- 更新日 : 2024年10月30日
バーバルコミュニケーションとは?意味や具体例、テレワークの留意点
バーバルコミュニケーション(verbal communication)とは「言語コミュニケーション」を意味する英語です。会話や文章などの言葉を使ったコミュニケーションを指します。どのような場面で使われるコミュニケーションなのか、また、メリットやスキルを高めるための方法を紹介します。
目次
バーバルコミュニケーションとは?
バーバルコミュニケーション(verbal communication)とは、会話や文章、印刷物の文字などの言葉によるコミュニケーションのことです。「言語コミュニケーション」とも呼ばれます。
コミュニケーションにおいては、次に紹介するノンバーバルコミュニケーション(non-verbal communication)も重要とされています。しかし、ノンバーバルコミュニケーションが可能なのは、あくまでも対面や通話などの直接声が届く環境です。対面や通話ではないコミュニケーションにおいては、バーバルコミュニケーションがほぼ唯一のコミュニケーション方法となるため、重要度が高いと考えられます。
ノンバーバルコミュニケーション
ノンバーバルコミュニケーション(non-verbal communication)とは、言語を介さないコミュニケーションのことです。バーバルコミュニケーションと対になる言葉で、「非言語コミュニケーション」とも呼ばれます。
話す内容も重要ですが、話し方や表情、声のトーン、身振り手振りなどのノンバーバルコミュニケーションも重要な要素です。とくに視覚から伝わる情報は、相手に強い印象を与えるとされています。身振り手振りや表情、視線、身だしなみなどの視覚情報にも注目してみましょう。
バーバルコミュニケーションがより活躍する場面
相手の顔が見えないときや声が聞こえないときは、ノンバーバルコミュニケーションは使えません。バーバルコミュニケーションを活用し、言葉によって意思や重要事項を伝えましょう。
バーバルコミュニケーションは、主に次の場面で活躍します。
- リモートワーク・テレワーク
- ビジネスチャット・メール
- オンライン会議・研修
- コールセンター・ヘルプデスク
- 海外や多様なメンバーからなるチーム
ビジネスシーンでは重要性の高い情報を多く扱うため、文字でコミュニケーションを取ることで、後で確認しやすくなるだけでなく、言った言わないで揉めることも回避できます。また、伝えた情報にミスがないかも確認でき、トラブルを未然に防ぎやすくなるのも文字を使うメリットです。
リモートワーク・テレワーク
離れた場所にいる相手とコミュニケーションを取るときは、電話やテレビ電話、会議アプリなどを使います。いずれも話す内容だけでなく、声のトーンや表情といったノンバーバルコミュニケーションでも意思を伝えられる方法です。
しかし、リモートワーク・テレワークをしている相手に対しては、電話やテレビ電話は避けておくほうがよいでしょう。リモートワークはオフィスで働く場合とは異なり、各自のペースで働いているため、相手が休憩中に電話やテレビ電話をしてしまうかもしれません。
リモートワーク中の相手に活用したいのが、メールやチャットなどの文字を使ったバーバルコミュニケーションです。「今は仕事中だろうか」「邪魔にならないだろうか」と気兼ねをする必要がありません。また、文字で内容が残るため、聞き間違いがなくなるのもメリットです。
ビジネスチャット・メール
ビジネスチャットやメールを使うと、文字で相手とコミュニケーションが取れます。ビジネスでは正確さが求められるため、対象物や数量、日時などの重要な情報を文字として確認できるチャットやメールが活躍します。
また、一度に多くの相手に届けられるのもビジネスチャット・メールのメリットです。関係者全員に同じ情報を送信すれば、伝達ミスが減るだけでなく、内容に誤りがないか大勢で確認できます。
オンライン会議・研修
オンライン会議・研修においても、バーバルコミュニケーションは活躍します。ただし、オンライン会議・研修は映像を活用するため、身振り手振りや声のトーン、話すスピードなどのノンバーバルコミュニケーションも重要な要素となります。
強調したい内容を正確に相手に伝えるためにも、文字や図を使った資料を準備しておくとよいでしょう。新しい用語や数字などは、一度の説明では相手に正確に伝わらない可能性があります。資料を作成し、オンラインで共有しておけば、伝達ミスを回避できるだけでなく、後から見返せて便利です。
コールセンター・ヘルプデスク
コールセンターやヘルプデスクでも、バーバルコミュニケーションが重要視されます。コールセンター・ヘルプデスクを利用するユーザーは、何らかのトラブルや疑問を抱えているため、明確に解決方法を提示するためにも、シンプルな言葉で説明することが必要です。
たとえば、チャットやFAQ形式のコールセンター・ヘルプデスクなら、言語だけを用いたサポートが可能です。ユーザーの質問を網羅したFAQを充実させておけば、一対一で対応するケースが減り、より効率的にサポートできます。
ただし、電話や対面でサポートを提供する場合は、バーバルコミュニケーションだけでなくノンバーバルコミュニケーションも必要です。その場にそぐわない表情や声のトーンを使わないように、対応するスタッフを教育しておくことが求められます。
海外や多様なメンバーからなるチーム
多言語・多文化でのコミュニケーションが必要な場でも、バーバルコミュニケーションが重要です。言語や文化が異なると、同じ表情やしぐさでも異なる意味で理解されることがあります。正確に情報を伝達するためにも、文字を使ったコミュニケーションを活用しましょう。
万が一、翻訳ミスなどがあった場合でも、文字として証拠が残っているなら、訂正しやすくなります。文字・画像などを用いた資料を作成して共有し、正確に情報を伝えるように工夫しましょう。
バーバルコミュニケーションスキルが低いとどうなる?
