- 更新日 : 2026年3月27日
金銭消費貸借契約(連帯債務)とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
金銭消費貸借契約書とは、お金の貸し借りについて定めた契約書です。複数の債務者が連帯してお金を借りる場合には、その旨を金銭消費貸借契約書に明記する必要があります。本記事では、連帯債務型の金銭消費貸借契約書の書き方やレビュー時のポイントなどを、条文の具体例を示しながら解説します。
<関連記事>
▶契約書の書き方をテンプレート・例を用いて解説!
<サービス資料>
▶マネーフォワード クラウド契約の詳細はこちら
▶マネーフォワード クラウドAI契約書レビューの詳細はこちら
金銭消費貸借契約(連帯債務)とは
金銭消費貸借契約書とは、貸主が借主に対してお金を貸し、借主がこれを借り入れる旨の合意を定めた契約書です。
多くの金銭消費貸借契約書では、借主は1人とされています。しかし、複数の借主が連帯して貸主からお金を借りることも可能です。その場合、連帯債務である旨を金銭消費貸借契約書に明記することが大切になります。
【無料】お役立ち資料
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶契約書の作り方 書き方の教科書(合計21ページ)
▶電子契約サービス比較マニュアル(合計12ページ)
金銭消費貸借契約(連帯債務)を締結するケース
連帯債務型の金銭消費貸借契約書を締結するのは、複数の人が連帯してお金を借りる場合です。
事業に関する借金については、例えば中小企業とそのオーナー経営者が共同で事業用の資金を借り入れる場合などに、連帯債務型が選択されることがあります。
金銭消費貸借契約書(連帯債務)のひな形
連帯債務型の金銭消費貸借契約書のひな形は、以下のページからダウンロードできます。実際に連帯債務型の金銭消費貸借契約書を作成する際の参考としてください。
※ひな形の文例と本記事で紹介する文例は、異なる場合があります。
金銭消費貸借契約書(連帯債務)に記載すべき内容
連帯債務型の金銭消費貸借契約書には、主に以下の事項を記載します。
借入日・借入金額
(例)
甲は、乙および丙に対し、本契約締結日において、金○○万円(以下「本貸付金」という。)を次条の条件で貸し付け、乙および丙はこれを連帯して借り入れる。
「甲」は債権者、「乙」と「丙」は連帯債務者を表しています。債権者が連帯債務者に対して金銭を貸し付ける旨、および連帯債務者がこれを連帯して借り入れる旨を明記しましょう。
借り入れに関する情報として、ここでは借入日と借入金額を記載しています。その他の詳細な条件については、別に条文を設けて定めています。
元本の返済・利息の支払い
(例)
第2条
本貸付金の弁済期は、令和○年○月○日とする。
2 本貸付金の利息(以下「本利息」という。)は、本貸付金の額に対し、年〇パーセントの割合によって計算するものとする。
3 乙および丙は、甲に対し、本条第1項の期限までに、本貸付金および本利息の全額を、持参または銀行振込の方法により連帯して返済する。返済に要する費用は、乙および丙の負担とする。
元本の返済および利息の支払いにつき、弁済期・利息の計算方法・支払方法などを定めます。債務者が連帯して元本と利息を支払う旨も明記しておきましょう。
上記は弁済期に元本を一括で返済するという条件ですが、分割払い(毎月払いなど)を定めることも考えられます。
なお貸付けの利息には、利息制限法の上限利率(下表)が適用されます。上限利率を超える利息の定めは、超過部分について無効となるのでご注意ください(同法1条)。
| 元本の額 | 利息の上限利率 |
|---|---|
| 10万円未満 | 年20% |
| 10万円以上100万円未満 | 年18% |
| 100万円以上 | 年15% |
期限の利益喪失事由
(例)
第3条
乙および丙は、次の場合には、甲の催告を要せず当然に期限の利益を失い、甲に対して、本貸付金および本利息の全額、並びに第5条に定める遅延損害金を直ちに弁済する。
⑴ 乙若しくは丙のいずれかまたは双方につき、破産手続開始の申立てがなされたとき。
⑵ 乙若しくは丙のいずれかまたは双方が、その財産について差押若しくは仮差押を受け、または競売の申立てを受けたとき。
⑶ 乙若しくは丙のいずれかまたは双方が、公租公課の滞納処分を受けたとき。
・・・・・
