- 更新日 : 2026年7月14日
Slackで位置情報はわかる?管理者の閲覧範囲と対策を解説
SlackでGPSは取得されませんが、IPアドレスから地域レベルの所在地が推測されます。
- GPSは送信されない
- IPアドレスは接続地域の推測に使われる
- 管理者はアクセスログでサインインIPを確認する
正確な住所までは特定されず、端末設定やVPNの併用でリスクを抑えられます。
在宅勤務やリモートワーク中、Slackの接続場所が会社に知られないか不安に感じる方は少なくないでしょう。SlackでGPS情報は原則として送信されませんが、IPアドレスからおおよその接続地域が推測されるしくみがあります。本記事では管理者の閲覧範囲、設定方法、企業側の運用ルールまで整理します。
目次
Slackで位置情報はわかる?
SlackでGPSは原則として取得されませんが、IPアドレスから地域レベルの所在地が推測されるケースはあります。Slackがどのデータを、どの精度で扱うのかを順に整理しましょう。
IPアドレスから市区町村レベルの推測は可能
SlackはサインインのたびにIPアドレスを記録し、そこから接続地域の推測がおこなわれます。
IPアドレスとは、インターネットに接続する端末を識別するための番号です。Slackはユーザーがサインインするたびに、IPアドレスをアクセスログへ自動で記録します。IPアドレスからは契約しているプロバイダや接続している地域の情報が読み取れます。
ジオロケーションと呼ばれるしくみを使うと、IPアドレスから市区町村レベル、場合によっては都道府県レベルまでの所在地が推測されます。番地や建物名まで判別できるものではない点はおさえておきましょう。
例えば、自宅の固定回線から接続している場合、「東京都渋谷区付近」までの情報が出ることはあっても、マンション名や部屋番号まで判別されることはありません。
Slackが収集する位置関連データを整理する
Slackで自動的に収集される位置関連データはIPアドレスとデバイス情報が中心です。
Slackが収集する位置関連のデータを整理すると、以下のとおりです。
| データの種類 | 取得条件 | 推測される精度 |
|---|---|---|
| IPアドレス | サインイン時に自動記録 | 市区町村〜都道府県レベル |
| デバイス情報 | アプリ利用時に自動記録 | OS・端末の種類 |
| タイムゾーン | プロフィール設定に基づく | 設定された地域 |
IPアドレスやデバイス情報は通信のしくみ上どこかのサーバーに伝わる情報で、Slackに限った話ではありません。
Slack管理者に位置情報はどこまでバレる?プラン別の閲覧範囲
Slack管理者はアクセスログを通じてメンバーのサインインIPを確認できますが、閲覧可能な範囲は契約プランによって異なります。一般メンバーが他者のIPを見る手段は標準では用意されていません。
アクセスログでサインインIPを確認できる
Slackのアクセスログでは、サインインした日時とIPアドレス、利用端末の情報が確認できます。
Slackのアクセスログ機能では、ワークスペースのメンバーがどこから・いつ・どの端末でサインインしたかを追跡できます。Slack公式ヘルプによると、プロ・ビジネスプラス・Enterpriseの各プランを利用するオーナーと管理者は、全メンバーのサインインの詳細をアクセスログで確認できる仕様です。
ログに含まれる情報は以下のとおりです。
- 新たにサインインした日時
- アクセスに利用した端末すべてのIPアドレス
- アクセスに利用した端末の一覧
- 各端末のプラットフォーム情報
IPアドレスをジオロケーション検索サービスにかければ、おおよその接続地域を調べることも技術的にはおこなえます。ただしSlackの標準機能でその変換が表示されるわけではなく、別途ツールを使った推定にとどまります。
プランごとに利用できる機能が異なる
アクセスログ機能は無料プランでは利用できず、Pro以上の有料プランから管理者がメンバーごとのサインインIPを確認できます。
Slackの公式ヘルプセンターに記載されている、プランごとのアクセスログ関連機能の主な違いは以下のとおりです。
| 機能 | Free | Pro / ビジネスプラス | Enterprise Grid |
|---|---|---|---|
| ワークスペースのアクセスログ閲覧 | 制限あり | 利用可能 | 利用可能 |
| IPアドレスによるアクセス制限 | 利用不可 | ビジネスプラス以上で利用可能 | 利用可能 |
| 監査ログAPI(Audit Logs API) | 利用不可 | 利用不可 | 利用可能 |
| SIEMツールとの連携 | 利用不可 | 利用不可 | 利用可能 |
Enterprise Grid(エンタープライズグリッド)では、監査ログAPIを使ってサインインイベントやファイルのダウンロード記録などをSIEM(セキュリティ情報イベント管理)ツールと連携させられます。一方、無料プランを利用する小規模チームでは、管理者がメンバーのIPアドレスを詳細に追跡する手段は限定的です。
上司や同僚は通常IPを閲覧できない
アクセスログを閲覧できるのはワークスペースのオーナーまたはAdminロールに限られ、一般メンバーが他者のIPを見る画面はありません。
「上司や同僚に自分のIPアドレスが見られているかもしれない」と心配されることもありますが、SlackのアクセスログはオーナーまたはAdminロール向けの管理機能です。一般メンバーや通常のマネージャー権限では、他のメンバーのIPアドレスを直接確認できる画面はSlack上に用意されていません。
Enterprise Gridを契約していて、社内のIT部門に監査権限が付与されているケースでは、IT担当者がログを確認することもあります。所属する組織のSlackプランと権限の付与体制を一度確認しておくと、不安が和らぐでしょう。
参照:ワークスペースのアクセスログを表示する|Slack ヘルプセンター
Slackで位置情報を共有・表示する機能はある?