バーバルコミュニケーションのスキルが低いと、次の問題が生じることがあります。
- 誤解を招く可能性がある
- チームの絆が薄れやすい
- 業務の遅延やミスのリスク
- コミュニケーションのストレス
それぞれの問題が引き起こされる理由について見ていきましょう。
誤解を招く可能性がある
バーバルコミュニケーションは、ノンバーバルコミュニケーションよりも確実に情報を伝えやすいという特徴があります。しかし、バーバルコミュニケーションのスキルが低い場合には、かえって誤解を招くかもしれません。
たとえば、「何で来るの?」と尋ねたとき、意図が正確に伝わらないことがあります。交通手段を問われたと受け止める場合は「電車で」、理由を問われたと感じる場合は「用事があるから」と答えるでしょう。また、「来るなと言われている」と受け止め、「じゃあ、やめとくよ」と返答する可能性があります。
バーバルコミュニケーションを実施するときは、相手に誤解を与えたり不快な思いをさせたりすることがないよう、言葉を選ぶことが必要です。「明日は電車でいらっしゃいますか?」「来社されたときに、何をお手伝いできますか?」と具体的に尋ねるなら、相手に質問の意図が正確に伝わり、誤解のないコミュニケーションができるでしょう。
チームの絆が薄れやすい
バーバルコミュニケーションのスキルが低い場合は、相手に情報を伝えられないだけでなく、相手からの情報も遮断してしまうかもしれません。チーム内で活発なコミュニケーションが取れなくなり、チームとしての絆も薄れてしまう可能性があります。
チームとして活動していくためには、メンバー各自が積極的にコミュニケーションを取ることが必要です。しかし、適切なコミュニケーションには個人差があるため、期待するような頻度・レベルとはならない可能性があります。「10時と16時には連絡を取り合う」「質問はなるべく選択式にする」というように、具体的なコミュニケーションルールを作ることも検討してみましょう。
業務の遅延やミスのリスク
バーバルコミュニケーションのスキルが低いと、必要な情報を必要な相手に伝えられない可能性があります。業務が予定通りに進まず、納期に遅延するかもしれません。
また、バーバルコミュニケーションの頻度は十分でも、言葉の選び方や文法などに問題があると、情報が正しく伝わらずに重大なミスが生じる可能性があります。ビジネスを滞りなく進めていくためにも、バーバルコミュニケーションの頻度・質ともに注意することが必要です。
コミュニケーションのストレス
また、相手も「理解できない」「情報がわからない」といったストレスを感じるため、話し手・聞き手の双方にとってストレスが溜まります。
ストレスが増えるとコミュニケーションそのものを放棄し、業務そのものが遂行できなくなる可能性があります。バーバルコミュニケーションのスキルを高めるとともに、コミュニケーションが取りやすい環境を構築することも重要です。
バーバルコミュニケーションスキルを高める方法
リモートワーク・テレワークでは相手と顔を合わさないからこそ、バーバルコミュニケーションがより重要な意味を持ちます。次の方法を実践して、バーバルコミュニケーションスキルを高めましょう。
- あいさつやお礼を欠かさない
- メッセージは簡潔にわかりやすく
- 依頼の理由や背景を伝える
- 報告・連絡・相談を意識する
それぞれの方法を解説します。
あいさつやお礼を欠かさない
バーバルコミュニケーションは、回数を増やすことでスキルアップが可能です。あいさつやお礼などを普段から伝えるように意識するなら、自然とバーバルコミュニケーションを取る回数が増え、スキルも向上できます。
メッセージは簡潔にわかりやすく
相手に伝える前に、伝える内容について吟味してください。まずは要点をリストアップし、可能な限り簡潔にまとめましょう。
また、誤解しにくい表現を使うことも大切です。たとえば、「遅れそうなときは連絡してもらえると助かります」といった表現では、努力目標なのか命令なのかがわかりません。正確に意思を伝えるためにも、「遅れるときは前日までに連絡してください」とストレートに伝えましょう。
依頼の理由や背景を伝える
ストレートな表現を選ぶことも大切ですが、一方的な命令ばかりでは、聞き手に不満が溜まってしまいます。依頼の理由や背景を伝えると、快く受け止められるだけでなく、より前向きに業務に取り組めるでしょう。
報告・連絡・相談を意識する
取引先とのやり取りやチーム内でのコミュニケーションを円滑に進めるためにも、報告・連絡・相談の3つを意識することが大切です。