「期限の利益喪失」とは、弁済期が到来していなくても、貸付金などの全額を直ちに返済する必要があることをいいます。
借主の信用不安が生じた場合には、貸主は直ちに債権回収を試みる必要があります。そのため、借主の信用不安につながる事由を、期限の利益喪失事由としてできる限り網羅的に列挙しましょう。
遅延損害金
(例)
第5条
乙および丙が、本契約に基づく債務の履行を遅滞したときまたは第3条に基づき期限の利益を喪失したときは、甲に対して、遅滞に陥った日または期限の利益を喪失した日の翌日から支払い済みまで、遅滞金額に対して年〇パーセントの割合による遅延損害金を支払うものとする。
遅延損害金とは、金銭の支払いに遅れた場合の損害賠償金です。貸付金や利息の支払いが弁済期に遅れたとき、または借主が期限の利益を喪失したときは、遅延損害金が発生する旨を明記しましょう。
なお、金銭消費貸借上の債務不履行による遅延損害金は、利息制限法の上限利率(下表)が適用されます。上限利率を超える遅延損害金の定めは、超過部分について無効となるのでご注意ください(同法4条、7条)。
| 元本の額 | 遅延損害金の上限利率 |
|---|---|
| 10万円未満 | 年29.2% |
| 10万円以上100万円未満 | 年26.28% |
| 100万円以上 | 年21.9% |
| 営業的金銭消費貸借の場合 | 元本の額にかかわらず、年20% |
その他
上記のほか、連帯債務型の金銭消費貸借契約書には、以下の事項などを定めます。
- 通知事項(住所の変更など)
- 反社会的勢力の排除
- 誠実協議
- 合意管轄
など
金銭消費貸借契約書(連帯債務)を作成する際の注意点
連帯債務型の金銭消費貸借契約書を作成する際には、特に連帯債務であることを明記することと、返済条件を明確化することが大切です。
連帯債務であることが明記されていないと、各債務者の返済義務の範囲が曖昧になり、トラブルの原因となるおそれがあります。借り入れや返済に関する規定において、連帯債務である旨を確実に記載しましょう。
返済条件については、弁済期、利息や遅延損害金の計算方法、返済方法、期限の利益喪失事由などが重要な事項です。これらの事項について、貸主と借主の間で漏れなく協議し、金銭消費貸借契約書に明記しましょう。
連帯保証と連帯債務の違い
複数の人が返済の責任を負うタイプの金銭消費貸借契約には、連帯債務型に加えて「連帯保証型」もあります。連帯保証とは、主たる債務者が債務を弁済しなかった場合に、代わりに債務を弁済する責任を負うことをいいます。
連帯保証と連帯債務の主な違いは、下表の通りです。
| 連帯保証 | 連帯債務 | |
|---|---|---|
| 債務不履行が生じていない段階における弁済義務者 | 主たる債務者のみ | すべての連帯債務者 |
| 債務者等の間の内部的な負担割合 | 主たる債務者が100%、連帯保証人が0% | 連帯債務者間の合意による |
債務不履行が生じていない段階における弁済義務者
連帯保証と連帯債務の大きな違いは、債務不履行が生じていない段階において、誰が弁済義務を負うかという点です。
連帯保証の場合は、債務不履行が生じない限り、主たる債務者のみが債務を弁済する義務を負います。連帯保証人の弁済義務は、主たる債務者が債務不履行を起こした場合に初めて生じます。
これに対して連帯債務の場合は、債務不履行が生じていない段階から、すべての連帯債務者が債務を弁済する義務を負います。
なお債務不履行が生じた後は、連帯保証であっても、主たる債務者と連帯保証人の双方が債権者に対する弁済義務を負うことになります。
債務者等の間の内部的な負担割合
連帯保証の場合、主たる債務者と連帯保証人の間の内部的な負担割合は、主たる債務者が100%、連帯保証人が0%です。したがって、連帯保証人が債権者に対して弁済した場合には、その全額を主たる債務者に対して求償できます。
これに対して連帯債務の場合、連帯債務者間における内部的な負担割合は、その合意によって決まります。自己の負担割合を超えて債務を弁済した者は、他の連帯債務者に対して求償することが可能です。
金銭消費貸借契約に貼付する収入印紙
金銭消費貸借契約を書面で締結する場合には、契約金額に応じて下表の額の収入印紙を貼付する必要があります。
| 契約金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上10万円以下 | 200円 |
