• 更新日 : 2025年10月21日

個人事業主はPayPalビジネスアカウントを使うべき?注意点や導入方法を解説

個人事業主としてオンラインでの売上を効率よく受け取りたい場合、PayPalビジネスアカウントの活用が有効です。法人登記がなくても申し込み可能で、請求書の発行やクレジットカード決済の導入、即時入金といった機能を手軽に導入できます。一方で、個人用アカウントでは商用利用が認められておらず、誤った運用にはリスクが伴います。

本記事では、PayPalビジネスアカウントの特徴や活用の流れ、注意点、確定申告における扱いなど、個人事業主に役立つ情報を解説します。

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目次

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個人事業主はPayPalビジネスアカウントを利用できる?

PayPalのビジネスアカウントは、法人だけでなく個人事業主や副業レベルの利用者にも広く開放されています。事業規模の大小に関係なく、日本で事業(個人事業を含む)を行う方はビジネスアカウントを申し込めます。開設には本人確認(KYC)および事業情報の確認が必要で、状況により追加資料の提出が求められます。

ネットショップ運営やフリーランスとしての業務収入の受け取りにも適しており、利用価値は高いと言えるでしょう。

個人事業主でも問題なくビジネスアカウントが開設可能

PayPalでは、個人事業主やフリーランスも法人と同じくビジネスアカウントを開設できます。特定の登記情報は必要なく、開業届や本人確認書類のみで登録が可能です。副業でオンラインショップを運営している人や、アフィリエイト報酬を受け取る個人も対象となっており、規模に関係なく広く利用されています。

小規模な事業者でも商用決済機能を活用できる

PayPalのビジネスアカウントは、商品・サービスの販売代金を受け取る機能を標準で備えています。個人事業主であっても、この機能を通じてクレジットカード決済の導入やオンライン請求が簡単に行えるため、商用活動における支払い手段として非常に便利です。初期費用や月額料金がかからない点も、小規模事業者にとっては魅力となっています。

事業者名の設定に柔軟性がある

個人事業主がビジネスアカウントを開設する際、登録画面で「事業者名」の入力が求められます。法人登記がない場合でも、屋号や個人名、ブランド名などを設定できます。この事業者名は購入者のカード明細に表示されるため、顧客にとって違和感のない名称を選ぶことが望まれます。信頼感のある表記にすることで、取引上のトラブルや誤解を避けやすくなります。

事業に個人用PayPalアカウントを利用できる?

PayPalの個人アカウント(パーソナル)は事業用途では利用できません。

利用規約により、商品やサービスの代金を受け取る目的での使用は認められておらず、商用取引に使い続けた場合、アカウントの停止や制限といったリスクがあります。

さらに、個人アカウントではPayPal残高を銀行口座へ出金できないため、事業で得た収益を現金化することもできません。帳簿管理や取引の記録といった業務面でも機能が制限されるため、ビジネスには不向きです。

個人事業主がネット販売や有料サービスの提供などを行う場合は、必ずビジネスアカウントを開設しましょう。売上管理ツールや売り手保護制度といった商用向けの機能も利用でき、安全で効率的な取引が可能になります。

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個人事業主の"経費"、うまく活用できていますか?

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PayPalビジネスアカウントと個人アカウントの違いは?

PayPalには「ビジネスアカウント」と「個人アカウント(パーソナル)」の2種類があり、それぞれ利用目的や機能に大きな違いがあります。以下では、両者の違いを比較しながら解説します。

商用利用の可否や取引機能に明確な違いがある

ビジネスアカウントは、商品の販売やサービス提供など商用目的の決済に利用するために設計されています。一方、個人アカウントはプライベートな送金や買い物など非商用利用に限定されており、PayPalの利用規約でも商用利用は禁止されています。したがって、個人事業主が報酬や売上を受け取るには、ビジネスアカウントの選択が必須となります。

利用可能な機能と取り扱える取引の種類が異なる

ビジネスアカウントでは、オンライン決済や請求書の送付、クレジットカード決済の受け取りといった商用機能が利用できます。また、法人や組織での運用を想定し、複数ユーザーでの管理も可能です。一方で、個人アカウントはあくまで個人間の送金・支払い専用であり、商品代金の受け取りや複数人での管理といった機能は提供されていません。

残高の扱いや出金手段にも違いがある

日本においては、個人アカウントのPayPal残高は「前払式支払手段」として取り扱われるため、銀行口座への引き出しができません。それに対して、ビジネスアカウントであれば、売上として受け取った残高を所定の本人確認後は自分の銀行口座へ振り込めます。これは事業資金の管理において大きな違いであり、事業用口座としてPayPalを利用する上での決定的な要素と言えます。

