- 作成日 : 2026年7月7日
FAXはもういらない?必要性や廃止するメリット、代替ツールの費用まで解説
インターネットFAXやクラウドツールの導入により、物理的なFAX機や紙、専用回線は不要になりつつあります。
- FAX機のランニングコストを削減できる
- 受信文書をPDF保存しクラウドで即時検索・共有できる
- PCやスマホで送受信することで、受信のために出社しなくて済む
インターネットFAXなら、相手が紙のFAXでも、自社はPCやスマホでデジタルに送受信できるため、機材だけを廃止できます。
近年、FAXの利用を縮小・廃止する企業が増える一方で、脱FAXに踏み切れない企業も少なくありません。
本記事では、FAXが不要とされる理由から、廃止に向けたステップ別手順、メールやインターネットFAXなど代替ツールの比較まで、ペーパーレス化を進めるうえで必要な情報をまとめます。
目次
FAXがいらないと言われるのはなぜ?
FAXが不要とされる理由は、受信・送信・保管のすべてに人手と物理的な場所が必要で、デジタル業務フローとの相性が悪いからです。
近年、メールやクラウドサービスが普及したことで、多くの先進国ではFAX利用が縮小しています。ところが日本では依然として企業間取引や官公庁との書類送付にFAXが根強く残っています。経済産業省が帝国データバンクに委託した調査(2019年)によると、国内中小企業の約76%が受発注業務にFAXを用いていることが明らかになっており、デジタル化の妨げになっているとの指摘が続いています。
このような背景には「取引先に合わせざるを得ない」ことや「システム移行コストへの懸念」があります。
自社だけがデジタル化を進めても、取引先がFAXしか使わない限り完全廃止はできません。この「相手に合わせなければならない」という構造的な問題が、個々の企業の意思決定を阻んでいます。また、FAX機やビジネスフォンとの複合機を長期リース契約しているケースでは、途中解約の違約金が発生することもあります。
待機時間・紙での保管・誤送信リスクなどが非効率の原因に
FAXが非効率な理由は、「受信者が機器の前にいなければならない」「文書がデータとして残らない」「誤送信のリスクが高い」という点に集約されます。
まず、受信側はFAX機の前で待機するか、定期的に用紙を回収する必要があります。テレワークや外出先での対応が求められる現代では、この物理的な制約は大きなデメリットです。次に、受信した文書は紙のまま管理されることが多く、検索・共有・バックアップのいずれにも手間がかかります。さらに、番号の打ち間違いによる誤送信は個人情報漏洩につながるリスクを抱えています。
| 課題 | FAXの場合 | デジタル代替手段の場合 |
|---|---|---|
| 受信対応 | 機器の前での待機が必要 | 自動受信 |
| 文書保管 | 紙のファイリング | 電子データで保存 |
| 誤送信リスク | 番号入力ミスで即流出 | 送信前の宛先確認UIにより防止可能 |
| テレワーク対応 | 原則不可 | 対応可能 |
FAXを廃止するメリットは?
