- 更新日 : 2026年3月27日
システム開発契約書とは?契約の種類や注意点を解説
一般的に、ソフトウェアやクラウドシステムの設計・構築を行うシステム開発を請け負う際には契約書を交わします。開発するシステムの内容や納品、報酬の支払いについて明記しておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。
今回はシステム開発契約における注意点や、契約書に記載すべき内容について説明します。
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システム開発契約書とは
簡単にいえば、システム開発とは「仕組み作り」のことです。具体的には業務に必要なソフトウェアや、業務を効率化するクラウドシステムなどを設計・構築して導入することを指します。一般的には、下記のような一連の工程をシステム開発と呼びます。
- 定義要件
- 基本設計
- 詳細設計
- プログラミング
- テスト
- 導入
- 運用・保守
システム開発契約書は、システム開発を依頼するクライアントとシステムを構築するシステム開発者が締結します。契約後は、両者が相談しながら上記のような工程でシステムを構築していきます。
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システム開発契約の種類
システム開発契約には、システムの設計から納品までを包括的に行う「一括契約」と、工程ごとに契約を締結する「多段階契約」があります。
システム開発はゼロから成果物を作る仕事なので、完成までに仕様が変更されることも多く、契約時に正確な工数や期間、費用などを適切に見積もることは容易ではありません。また形がないものなので、クライアントと開発者の間で認識の違いが生じやすいという特徴もあります。
そのため、多段階契約方式で工程ごとに契約を締結すれば、納期や費用などについてのトラブルを防げます。
また、システム開発契約の形態には「請負契約」と「準委任契約」があり、案件に適した方法を選択する必要があります。
請負契約
請負契約とは、「仕事を完成することを約束する」契約のことです。報酬は、原則として成果物がある場合は納品と同時に、成果物がない場合は仕事が完成した後に支払われます(民法633条)。
例えば、家を建てる住宅会社は顧客と工事請負契約を締結し、家を建てて引き渡すと代金を受け取れます。データなど形がないものでも、請負契約を結べます。デザイナーはクライアントと請負契約を締結し、デザインした画像ファイルなどを納品することで報酬を得ます。
システム開発においては、顧客に「システム」という成果物を納品することがゴールであり、特に一括契約では請負契約方式が採られるケースが多いです。
請負契約については、こちらの記事で詳しく説明しています。
準委任契約
準委任契約を理解するためには、まず委任契約について知る必要があります。
委任契約とは、「法律行為の遂行」を約束する契約のことです。弁護士に訴訟代理を依頼する、確定申告手続きを税理士に依頼するといった場合は、委任契約を結びます。法律行為を行うこと自体が契約内容であるため、裁判で敗訴する、確定申告での節税が少ないなど、依頼者の希望と異なる結果になったとしても、報酬が発生します。
準委任契約とは、「非法律行為の遂行」を約束する契約のことです。非法律行為とは、法律行為以外の役務(サービス)を提供することを指します。例えば、医師が患者に対して医療行為を行う、コンサルタントがクライアントにコンサルティングを行うといったことが挙げられます。これらの役務は必ずしも結果が出るとは限らないため、請負ではなく行為そのものがゴールとなる準委任契約を締結するのが一般的です。
前述のとおり、システム開発のゴールは「システムを作成して納品する」ことですが、工程ごとに細分化すると必ずしも成果物が発生するとは限りません。例えば要件定義やシステムテストは、その結果をクライアントに納品して使ってもらうわけではありません。特に多段階契約を締結する場合は、要件定義やテストなどは準委任契約、内部設計やプログラミングといった納品物を作成する工程は請負契約といったように、工程ごとに異なる形態で契約を締結するのがベターです。納品後の保守・管理についても、具体的な成果物が納品されるわけではないので準委任契約を締結するケースが多いです。
委任契約や準委任契約については、こちらの記事で詳しく説明しています。
情報処理推進機構が作成した雛形
システム開発契約書を作成する際は盛り込むべき項目はもちろんのこと、書き方や言い回しにも専門的な知識が求められます。そのため、雛形を活用して作成するのがおすすめです。経済産業省が所管する独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ではシステム開発契約書のテンプレートを用意しており、誰でもダウンロードして利用できます。
受託開発を想定した契約書、パッケージやSaaS/ASP活用の契約書などは下記ページからダウンロードできます。このような雛形を参考にして、システム開発契約書を作成してみましょう。
参考:「情報システム・モデル取引・契約書」第二版を公開丨IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