ビジネスアカウントと個人アカウントの違い一覧

項目ビジネスアカウント個人アカウント(パーソナル)
商用利用可能(商品・サービスの販売に利用可)不可(商用利用は禁止)
代金の受け取り可能(オンライン決済や請求に対応)不可(商品代金の受取には利用不可)
個人間送金の受取不可(友人・家族からの送金は受取不可)可能(個人間の送金に利用可)
支払い(送金)可能(上限100万円/回まで)可能(上限100万円/回まで)
残高の銀行口座への引き出し可能(売上を銀行に出金可能)不可(残高の引き出し不可)
手数料・維持費開設・維持費無料(取引ごとに所定の手数料)開設・維持費無料
複数ユーザー管理可能(スタッフ用サブアカウント最大200人まで)不可
本人確認必要(本人確認書類+事業者名情報)必要(本人確認書類1点)

PayPalビジネスアカウントのメリットは?

PayPalビジネスアカウントは、個人事業主がオンラインで効率的かつ安全に決済を受け取るための便利なツールです。以下では、代表的なメリットを紹介します。

無料で開設・維持でき、初期コストが不要

PayPalビジネスアカウントは、開設費や月額利用料が一切かからないため、資金に限りのある個人事業主でも気軽に導入できます。費用が発生するのは実際に取引が行われたときで、国内決済においては3.60%+40円という明確な手数料が設定されています。事業を始めたばかりのタイミングでも、売上が立つまで無駄なコストがかからず、従量制課金によって利益に応じた柔軟な運用が可能です。

世界中で使われる信頼性の高い決済手段

PayPalは最新の公式開示(2025年時点)で、アクティブアカウントが4億人超と公表しており、国内外問わず多くのオンラインショップやプラットフォームで採用されています。海外顧客にとっては「PayPal決済対応」というだけで信頼が得られやすくなり、購入の心理的ハードルを下げる効果があります。さらに、売り手保護制度などセキュリティ面でも優れており、万が一のトラブルや不正請求に対しても一定の保護が受けられる点も安心材料です。

売上が即時反映されるスピード感

PayPalの特徴として、支払い完了と同時にアカウントに売上が反映される点が挙げられます。顧客がクレジットカードなどで支払いを済ませると、その場でPayPalアカウントの残高が増え、リアルタイムに確認可能です。銀行振込のような入金待ち時間がなく、資金繰りの見通しを立てやすい点は、流動性が重要な個人事業主にとって大きな利点です。

請求書や決済ボタンを手軽に作成できる

専門的な知識がなくても、PayPalビジネスアカウントでは簡単に請求書を作成して送信できます。また、Webサイトへの「PayPalで支払う」ボタン設置も、数クリックでHTMLコードを生成しコピー&ペーストするだけで済みます。さらに、PayPal.Meという機能を使えば、特定の支払い用URLを生成し、SNSやチャットで送るだけで支払いを受け付けられます。これにより、オンライン取引の決済導入がスムーズになります。

多様な支払い方法と通貨対応で国際取引に強い

顧客はクレジットカード、デビットカード、銀行口座振替、PayPal残高など、好みに応じて柔軟に支払い方法を選択できます。また、事業者側は専用のカードリーダーや複雑な契約が不要で、PayPalを通じて一括で主要な決済手段に対応可能です。さらに、PayPalでは日本円以外の通貨でも受け取りが可能で、複数の通貨を管理できる機能も備えています。海外顧客向けに請求書をドル建てで送るなど、個人事業主でも手軽に国際展開が可能になります。

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PayPalビジネスアカウントの注意点は?

PayPalビジネスアカウントは非常に便利な決済手段ですが、導入にあたっては注意すべき点や制約もあります。ここでは代表的な注意点を解説します。

売上の銀行出金に時間と手数料がかかる

PayPalに入金された売上金を日本の銀行口座に引き出すには、「出金」処理が必要です。この際、5万円未満の出金には1回あたり250円の手数料が発生し、振込には3〜5営業日かかるのが一般的です。すぐに現金化できるわけではないため、資金繰りに余裕がない事業者にとっては負担となる可能性があります。出金回数が多いと手数料がかさむため、可能であれば5万円以上にまとめて出金するなどの工夫が求められます。

決済ごとに手数料が発生し利益が減少する

PayPalでは、取引ごとに受取手数料(国内取引で3.6%+40円)が差し引かれます。このため、売上がそのまま利益になるわけではなく、利益率が低い商品を扱う場合には手数料の影響が大きくなります。かつては売上高に応じた手数料割引がありましたが、現在は一律料金となっており、高額決済が続く事業者ほど負担が増す仕組みになっています。