業務進捗を「報告する」、変更があったときは「連絡する」、予定通りに進まないときやトラブルが発生したときは「相談する」を意識することで、バーバルコミュニケーションのスキルアップを図れます。
バーバルコミュニケーションでテレワークを円滑に進めるコツ
バーバルコミュニケーションを活用することで、テレワークをより円滑に進めていきましょう。次のポイントを意識すれば、さらに円滑なコミュニケーションが可能になります。
- コミュニケーションを取る時間を決める
- 誤解を招きにくい言葉を選ぶ
- 絵文字や記号で感情を表現する
- ポジティブかつ柔らかい表現を心がける
- 解釈が複数あるときは、すぐに確認する
- 1on1コミュニケーションの機会を設ける
仕事に集中していると、コミュニケーションにまで意識が向かなくなることがあります。コミュニケーションを取る時間を決め、タスクを多く抱えているメンバーもコミュニケーションを取れるように工夫しましょう。
言葉選びも重要です。誤解を招きにくい言葉を選びましょう。メールやチャットでのみコミュニケーションを取るときは感情が伝わりにくくなるため、絵文字や「!」「?」などの記号を使うことも大切です。
また、コミュニケーションは業務連絡だけといった状況では、連絡することが徐々に嫌になってしまいます。ポジティブかつ柔らかい表現を心がけ、相手が気軽に連絡できる雰囲気、連絡したいと思える環境を作るようにしましょう。
定期的に1on1コミュニケーションの機会を設けることも大切です。向き合って話すことで、相手の気持ちを理解しやすくなり、より円滑なコミュニケーションが可能になります。
活発なバーバルコミュニケーションを取れる環境を構築しよう
バーバルコミュニケーションは、プライベートだけでなくビジネスにおいても重要です。しかし、一人だけが「バーバルコミュニケーションを積極的に取ろう」と意識しても、家庭や職場の雰囲気はよくなりません。
すべてのメンバーが活発にバーバルコミュニケーションを取るためにも、話しやすい雰囲気や制度を構築することが大切です。電話やテレビ電話だけでなく、メールやチャットも活用して、深いコミュニケーションを実施していきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
就業管理とは?勤怠管理との違いやシステム導入時の注意点を解説
就業管理は、従業員を雇用する企業において欠かせない業務です。法律に則った管理を求められますが、目的や業務内容を詳しく把握できていないまま、業務に携わっているケースもあるようです。近年は働き方改革によって、労働基準法は厳罰化され、就業管理の徹…
詳しくみるカタルシスとは?意味やカタルシス効果の活用方法を解説!
カタルシスは、もともとは演劇用語として使われていた言葉ですが、現代では浄化や解放という意味の心理学用語として多く用いられています。「カタルシスを感じる」などと用い、カタルシス効果を得ることにはストレスが軽減できる、不安が解消できるといったメ…
詳しくみるメンバーシップ型雇用とは?向いている企業やジョブ型との違い、企業事例
メンバーシップ型雇用とは、労働条件を限定しない雇用方法です。日本では一般的に採用されていますが、近年では海外で採用されているジョブ型雇用に移行する企業も出てきています。 この記事では、メンバーシップ型雇用の概要やジョブ型雇用との違いとともに…
詳しくみるキャリア教育とは?定義や背景、習得できる能力、具体的な施策について解説!
キャリア教育は子供や若者の成長過程で行われる、キャリア形成にまつわる教育です。人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力が習得できます。技術発展・グローバル化・多様化・長寿命化を背景に注目され…
詳しくみるやりがい搾取とは?何が悪い?起こりやすい業界・職場
アルバイトや管理職など従業員の離職率悪化、業務効率低下といった問題が継続的に発生している場合、従業員の長時間労働、低賃金での雇用などが原因になっていることがあります。この記事では、やりがい搾取の発生が国内企業で課題とされている理由、問題にな…
詳しくみる会社の備品を紛失したときの始末書の書き方は?【無料テンプレートつき】
働くうえでは、会社から制服や作業着といった様々な備品を貸与される場合があります。テレワークが一般的となった近時では、PCなどを貸与される場合も多いでしょう。しかし、備品を紛失してしまう場合もあります。そのような際に、作成する始末書の書き方を…
詳しくみる