- 更新日 : 2024年9月6日
就業規則がない会社は問題あり?違法かどうかなど解説
常時10人以上の労働者を雇用している会社には、就業規則の作成が義務付けられています。従業員数が10人に満たない場合は就業規則を作成していなくても違法ではありません。しかし、可能であれば就業規則を作成しておくことが求められます。記載内容も労働基準法に規定され、周知徹底することが必要です。
目次
就業規則が必要なケース・必要ないケース
就業規則は、会社で働く従業員が守るべきルールや約束事を明文化している、非常に重要な存在です。社会に法律がないと秩序が保てなくなってしまうように、従業員数がある程度以上の会社に就業規則規則がないと、多くのさまざまな不都合が生じます。就業規則が必要なケース、不必要なケースは、以下の通りです。
従業員が10名以上いる場合は作成必須
就業規則の作成は、労働基準法に規定されているため、守らなければ法律違反となります。労働基準法第89条の定めにより就業規則を作成しなければならないのは、常時10人以上の従業員がいる事業場です。就業規則作成義務があるのにも関わらず怠ったまま事業を行っていると労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科せられます。
従業員の「常時10人以上」の意味は?
就業規則を作成しなければならないのは、常時10人以上の従業員が働いている事業場です。従業員の人数は会社単位ではなく、事業場単位でカウントします。従業員が10人以上であっても、事業場が複数あって、各事業場の従業員の人数がそれぞれ10人未満である場合は、就業規則の作成は義務付けられていません。
具体的には、24名の従業員がいる会社でも本社・工場・営業所と3ヵ所の事業場があって、それぞれに8名ずつの従業員が働いている場合には、就業規則を作成しなくても労働基準法違反ではないということになります。
また常時10人以上の労働者は、雇用形態にこだわらず、全ての労働者がカウントされます。正社員だけでなく、非正規社員であるパートやアルバイト、契約社員といった全ての労働者を対象に常時10人以上か否かで就業規則作成義務のあり・なしが判断されます。
「常時」である点もポイントです。繁忙期と閑散期で従業員の数が違い、多くの労働者を雇用している時期だけ10人以上になる場合は、就業規則の作成は義務付けられません。
従業員が10名未満の場合は作成義務はない
就業規則作成義務があるのは、常時10人以上の労働者のいる事業場です。常時働いている従業員の人数が10人に満たない場合は、就業規則作成は義務付けられてはいません。しかし就業規則を作成してはいけないというわけではなく、自発的に作成することができます。
就業規則があると、労働者とのトラブルが起こったり、訴訟に発展したりするのを未然に防ぐことができます。労働者から訴えを起こされることなった場合にも、就業規則はあった方が有利に争うことできます。
労働者も就業規則があることによって職場のルールが明らかになり、安心して働くことができます。就業規則についてきちんと理解し、作成義務がある場合は真摯に対応しなければなりません。
従業員10人以上で就業規則がないのは違法?
労働基準法では、第89条において、就業規則の作成・届出を定めています。改めて、ルールを整理すると、常時10人以上の従業員を使用する事業場に就業規則の作成と届出を義務付けており、従わなければ労働基準法違反となります。罰則もあり、労働基準法第89条違反には30万円以下の罰金が科せられます。
ただし従業員10人以上で就業規則がない会社が違法というわけではありません。従業員をカウントする際は、事業場ごとに数えるため、就業員が10名以上の会社であっても複数の事業場があれば事業所ごとの従業員数が常時10人以上とならない場合もあるからです。
就業規則の作成義務があるのは、常時10人以上の従業員がいる事業場です。事業場ごとの従業員数が常時10人に満たなければ、就業規則を作成しなくても違法とはなりません。
就業規則作成と取り扱いの注意点
会社は就業規則について、ただ作成するだけでは労働基準法に定められている義務を履行したことになりません。必要な内容の記載や届出、周知もしっかりと行わなければ労働基準法違反となります。
絶対的必要記載事項・相対的必要記載事項・任意的記載事項
就業規則の内容は必ず定めて記載しなければならない内容、定める場合は記載しなければならない内容、定めても定めなくても任意の内容の3つに区分され、それぞれは絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項、任意的記載事項と呼ばれます。絶対的記載事項内容と相対的必要記載事項について、労働基準法第89条では次のように定められています。