セキュリティ対策が常に必要になる

PayPalは世界的に有名な決済サービスであるがゆえに、詐欺メールやフィッシング攻撃の標的にもなりやすい特徴があります。万が一ログイン情報が漏れると、アカウントの不正使用や資金流出のリスクもあります。また、顧客からのチャージバックなどに対しては証拠提出が必要な場合もあり、対応に時間と労力を要することもあります。アカウントには必ず二要素認証を設定し、不審なメールやリンクを開かないといった基本的なセキュリティ意識が求められます。

為替手数料が高く外貨取引には注意が必要

PayPalは外貨建ての取引にも対応していますが、為替換算には基準レートに対するスプレッド(上乗せ手数料)が加算され、日本向けでは取引条件により概ね3~4%程度が適用されます。1ドル=100円の相場であっても、PayPal上では104円で換算されるといったケースがあるため、外貨受取時に利益を圧迫する可能性があります。海外との取引が多い場合は、円建てで請求する、またはWiseなど為替手数料が安いサービスと併用することで、コストを抑える選択も検討すべきです。

個人事業主がPayPalビジネスアカウントを開設するには?

PayPalビジネスアカウントは、個人事業主でも簡単に開設でき、オンライン上の手続きだけで完了します。以下では、開設方法を解説します。

新規にPayPalビジネスアカウントを開設する手順

  1. PayPal公式サイトにアクセスし「ビジネスアカウント」を選択
    新規登録画面にてアカウントの種類として「ビジネス」を選択します。
  2. 基本情報を入力する
    氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどを登録します。
  3. 事業者情報の入力
    • 事業者名(屋号・ブランド名・個人名など)を入力
    • 業種カテゴリを選択
    • ウェブサイトURL(任意)など事業に関する情報を登録
  4. 本人確認書類をアップロードする
    運転免許証やマイナンバーカードなど、本人確認書類を1点提出します。
  5. メールアドレスと電話番号の認証を行う
    認証リンクのクリックやSMSコード入力により確認を完了させます。
  6. 銀行口座を登録する
    出金先となる自分名義の銀行口座情報を追加します。
  7. アカウント設定を完了する
    通知設定や請求書機能、決済ボタンなど、必要に応じて初期設定を行います。

個人アカウントからビジネスアカウントへの変更方法

  1. PayPalにログインする
  2. 右上の設定アイコン(歯車)をクリック
  3. 「アカウントオプション」または「アカウントの種類」へ進む
  4. 「ビジネスアカウントにアップグレード」を選択
  5. 事業者名・業種などのビジネス情報を入力
  6. 本人確認書類を必要に応じて再提出
  7. アップグレード申請を送信し、承認を待つ
    (オンライン審査は数時間~数日で進むことが多い。郵送PINの受取・入力など本人確認の全工程完了まで含めると1~4週間程度の見込み。)

ビジネスアカウントに変更すると、原則として個人アカウントには戻せません。アカウント種別の変更は慎重に行いましょう。

PayPalで得た収入の帳簿処理・確定申告上の注意点は?

PayPalで受け取る収益もれっきとした事業所得であるため、正確な記録と申告が求められます。売上の計上や帳簿処理、確定申告のポイントを解説します。

取引明細は売上・経費として記録する

PayPal経由で得た収入は、銀行振込と同様に事業収入として帳簿に記載する必要があります。たとえオンライン決済であっても、「受け取った金額=売上」「PayPalに差し引かれた手数料=経費」という形で仕訳します。ビジネスアカウントではCSV形式での明細ダウンロードが可能なため、月単位や週単位で取得して、帳簿に反映させると管理がしやすくなります。

為替取引には為替レートの記録が必要

海外取引がある場合は、為替処理に注意が必要です。外貨での入金は、原則として、売上が発生した日の電信売買相場の仲値(TTM)で円換算して記帳します。継続適用を条件に、月次平均レートなど合理的な方法を用いることも認められます。為替差損益も同時に発生することがあり、これも適切に処理しなければなりません。換算レートの出典や計算根拠を明示できるようにしておくと、税務調査の際にも安心です。

PayPal残高のまま支出した場合の処理方法

PayPal上での残高をそのまま経費支払いに利用するケースもありますが、その場合も「収入」と「支出」の両方を帳簿に記載する必要があります。PayPal内で完結しているからといって帳簿上で省略してはいけません。PayPalの残高も事業用資金として取り扱うのが原則です。

PayPalビジネスアカウントの導入は、個人事業主の武器になる

PayPalビジネスアカウントは、個人事業主にとって信頼性・利便性・拡張性の三拍子がそろった決済手段です。開設や維持に費用がかからず、少額からでも始めやすい点は、スタートアップやフリーランスにとって大きな魅力でしょう。仕組みを理解して正しく活用すれば、PayPalは、小さなビジネスの大きな味方になり得ます。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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