• 更新日 : 2026年1月5日

馬主は儲かる?収支モデルや節税メリットをわかりやすく解説

馬主になることは、多くの方にとって一つの「夢」かもしれません。しかし、経営者や個人事業主の方であれば、馬主は儲かるのか、ビジネスとして成り立つのか、税金対策になるのか、といった側面も気になるでしょう。

結論から言えば、馬主の活動だけで「現金収支をプラスにする(儲ける)」ことは極めて困難です。しかし、節税効果(損益通算)を含めたトータルの資産防衛として見れば、メリットが出るケースもあります。

この記事では、馬主のリアルな収支モデルや、なぜ「儲からない」と言われるのか、そして経営者が注目すべき税務上のポイントをわかりやすく解説します。

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馬主は儲かる?

馬主活動はごく一部の成功例を除き、経済的にプラスになるケースは多くありません。理由はシンプルで、馬の購入費や預託料(飼育・管理費)といった支出が、レースで得られる賞金や手当を上回ることがほとんどだからです。

アーモンドアイやイクイノックスのような名馬であれば莫大な賞金や種付け料を得られますが、それは「宝くじに当たる」ような確率でしょう。

【シミュレーション】馬主の年間収支モデル

実際に1頭の馬を所有した場合、収支はどうなるのでしょうか。一般的なJRA(中央競馬)の馬主を想定したモデルケースを見てみましょう。

項目金額の目安内容
支出(維持費)約800万円〜1,000万円預託料(月70万×12ヶ月)+治療費・登録費など
収入(賞金・手当)約0円〜数億円成績による(未勝利で引退ならほぼ0円)
収支結果大幅なマイナスが一般的1勝もできないまま引退する馬も多い

上記のように、年間維持費だけで1,000万円近くかかります。これを回収するには、JRAで「年間1〜2勝」以上する必要がありますが、勝ち上がれる馬は全体の3〜4割程度と言われており、維持費すら回収できないまま引退するケースが大半です。

一般的には、馬主業はビジネスというより、夢を追うための活動や趣味に近い側面が強いとされています。

馬主の主な収入源と支出の内訳は?

馬主の収入はレースの賞金だけではありません。競走馬の活躍状況や血統によって得られる収益には複数の種類があり、それぞれ性質が異なります。主な収入源について詳しく見ていきましょう。

馬主の主な収入源

馬主の収入は、主に以下の4つから成り立っています。

1. レース賞金(本賞)

所有馬がレースで入着(中央競馬では通常1〜5着)すると賞金が支給されます。

例:2025年日本ダービー1着=3億円、有馬記念1着=5億円

注意点として、獲得賞金のすべてが馬主に入るわけではありません。調教師・騎手・厩務員への進上金(約20%)や源泉徴収が引かれ、馬主の手取りは約80%となります。

2. 出走手当・着外手当

入着しなくても、レースに出走するだけで「出走奨励金」や「特別出走手当」が支給されます。これは高額な維持費を補填するための重要な収入源であり、コンスタントに出走できる丈夫な馬であれば、手当だけで維持費の一部を賄えることもあります。

3. 競走馬の売却益

現役引退後、繁殖牝馬・種牡馬として売却し利益が出る場合があります。ただし、高値がつくのは重賞クラスの活躍馬や良血馬に限られます。

4. 種付け料

優秀な成績を収めたオス馬は種牡馬となり、種付け料が継続的な収入源になることがあります。ディープインパクト級になれば年間数十億円の売上になりますが、これは「馬主ドリーム」の最たるものです。

馬主にかかる主な支出(コスト)

収入に対して、馬主活動には以下のような高額な費用が継続的に発生します。

競走馬の購入費

血統や市場評価によってピンキリですが、JRAでデビューを目指す馬の場合、1,000万円〜数千万円がボリュームゾーンです。

預託料・維持費(中央競馬の場合:月60万〜80万円)

