• 更新日 : 2026年9月11日

年末調整で戻ってくる金額はいくら?計算方法や平均金額も解説

Point年末調整で戻ってくる金額はいくら?

年末調整の還付金は平均約6万6,000円で、申告内容や家族構成により数千円〜十数万円まで変わります。

  • 毎月の源泉徴収は概算のため差額が還付される
  • 令和8年分は年収178万円以下なら全額戻る
  • 生命保険・iDeCo申告で還付額を増やせる

Q. 年末調整の還付金の平均はいくらですか?

A. 国税庁データをもとに試算すると約6万6,000円です。ただし年収・控除内容により大きく異なります。

年末調整は、1年間で給与から天引きされた所得税の過払い分が精算され、手元にお金が戻ってくることが多い手続きです。 ただし、計算の結果によっては不足税額が発生し、逆に徴収されることもあります。 今回は年末調整の仕組みを確認したうえで、今年の年末調整では還付(戻る)になるのか追加徴収(払う)になるのかを確認し、その金額がいくらになるのかを試算してみましょう。なお、令和8年度税制改正により基礎控除給与所得控除がさらに拡大されているため、最新の基準で解説します。

年末調整で過払い分の税金が戻ってくる仕組みは?

年末調整で過払い分の税金が手元に戻ってくることを還付(かんぷ)と呼びます。還付金が発生する主な理由は、毎月の給与から天引きされていた源泉徴収税額が、年末に確定した本来の税額より多いためです。

毎月の税金は「概算」で引かれている

毎月の給与から差し引かれる所得税はあくまで概算です。通常、前年の年末調整時に提出した「扶養控除等申告書」を元に計算されますが、年の途中で加入した生命保険や、確定したiDeCoの掛金などは考慮されていません。

年末調整では、1月1日から12月31日までの給与総額が確定した後、従業員が提出する申告書を元に、最新の家族構成や保険料の支払い状況などを反映させて、1円単位で正確な税金を計算し直します。

多くのケースでは、会社が把握していない個人的な控除(生命保険料など)を後から適用するため、正しい税額が給与天引き済みの税額より安くなり、その差額が戻ってきます。

※計算の結果、源泉徴収額が不足していた場合は、逆に追加徴収されることもあります。

参考:年末調整がよくわかるページ|国税庁

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戻ってくる金額を増やす控除リスト

会社は従業員が個人的に加入している保険などを把握できないため、従業員自身が年末調整にあたって「給与所得者の保険料控除申告書」(生命保険料・地震保険料・iDeCoの掛金など)や「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(配偶者の有無など)を会社に提出する必要があります。これらの情報を申告することで、課税対象となる所得が減り、還付金が発生する場合があります。

年末調整で申告することで税金が軽減される主な控除は以下の通りです。

  • 生命保険料控除:一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険の保険料
  • 地震保険料控除:自宅の地震保険料
  • 配偶者(特別)控除:配偶者がいる場合(所得等の要件あり)
  • 扶養控除:16歳以上の扶養親族がいる場合(所得等の要件あり)
  • 特定親族特別控除:19歳以上23歳未満の親族(特定親族)がいる場合(合計所得金額に応じて段階的に控除)
  • 小規模企業共済等掛金控除:iDeCo(個人型確定拠出年金)等の掛金全額
  • 住宅借入金等特別控除(2年目以降):住宅ローン残高に応じた税額控除

参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

年末調整でいくら戻ってくるか、計算方法は?

年末調整で戻ってくる金額については、あらかじめ決まっている要素で試算をすることで、還付になるか徴収になるかをある程度予想できます。ここでは大まかな計算の流れを説明します。

【重要】年収と所得の違い

まず知っておくべきは、所得税は「年収(額面)」そのものに税率を掛けて計算するわけではないということです。年収から「経費」や「個人的な事情(控除)」を差し引いた税金の対象となる金額(所得)に、税率を掛ける形で計算します。

年末調整の計算の流れ

年末調整の計算の大まかな流れは、以下の通りです。

① 給与総額を集計する

1月から12月に受け取った給与及び賞与の総額を集計します。この際、徴収された各種保険料(社会保険料など)と所得税(源泉徴収税額)の合計も確認しましょう。

② 給与所得を算出する

給与総額から以下の表にある給与所得控除額を差し引いて、「給与所得」を求めます。令和8年度税制改正により、給与所得控除の最低保障額が令和8年分・令和9年分に限り74万円まで引き上げられています。

給与所得=給与収入-給与所得控除額

令和8年分(2026年分)の給与所得控除額

給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
2,200,000円以下 740,000円
2,200,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超 8,500,000円以下 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

