- 更新日 : 2024年9月13日
出勤簿とは?保存期間は5年それとも7年?
出勤簿とは、従業員の出勤時刻や退勤時刻などの記録です。給料計算の基礎になるため、会社は出勤簿をきちんと作成・管理しなければなりません。労働基準法でも労働者名簿や賃金台帳と並び、保存期間が定められています。タイムカードも出勤簿と同じように「その他労働関係に関する重要な書類」として、一定期間の保存が義務づけられています。
目次
出勤簿とは?
会社は従業員について、いくつかの書類・資料を備え付けておく必要があります。これらのものには作成、適正な管理、一定期間の保存が法律によって義務づけられています。そのうちの一つが出勤簿で、次のような性格・位置づけになっています。
出勤簿は法定三帳簿の一つ
労働基準法は、労働者保護を目的としている法律です。立場の弱い従業員を守るため、会社・事業主にさまざまな義務を課しています。労働者名簿や賃金台帳の備え付けも、以下のように労働基準法に規定されています。
使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
② 前項の規定により記入すべき事項に変更があつた場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。第108条(賃金台帳)
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
また労働基準法は、第109条において労働者名簿と賃金台帳、およびこの2つ以外の帳簿などについて保存期間を定めています。
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない。
出勤簿は「その他労働関係に関する重要な書類」に該当します。そのことから会社・事業主は労働者名簿や賃金台帳と同じように、出勤簿を作成しなければなりません。労働者名簿・賃金台帳・出勤簿は、会社・事業主が従業員について必ず作成、管理、保存しておかなければならない書類や資料であり、3つはセットで「法定三帳簿」と呼ばれます。
出勤簿とタイムカードの違い
出勤簿は、労働者名簿や賃金台帳と合わせて法定三帳簿とされる、労働基準法で作成・保存が義務づけられている帳簿です。定められた様式はなく、任意の書き方が認められていますが、内容については賃金台帳の記載事項も含めて、一般的には以下の事項を記載することになります。
- 出勤日・労働日数
- 出勤(始業)・退勤(終業)の時刻
- 日ごとの労働時間数
- 時間外労働を行った日付・時刻・時間数
- 休日労働(休日出勤)を行った日付・時刻・時間数
- 深夜労働を行った日付・時刻・時間数
タイムカードは、タイムレコーダーを用いて行う日々の出勤時刻や退勤時刻の記録ですが、会社に導入が義務づけられているものではありません。ただし導入した場合は、出勤簿と同じ労働基準法第109条に定められている「その他労働関係に関する重要な書類」として取り扱う必要があります。
出勤簿と賃金台帳の違い
賃金台帳とは、労働基準法第108条の規定により、会社・事業主に作成が義務づけられている帳票です。労働基準法施行規則第54条の規定に基づき、賃金台帳には次の内容の記載が求められます。
- 労働者氏名
- 性別
- 賃金の計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働時間数
- 深夜労働時間数
- 休日労働時間数
- 基本給や手当等の種類とその金額
- 控除項目とその金額
賃金台帳には、様式第20号(常用)・様式第21号(日雇)が定められていて、厚生労働省のホームページからダウンロードして使用することができます。しかし、記載しなければならない内容に漏れがなければ、異なる様式を使っても問題ありません。
出勤簿には賃金台帳と違い、定められた様式はありません。しかし、前述のように記載しなければならない項目は定められているので注意が必要です。
出勤簿の保存は義務?
出勤簿は、労働基準法第109条において記録の保存が義務づけられている「賃金その他労働関係に関する重要な書類」に該当します。出勤簿の保存が行われていないと労働基準法違反となり、第120条の規定により30万円以下の罰金が科せられます。
出勤簿の保存期間は?民法改正や賃金台帳との違いなど
出勤簿は労働基準法第109条に規定されている「賃金その他労働関係に関する重要な書類」に該当し、労働者名簿や賃金台帳と合わせて「法定三帳簿」と呼ばれる帳簿です。定められている内容を記載しなければならず、不備があれば労働基準法違反として罰則が科せられます。保存も定められた期間、行わなければなりません。
出勤簿の保存期間は、民法改正により3年から5年に変更
民法改正に伴い、労働基準法の賃金が請求できる期間も変更になりました。賃金請求権が時効によって消滅するまでの期間が2年間から5年間に延長されています。これに伴って出勤簿の保存期間も3年間から5年間に変更されました(経過措置として当分の間は3年間)。
労働基準法は第115条において賃金請求権の定めをしています。今回の民法改正では、この定めの根拠となった民法の使用人の給料などに関する短期消滅時効が廃止になり、また一般債権に係る消滅時効についても見直しが行われました。
このことを踏まえて労働基準法も改正になり、賃金請求権が時効によって消滅するまでの期間が2年から5年に延長となっています。出勤簿の保存期間が3年間から5年間に変更になったのも、民法改正があったことによるものです。
賃金台帳の保存期間は7年
賃金台帳の保存期間は、労働基準法では5年(当面の間は3年)と規定されています。保存期間は、労働者の最後の賃金について記入を行った日から数えます。
しかし、賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねている場合は、7年間の保管が必要になります。源泉徴収簿とは、従業員から申告された扶養家族の状況や、毎月の給与の金額、その給与における源泉徴収額などを記録する帳簿です。
源泉徴収簿の作成は、法律で義務づけられてはいませんが、毎月の給与に対する源泉徴収や年末調整などを正確かつ効率的に行うために、国税庁から様式が配布されています。また定められた内容が記載していれば、賃金台帳と源泉徴収簿を兼用とすることが認められています。しかし、源泉徴収簿を兼ねた賃金台帳を年末調整の根拠として用いる場合は、保存期間を7年間としなければなりません。
タイムカードの保存期間は5年
タイムカードは出勤簿と同じ、労働基準法第109条に規定されている「その他労働関係に関する重要な書類」の一つです。そのため保管も出勤簿と同じく5年間、行わなければなりません。
しかし、前述の通り賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねている場合は、タイムカードも7年間が保存期間となります。
アルバイトやパートの方の出勤簿も保存が必要?
出勤簿は雇用形態にかかわらず作成、保存が求められます。アルバイトやパートといった非正規雇用についても出勤簿が必要です。
出勤簿のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
出勤簿やタイムカードは保存期間に注意して適切に取り扱おう
出勤簿は、労働者名簿や賃金台帳と合わせて「法定三帳簿」と呼ばれています。労働基準法第109条に規定されている「その他労働関係に関する重要な書類」に該当し、会社には作成、保存が義務づけられています。労働者の氏名や労働日数、労働時間数などの定められた内容を記載しなければならず、不備があれば労働基準法違反となります。
保管期間も定められていて、5年間の保存が必要です。労働基準法ではタイムカードも保存期間は5年間とされていますが、賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねている場合は7年間の保存が必要です。必要な保管期間の違いに注意して、適切に取り扱いましょう。
よくある質問
出勤簿とはなんですか?
出勤日・労働日数、出勤・退勤時刻、日ごとの労働時間数、時間外労働を行った日付・時刻・時間数、休日労働(休日出勤)を行った日付・時刻・時間数、深夜労働を行った日付・時刻・時間数を記した帳簿です。詳しくはこちらをご覧ください。
出勤簿の保存期間について教えてください。
労働基準法第109条に規定されている「その他労働関係に関する重要な書類」として、5年間の保存が必要です(経過措置として当分の間は3年間)。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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