Slackには標準機能としてリアルタイムの位置情報を共有・表示するしくみはありません。チームメンバーに居場所を伝えたい場合は、ステータス機能や連携アプリの利用が選択肢になります。
Slack単体には標準の位置共有機能はない
Slackのメッセージ画面でリアルタイムに地図や位置情報を表示する機能は、標準では搭載されていません。
LINEや一部のメッセンジャーアプリには「現在地を送る」機能がありますが、Slackには同等のネイティブ機能がありません。位置情報を扱う場合は連携アプリや外部サービスを通じておこなうのが一般的です。
これはビジネスチャットというSlackの設計思想に沿った仕様で、社員のリアルタイム所在を共有することを前提にしていない作りといえます。プライバシー保護の観点からはむしろ安心できる設計です。
ステータス機能で居場所や状況を共有できる
ステータス機能を使えば、「在宅勤務」「外出中」「オフィス」のように居場所や勤務形態を任意のテキストと絵文字で共有できます。
Slackのプロフィール写真の横に表示されるステータスは、テキストと絵文字の組み合わせで自由に設定できます。例えば「在宅勤務」「移動中」「外出中」のように家のアイコンや電車のアイコンを付けて設定しておくと、他のメンバーは大まかな状況を一目でとらえられます。
ステータスの設定手順は以下のとおりです。
- デスクトップアプリで右上のプロフィール写真をクリック
- 「ステータスを更新」を選択
- テキストと絵文字を入力し、表示期間を選んで保存
ステータスは自己申告で更新するしくみのため、IPなどの取得とは異なり、プライバシーを侵すことなく勤務場所や状況を共有できる利点があります。チームの心理的安全性を保ちながら所在を共有する手段として、運用しやすい機能といえるでしょう。
連携アプリで位置情報を活用するケースもある
勤怠管理アプリや地図系の連携アプリを導入すると、位置情報を活用したワークフローが構築できます。
Slack App ディレクトリには、勤怠管理や地図表示と連携できるアプリが多数登録されています。出退勤時に位置情報を取得して打刻する勤怠アプリや、現在地から最寄り店舗の情報を返してくれるBotなどが代表例です。
ただし、連携アプリが位置情報を取得する場合は、アプリ側のプライバシーポリシーと権限要求の内容を必ず読み合わせておきましょう。Slack本体ではなく連携アプリが位置情報の管理者となるため、データの取り扱いはアプリ提供者の規約に従う点にも留意が必要です。
Slackで位置情報がバレないようにする対策は?
