われており、現場の上司では操作権限がないケースが多いためです。
依頼する際は、「使用目的(住宅ローン、確定申告など)」と「いつまでに必要か」を明確に伝えると、優先度を判断してもらいやすくなります。
手順2:メール文面テンプレートを使って申請する
依頼時の心理的ハードルを下げるため、以下のテンプレートを活用して事務的に連絡を行いましょう。使用目的と希望日を先に示すと、対応が進みやすくなります。
【件名】源泉徴収票の再発行依頼について(氏名)
〇〇部(または総務部) ご担当者様
お疲れ様です。〇〇部の[氏名]です。 (※退職者の場合:元従業員の[氏名]です。在職中は大変お世話になりました。)
大変恐縮ですが、[対象年]年分の源泉徴収票を再発行していただきたくご連絡いたしました。
- 使用目的: 住宅ローンの審査のため(または確定申告のため)
- 希望受取日: 〇月〇日までにいただけますと幸いです
- 受取方法: PDFでのメール送付、または郵送 (※郵送希望の場合は現在の住所を記載)
お忙しいところ手数をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
源泉徴収票を再発行しないためのポイント
紛失や再発行の手間をなくすには、紙での保管ではなく、PDF等の電子データでの受け取り・交付に切り替えることが有効な解決策です。
再発行業務は従業員・企業双方にとって負担となります。以下に、物理的な紛失を防ぎ、いつでも参照可能にするための具体的なデジタル活用法を解説します。
PDF等の電子データで受け取る・保存する
源泉徴収票を紛失しないための方法は、紙ではなくPDFなどの電子データで受け取り、クラウドストレージ等に保存することです。
2007年の税制改正により、従業員の同意があれば源泉徴収票の電子交付(Web明細やメール添付)が認められています。電子データであれば、物理的な紛失リスクがなくなり、必要な時にいつでも印刷して利用できます。
会社が電子交付を行うには、次の要件を満たす必要があります。
- あらかじめ従業員から承諾を得ていること
- 改ざんを防止する措置を講じていること
- 従業員から書面での交付を求められた場合は応じること
参照:給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A|国税庁
電子データであれば、物理的な紛失のリスクがなくなり、必要なときにいつでも印刷して利用できます。
企業担当者は給与システムのWeb明細機能を導入する
企業の人事労務担当者は、再発行業務の手間を削減するために、Web給与明細システムの導入と源泉徴収票の電子交付機能の活用を検討しましょう。
従業員が自身のスマホやPCからいつでも過去の源泉徴収票をダウンロードできるようになれば、再発行依頼自体が発生しなくなり、双方の業務効率が高まるからです。
現在普及している多くのクラウド型給与計算システムや労務管理ソフトでは、こうした機能が標準的に搭載されています。
源泉徴収票の再発行に関するよくある質問(FAQ)
再発行にあたって質問の多い点をまとめました。
Q. アルバイトやパートでも再発行してもらえますか?
A:はい、雇用形態に関わらず再発行の権利があります。 正社員、契約社員、パート、アルバイト、日雇いなどに関係なく、給与支払いが発生している以上、事業主には発行義務があります。遠慮なく依頼してください。
Q. 退職してから数年経っていますが再発行できますか?
A:過去の分も再発行可能です。 法律上、源泉徴収票作成の基になる源泉徴収簿の保存期間は7年間と定められています。したがって、過去7年分であれば会社にデータが残っているため再発行が可能です。
Q. 手書きの源泉徴収票でも有効ですか?
A:はい、有効です。 PCで作成されたものでも、手書きで作成されたものでも、社判(会社の角印)がなくても、記載内容が正しければ公的な書類として有効です。
源泉徴収票の再発行の基本ルールを押さえて確実に手続きを完了させよう
源泉徴収票の再発行が必要になったら、まずは原則どおり勤務先の会社に依頼するのが最も早い方法です。役所や税務署では源泉徴収票そのものを即時再発行することはできないことを理解しておきましょう。
しかし、会社が倒産したり、発行を拒否したりするケースでは、税務署への「不交付の届出」や「所得証明書」の代用といった、会社以外からのアプローチを検討する必要があります。また、今後の再発行の手間をなくすために、書類は紙ではなく電子データ(PDF)で受け取り、保存する仕組みへ切り替えましょう。
この記事で解説した手順を参考に、適切な窓口へアプローチしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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