- 更新日 : 2024年10月21日
領収書の電子化(スキャナ保存)
領収書の保管に関しては、原則として7年間、原本の保管が義務付けられています。しかし、細かい領収書を整理して紙で保存しておくことは結構な手間と費用がかかります。保管場所や書類の整理に苦慮する企業も多いことでしょう。
こうした状況に対応して、領収書等についてはスキャナなどで電子化して保存できるようになり、税務署長の承認も不要になっています。
電子化を認めた法律「e-文書法」
2005年4月からら施行された領収書等の電子化とは、一般に「e-文書法」と呼ばれるもので、正式名称は「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」といいます。
それまでは紙の保存を前提としていた領収書等の書類ですが、電子データによる保存を許可するという法律です。電子化とは、紙をスキャナで読み取ってデータで保存することで、電子データがあれば紙文書を破棄しても電子データがあれば認められることになったのです。
満たすべき要件が複雑且つ多くあり、当初期待したほど普及していないとはいえ、実施すれば効率化に大きく寄与することは間違いなく、大きなコスト削減につながることから注目を浴びている法律です。
なお、国税電子申告・納税システムのe-Taxや電子帳簿保存法の改正(国税関係書類のスキャナ保存)は、インターネットなどの普及や情報通信技術の躍進を背景として導入された制度です。政府全体として取り組んでいるe-Taxの一環として、書類保存などにかかる費用を減らそうという観点からe-文書は導入されました。
e-文書法適用の要件(2014年1月現在)とは?
e-文書法適用の要件は各省が定めているため、各省庁によって違います。
財務省令の国税庁告示に定められた要件をみてみると、
解像度:200dpi (8ドット/mm)以上での保存が必要です
カラー:24bit カラー (RGB 各色256 階調)以上でのデータ取り込みが必要です
読み取りモード:ファイン(200dpi 相当)、カラー(24bit)での対応が必要です
そのほかにも、
- 検索機能の確保
- 国税関係帳簿との相互関連性の確保
- システム関係書類の備え付け
などが条件として求められています。しかしe-文書法適用を満たすための要件はこの限りではありません。また、厳密なガイドラインがあります。国税関係書類のスキャナ保存を行いたい場合は、申請書の提出が必要とされていました。
平成27年度税制改正大綱による緩和ポイント
平成27年度税制改正大網が発表され、そのなかで電子化しての保存に関したいくつかの規制緩和されるポイントをみると、まず、スキャナで取りこんだ電子書類での保存が認められる対象書類が見直されました。
現行では領収書や契約書のうち額面が3万円未満ですが、緩和されると金額基準がなくなります。つまり額面3万円以上の領収書と契約書もスキャナ保存が許可されるようになります。これまでは3万円以上の領収書に関しては紙の原本で保存しておく必要があったのが、スキャナ保存すれば原本は破棄してしまっても問題ないわけです。
また、現在は事前に所轄税務署長による関係帳簿の承認が必要ですが、事前承認は不要になります。
電子署名要件も見直され、スキャナで読み取る際のる入力者等の電子署名は不要なくなり、タイムスタンプをと、ユーザーIDなど入力者等に関する情報の保存で済ませられるようになります。
さらに、現行では、大きさ情報の保存が必要であり、改訂されると大きさ情報の保存は不要になります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
電子領収書の関連記事
新着記事
請求書発行システムとは?主な機能やメリット、選び方まで徹底解説
企業の経理業務において、請求書の作成や管理は欠かせない業務の一つです。しかし、手作業による請求書の作成や管理には、多くの手間がかかるだけでなく、ミスのリスクも伴います。特に、取引件数が多い企業では、請求業務にかかる時間とコストが大きくなり、…
詳しくみる個人事業主におすすめの請求書買取サービスは?デメリットや選び方も解説
個人事業主が事業を続けていく上でネックになりやすいのが、資金調達です。売掛金のある個人事業主には、金融機関からの融資以外に請求書買取サービスを利用する方法があります。今回は、請求書買取サービスの特徴や利用の流れ、おすすめのサービスについて紹…
詳しくみる雇用契約書・労働条件通知書の送付状とは?テンプレートと郵送の注意点ガイド
雇用契約書や労働条件通知書を郵送する際、送付状(添え状)も一緒に送ることは、ビジネスマナーとして大切です。しかし、「送付状はどう書けばいいの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。送付状は、同封した書類の内容や部数を伝える役割があり、誤送…
詳しくみる退職者に離職票を郵送するには?送付状の書き方や文例(テンプレート付き)
退職後に会社から離職票を受け取る際、「無事に届くだろうか」「どんな手続きが必要なのか」と不安を抱く方も多いでしょう。離職票は失業給付を受けるために欠かせない書類ですが、その受け取り方や送付状の役割はあまり知られていません。この記事では、退職…
詳しくみる休職中の社員へ送る書類のマナーは?送付状の例文とテンプレート
休職中の社員に会社から書類を送る際「送付状は必要なのか」と迷うこともあるでしょう。 送付状(添え状)は、何の書類を送ったのかを明確に伝えるだけでなく、受け取った社員がスムーズに対応できるようにするためのものです。特に、休職中の社員は体調不良…
詳しくみる傷病手当金申請書の送付状の書き方は? 会社宛や個人宛の例文、テンプレート
傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けない場合に、健康保険から一定の給付を受けられる制度です。申請には「傷病手当金申請書」を提出する必要がありますが、その際に送付状があると受け取る側もスムーズに対応できます。 この記事では、会社から従業員宛…
詳しくみる