Slackで位置情報をできるだけ守りたい場合は、端末側の位置情報権限の調整、VPNの活用、連携アプリの権限見直しを組み合わせるのが現実的な対策です。複数の手段を併用するとプライバシー保護の精度が上がります。
VPNでIPアドレスを保護する
VPNを経由してSlackに接続すると、アクセスログに記録されるIPアドレスはVPNサーバーのものに置き換わります。
VPN(Virtual Private Network)とは、インターネット通信を暗号化し、別のサーバー経由で目的地へ接続する技術です。VPNを使うとSlackに記録されるIPアドレスがVPNサーバーのアドレスになるため、実際の接続場所が推測されにくくなります。
例えば、大阪の自宅から東京のVPNサーバー経由でSlackにサインインすると、アクセスログには東京のIPアドレスが残ります。管理者がIPからジオロケーション検索をおこなっても、実際の所在地とは異なる地域が表示されるしくみです。
VPNを選ぶ際のポイントとして以下が挙げられます。
- ノーログポリシー(通信記録を保存しない方針)を採用しているか
- 日本国内にサーバー拠点があるか(通信速度に影響)
- 会社のセキュリティポリシーでVPN利用が認められているか
業務端末にVPNを入れる場合は、社内規定や情報セキュリティポリシーに反していないかを必ず確認しましょう。個人端末でのプライベート利用と、業務端末での利用は分けて考えるのが望ましいといえます。
連携アプリの権限を定期的に見直す
連携アプリのなかには位置情報やIPアドレスを取得するものがあるため、定期的に一覧を見直して不要なアプリを整理しましょう。
連携アプリの確認手順は以下のとおりです。
- SlackのPC版で左上のワークスペース名をクリック
- 「設定と管理」→「アプリを管理する」を選択
- インストール済みアプリの一覧から、付与されている権限を確認
- 利用していないアプリや権限の範囲が広すぎるアプリを削除
位置情報の取得を要求するアプリは、導入時の権限ダイアログを見落としやすいため、四半期に1回程度の頻度で棚卸しをおこなうとよいでしょう。
Slackの位置情報が便利な場面と注意したい場面は?
Slackの位置情報関連の機能は、勤怠管理や緊急時の連絡など業務効率化に活かせる一方、プライベート時間まで追跡される懸念もあります。利点と注意点を整理しておきましょう。
業務効率化に活かせる場面
位置情報や接続元データを活用すると、勤怠打刻の自動化や不正アクセスの早期検知につながります。
位置情報や接続元の情報が役に立つケースとして、以下のような場面が挙げられます。
- 勤怠連携アプリでオフィス到着と同時に打刻が完了する
- 不審な国・地域からの不正サインインを管理者がアクセスログで早期発見できる
- 出張中のメンバーがどの地域に滞在しているか、ステータスから即座に伝わる
- 災害発生時、サインイン情報やステータスの組み合わせで安否確認に活用できる
リモートワークが定着するなかで、位置や状況を共有する手段が増えることはチームの連携にプラスに作用するケースもあります。情報セキュリティの観点でも、不正アクセス検知は欠かせない要素です。
プライバシー面で注意したい場面
位置情報の常時取得や勤務時間外までの追跡は、従業員のプライバシー侵害につながる可能性があるため避けるべきです。
以下のような運用はプライバシー面のリスクが高まります。
- 勤務時間外のサインインIPまで継続的に確認している
- 端末の位置情報をバックグラウンドで常に取得する連携アプリを導入している
- 取得した位置情報を、本来の取得目的を超えて人事評価などに転用する
これらの運用は従業員に過剰な監視という印象を与えかねず、心理的安全性を損なう懸念があります。ログを取得すること自体は問題なくても、その用途と範囲について社内の合意がないと、労使間の信頼関係を損ねる可能性もあるでしょう。
個人ユーザーが意識したいリスク
カフェや公共Wi-Fiから接続するとIPアドレスは現地に紐づくため、副業や私的利用で予期せぬ場所がログに残ることがあります。
個人として意識しておきたいのは、以下のようなケースです。
- 副業用のSlackと本業のSlackを同じ端末で利用しており、誤って意図しない情報が混在する
- 旅行先や帰省先などの予定外の場所から会社のSlackにサインインしてしまう
- 自宅以外で長時間サインインしている状態が記録され続ける
業務上アクセスする必要がない時間帯はサインアウトしておく、私的端末と業務端末を物理的に分けるなど、運用面の工夫でリスクを下げやすくなります。
企業がSlackの位置情報を扱う際に注意すべき点は?
