- 更新日 : 2026年1月28日
源泉徴収票とは?見方や発行が必要になる場面、よくあるトラブルなど解説
源泉徴収票とは、1年間の年収と納めた所得税額を証明する重要な書類であり、年末調整の結果が反映されたものです。
この記事では、源泉徴収票の基礎知識から正しい見方、給与支払報告書との違いまでをわかりやすく解説しています。特に、支払金額や源泉徴収税額といった確認すべき4つの重要項目や、確定申告、住宅ローン審査、転職時の手続きなど、原本やコピーが必要になる具体的な場面についても詳しく紹介します。
また、万が一紛失してしまった場合の再発行の手順や、退職後に会社から届かない時の対処法など、よくあるトラブルへの解決策も網羅していますので、実務や個人の手続きにお役立てください。
目次
源泉徴収票とは?
源泉徴収票とは、従業員の1年間の「収入」と「納付した所得税額」が記載された、所得税法で定められた法定調書です。
会社(給与支払者)は、従業員に対して毎月の給与から所得税を天引き(源泉徴収)し、年末調整によって過不足を精算します。その最終結果をまとめたものが源泉徴収票であり、従業員本人への交付が義務付けられています。これを受け取ることで、自分がいくら稼ぎ、いくら国に税金を納めたのかを正確に証明することができます。
源泉徴収の仕組みについては、以下の記事でも紹介しています。
記載されている4つの重要項目
源泉徴収票で確認すべき最も重要な数字は、「支払金額(年収)」「給与所得控除後の金額(所得)」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額(所得税)」の4点です。
それぞれの数値の意味は以下の通りです。
受け取るタイミングと発行義務
源泉徴収票は、原則としてその年の最後の給与が支払われた後、あるいは翌年の1月末までに会社から従業員へ交付されます。
所得税法により、企業は従業員に対して源泉徴収票を発行・交付する義務があります。また、中途退職した従業員に対しても、退職日から1ヶ月以内に交付しなければなりません。
現在は紙での配布だけでなく、従業員の承諾があればPDFなどの電子データ(Web明細)で交付することも認められています。
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源泉徴収票と給与支払報告書の違いとは?
源泉徴収票と給与支払報告書は、記載されている金額等の内容はほぼ同じですが、「提出先」と「作成の目的」が明確に異なります。
源泉徴収票は「税務署(国)」と「本人」へ所得税の報告・証明のために使われるのに対し、給与支払報告書は「市区町村」へ住民税の計算のために提出されます。企業の実務担当者は、年末調整後にこれら2つの書類をセットで作成し、それぞれの提出先へ送付する処理を行います。
提出先と目的の違い
両者の最大の違いは、源泉徴収票が「所得税(国税)」のための書類であるのに対し、給与支払報告書は「住民税(地方税)」のための書類である点です。
整理すると以下の通りです。
| 項目 | 源泉徴収票 | 給与支払報告書 |
|---|---|---|
| 主な提出先 | 税務署、受給者本人(従業員) | 従業員が住む市区町村 |
| 目的・税金 | 所得税(国税)の計算・確認のため | 住民税(地方税)の計算・決定のため |
| 発行時期 | 年末調整終了後、翌年1月31日まで(12月または1月の給与明細と一緒に渡されるのが一般的) | 翌年1月31日まで |
| 本人交付 | あり(義務) | なし(自治体と会社間のやり取りのみ) |
従業員の手元に届くのは「源泉徴収票」のみです。「給与支払報告書」は会社から役所へ直接送られるため、従業員が目にする機会は基本的にありません。
様式や記載内容の共通点
記載内容やレイアウトは非常に似通っており、氏名、支払金額、控除額などの数字は完全に一致します。
これは、所得税(源泉徴収票)のデータをもとに住民税(給与支払報告書)を計算するためです。実務上は、給与計算ソフトなどで年末調整の計算を行えば、源泉徴収票と給与支払報告書は同時に作成・出力できる仕組みになっていることがほとんどです。ただし、給与支払報告書には「個人別明細書」のほかに、会社全体の集計表である「総括表」を添付して提出する必要があります。
雇用形態や所得の種類で源泉徴収票は変わる?
アルバイトやパートなどの雇用形態に関わらず「給与所得の源泉徴収票」は発行されますが、所得の種類(退職金や年金)によっては、全く別の種類の源泉徴収票が発行されます。
一般的に単に「源泉徴収票」と言えば給与に対するものを指しますが、実際には目的に応じていくつかの種類が存在します。それぞれの特徴を理解し、正しい書類を管理する必要があります。
アルバイト・パートの源泉徴収票
正社員だけでなく、アルバイトやパートタイム労働者であっても、会社から給与が支払われていれば源泉徴収票は必ず発行されます。
「年収160万円以下だから税金はかからない」という場合でも、源泉徴収票は発行されます。これは「税金が0円であること」を公的に証明するためにも必要だからです。日雇い労働者の場合などは、例外的に日々発行される給与明細が証明代わりになることもありますが、原則として年末または退職時に集計されたものが交付されます。
退職金や年金の源泉徴収票
給与以外のお金を受け取った場合、通常の「給与所得の源泉徴収票」とは異なる、以下のような専用の源泉徴収票が発行されます。
源泉徴収票の発行が必要になる場面とは?