| 10万円超50万円以下 | 400円 |
| 50万円超100万円以下 | 1,000円 |
| 100万円超500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
| 1億円超5億円以下 | 10万円 |
| 5億円超10億円以下 | 20万円 |
| 10億円超50億円以下 | 40万円 |
| 50億円超 | 60万円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 |
所定の額の収入印紙を貼付しないと、税務調査で発見された際に過怠税が課されるほか、刑事罰の対象にもなり得るのでご注意ください。
これに対して、電子契約によって金銭消費貸借契約を締結する場合には、収入印紙の貼付は不要です。
連帯債務型の金銭消費貸借契約では、連帯債務である旨と借り入れの条件を明確化しましょう
連帯債務型の金銭消費貸借契約は、複数の債務者の誰に対しても返済を請求できる点で、債権者にとって安心感があります。連帯債務である旨と借り入れの条件を明確化して、貸主・借主間のトラブルを防ぎましょう。
契約関連のおすすめコンテンツ
契約・電子契約関連記事
▶契約とは?民法における成立要件や契約書の種類などを簡単にわかりやすく解説
▶電子契約のメリット・デメリットは?導入が進まない理由や関連する法律もわかりやすく解説
▶電子契約システムとは?導入メリットや注意点を種類別に解説
▶電子契約とは?仕組みやメリット、法的有効性について解説
▶電子契約の導入の流れは?サービスの導入から契約締結までの進め方を解説
契約書関連記事
▶契約書とは?注意すべきポイントを簡単に解説
▶契約書の書き方をテンプレート・例を用いて解説!
▶雇用契約書とは?法的な必要性や項目、作り方をひな形付きで紹介
▶業務委託契約書とは?書き方や個人事業主の注意点を解説
▶印紙が必要な契約書の種類と金額まとめ
おすすめお役立ち資料
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶契約書の作り方 書き方の教科書(合計21ページ)
▶マネーフォワード クラウド契約サービス資料
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
民法 債権 保証の関連記事
新着記事
-
# 企業法務
IPO準備・M&A検討で見直したい「契約の整理状態」。企業の信頼を支える3つの条件
IPO準備やM&Aの検討が進むと、財務情報だけでなく、主要な契約の内容や管理状況についても説明を求められる場面があります。しかし、紙の契約書、複数の電子契約サービス、部門ご…
詳しくみる -
# 企業法務
「あの契約書どこ?」からの脱却。ファイル名ルールに依存しない、これからの契約書管理術
「ファイル名のルールを決めたのに、人によってバラバラで守られない」 「過去の契約書を探すのに、毎回時間がかかる」 このような悩みを抱えてはいないでしょうか。 契約書の管理において最…
詳しくみる -
# 企業法務
契約管理ツールの費用対効果はどう示す?経営層に伝わる4つの評価軸と試算方法
「契約管理ツールの必要性は感じているものの、経営層へ費用対効果をうまく説明できない」 「今のExcelや共有フォルダによる管理で何が問題なのかと問われ、明確に答えられない」 バック…
詳しくみる -
# 企業法務
不透明な時代の経営判断を支える「契約情報の資産化」という考え方
「契約条件をすぐ確認したい」 「更新や解約の可否を判断したい」 「トラブル発生時に契約内容を精査したい」 こうした局面で、契約書を探す作業そのものに時間を取られてはいないでしょうか…
詳しくみる -
# 電子契約
契約書は「増え続ける資産」。5年後、10年後のコストを左右するプラットフォーム選び
「初期費用も月額基本料も安いから、まずはこのツールで始めよう」 そう決めて導入した契約管理システムが、数年後に想定外のコスト増につながる可能性があるとしたらどうでしょうか。事業が成…
詳しくみる -
# 電子契約
取引先が「紙」でも慌てない。電子と紙の混在を解決する、契約管理の『ハイブリッド運用』
電子化が進まない原因は「締結方法」と「管理方法」の混同にある 電子契約を導入しても紙の契約書が残るのは、取引先の対応が遅れているからだけではありません。多くの場合、契約の「締結方法…
詳しくみる