企業がSlackのアクセスログに含まれるIPアドレスや位置関連データを管理する際は、個人情報保護法への対応と、従業員プライバシーへの配慮を両立させた運用ルールが求められます。
事前説明と同意取得をおこなう
アクセスログで取得する情報の範囲と利用目的は、社内規程や同意書で従業員に明示しておきましょう。
個人情報保護法では、個人情報を取得する際に利用目的を本人に通知・公表することが求められています。IPアドレス単体は「個人関連情報」に整理されるのが一般的ですが、社員情報と紐づけて管理されることで実質的に個人を識別できる場合は、個人情報保護法上の取り扱いが必要となるケースもあるため注意が必要です。
社内に組み込んでおきたい運用は以下のとおりです。
- Slackのアクセスログで取得するデータと利用目的を就業規則やプライバシーポリシーに記載する
- 入社時やSlack導入時に、書面またはデジタル文書で説明と同意を取得する
- ログデータの保存期間と削除方針を定め、開示請求への対応体制を整える
事前の説明や同意のないままIPアドレスを継続的に監視していた場合、労使間のトラブルや信頼関係の毀損につながりかねません。導入前の合意形成がリスク回避のポイントになるでしょう。
監視とプライバシーの均衡を明文化する
ログ閲覧の条件や権限者の範囲をルール化し、必要な場面に限ってアクセスログを確認する運用が望まれます。
リモートワークやハイブリッドワークが定着するなかで、「従業員の所在をどこまで把握するか」は労使双方の関心事になっています。社内ポリシーへ盛り込みたい項目として以下が挙げられます。
- ログを閲覧する条件(インシデント発生時・定期監査時など限定的なケースに絞る)
- ログ閲覧権限の付与範囲(IT管理者のみか、人事部門も含めるか)
- 勤務時間外のログを業務管理に用いない旨の明記
- 従業員からのログ開示請求への対応手順
厚生労働省が公開している「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」でも、テレワーク中の労働者のプライバシーに配慮した運用が求められています。
リモートワークの所在管理はログだけに頼らない
IPアドレスによる地域推測には精度の限界があるため、勤怠管理ツールやステータス自己申告と組み合わせた運用が実務的です。
IPアドレスだけで従業員の所在を管理する方法には、以下のような限界があります。
- VPNやモバイル通信の利用で実際の所在地と異なる地域が記録される
- IPアドレスから推測される地域は、必ずしも勤務場所と一致しない
- 過度な監視と感じられた場合、従業員との信頼関係が損なわれる
運用上の工夫として以下のような方法が考えられます。
- KING OF TIMEやジョブカンなどの勤怠管理ツールで出退勤を記録し、Slackのログとは分離する
- Slackのステータス機能で「在宅」「外出中」「オフィス」など自己申告の文化を作る
- 月次で勤務場所の自己申告レポートを提出するルールを設ける
成果ベースの評価制度と組み合わせると、過度な管理を避けながら適切な労務運用が成立しやすくなるでしょう。
参照:テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン|厚生労働省
Slackの位置情報に関するよくある質問
Slackの位置情報やプライバシーについて、利用者からよく寄せられる質問をまとめました。
Q. VPNを使えばSlackで位置情報は完全にバレない?
A. 接続元のIPアドレスはVPNサーバーのものに変わるため、Slackのアクセスログから実際の所在地は推測されにくくなります。
Q. 無料プランでも管理者にIPアドレスは見られる?
A. Slack公式ヘルプセンターによれば、ワークスペース全体のアクセスログ機能はプロ・ビジネスプラス・Enterprise Gridの有料プランで提供されています。無料プランでは、管理者がIPアドレスを一覧で確認する手段が限られます。なお利用者自身は、どのプランでも自分のアクセスログを確認できる仕様です。
Q. 上司が直接自分のIPアドレスを確認できる?
A. SlackのアクセスログはワークスペースのオーナーまたはAdminロールに限定されており、一般メンバーや通常のマネージャー権限では他者のIPを直接閲覧できません。Enterprise GridでIT部門に監査権限が与えられているケースでは、IT管理者を経由して確認されることもあります。
Slack位置情報のしくみを理解して安心して使おう
SlackでGPS情報は取得されず、IPアドレスから推測できるのも市区町村レベルの所在地までです。管理者によるアクセスログの閲覧範囲は契約プランによって異なり、一般メンバーが他者のIPを見られるしくみは標準では用意されていません。
プライバシーが気になる場合は、スマートフォンの位置情報権限をオフにし、必要に応じてVPNを併用する運用が選択肢の一つに挙げられます。企業側としては、ログの取得目的と利用範囲を就業規則で明示し、従業員との合意形成を経て運用することが、リモートワーク時代のコミュニケーション環境を健全に保つことにつながります。
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