- 作成日 : 2026年10月23日
確定申告しなくていい人の条件は?2026年基準の所得ライン・副業20万円・住民税まで解説
2026年分から基礎控除104万円・給与所得控除74万円に改正され、給与収入178万円以下は申告不要です。
- 会社員は年末調整済み+副業所得20万円以下なら不要
- 年金受給者は年金収入400万円以下が目安
- 申告不要でも住民税の申告は別途必要な場合あり
Q. 副業収入が20万円以下なら完全に申告不要?
A. 所得税の確定申告は不要ですが、住民税は市区町村への申告が別途必要です。
確定申告しなくていい人の条件は、2026年分(令和8年分)の税制改正によって大きく変わりました。基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、所得税がかからない範囲が従来より広がっています。本記事では、会社員・個人事業主・年金受給者・パートなど立場別の申告不要の条件と、確定申告が不要な人でもあえて申告した方が得になるケース、住民税の申告義務まで、バックオフィス担当者が押さえておくべきポイントを整理します。
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確定申告しなくていい人の条件は?2026年の判定基準を総まとめ
確定申告が不要かどうかは、会社員・個人事業主・年金受給者といった立場によって判定基準が異なります。2026年分(令和8年分)の税制改正では、基礎控除と給与所得控除がそろって引き上げられ、所得税がかからない範囲が従来より広がった点が最大のポイントです。
国税庁が公表した令和8年分の年末調整に関する資料によると、合計所得金額489万円以下の人を対象に、基礎控除は本則と時限特例をあわせて最大104万円、給与所得控除の最低保障額は74万円(令和8年分・令和9年分限定の措置)にそれぞれ引き上げられています。この結果、給与収入のみの人であれば、年収178万円までは所得税が発生しません。
基礎控除・給与所得控除はいくらに変わった?
2026年分における基礎控除は、合計所得金額が489万円以下の場合に最大で104万円が適用され、給与所得控除の最低額は74万円に設定されています。 これは2025年分までの基礎控除(最大95万円)より引き上げられています。
| 項目 | 2025年分(令和7年分) | 2026年分・2027年分(令和8年分・令和9年分) |
|---|---|---|
| 基礎控除(合計所得金額489万円以下) | 最大95万円 | 最大104万円 |
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 |
| 課税最低限(給与収入のみ) | 約160万円 | 約178万円 |
課税所得の算出式はどうなる?
給与収入のみの人は、年収から給与所得控除と基礎控除を差し引いた金額がゼロ以下であれば所得税はかかりません。
課税所得の算出式(給与収入178万円の場合)は次のとおりです。
課税所得 = 年収178万円 − 給与所得控除74万円 − 基礎控除104万円 = 0円
2025年分以前の基礎控除(48万円または95万円の特例)をもとに判定すると、申告要否を誤るおそれがあります。2026年分の申告(2027年2〜3月の申告期間が目安)に向けて、最新の基準で確認しておきましょう。
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確定申告しなくていい人かどう判断する?【立場別】
確定申告が不要になる条件は、会社員・個人事業主・年金受給者・パートなど、働き方によって異なります。それぞれの立場ごとの目安を押さえておくことが、判断を誤らないポイントです。
会社員(給与所得者)が確定申告しなくていい条件
1か所の勤務先で年末調整が完了していれば、原則として確定申告は不要です。
所得税法第121条では、給与等の年間収入が2,000万円以下の給与所得者について、一定の条件に該当する場合に申告書の提出を要しないと定められています。ただし、以下のいずれかに当てはまる場合は申告が必要です。
- 給与収入が2,000万円を超える
- 2か所以上から給与を受け取り、年末調整されなかった給与収入と給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える
- 給与・退職所得以外の所得が20万円を超える
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁、所得税法|e-Gov法令検索
個人事業主・フリーランスが確定申告しなくていい条件は?
個人事業主やフリーランスの場合、事業所得(売上から必要経費を差し引いた金額)が基礎控除の104万円以下であれば、所得税は発生しません。
基礎控除は合計所得金額489万円以下の人を対象に最大104万円です。青色申告特別控除(最大65万円)を受けている場合は、その分もあわせて差し引けます。例えば、売上300万円・経費230万円で事業所得が70万円であれば、基礎控除104万円を下回るため所得税はかかりません。
年金受給者が確定申告しなくていい条件
公的年金等の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です。
これは「確定申告不要制度」と呼ばれる仕組みで、高齢者の手続き負担を軽減する目的で設けられています。ただし、年金から源泉徴収されている税額が実態と異なる場合(扶養親族等申告書を未提出の場合など)は、申告して精算した方が有利になることがあります。
パート・アルバイトが確定申告しなくていい条件
パート・アルバイトで給与を受け取る場合、2026年分からは年収178万円以下であれば所得税は発生しません。
これは基礎控除104万円と給与所得控除の最低保障額74万円を合算した非課税ラインで、従来の103万円の壁から引き上がりました。年末調整が行われていれば、この範囲内の人は確定申告をする必要がありません。
次の表に、立場ごとの申告不要の条件と金額目安をまとめました。
| 立場 | 申告不要の条件 | 申告不要の金額目安(2026年分〜) |
|---|---|---|
| 会社員(1か所勤務) | 年末調整済みで副業所得が一定額以下 | 給与以外の所得20万円以下 |
| 個人事業主・フリーランス | 事業所得が基礎控除以下 | 事業所得104万円以下 |
| 年金受給者 | 年金収入が一定額以下+他の所得が少額 | 年金収入400万円以下+他の所得20万円以下 |
| パート・アルバイト | 年末調整済みで年収が一定額以下 | 年収178万円以下 |
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
副業の確定申告は20万円以下なら本当に不要?