FAXを廃止すると、文書の受発信コストの削減・業務スピードの向上・テレワーク対応力の強化というメリットがあります。
コスト削減
FAX廃止によるコスト削減効果は、機器リース料・用紙代・電話回線費を合算すると年間数十万円規模になることもあります。
一般的なFAX複合機のリース料は月額5,000〜15,000円程度、A4用紙は500枚で500〜800円、FAX専用のアナログ回線(NTT加入電話)の維持費は月額1,700円前後かかります。これらを合算すると、1台あたり年間10万円超のランニングコストが生じているケースが珍しくありません。
インターネットFAX(オンラインFAX)サービスに切り替えた場合、月額500〜3,000円程度で同等の送受信機能が使えるため、コスト差は歴然です。廃止・移行にかかる初期費用を考慮しても、多くの企業で1年以内に投資回収できる試算になります。
業務効率化
FAX廃止後は、文書の検索と共有にかかる時間を削減できます。
紙で受信した文書をスキャン→フォルダ整理という作業がなくなります。受信した文書がクラウド上に直接格納されれば、キーワード検索・権限付き共有・自動アーカイブを実現することが可能です。受信文書が自動でクラウドに格納される仕組みを整えると、手作業が大幅に減り、担当者が本来の業務に集中しやすくなります。
また、受信文書が紙である限り「誰かがオフィスで受け取る」という前提が崩せませんでしたが、デジタル化によってその前提そのものがなくなります。結果として、担当者が不在でも文書業務が止まらない体制を作れます。
テレワーク・リモートワーク対応力の強化
FAX廃止によって「文書受信のために出社する」という非効率が解消され、場所を選ばない働き方が可能となります。
テレワーク導入企業でも「FAXの受け取りだけは誰かが出社しなければならない」という課題が生じるケースがあります。そのため、FAX運用の見直しを進める企業もみられます。インターネットFAXやメールへの移行が完了すると、受信文書はスマートフォンやノートPCに即時通知されるため、出社義務が発生しなくなります。
FAXなしで業務を回すための代替手段は?
FAXの代替手段として現実的な選択肢は「メール+電子署名」「インターネットFAX(オンラインFAX)」「文書管理ツール」です。
どの手段が最適かは、取引先の環境・文書の法的要件・自社のITリテラシーによって異なります。
メール+電子署名
取引先がメール対応可能であれば、PDFをメール添付で送受信する方法がコストがかからず、移行ハードルも低いです。
SlackやMicrosoft Teamsといったビジネスチャットツールを使えば、ファイル共有・コメント・履歴管理が一体化します。ただし、契約書や見積書など法的効力が問われる文書には電子署名を組み合わせる必要があります。
インターネットFAX(オンラインFAX)
インターネットFAXは、受信文書をPDFとしてメールやアプリで受け取れるサービスで、取引先を変えずに脱FAXを実現できます。
国内主要サービスとしてeFAX(j2 Global)、秒速FAX Plus(インターリンク)、faximo(エディックワークス)などがあります。送信はWebブラウザやスマートフォンアプリから行えるため、オフィスへの出社が不要になります。
| サービス名 | 月額料金の目安 | スマホアプリ |
|---|---|---|
| eFAX | 2,585円〜 | あり |
| 秒速FAX Plus | 550円~ | あり |
| faximo | 1,188円〜 | あり |
※最新料金は各公式サイトをご確認ください。
電子署名・文書管理ツール
電子署名ツールを導入すれば、「原本の送付」「押印」「返送」というFAXを必要としていた書類フローをすべてオンラインで完結できます。
クラウドサインやDocuSignは、電子署名法および電子帳簿保存法に対応しており、契約書・注文書・覚書などの法的文書をペーパーレスで締結できます。これらのサービスは送信側・受信側ともにアカウント不要で署名できるプランも用意されており、取引先がシステム未導入でも利用できます。
FAXを廃止するための具体的な手順は?