源泉徴収票が必要になる主な場面は、確定申告、転職・退職、ローン審査、そして家族の扶養に入る時など、所得証明が必要なタイミングです。
単に年収を確認するだけでなく、公的な手続きや審査において「支払い能力」や「納税状況」を証明する書類として扱われます。原本の提出を求められるケースと、コピーや画像の提出で済むケースがあるため、用途に応じて確認が必要です。
確定申告を行う場合
医療費控除や住宅ローン控除(初年度)、ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などで確定申告を行う際に、源泉徴収票の記載内容が必要になります。
以前は源泉徴収票の「原本」を添付する必要がありましたが、税制改正により現在は原則不要となりました。しかし、申告書作成時には数値を正確に転記する必要があるため、手元には必ず用意しなければなりません。また、後日税務署から提示を求められる可能性もあるため、破棄せずに保管しておくことが推奨されます。
※源泉徴収票の添付は不要ですが、住宅ローン控除申請時の「借入金の残高証明書」など、他の添付書類については引き続き原本が必要なものもあります。混同しないようご注意ください。
転職や退職をする場合
年の途中で転職した場合、新しい勤務先で年末調整を行うために、前職の源泉徴収票を提出する必要があります。
新しい会社は、前職の給与と自社の給与を合算して1年間の税金を計算します。そのため、退職時に受け取った源泉徴収票は大切に保管し、入社手続きの際に速やかに提出しましょう。もし提出できないと、新しい会社で正しい年末調整ができず、自分で確定申告を行う必要が出てきます。
住宅ローンや賃貸契約の審査を行う場合
住宅ローンや自動車ローンの申し込み、賃貸住宅の入居審査において、収入証明書として源泉徴収票の提出が求められます。
金融機関や不動産管理会社は、源泉徴収票の「支払金額(年収)」を見て返済能力を審査します。直近1年分だけでなく、過去2〜3年分を求められることもあるため、過去の分も捨てずにファイリングしておくか、データとして保存しておくのが効率的です。
家族の扶養に入る場合(被扶養者認定)
結婚や退職に伴い、親や配偶者の社会保険(健康保険)の扶養に入る際、収入要件を確認するために源泉徴収票の提出が求められます。
健康保険の扶養に入るためには、一般的に「向こう1年間の収入見込みが130万円未満」などの要件を満たす必要があります。直近の収入状況を証明するために、退職した会社の源泉徴収票や、直近の給与明細のコピーが必要となります。
源泉徴収票の見方のポイントは?
源泉徴収票を正しく読むためのポイントは、記載された多くの数字の中から「4つの重要項目」を見つけ出し、その意味を理解することです。
多くの人が気にする「手取り額」は直接記載されていません。「支払金額」から「源泉徴収税額」と「社会保険料」を引いたものが概ねの手取りとなります。まずは、必ず確認すべき4つのポイント(項目)について解説します。
ポイント1:支払金額(年収・額面)
一番上の段にある「支払金額」は、税金や社会保険料が引かれる前の総支給額であり、一般的に「年収」として問われる数字です。
住宅ローンの審査やクレジットカードの申し込み時、あるいは転職活動で「年収」を聞かれた場合は、この支払金額の欄にある数字を回答します。なお、通勤手当のうち非課税限度額(月15万円など)までの金額はここに含まれません。
ポイント2:給与所得控除後の金額(所得)
「給与所得控除後の金額」とは、支払金額から「給与所得控除」を差し引いたもので、自営業者でいう「利益(所得)」に相当します。
会社員は実際の経費(スーツ代や文具代など)を個別に計上するのではなく、年収に応じた一定額を事業所得における必要経費の代わりとして控除することが認められています。これを給与所得控除と呼びます。所得税はこの金額をベースに計算をスタートするため、税額決定の重要なプロセスとなります。 ※年末調整が未済の場合(退職時など)、この欄は空欄になることがあります。
ポイント3:所得控除の額の合計額
「所得控除の額の合計額」は、個人の事情に合わせて税金の負担を軽くするために差し引かれる金額の総計です。
ここには以下のような控除が含まれます。
この金額が大きいほど課税対象となる所得が減るため、結果として納める税金が安くなります。年末調整で保険料控除申告書を提出するのは、この数字を正確に反映させるためです。
ポイント4:源泉徴収税額(所得税額)
「源泉徴収税額」は、1年間で実際に納付すべき所得税および復興特別所得税の確定額です。
年末調整が完了している場合、この金額は「毎月の給与から天引きされた税額の合計」と「本来納めるべき年税額」との差額精算後の数字です。
- 年末調整で還付金がある場合 天引き合計額よりも、この源泉徴収税額の方が少なくなっています。