副業所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は原則不要です。ただし、判定基準や住民税の扱いには見落としやすい注意点があります。
20万円の判定は「収入」ではなく「所得」で行う
副業の20万円ルールは、収入ではなく所得(収入から必要経費を引いた金額)で判定します。
国税庁は、給与所得者が確定申告を要するケースとして、給与・退職所得以外の所得が20万円を超える場合を挙げています。例えば、副業のライティングで年間30万円の収入があっても、経費が12万円かかっていれば所得は18万円となり、20万円以下のため申告は不要です。逆に、売上25万円に対し経費が3万円しかなければ所得は22万円となり、申告が必要になります。
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
住民税の申告は別途必要になる
所得税の申告が20万円以下で不要でも、住民税の申告は免除されません。
所得税と住民税は別々の制度として運用されているため、「所得税の申告不要=住民税も不要」ではありません。住民税の申告先はお住まいの市区町村で、所得税の確定申告を行った場合は、住民税の申告を重ねて行う必要はありません。詳しい注意点は後述のセクションで解説します。
20万円以下でも申告する場合はすべての所得を合算する
医療費控除やふるさと納税の寄附金控除など、何らかの理由で確定申告を行う場合は、副業所得が20万円以下でもすべての所得を合算して申告しなければなりません。
「20万円以下だから書かなくていい」と判断し、副業分を除外して申告すると、後日修正を求められることがあります。申告する際はすべての所得を漏れなく記載しましょう。
次の表は、副業所得が20万円以下の場合に「申告しない」ケースと「あえて申告する」ケースを比較したものです。
| 項目 | 申告しない場合 | あえて申告する場合 |
|---|---|---|
| 所得税 | 副業所得20万円以下なら発生しない | 他の控除と合算して還付を受けられることがある |
| 住民税 | 別途、市区町村への申告が必要 | 確定申告をすれば住民税の申告は不要になる |
| 事務負担 | 追加の手続きは発生しない | 確定申告書の作成・提出の手間がかかる |
確定申告しなくていい人でもあえて申告すべきケースとは?
確定申告の義務がなくても、あえて申告することで還付金を受け取れたり、将来の節税につながったりするケースがあります。申告不要だからといって、申告しない方が得とは限りません。
医療費控除やふるさと納税で還付を受けられる
年間の医療費が10万円(総所得200万円未満の場合は総所得の5%)を超えた場合、医療費控除によって源泉徴収された税金の一部が還付されます。
医療費控除額は、支払った医療費の合計額から保険金等の補てん額と10万円(または総所得の5%)を差し引いて計算します。家族分の医療費も合算できるため、まとめて申告すると控除額が大きくなることがあります。また、ふるさと納税もワンストップ特例の対象外(6自治体以上への寄附など)であれば、確定申告で寄附金控除を受ける必要があります。還付申告はe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使えば自宅から手続きが完結し、通常の確定申告期間を待たずに翌年1月1日から5年間提出できます。
参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁、No.2030 還付申告|国税庁
住宅ローン控除の初年度は申告が必要になる
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、初年度のみ確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で控除を受けられますが、1年目に申告を忘れると控除が適用されません。
令和8年度税制改正により、住宅ローン控除の適用期限は令和12年12月31日まで延長され、認定住宅の借入限度額は4,500万円、省エネ基準適合住宅は2,000万円(令和8年・9年分)、控除率は0.7%、控除期間は最長13年間とされています。
赤字の繰越控除で翌年以降の節税につながる
青色申告をしている個人事業主は、事業が赤字の年に確定申告しておくと、その赤字を最大3年間繰り越せます。
純損失の繰越控除により、翌年以降に生じた所得と相殺できます。例えば、開業初年度に100万円の赤字を申告しておけば、翌年の事業所得が150万円でも、課税対象は50万円に抑えられます。赤字だからといって申告を怠ると、この節税メリットを失ってしまいます。
融資審査や所得証明に申告実績が役立つ
個人事業主や経営者にとって見落としがちなのが、融資や各種証明書への影響です。
金融機関の融資審査では、確定申告書の控えや納税証明書の提出を求められることが一般的です。申告実績がないと所得を証明する書類がない状態になり、事業資金の借入れや法人化時の信用補完に支障をきたすおそれがあります。所得がゼロや少額であっても、申告しておくことで納税義務を果たしている実績を残せます。
確定申告しなくていい人でも住民税の申告は必要?
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になるケースがあります。所得税と住民税は別々の制度で運用されているため、注意が必要です。
住民税の申告が必要になるケースは?
