- 作成日 : 2026年1月14日
法人化(法人成り)の費用はいくら?株式会社・合同会社の内訳や設立後の年間コストまで解説
法人化を検討する際、多くの方が「結局、費用は総額いくらかかるのか?」という疑問に直面します。特に個人事業主の方が法人成りを考える場合、株式会社と合同会社のどちらを選ぶべきか、資本金はいくらに設定すべきか、費用対効果は見合うのかといった点は、後悔しないために重要です。
この記事では、法人化に必要な初期費用の総額目安、会社形態ごとの詳細な内訳、費用を安く抑える方法、さらに設立後に発生する年間の維持コストまで詳しく解説します。
目次
法人化(法人成り)の費用は総額いくら?
法人化の設立手続きに最低限必要な法定費用(実費)の目安は、株式会社が約18万円〜24万円、合同会社が約6万円〜10万円です。これはあくまで法律で定められた実費であり、実際にはこれに加えて「資本金(会社の元手)」や、手続きを司法書士や税理士などの専門家に依頼する場合の「専門家報酬」が必要になります。
| 費用 | 株式会社 | 合同会社 | ||
|---|---|---|---|---|
| 紙定款 | 電子定款 | 紙定款 | 電子定款 | |
| 定款用印紙代 | 40,000円 | 0円 | 40,000円 | 0円 |
| 定款認証手数料 | 30,000円~50,000円 | 30,000円~50,000円 | 不要 | 不要 |
| 謄本代 | 約2,000円 | 約2,000円 | 不要 | 不要 |
| 登録免許税 | 150,000円(資本金の0.7%) | 150,000円(資本金の0.7%) | 60,000円 (資本金の0.7%) | 60,000円 (資本金の0.7%) |
| 合計 | 約22.2万~24.2万円 | 約18.2万~20.2万円 | 100,000円 | 60,000円 |
費用の目安に幅があるのは、定款を紙で作成するか、電子データ(電子定款)で作成するかによって、印紙代4万円の差が出るためです。
個人事業主からの法人成りで初期費用を最も抑えたい場合、合同会社を電子定款で設立すれば、法定費用は6万円で済みます。
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法人化にかかる費用の内訳は?
法人化にかかる費用は、大きく分けて「法定費用」「その他の準備費用」「専門家報酬」の3種類です。
1. 法定費用
法定費用とは、設立手続きのために法務局や公証役場に支払う、法律で定められた最低限の費用です。
株式会社の法定費用
株式会社の法定費用は、電子定款なら約18.2万〜20.2万円、紙定款なら約22.2万〜24.2万円です。株式会社は対外的な信用度が高い反面、設立手続きにおいて、合同会社にはない定款認証が義務付けられており、これが費用を押し上げる要因です。
- 定款印紙代(40,000円または0円)
紙の定款を作成する場合、40,000円の収入印紙が必要です。電子定款(PDF)で認証を受ければ0円になります。 - 定款認証手数料(30,000円〜50,000円)
株式会社の定款は、公証役場で認証を受ける必要があり、その手数料がかかります。手数料は資本金の額に応じて変動します。 - 登録免許税(最低150,000円)
会社設立の登記(法務局への登録)を行う際に納める税金です。計算式は「資本金の額×0.7%」ですが、この額が150,000円に満たない場合は、一律150,000円が課税されます。 - 謄本代(約2,000円)
認証された定款の写し(謄本)を受け取るための費用です。
合同会社の法定費用
合同会社の法定費用は、電子定款なら60,000円、紙定款なら100,000円です。合同会社(LLC)は、株式会社と比べて設立手続きが大幅に簡素化されており、特に公証役場での定款認証が不要であることが、費用を安く抑えられる理由です。
- 定款印紙代(40,000円または0円)
株式会社と同様、紙の定款では40,000円の印紙代がかかりますが、電子定款を利用すれば0円になります。 - 登録免許税(最低60,000円)
合同会社の登記にかかる登録免許税は、最低60,000円です。計算方法は株式会社と同じ「資本金の額×0.7%」ですが、最低額が60,000円に設定されています。
参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁、Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。 | 日本公証人連合会
2. その他の準備費用
法定費用以外にも、会社の準備として以下のような実費が発生します。
- 会社実印(代表印)などの印鑑作成費
法務局への登記に必須です。銀行印・角印とセットで数千円〜数万円程度かかります。 - 印鑑証明書の取得費
発起人(設立者)個人の印鑑証明書が手続きに必要です。1通数百円程度かかります。
3. 専門家報酬
設立手続きを司法書士や税理士などの専門家に代行してもらう場合の報酬です。相場は数万円〜十数万円程度ですが、電子定款の作成を代行してくれたり、煩雑な書類作成の手間を省けたりするメリットがあります。
法人化の費用を安く抑える方法は?