- 追加徴収がある場合 天引き合計額よりも、この源泉徴収税額の方が多くなっています。
4つの数字をつなぐ計算の仕組み
解説した4つの数字は、それぞれ独立しているのではなく、以下の「2段階の引き算」の順序で計算され、最終的な税額が決定します。
- 支払金額 - 給与所得控除 年収から、給与所得控除額を引いて「給与所得控除後の金額」を出します。
- 給与所得控除後の金額 - 所得控除の額の合計額 給与所得控除後の金額から、個人の事情(扶養や保険など)による控除の合計額を引いて「課税所得」を出します。
- 最後に税率をかける 残った金額に税率をかけて、「源泉徴収税額」が決まります。
給与所得控除額と税率の決まり方
それぞれの金額は会社が個別に決めるのではなく、国税庁が定める計算式や税率表に基づいて一律に算出されます。
- 給与所得控除額「支払金額(年収)」に応じて自動的に決まります。年収190万円以下なら一律65万円ですが、年収が上がるにつれて控除額も増えます(ただし年収850万円を超えると上限195万円となり頭打ちになります)。
- 所得税率 すべての控除を引いた後の「課税所得」に応じて、5%〜45%の7段階に区分されています。日本の所得税は「超過累進税率」を採用しているため、所得が高い人ほど高い税率が適用される仕組みです。
源泉徴収票のよくあるトラブルと対処法は?
源泉徴収票が必要なタイミングで手元にない、あるいは会社から届かないというトラブルは少なくありません。ここでは「紛失」「発行拒否・倒産」「間に合わない」という3つの代表的なケース別に対処法を解説します。
ケース1:紛失してしまった場合(再発行の手順)
源泉徴収票は何度でも再発行が可能であり、勤務先の給与担当部署(人事・総務・経理など)に依頼すれば対応してもらえます。
発行元はあくまで「会社」であり、税務署や役所では再発行できません。再発行を依頼する際は、以下の手順で「いつの分」が「何のために」必要かを明確に伝えましょう。
- 依頼先を確認する 社内の総務・人事・経理部門など、給与計算を担当している部署へ連絡します。
- 対象年度を伝える 「令和〇年分の源泉徴収票をお願いします」と具体的に指定します。
- 受取方法を確認する 紙での手渡しか、郵送か、PDF送付かを確認します。
- 余裕を持って依頼する 即日発行できない場合もあるため、1週間程度の余裕を見ると安全です。
なお、クラウド給与システムを導入している企業であれば、従業員自身がシステムにログインして、いつでもダウンロード・印刷できるケースも増えています。
ケース2:発行拒否や倒産で受け取れない場合
すでに退職した会社であっても、源泉徴収票の再発行を依頼することは可能です。法律上の交付義務があるため、退職者からの依頼を会社が拒否することはできません。
それでも入手できない場合は、以下の手段をとります。
- 会社が発行を拒む場合 「法律で義務付けられています」と伝えても発行されない場合は、所轄の税務署に相談し「源泉徴収票不交付の届出書」を提出してください。税務署から会社へ行政指導が入ります。
- 会社が倒産している場合 破産管財人に発行を依頼します。管財人と連絡がつかない場合は、同様に税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで、手元の給与明細書などをもとに確定申告を進めることができます。
ケース3:前職の分が年末調整に間に合わない場合
転職先の年末調整に前職の源泉徴収票の提出が間に合わない場合は、新しい会社での年末調整は行わず、後で自分で確定申告を行うことになります。
会社には「前職の分が届かないため、今回は自分で確定申告をします」と伝えましょう。新しい会社から発行される源泉徴収票(自社分のみ記載)と、後から届いた前職の源泉徴収票を合わせ、翌年2月16日〜3月15日の間に自分で確定申告を行えば、税金の精算は問題なく完了します。
源泉徴収票の発行義務や記載内容を正しく理解し、円滑な対応につなげよう
本記事では、源泉徴収票の基本的な見方から給与支払報告書との違い、発行が必要となる具体的な場面やトラブル時の対処法について解説してきました。
人事労務担当者にとって、源泉徴収票は年末調整の最終成果物であり、従業員の納税実績を証明する重要な法定調書です。記載項目や発行ルールを正確に把握しておくことは、法令遵守の徹底はもちろん、従業員からの「見方がわからない」「再発行してほしい」といった要望への迅速な対応にも直結します。
適切な発行業務と管理体制を整えることで、無用なトラブルを回避し、従業員との信頼関係構築と業務効率化を目指していきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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