システム開発契約の際に確認すべき事項
商取引では、双方の認識の違いからトラブルが発生することがあります。システム開発も例外ではなく、仕様や納期、報酬などについて開発者とクライアントが揉めるケースは珍しくありません。
ここからはシステム開発契約の際に確認し、契約書に盛り込みたい項目について説明します。ここで挙げる事項は特にトラブルになりやすいので、双方で認識を擦り合わせておきましょう。
開発するものが明確か
まずは、開発するシステムを明確にしましょう。単にシステム名を記載するだけでなく、「どのようなものか」「どのような仕様か」「いつまでにどのような状態で納品するのか」を明確にします。可能であれば、要件が詳しく載っている仕様書の内容を契約書に盛り込むか、添付しましょう。
システム開発では、「納品したシステムに不備がある」「仕様どおりになっていない」「想定していた機能が備わっていない」「納期に間に合わない」といったトラブルがよく発生します。このような問題が起こる原因は、開発者のミスやクライアントの認識の相違など様々です。開発するものを明確にすることで、納品物に関するトラブルが起こるリスクを抑えられます。
納品や検収の方法
「いつまでにどのように納品するのか」「どのように検収をするのか」も盛り込んでおきましょう。納期と納品物、納品方法について契約書に明記します。特にシステム開発の場合は、ソフトウェアが入ったCD-ROMなどを引き渡す、サーバーにアップロードしてクライアントにダウンロード・インストールしてもらう、開発者が客先に赴いてPCにインストールして設定を行うなど、様々な納品方法があるので契約書で明らかにしておきましょう。
検収については期間や基準、期間の満了時の扱いについて記載します。特に、基準についてはできるだけ具体的に記載しておくべきです。検収で揉める要因には開発者のミスや、クライアント側が求める基準が想定よりも高いことなどがあります。
基準が明確でないことによって延々と修正が続くことは、開発者にとってもクライアントにとってもマイナスです。そのため、変更・修正の回数や費用についても明記しておきましょう。
報酬の額や支払方法
お金も大きなトラブルの原因になります。報酬の額や支払う方法・タイミング、入金期日を明確にしておきましょう。システムの検収が完了した後に一括で支払うケースもありますが、多段階契約では各々の工程が完了した後に支払うケースもあります。
また、修正費用や追加費用についても明記しておきましょう。これらを明確にしておかないと、開発者にとっては延々と無償で修正を要求されかねません。「どの範囲の修正までを無償で対応するのか」「どのような作業を行ったら追加費用が発生するのか」など、具体的な条件を記しておきましょう。
所有権や知的財産権の帰属
クライアントは「納品されたシステムを制限なく自由に使いたい」、開発者側は「自分たちの技術やノウハウを守りたい」という思いがあります。例えばクライアントがシステムを無断で複製してグループ会社に配布する、プログラムを改変して第三者に譲渡する、あるいは開発側がシステムのメンテナンスや改変を一切認めない、利用料を要求するなど、様々なトラブルが発生するリスクがあります。
「開発したシステムが誰のものになるのか」「どこまで改変や流用を許容するか」といった、所有権や知的財産権の帰属や取り扱いについても明記しておきましょう。
トラブルが起きた際の対処
トラブルが発生した場合の対処方法や責任の所在、損害賠償の範囲や金額などについても記載しておく必要があります。双方が協議を行う、ソフトウェア紛争解決センター(ADR)を介して話し合う、訴訟を起こすなど、トラブルの解決方法は様々です。まずは話し合い、解決しなければADRや裁判所など第三者を通じて解決を図るのが一般的です。
契約書にトラブルの解決方法を明記することに加えて、問題が発生した場合に備えて発注書や議事録、仕様書、メールなどの証拠を残しておくことも大切です。
システム開発契約をしっかり締結してトラブルを未然に防ごう
システムは形がないものであり、クライアントとシステム開発者が相談しながらゼロから作るものなので、双方の認識の違いなどからトラブルが発生することがあります。
システムの内容や金額、納期、納品方法、検収条件などを事前に擦り合わせて契約書を作成・締結することで、トラブルが発生するリスクを抑えることができます。
今回の内容や雛形を参考にして、システム開発契約書を作成しましょう。
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よくある質問
システム開発契約書とは何ですか?
システム開発を行う際に、システム開発者とクライアントが締結する契約書のことです。システムの内容や費用、納期、納品方法、検収基準などを記載します。詳しくはこちらをご覧ください。
システム開発契約を締結する際に注意すべき点はありますか?
開発する目的物(成果物)を明確にし、納品・検収の方法や報酬の額、支払方法、所有権・知的財産権の帰属、トラブルが起きた際の対処法について明らかにしておくことが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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