馬を厩舎に預け、飼育・調教を行うための固定費です。勝っても負けても、年間700万〜1,000万円ほど発生します。

その他諸経費

輸送費、医療費、登録料、馬主会費など、レース出走や維持に伴う雑費が発生します。

なぜ馬主は儲からないと言われるのか

馬主は儲からないと言われる理由として、まず成功率が極めて低い点です。購入費や維持費を完全に回収し、最終的にプラス収支で終えられる馬は、全体のわずか数%〜10%程度と言われています。現実は厳しく、多くの馬は1勝も挙げられないまま引退していきます。

次に、競走馬が生き物であるがゆえに、継続的な費用がかかり続ける点です。レースに出走して賞金を稼げない期間、たとえばケガや休養で放牧に出ている間であっても、日々の飼育や管理は欠かせません。そのため、賞金などの収入がない月であっても預託料などの支払いは発生し続けます。

さらに、仮にレースで勝利しても、賞金がそのまま利益になるわけではありません。獲得賞金からは、調教師や騎手への進上金(成功報酬)、源泉所得税などが差し引かれるため、実際に馬主の手元に残る金額は、賞金総額の8割程度となります。

馬主になるにはいくら必要?

馬主になるためには、馬の購入費という初期費用に加え、継続的にかかる維持費(ランニングコスト)を負担する必要があります。ここでは、馬主として必要となる主な支出を順に見ていきましょう。

競走馬の購入費用

競走馬の価格は、どのように仕入れるかによって変わります。代表的な方法は次の3つです。

  • セリ市(オークション)での購入
    国内外で開催される競走馬のセリ市では、血統や評価の高い馬に数千万円から数億円の値がつくことも珍しくありません。
  • 庭先取引(牧場との直接取引)
    生産牧場と直接交渉して購入する方法で、個別の関係性や条件によって価格が決まります。
  • 自家生産
    自分で繁殖牝馬を所有し、種付けをして子馬を生産する方法です。牧場の運営が必要になるため、さらに高い設備投資や維持費が発生します。

馬の価格はまさにピンキリですが、JRAでデビューを目指す馬の場合、1,000万円〜数千万円程度が一般的な購入価格帯とされています。

預託料(育成・管理・維持費)

馬主の支出で最も大きな負担となるのが預託料です。購入した馬は、専門の育成牧場やトレーニングセンター、JRA・地方競馬の厩舎に預け、飼育・調教・管理を委託します。

JRAの厩舎に馬を預ける場合、1頭あたり月額60万円〜80万円程度が相場で、年間では720万円〜960万円にのぼります。

レースで賞金を獲得できなかった場合、この維持費はすべて馬主の負担となり、赤字につながりやすくなります。

その他の費用

購入費や預託料以外にも、馬主活動にはさまざまな費用がかかります。

  • 登録料:馬主登録時や、馬をレースに出走させるための登録費用。
  • 輸送費:競馬場や牧場間の馬の輸送にかかる費用。
  • 医療費:ケガや病気の際の治療費、手術費など。

馬主になるための年収や職業要件は?

馬主は誰でも名乗れるものではなく、特にJRA(中央競馬)の馬主になるためには、厳格な経済的条件や審査をクリアする必要があります。ここでは、中央競馬・地方競馬・その他の馬主制度について、主な要件を解説します。

中央競馬(JRA)の馬主になる方法

JRAの個人馬主になるためには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 所得要件:
    過去2年間の所得(収入金額ではなく、経費などを引いた後の金額)が、いずれも2,000万円以上あること。(※一時的な所得は含まれません)
  • 資産要件:
    継続的に保有する資産の額が、1億円以上あること。(不動産、預貯金、有価証券など)

これらの要件を満たした上で、JRAに申請書類を提出し、3〜5ヶ月程度の審査を経て登録されます。また、日本中央競馬会競馬施行規程に定められた欠格事由(禁錮以上の刑歴がある場合など)にも該当していない必要があります。