設立時の初期費用は、電子定款の利用と、手続きを自分で行うことで大幅に削減できます。
1. 電子定款を利用して印紙代4万円を節約する
電子定款を利用することで、紙定款で必要な収入印紙代40,000円が不要になります。ただし、ご自身で電子定款を作成・申請するには専用の機材(ICカードリーダーライタ)やソフトが必要で煩雑なため、専門家に依頼するか、会社設立サービスを利用するのが一般的です。
2. 設立費用が安い合同会社を選ぶ
合同会社は株式会社に比べて法定費用が12万円以上安くなります。特に、公証役場での定款認証が不要なことが大きいです。初期費用を最小限にしたい場合は、合同会社が最適な選択肢となります。
3. 資本金を1,000万円未満にする
資本金を1,000万円以上に設定すると、設立1年目から消費税の課税事業者となり、税負担が重くなります。資本金を1,000万円未満に設定すれば、原則として設立1期目・2期目の消費税が免除されるため、大きな節税につながります。
※インボイス制度の登録状況や特定期間の売上高によっては免除されない場合があります。
4. 設立費用を経費(繰延資産)にして節税する
法人設立にかかった費用は、創立費や開業費として経費(繰延資産)に計上できます。
これは設立時の支出を減らすものではありませんが、税務上の重要な節約術です。繰延資産は好きなタイミングで好きな金額だけ経費として計上できるため、利益がたくさん出た年に経費化し、その年の法人税を圧縮できます。
法人設立後にかかる年間コストは?
法人化で最も注意すべきは、設立時の初期費用(イニシャルコスト)よりも、継続的に発生する年間維持費(ランニングコスト)です。
法人は個人事業主とは異なり、法律上・税務上の義務が重くなります。これらの年間維持コストを見誤ると、法人成りしたことを後悔する最大の原因になります。
1. 法人住民税(均等割)
法人は、事業が赤字であっても、最低限の税金として法人住民税(均等割)を納める義務があります。個人事業主は赤字なら所得税・住民税はかかりませんが、法人は利益に関わらず課税されます。資本金等の額や従業員数によりますが、最低でも年間7万円程度(自治体による)は、赤字でも納付が必要です。
2. 社会保険料
法人は、社長1人であっても厚生年金と健康保険(社会保険)への加入が義務付けられており、保険料の約半分を会社が負担する必要があります。個人事業主の国民健康保険・国民年金と比べて、年間の負担額が大幅に増えるケースがほとんどです。
3. 税理士顧問料
法人の税務申告は非常に複雑なため、多くの場合、税理士との顧問契約が必要になります。年間で見ると数十万円の固定費となりますが、節税対策や税務調査の対応を任せられるメリットもあります。また、クラウド会計ソフトを活用して自分で記帳することで、顧問料を安く抑える交渉ができる場合もあります。
4. 決算公告費用(株式会社のみ)
株式会社は、毎年決算後に「決算公告」を行うことが法律で義務付けられています。最も安価な官報での掲載でも、年間約6万円〜の費用が発生します。合同会社にはこの義務はありません。
参考:官報公告(会社法決算公告)記載例と料金について|NDK法定公告サービス
個人事業主が法人成りを検討すべきタイミングは?
一般的に、法人化による節税メリットが、社会保険料や税理士顧問料といった年間維持コストを上回るタイミングが目安です。
具体的には、課税所得(売上から経費を引いた利益)が安定して800万円〜1,000万円を超え始めた時期が、法人化(法人成り)を検討する一つの基準とされています。
また、消費税の免税事業者である個人事業主が、インボイス制度への対応や売上1,000万円超えを見据えて、法人化を選択するケースも増えています。
個人事業主が法人成りで後悔しないための注意点は?
個人事業主が法人成りで後悔しないためには、設立時の初期費用だけでなく、設立後に発生する年間の維持コストを正確に試算することが重要です。
1. 社会保険料の負担をシミュレーションする
法人成りの後悔で最も多いのが、社会保険料の負担増です。個人事業主時代の国民健康保険料・国民年金保険料と、法人化後の役員報酬から計算される社会保険料(会社負担分+個人負担分)を必ず比較シミュレーションしてください。
2. 経理処理と事務作業の負担を把握する
法人は、個人事業主の青色申告よりも厳格な会計処理(複式簿記)が求められます。また、社会保険の手続きや役員変更登記など、事務作業も増加します。これらを自分で行うのか、専門家に委託するのか、そのコストも含めて検討が必要です。
法人化(法人成り)の費用を理解し、慎重に判断しよう
この記事では、個人事業主の法人成り費用について、一般的な法人設立との違いから、株式会社と合同会社の比較、資本金の設定方法、そして年間の維持コストまで詳しく解説しました。
法人化には、設立時にかかる法定費用として、株式会社が約18万〜24万円、合同会社が約6万〜10万円が目安です。この初期費用は、自分で手続きし電子定款を活用することで最小限に抑えられます。
しかし、後悔しないためには、設立費用だけでなく、個人事業主時代にはなかった社会保険料や税理士費用といった年間の維持コストを正確に把握することが何よりも重要です。
ご自身の事業規模を踏まえ、最適な会社形態と法人成りのタイミングを慎重に判断してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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