- 更新日 : 2025年10月27日
運送契約書に印紙は必要?金額や貼り方、不要なケースを解説
運送契約書には原則として、締結時に収入印紙を貼る必要があります。収入印紙なしで運送契約書を締結すると、後に追徴課税を受ける恐れがあるのでご注意ください。本記事では、運送契約書に貼るべき収入印紙の金額や、貼る場所、消印(割印)の押し方、当事者どちらが負担するかなどを解説します。
目次
運送契約書に印紙は必要?
運送契約書を書面で締結する場合は、原則として収入印紙の貼付が必要です。
運送契約書は、印紙税法上の第1号文書(運送に関する契約書)に当たります。従って、運送契約書を作成するに当たっては、原則として所定の金額の収入印紙を貼付しなければなりません。
印紙が必要な契約書の種類については、以下のページをご参照ください。
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※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
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運送契約書の印紙税の金額一覧
運送契約書に貼付すべき収入印紙の金額は、下表の通り、契約書記載の契約金額に応じて異なります。
| 契約金額 | 貼付すべき収入印紙の額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上10万円以下 | 200円 |
| 10万円を超え50万円以下 | 400円 |
| 50万円を超え100万円以下 | 1,000円 |
| 100万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 6万円 |
| 1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
| 5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
| 10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
| 50億円を超えるもの | 60万円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 |
消費税および地方消費税の額(=消費税額等)を区分して記載している場合、または税込価格や税抜価格の記載によって消費税額等が明らかである場合には、税抜価格が契約金額となります。
なお、運送契約書の原本を当事者双方が保管するために2通作成する場合は、それぞれの原本に上記の額の収入印紙を貼付する必要があります。
これに対して、原本は1通しか作成せず、相手方当事者の保管用に原本の写しを作成する場合は、収入印紙を貼付するのは原本のみで構いません。
運送契約書の印紙税はどちらが負担するか
運送契約書にかかる印紙税は、当事者のうちどちらが負担しても構いません。契約書の中で、印紙税をどちらが負担するかを明記しておきましょう。
なお一般的には、運送の依頼者である荷主が印紙税を負担するケースが多いようです。
運送契約書の印紙の貼り方、消印の押し方
運送契約書において、収入印紙を貼る場所はどこでも構いませんが、契約書の表紙や冒頭に貼付するのが一般的です。後で契約書を確認したときに、収入印紙がどこにあるかすぐわかる場所に貼っておきましょう。
貼付した収入印紙は、以下のいずれかの方法によって消さなければなりません(印紙税法第8条第2項、印紙税法施行令第5条)。
- 消印
自己またはその代理人(法人の代表者を含む)、使用人その他の従業者の印章を、契約書と印紙の彩紋にかけて判明に押します。用いる印章の種類は問いません。
- 署名
自己またはその代理人(法人の代表者を含む)、使用人その他の従業者の署名を、契約書と印紙の彩紋にかけて判明に記載します。

収入印紙から外れた箇所に印章を押したり、署名ではない文字(「印」など)を記載したりすると、印紙が消されているとは認められないのでご注意ください。
運送契約書への割印の押し方
運送契約書の原本と写しを作成する場合は、両者の内容が同一であることを示すため、割印を押すケースが一般的です(原本を2通以上作成する場合も、割印を押すことがあります)。
割印は、契約書の原本と写しを少しずらして重ね合わせた後、重なった部分にまたがるような形で押します。両方の文書に押された印影を合わせると1つの印鑑になるのが、正しい割印の押し方です。

割印にはどの印章を用いても構いませんが、契約書の調印と同じ印章を用いるのが一般的です。
運送契約書に貼るべき印紙を貼らないとどうなる?
運送契約書に貼るべき収入印紙の貼付を怠ると、契約自体は無効になりませんが、過怠税や刑事罰の恐れがあります。
契約書に収入印紙を貼らなかったらどうなるのかについては、以下の記事も併せてご参照ください。
契約内容は無効にならない
課税文書である契約書に収入印紙が貼られていないと、印紙税法違反に当たりますが、そのことが契約の有効性に影響をおよぼすことはありません。収入印紙が貼られていなくても、当事者双方の意思表示が合致すれば、契約は成立します。
従って、収入印紙を貼っていない運送契約書も、他に無効事由や取消事由がない限りは有効です。
過怠税や刑事罰のリスクがある
収入印紙の貼付を怠った場合、または消印(もしくは署名)を怠った場合には、本税とは別に、以下の金額の過怠税が課されることがあります(印紙税法第20条)。
①賦課決定を予知せず、自ら印紙税の不納付を申し出た場合
→本税額の10%
②①を除き、課税文書の作成時までに印紙税を納付しなかった場合
→本税額の2倍
③収入印紙への消印(または署名)を怠った場合
→本税額と同額
※過怠税の合計額が1,000円に満たないときは、1,000円の過怠税が課されます。
また、課税文書に貼付すべき収入印紙を貼付せず、または消印(もしくは署名)を怠る行為は、刑事罰の対象となります(印紙税法第21~23条)。
特に、偽りその他不正の行為により印紙税を免れた場合、または免れようとした場合には「3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」が科されます。懲役と罰金が併科されることもあるので、十分ご注意ください。
電子契約なら運送契約書の印紙は不要に
運送契約書を書面(紙)で作成する場合は、契約金額が1万円未満の場合を除いて、収入印紙を貼付しなければなりません。しかし、運送契約書を電子契約で締結すれば、収入印紙の貼付は不要となります。
印紙税の納税義務は、課税文書を作成した際に生じるものとされています(印紙税法第3条)。課税文書である契約書の「作成」とは、書面(紙)を相手方に交付する行為を指します。
電子契約の締結は、相手方に対する書面(紙)の交付を伴わないため、課税文書の「作成」に当たりません。従って、電子契約を締結する際には、印紙税の納付を要しないものと解されています。
よって、運送契約書も電子契約で締結すれば、印紙税を節約することができます。特に契約金が高額である場合、印紙税を節約できるメリットは大きいといえるでしょう。
運送契約書に限らず、その他の課税文書(不動産売買契約書・請負契約書・業務委託基本契約書など)も、電子契約で締結すれば収入印紙を貼付する必要がありません。印紙税の負担が重く感じているなら、電子契約の導入をご検討ください。
運送契約に関する無料ひな形・テンプレート
運送契約書のテンプレートは、以下のページからダウンロードできます。実際に運送契約書を作成・締結する際の参考にしてください。
また、運送契約書や関連する契約のポイントについては以下の記事で解説しているので、併せてご参照ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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