参照:JRA 個人馬主登録の要件|JRA

地方競馬(NAR)の馬主になる方法

地方競馬全国協会(NAR)が管轄する地方競馬の馬主資格は、JRAに比べて要件が緩和されています。

  • 所得要件:過去1年間の所得金額が500万円以上あること。

資産要件については明確な全国一律の基準はありませんが、JRAほどの高額な資産は求められないため、サラリーマンの方でも目指しやすいとされています。

参照:馬主登録の概要|地方競馬情報サイト

その他の馬主になる方法

個人として馬主登録をしなくても、以下の方法によって競走馬に関わることもできます。

  • 法人馬主:
    法人(会社)として馬主登録する方法です。代表者の所得要件などが個人とは異なります。企業のPR目的で馬主になるケースも見られます。
  • 組合馬主(共有馬主):
    複数人(3名~10名)で資金を出し合って1頭の馬を共同所有する方法です。1人あたりの負担や所得・資産要件が軽減されます。
  • 一口馬主クラブ(馬主法人):
    法人が所有する馬に「一口〇万円」といった形で出資し、間接的に馬主体験ができる方法です。馬主登録の必要がなく、初期費用や維持費も抑えられるため、最も手軽に馬主気分を味わえます。ただし、厳密には馬主ではなく「出資者」という立場になります。

馬主活動は税金対策(節税)になる?

馬主活動で収益を得て儲かることは難しい一方で、経営者や個人事業主にとって「税金対策(節税)」として活用できるケースがあります。ポイントは、馬主活動で発生した赤字を他の所得と相殺できる「損益通算」が認められるかどうかにあります。

馬主活動の所得区分

馬主活動によって得られる所得(または損失)は、税務上「事業所得」または「雑所得」に区分されます。

  • 事業所得:
    まとまった頭数の馬(5頭以上など)を継続的に所有し、活動実態から事業として行われていると認められる場合。
  • 雑所得:
    上記の事業所得に当てはまらない場合(1頭のみ所有している、営利目的が弱いなど)。

税金対策としての損益通算

損益通算とは、ある所得で生じた赤字(損失)を、他の種類の黒字の所得から差し引いて、最終的な課税所得を減らす制度です。

もし馬主活動が「事業所得」として認められ、そこで赤字(購入費の減価償却費や預託料が収入を上回った場合)が発生すると、その赤字を本業の事業所得や不動産所得などの黒字と相殺できます。

結果として、課税対象となる所得総額が減り、所得税や住民税の負担を軽減できるのです。

一方で、「雑所得」に区分された場合、雑所得内での通算はできますが、他の所得(給与所得や事業所得など)との損益通算はできません(一部例外を除く)。

参照:No.2250 損益通算|国税庁

馬主活動で経費計上できる費用

馬主活動が事業所得として認められた場合、以下のような費用を経費として計上できます。

  • 競走馬の購入費(減価償却費):
    競走馬は「減価償却資産」として扱われます。高額な購入費用も、法定耐用年数(競走馬は通常4年)にわたって分割して経費計上します。
  • 預託料・維持費:
    厩舎費用、飼育費、調教費など、毎月発生するコスト。
  • その他諸経費:
    輸送費、医療費、登録料、保険料などの関連費用。

参照:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

税務上の注意点

馬主活動を税金対策として考える場合、事業として認められるかどうかです。税務署から事業として認められるためには、継続性や規模、収益を上げようとする活動の実態などが総合的に判断されます。

赤字を出すことが目的ではなく、あくまで事業として真剣に取り組んだ結果の赤字でなければ、損益通算が否認されるリスクもあります。税金対策を主目的とする場合は、必ず税理士などの専門家に相談しましょう。

馬主活動は「儲け」よりも「夢」を優先する世界

馬主として儲けるにはほんの一握りかもしれません。アーモンドアイやイクイノックス、ディープインパクトのような名馬を所有できれば莫大な賞金や種付け料を得られますが、これはごくわずかな成功例にすぎません。

多くの馬は購入費や預託料などの維持費が収入を上回り、馬主活動は赤字になりやすいのが実情です。ただし、事業として認められた場合には損益通算が可能になり、経営者にとっては税金対策としてのメリットも期待できます。儲けよりも夢とロマンを楽しむ世界と言えるでしょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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