FAX廃止を成功させるには、現状把握→計画策定→ツール導入→定着化の順番で進めることが鉄則です。
いきなり全廃を目指すと現場が混乱しやすい状況になります。段階的なロードマップを描くことで、社内外の抵抗を最小限に抑えながら移行できます。
1. 現状のFAX利用状況を棚卸しする
まず「誰が・誰に・どんな文書を・何件/月」送受信しているかを可視化することが出発点です。
FAX複合機の送受信ログ、または担当部署へのヒアリングで一定期間のデータを収集してください。このとき「取引先がFAX以外に対応できるか」も同時に確認します。廃止が難しい取引先・文書種別を洗い出すことで、「完全廃止」か「インターネットFAXへの移行」かの判断軸が定まります。
2. 取引先・社内への移行計画を立てる
移行計画は「優先度の高い取引先から順番に代替手段を提案する」という個別対応型で進めると摩擦が少なくなります。
すべての取引先に一斉通知するのではなく、取引頻度・文書の重要度・相手のデジタル対応力に応じて優先順位をつけます。社内向けには、移行完了目標日・担当者・サポート窓口を明示したロードマップを全社共有します。経営層からのトップダウンメッセージがあると、現場の協力を得やすくなります。
3. 代替ツールを選定・導入する
代替ツールの選定基準は「取引先への影響の小ささ」「既存システムとの連携性」「コスト」の3点で評価するとよいでしょう。
完全廃止が難しい場合はインターネットFAXサービスを中継点として挟み、段階的に移行するのが現実的です。社内の文書管理には、Google WorkspaceのGoogle ドライブやMicrosoft 365のSharePointなど、すでに導入済みのクラウドストレージを活用すれば追加コストを抑えられます。
4. 運用ルールを整備して定着させる
移行後の定着には「誰がどこに文書を保存するか」「送信前の宛先確認ルール」など、新しいフローを文書化して共有することが欠かせません。
ツールを導入しただけでは旧来の紙運用に戻りがちです。FAQ集の作成・社内勉強会の実施・導入後1〜2ヶ月間の利用状況モニタリングをセットで行うことで、定着率が大きく変わります。問い合わせ対応の窓口(チャットチャネルや担当者)をあらかじめ設けておくと、現場の不安が軽減されます。
FAXの廃止が難しいケースと対処法は?
FAX廃止が難しいケースでも、インターネットFAXや行政のオンライン手続きを組み合わせることで、FAX機の撤去という最低限のゴールは達成できます。
「完全な脱FAX」と「FAX機の不要化」は異なります。FAX番号を残しつつ機器だけを廃止するアプローチが、多くの企業にとって現実的な第一歩です。
FAXしか使えない取引先とのやりとり
取引先がデジタル対応不可の場合でも、自社側でインターネットFAXを導入すれば「FAX機なしでFAX番号を維持する」ことができます。
受信したFAXはPDF化されてメールやアプリに届くため、社内での紙の取り扱いはゼロになります。送信もブラウザやアプリから行えるため、オフィスに物理的なFAX機を置く必要がなくなります。この方法であれば取引先への通知も不要で、移行の摩擦を最小化できます。
行政・官公庁との書類のやりとり
行政手続きのFAXについては、デジタル庁が推進するe-Govや各省庁のオンライン申請窓口への移行が正式な代替手段です。
e-Govでは、労働保険・社会保険・各種許認可申請など多くの行政手続きをオンラインで完結できます。自治体レベルでは対応状況に差がありますが、2026年以降はほぼすべての主要手続きのオンライン化が予定されています。対応が遅れている手続きについては、インターネットFAXによる送受信を暫定措置として活用しながら、順次切り替えていく方針が現実的です。
FAXを廃止してデジタル化を進めるために
FAX不要化への道は、大がかりなシステム刷新から始める必要はありません。まず「現在のFAX件数の可視化」「インターネットFAXの無料トライアル申し込み」「取引先へのメール移行打診」という小さなアクションから始めることで、脱FAX・ペーパーレス化の実感を早い段階で得られます。FAXが不要になった分の時間とコストを、より付加価値の高い業務に充てることがデジタル化の本来の目的です。行政や取引先の環境整備も進む今、FAX廃止を先送りするコストのほうが、移行コストよりも大きくなっています。
システム乱立を解消するためのステップとは?
多くの企業がバックオフィス業務効率化のため多様なクラウドシステムを導入するも、「便利なはずが非効率」という現実に直面しています。
その原因は、勤怠や経費など「部分最適」なシステム導入による乱立です。システム同士がつながらず、データの手入力やExcelでの突き合わせ作業が常態化。
これは「見えないコスト」を増やし、業務フローを複雑化させ、現場の負担を増大させます。システム乱立のリスクを整理し、業務アセスメントによる根本解決策をご紹介するホワイトペーパーを用意していますので、ぜひお気軽にご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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