住民税の申告が必要になる代表的なケースは、副業所得が20万円以下で所得税の申告をしなかった場合、年の途中で退職し年末調整を受けていない場合、給与以外の所得(不動産収入・雑所得など)がある場合です。
住民税の申告を怠ると、国民健康保険料の算定に影響したり、非課税証明書や所得証明書が発行されなくなったりすることがあります。非課税証明書は保育園の入園手続きや公営住宅の申請などで求められることが多く、必要な書類が取得できず手続きが滞るおそれがあります。住民税の申告先はお住まいの市区町村の窓口で、所得税の確定申告を行った場合は住民税の申告を別途行う必要はありません。
確定申告しなくていい人を従業員に案内するには?
バックオフィス担当者が従業員から「確定申告は必要ですか?」と聞かれた場合は、勤務先の数・副業所得・扶養控除等申告書の提出状況を順番に確認すると、正確に案内できます。
質問への対応手順
パートや副業を持つ社員から質問を受けた場合、以下の順番で確認するとスムーズです。
- 当社のみで勤務しているか、他にも給与収入があるかを確認する
- 給与以外の所得(副業・不動産・暗号資産など)が20万円を超えるかを確認する
- 扶養控除等(異動)申告書が提出されているかを確認する
- 医療費控除や住宅ローン控除など、年末調整では処理できない控除の有無を確認する
扶養控除等申告書が提出されていれば、自社で年末調整を行い、副業所得が20万円以下であれば「所得税の確定申告は原則不要」と案内できます。ただし、住民税の申告が必要になる点は必ず補足しましょう。
2026年改正の年末調整実務で注意する点
2026年分の税制改正では、毎月の源泉徴収税額表は改正前のまま据え置かれ、12月の年末調整でまとめて精算する方式がとられます。
基礎控除・給与所得控除の見直しは12月の年末調整で反映されるため、毎月の天引き額は変わらないものの、年末調整時の還付額が例年より大きくなる見込みです。従業員から「毎月の手取りが増えていない」と問い合わせがあった場合は、年末調整でまとめて精算される旨を説明できるよう準備しておくとよいでしょう。
年末調整前の確認チェックリスト
従業員への案内ミスを防ぐため、以下の項目をリスト化しておくと実務で役立ちます。
- □ 扶養控除等申告書の提出状況を全従業員分確認済みか
- □ 副業・兼業がある従業員に住民税申告の案内をしたか
- □ 中途入社者の前職分の源泉徴収票を回収済みか
- □ 住宅ローン控除の初年度該当者に確定申告が必要な旨を伝えたか
- □ 年末調整の還付額増加について社内周知したか
このチェックリストを年末調整業務の開始前(11月頃)に配布・確認しておくと、問い合わせ対応の手間を減らせます。
確定申告しなくていい人のよくある質問
確定申告しなくていい人に関するよくある質問をまとめました。
確定申告しないとどうなる?
申告義務があるにもかかわらず申告しなかった場合は、無申告加算税や延滞税が課されます。申告義務がない人が申告しなくてもペナルティはありません。
無申告加算税は原則として、納付税額のうち50万円までの部分に15%、50万円を超え300万円までの部分に20%、300万円を超える部分に30%の税率で課されます。ただし、住民税の申告を怠ると非課税証明書などが発行されなくなるため、「ペナルティがない=何もしなくてよい」わけではありません。
確定申告が必要になる年収の目安は?
会社員は年収2,000万円超、パートは年収178万円超(年末調整済みの場合)が一つの目安です。個人事業主は事業所得が104万円を超えると申告が必要になります。立場ごとの詳しい条件は、前述の立場別一覧表を確認してください。
専業主婦・専業主夫は確定申告が必要?
給与や事業収入がなければ、原則として確定申告は不要です。ただし、年金収入・配当所得・不動産所得・副業の雑所得などがある場合は、他の立場の人と同様に所得額に応じた判定基準が適用されます。
還付申告はe-Taxでいつまでできる?
還付申告はe-Tax(国税電子申告・納税システム)で行うことができ、通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日)を待たずに、翌年1月1日から5年間提出できます。
退職した年の確定申告は必要?
年の途中で退職し、その年中に再就職しなかった場合は、年末調整が行われていないため確定申告をした方がよいケースが多くなります。
退職までの給与から源泉徴収されていた税額は、年間を通じた収入を前提に計算されています。そのため年途中で退職すると税金を納めすぎている状態になりやすく、確定申告すれば払いすぎた分の還付を受けられる場合があります。
確定申告しなくていい人の条件は最新基準でこまめに確認しよう
確定申告が不要かどうかは、会社員・個人事業主・年金受給者・パートといった立場ごとに判定基準が異なります。2026年分から基礎控除が104万円、給与所得控除の最低保障額が74万円に改正されたため、過去の情報のままでは誤った判断につながります。申告義務がない場合でも、医療費控除や赤字の繰越控除など、あえて申告した方が得になるケースは少なくありません。自分の立場に合った確定申告しなくていい条件を、最新基準であらためて確認しておきましょう。
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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