※このうち740,000円(220万円以下)は、本則の690,000円に令和8年・9年限定の特例加算50,000円を加えた金額です。特例は月々の源泉徴収には反映されず、年末調整で精算されます。

参考:No.1410 給与所得控除|国税庁

③ 課税される所得を計算する(給与所得のみの場合)

②で計算した給与所得から、さらに社会保険料※控除や、生命保険料控除などの「各種所得控除」を差し引きます。 ※社会保険料は、給与から天引きされた厚生年金保険料や健康保険料、雇用保険料の総額です。

【計算式】

課税される所得=給与所得-各種所得控除(社会保険料控除+生命保険料控除+配偶者控除など)

自身の状況や生命保険会社などからの書類を確認し、以下の各種所得控除金額を集計します。

  • 基礎控除
  • 配偶者控除、配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 特定親族特別控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 生命保険料控除、地震保険料控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 障害者控除

なお、基礎控除も令和8年分・令和9年分は特例で最大104万円まで拡大されています。

令和8年分(2026年分)の基礎控除額

合計所得金額 基礎控除額
489万円以下 104万円
489万円超 655万円以下 67万円
655万円超 2,350万円以下 62万円

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

④ 所得税を算出する

算出された「課税される所得」に対し、国税庁が定める税率を掛けて、本来納めるべき「正しい1年間の所得税額」を算出します。

なお、1年間の給与収入の総額が2,000万円を超える場合は年末調整の対象にはなりません。(この場合は確定申告が必要です。)

所得税の速算表(一部抜粋)

課税される所得金額 税率(%) 控除額(円)
1,000円から194.9万円まで 5% 0円
195万円から329.9万円まで 10% 97,500円
330万円から694.9万円まで 20% 427,500円
695万円から899.9万円まで 23% 636,000円
900万円から1,799.9万円まで 33% 1,536,000円
1,800万円から3,999.9万円まで 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

住宅ローン控除の適用(該当者のみ)

住宅ローン控除がある場合は、④で計算した所得税額からその金額を差し引きます。

⑥復興特別所得税の加算による年調年税額の算出

算出された所得税に、以下の計算式で復興特別所得税を上乗せし、最終的な年調年税額を計算します。

④または⑤で計算した所得税×102.1%(復興特別所得税率2.1%を加算)=年調年税額(100円未満切り捨て)

⑦ 年調年税額と源泉徴収税額の過不足を精算する

①であらかじめ集計しておいた所得税(源泉徴収額)から、⑥で求めた年調年税額の差分を算出します。プラスであれば還付であり、マイナスであれば徴収です。

アルバイトは年末調整でいくら戻ってくる?

アルバイト勤務の方の場合でも「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しており、年末時点で勤務先に在籍している方であれば、年末調整の対象です。

月々の給与から源泉徴収を受けていた場合で、年末に確定した年収が178万円以下であった場合は、それまで天引きされた金額が全額戻ってきます(令和8年分)。

これは、令和8年度税制改正により基礎控除(最大104万円)と給与所得控除の最低保障額(74万円)の合計が178万円となり、この金額までは所得税が非課税、つまり0円となるためです。いわゆる「年収の壁」は、令和6年分までの103万円から、令和7年分は123万円、令和8年分は178万円へと段階的に引き上げられています。

参考:年末調整がよくわかるページ|国税庁

iDeCo加入者は年末調整でいくら戻ってくる?

iDeCoの掛金は年末調整の対象です。正確には「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、支払った掛金と同じ金額だけ課税所得から控除されます。

たとえば、毎月12,000円のiDeCoの掛金を支払っていた場合は、年間で144,000円が課税所得から差し引かれ減税となります。なお、具体的に年末調整で戻ってくる金額は、課税所得によって変動します。

住宅ローンを組んだ場合の対応は?

住宅ローンを組んでいた場合も、ローンの残額に応じて控除の対象となります。正式名称は「住宅借入金等特別控除」と呼ばれ、令和8年度税制改正により適用期限が令和12年(2030年)12月31日入居分まで5年延長されました。

控除率は原則として0.7%で、住宅の種類や入居年、借入限度額などに応じて決まる控除対象となる年末残高等を基に控除額を計算します。 子育て世帯・若者夫婦世帯への借入限度額の上乗せ措置も令和12年入居分まで継続されるほか、中古住宅(既存住宅)の借入限度額も拡充されています。借入限度額や控除期間は、住宅の省エネ性能・世帯区分・入居年によって細かく異なるため、該当する条件は国税庁や国土交通省の最新資料で確認しましょう。

なお、あまり多くないケースですが、住宅取得対価がローンの年末残高より少ない場合は、住宅取得対価の0.7%が適用されます。

ただし、住宅ローンを新たに組んだ場合は、初年度は確定申告が必要です。入居の翌年の確定申告(一般的な会社員であれば翌年1月1日から3月15日までの期間)に申告しましょう。なお、還付申告に該当する場合は、通常の確定申告期間より前から申告できます。

参考:住宅ローン減税等の住宅取得等促進策に係る所要の措置|国土交通省

年末調整で過払い分の税金が戻ってくる時期はいつ?