- 絶対的記載事項内容
始業時刻、終業時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制に関する事項、賃金に関する事項、退職に関する事項 - 相対的必要記載事項
退職手当に関する事項、臨時の賃金や最低賃金に関する事項、食費や作業用品に関する事項、安全衛生に関する事項、職業訓練に関する事項、災害補償や業務外の傷病扶助に関する事項、表彰や制裁に関する事項、全ての労働者に適用される事項
就業規則は従業員に向けて周知徹底する必要がある
就業規則は、労働者に周知徹底されることも必要です。労働基準法は第106条において、会社は労働者に就業規則を周知しなければならないことを定めています。会社は次のような方法で就業規則を周知徹底しなければなりません。
- 見やすい場所への掲示や備え付け
- 書面での交付
- 磁気テープや磁気ディスクなどへの記録と、記録を見ることができる機械の設置
服務規律・服務規定のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
就業規則が必要かどうか違法にならないよう確認しよう
労働基準法は、常時10人以上の従業員がいる場合は就業規則を作成しなくてならないとしています。繁忙期だけ10人以上となるが常態としてではない場合、各事業場の従業員数は10人以上とならない場合は就業規則作成義務はありませんが、正社員だけは10人以上とならなくてもアルバイトやパートといった非正規社員も含めると10人以上となる場合は就業規則を作成する必要があります。
就業規則については絶対的記載事項内容・相対的必要記載事項・任意的記載事項をきちんと理解し、必要とされている内容をきちんと記載しなければなりません。労働者に対する周知徹底も労働基準法で定められています。法律違反とならないよう、従業員数などの状況をよく確認しましょう。
よくある質問
就業規則がない場合、違法になりますか?
常時10人以上の従業員がいる場合に就業規則がないと違法になります。詳しくはこちらをご覧ください。
就業規則を作成し、取り扱ううえでの注意点について教えてください
労働基準法の規定に従って必要な内容を記載すること、労働基準監督署に届出ること、労働者に対して周知することです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
休業手当の計算方法をケースごとに紹介!
会社都合での休業は、平均賃金の60%以上の「休業手当」を支払わなければいけません。しかし休業には自然災害や経営悪化など様々な事情があります。雇用形態により計算方法は異なり、細かい判断も必要です。 今回は、休業手当の定義から休業補償との違い、…
詳しくみる労働基準法で定められている休日について – 時間・日数・ルールを解説!
慌ただしい毎日、休日を楽しみに働いているという社会人は少なくないのではないでしょうか。 その一方、法律で休日がどのような扱いになっているかについては、意外と知られていません。 この記事では、労働基準法で定められている休日の意義、会社での定め…
詳しくみる介護休暇とは?同居していない場合や取得条件、介護休業との違いを解説
介護休暇は、介護を要する必要な家族を持つ従業員が取得できる法定休暇です。従業員が申し出れば、会社は原則として断ることができません。家族の世話や入院の付き添いをしながら働く従業員にとって、介護休暇制度は重要なサポートです。 こちらの記事では、…
詳しくみる有給を使いまくる人は迷惑?使いすぎと言われた場合の対応や使い切るコツを解説
有給休暇を使いまくる人には、生産性向上やメンタルヘルスの改善、法律で認められた権利を十分に行使できるといった多くのメリットがあります。一方で、職場での印象悪化や業務調整の難しさなど、取得しすぎによるデメリットを心配する声も少なくありません。…
詳しくみる無断欠勤とは?従業員が無断欠勤する理由は?対応方法を解説!
無断欠勤の従業員だからと言っても、解雇は簡単にはできません。なぜ無断欠勤しているのかを突き止め、基本的には出勤するように促さなければならないからです。どうしても連絡が取れなければ解雇もやむを得ませんが、できるだけ自然退職で進めます。解雇とす…
詳しくみる就業規則とは?作成手順や記載項目を解説!
就業規則の作成は法律で決められた義務なのでしょうか。義務である場合、その作成手順や記載が必要な項目はどうなっているのでしょうか。 本記事では、就業規則とは何か、作成する場合の絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項とは何かについて説明します。…
詳しくみる