多くの企業では、12月の給与支払日に給与と合算して振り込まれます。

年末調整の計算は、その年の最後の給与(または賞与)の額が確定した時点で行われます。給与明細の年末調整還付金や過不足税額などの欄を確認してください。

ただし、事務処理のスケジュールによっては以下のタイミングになることもあります。

  • 12月の賞与(ボーナス)支給日
  • 翌年1月の給与支給日

年末調整で還付されずに徴収されることもある?

払いすぎていた所得税を従業員に還付することが多い年末調整ですが、不足額を徴収するケースもあります。下記のような場合、年末調整の結果「不足額の徴収」が発生する可能性があるので確認しておきましょう。

不足額の徴収が発生するケース

年末調整で計算した所得税額に月々天引きされた所得税(源泉徴収税額)の合計が足りず、不足額を徴収されるケースもあります。

理由はいくつか考えられますが、年の途中で家族構成や家族の収入の状況が変化した場合などに、不足金額の徴収が発生するケースが多いです。

年の途中で扶養家族が減った場合

入社時や前年の年末調整時に申告した扶養家族の人数が、その年の途中で減少すると徴収が発生することはあります。扶養控除が、12月31日時点での扶養家族の人数で決定するためです。

たとえば、年の途中まで家族を扶養していた方がいたとしましょう。この従業員の扶養親族である子が、年の途中で就職し、所得要件を満たさなくなった場合には、年末調整では扶養控除の対象から外して計算します。 10月までの給与計算では、扶養控除による所得税減額を適用されている状態で所得税(源泉徴収)の天引きを受けていました。それが年末調整の際には、扶養控除による減額を受けずに所得税を計算し直すことでその年に支払うべき所得税額が増えることになります。

その他の控除の状況にもよりますが、この差分が原因となって不足が発生し徴収を受けることがあります。

賞与額が想定より高額になった場合

賞与が高額になった場合も、不足金額の徴収となる場合があります。賞与から天引きされる所得税(源泉徴収)の計算方法が原因です。

まず、賞与の所得税(源泉徴収)は以下の式により計算されます。

所得税=(賞与の支給額-社会保険料の額)×源泉徴収税率

毎月の給与であれば、源泉所得税率の計算根拠はその月の社会保険料控除後の給与額です。しかし、賞与の場合は「前月に支給された給与」の源泉所得税率が適用されます。

その結果、前月の給与と比較して賞与の金額が高額である場合、賞与の源泉徴収税率は本来の支給金額に対して大幅に低くなることがあるでしょう。

一方で、年末調整では給与と賞与を合計し一年の収入として再計算されるため、賞与から天引きされた低額な所得税(源泉徴収)の分、不足金額が発生し追加徴収が発生することがあります。

なお、賞与の金額が給与の金額に比べて10倍を超えているなど、極端に高い場合には、通常の計算方法とは別の計算式で源泉徴収税額を算定します。

参考:No2523 賞与に対する源泉徴収|国税庁

年末調整の還付金の平均額は?

あくまで推定の計算ですが、源泉所得税及び復興特別所得税の還付金の合計(3,495,507,000,000円)を、令和5年分調査で年末調整を行った1年を通じて勤務した給与所得者+1年未満勤続者(52,592,053人)で割ると、約66,400円です。

つまり、年末調整の還付金の平均は6万6000円前後と想定できます。

ただし、年末調整の還付額(追加徴収額)は、納税者それぞれの状況により異なるのであくまで参考にとどめてください。また、令和8年分は「年収の壁」が178万円まで拡大されているため、今後公表される統計では平均還付額がさらに変動する可能性があります。

参考:国税庁統計情報|国税庁、統計年報 全データ(令和5年)、民間給与実態統計調査結果 第16表(令和5年) (本記事執筆時点で確認できる直近の公表資料に基づく計算)

年末調整で戻ってくる金額を正しく受け取るために

年末調整で戻ってくる金額は、年収だけでなく家族構成や保険、iDeCoの加入状況などによって数千円から十数万円まで大きく変わります。令和8年分は基礎控除・給与所得控除の拡大により、年収の壁が178万円まで引き上げられている点も押さえておきましょう。

戻ってくる金額を最大化するためには、年末調整で控除に関する申告を確実に行い、控除証明書などの書類とあわせて漏れなく会社に提出することです。

年末調整での申告漏れで損をしないよう、早めに準備を進めましょう。


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